日本カリスマ美容師チャンピオン大会(最終話・その1)

「ウルトラ美容師」の最終エピソードです。
4回に分けて掲載いたします。
最後までお付き合いくだされば、うれしいです。

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日本カリスマ美容師チャンピオン大会



TTB大森ディレクターの助手遠藤勉は、大森から聞かれた。
「で、どうだった。ウルトラは。」
「え?ウルトラ何です?」
「とぼけるな。ウルトラ美容師だよ。」
「あ。全然。どこがウルトラなんだか、さっぱりでしたよ。」
遠藤は言った。
こんな大森みたいな視聴率狙いに、
あの高杉修が利用されてたまるかと思った。

だか、大森の反応は、遠藤の裏目に出た。
「ようし、これで決まりだ。
 あのイカサマ師をなんとしてでも引きずり出して、
 全国放送で、化けの皮をはがしてみせる。
 あの大畠は出ないだろうが、
 ウルトラを絶賛したことで、いっしょにドボンだ。」
大森は、息巻いた。

『うわー、この人から早く離れたい。』と、遠藤は思った。

途中まではできていた企画だ。
それが、大畠の言葉で、足踏みしていた。
「ことは、早いぞ。」と、大森は遠藤に命じ、早速、修の美容室へ連絡した。
その夜の7時に約束をした。

その時刻に、高杉修美容室に、二人はやってきた。
この頃、有香は、入りびたりだ。
「いやあ、お二人ですか。
 じゃあ、丸椅子とミシンの椅子に掛けてください。
 有香は、靴のとこね。
 ぼくは、立って聞くから。」修は言った。

大森は、慇懃無礼とも言う調子で、深々と頭を下げ、
「大森です。」と名刺を出した。
修は、名刺を見て、ポケットにしまった。
大森は、企画書を修に渡した。
修は、さっと目を通した。
「そういう趣旨で、ご参加願いただきたくやってまいった次第です。」

「そうですか。1位になったときの賞品はいくらですか?」と修。
「はい、1000万円です。」と大森。
「気前いいですね。」と修。
「まあ、全国ネットですから。」大森。
「出演料としていくらいただけます?」修。
「それが、先生の場合は、20万円です。」
「はあ~?」と修は、口を開けた。

「助手が一人いてもいいとあります。
 私とあそこの相棒と、10万ずつですか?」
「ご不足ですか。1時間で20万ですよ。
 実際、毎日1時間に20万も稼いでいないでしょう。」
「大森さんは、私の仕事の相場をご存知ですか。」
「詳しくは・・・。」
「私が、帽子を作って、ある国の女王陛下に送るなら、
 1000万円の値をつけるでしょう。
 その私に、テレビに出て、人目にさらされると言う屈辱に1時間も耐え、
 仕事をして、彼女と分けて10万ずつですか。
 大森さん、人を訪ねるときは、それなりの情報を集め、来るものです。
 話になりません。お帰りください。」

大森は、かなり憤慨している様だった。
「では、いくらなら出てくれるのかね。」
「女王陛下の帽子の値段です。
 あそこの相棒と分けて、500万ずつ、計1000万です。」
大森は、鼻から息を吹き、
「ふん!自分を何様だと思っているんだ。
 こんな小きたない美容室で、1つの帽子が、1000万。
 気がおかしいのじゃないかね。
 もう用はない。2度と来ないだろう。」
大森は、遠藤を連れて、ドアをバタンと閉めて行った。

「わあ、修さん。胸がすっとした。来たときから嫌な奴だと思ってたの。」
「そうだね。でも、その嫌な奴、また来るよ。
上役を2人くらい連れて。平謝りしてね。」
「じゃあ、女王陛下の帽子の1000万円ってほんとなの?」有香は言った。
「あはは。帽子を送れば…って言ったんだよ。送ったとは言ってない。
 ぼくは、1000万の値をつけますよって言ったつもり。
 女王陛下が買ったとは言ってない。
 まず、買わないよね。」と修は笑った。
「なあ~んだ。確かに売ったとは言わなかったわ。」
二人で、あははと笑った。

一方、鼻息荒く、ブリブリ帰る大森の後ろで、
遠藤は、腹の中で、「あはははは。」と笑っていた。
同時に、1000万円の帽子の話は、本当だろうと確信していた。

局のトップ達を交えた、第2企画会議で、大森はこてんぱんにやられた。
「このチャンピオン大会は、ウルトラ美容師が出てなんぼだろう。
 ウルトラが本物でも偽者でも、どうでもいいんだ。
 ウルトラなしのチャンピオン大会で、どれだけの視聴率が稼げると思う!」
かなり、トップクラスの上役が言った。

