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ウルトラ美容師<第3話>「聡美のブログ」(1話完結)

ウルトラ美容師・高杉修③(一話完結)「聡美のブログ」


高杉修は、約束の5時に階下へ降りて行った。
次のお客は、50歳くらいの小柄な男性だった。
背広にネクタイを締めている。

立っていた。
「どうぞ、丸椅子におかけください。」
「はい。私は白井幹夫と申します。」
「私は、高杉修です。どうぞよろしく。」
と修は言い、自分は、ミシンの椅子を持って来て座った。
「あのう、美容室とは思えない内装ですね。」
幹夫は、興味津々で訪ねた。
「はい。こういう職人部屋みたいなところが好きなんですよ。」
と修は、にっこりと言った。

「さて、いただいたメールによりますと、
 今日、ブログのオフ会があり、
ブログのプロフィールに貼ってある写真の女性にしてほしいということですね。」
修は聞いた。
「はい。私は、5年前に、精神的な病に倒れました。
 そして、その辛い気持ちを、毎日綴ろうと思い、
 ブログをはじめました。
 そのとき、プロフィールに自分の顔を載せるのは、
 なにぶん、精神的な病であるし、
 知人にばれたときまずいと思いまして、
私が若い頃女装をした時の写真を貼りました。

 その若い25歳の女性に「聡美」という名をつけまして、
 私は、聡美になりきって、ブログを書きました。
 そのうち、私の記事を読んでくださる方が多くなり、
 ぜひ、オフ会を開いて、会いたい、直接お話が聞きたいと、
何人かの方が、企画をしてくださいました。

しかし、現実の私は、50歳を過ぎたオヤジです。
「聡美」という若い女性ではありません。
だから、出席は、できません。
私は、企画を立ててくださる度に断わってきました。
欠席の理由を聞かれても、はっきりと言えませんでした。

そのうち、「聡美」などという女性はいないのではないか。
誰かの成り切りではないかとのうわさがたちました。
それは、違うと、私を信じてくれる人も多くいて、
私は、心の痛い思いをしました。
そして、私は、今日のオフ会には出ると言ってしまいました。
ドタキャンするか、
それとも、私の真実をカムアウトするかです。
しかし、私を若い女性だと思って、がんばって来られた人もいることでしょう。
そんな方への、カムアウトは辛いことです。
裏切られたと、傷つけてしまいます。

そこで、美容の魔術師と言われる、高杉修さんにお願いに来ました。
私を若い頃の「聡美」にしていただけないでしょうか。

本来の自分のプロフィールを偽り、
昔の女装した自分の写真を出したことが罪であるとおっしゃるなら、
それに、従いあきらめます。」
幹夫は、そう言った。

「聡美さんも、幹夫さんも、同一人物ではありませんか。」
修は言った。
「いえ、年を偽っています。女性と偽っています。」幹夫は言った。

「