「本物なら、それでよし。みんな観るだろう。
 そして、大畠賢三が言うほどの美容師ならば、視聴者は、感動するだろう。
 その方がよいが、たとえ偽者でも、ウルトラ美容師を名乗る男が出るだけで、
 話題を呼び、人は観る。
 ウルトラ美容師は、出演料1000万の値打はあるのだよ。
 ウルトラ美容師を呼べなければ、大森君の企画は、没だ。
 当然、君の降格は、あるだろう。
 どうだい?呼べるのかね。」

大森は、真っ青になった。
「それが、初めの訪問で、ウルトラ氏に大変侮辱的な言葉を浴びせてしまいまして、
 2度目の訪問は、私一人では、無理かと思われます。」
大森は言った。

「なんとまあ。では、わかった。われわれが、二人くらいついて行ってやろう。
 ウルトラ美容師の名声は高い。くどき落とせれば、視聴率40%は行くだろう。」
大森は、ははあと頭を下げた。

2日後、夜の7時。
修と有香は、美容室で布の整理をしていた。
そのとき、ドアをノックする音がした。
「ほら、来た。」
修は、有香に目配せをした。
「ほんとに?」と有香は言った。

有香がドアを開けると、大森、遠藤の後ろに、2人えらそうな人がいた。
大森は、入るなり、床に手を付いて言った。
「先日は、失礼しました。無礼千万なことを口にし、
 深くお詫びいたします。
 私の失言暴言を、どうか白紙に戻し、
 番組出演へご再考願いたくやってまいりました。
 出演料は、おおせの額を、お支払いいたします。
 どうぞ、どうぞお願いいたします。」

上役の一人が、上等な布で包んだお金を、作業机に置いて、
布を開いた。
「これは、前金でございます。500万円あります。
 番組が終わりましたとき、もう500万円お支払いいたします。
 部下の無礼をお許しくださり、何卒ご出演くださいますように。」
そう言って頭を下げた。

「わかりました。出演しましょう。
 こちらの希望の額を用意してくださった以上、
 お断りする理由もありません。
 ただ、2つお願いがあります。

 私は、ご覧のように、モデルさんを見て、靴から作り、
 服、帽子を作ります。
 そして、最後に、ヘアカット、メイクをします。
 ここにある道具がないと、それができません。
 もちろん、棚に並んでいる材料もです。
 この部屋の一式、舞台に運んでいただき、
 終わったとき、また、ここに戻して欲しいのです。
 
 当日、モデルさんは、くじで割り当てられ、
 あらかじめ選べないと企画書にありました。
 だから、どんなモデルさんが来てもいいように、
 材料を揃えます。

 もう一つのお願いですが、美容は、メイク、ヘアカットはもちろんですが、
靴から帽子まで、トータルなものです。
私は、靴作りが一番好きなのです。
だから、私の靴も評価していただきたい。
そこで、審査員に、靴に造詣の深い方を、お一人加えていただきたいのです。」
修は、言った。

上役の一人が、
「コンテストの時間は、1時間ですが、そこまで、なされるのですか。」と言った。
「時間制限の中でやったことがありません。間に合わないかも知れません。」と修。
「わかりました。靴に詳しい方を探し、審査員にします。」
上役は言った。

「では、出場させていただきます。」修は言って頭を下げた。
4人は、出て行った。
大森は、腸が煮えくり返っていた。
『あのペテン師が。口一つで500万を手に入れやがった。
 俺の給料の1年分だぞ。』
そう、心で言って、悔しさを噛みしめていた。

遠藤はうきうきしていた。
『修さんの美容を、全国の人が見る。ああ、たまらない。』
上役2人は、さらっとした顔をしている。
「どうですかね。本物ですかね。」上役の一人が聞いた。
「あの美容室に飾ってあった、婦人用の帽子を見ましたか。
 私は、帽子マニア、帽子狂でしてね。
 もし、自分にお金があるなら、1000万円出しても、欲しいと思いました。」
もう一人の上役が、そう言った。


■次回予告■

いよいよチャンピオン大会が始まります。
靴から作り始める修に、
他のカリスマ美容師達は、驚きます。



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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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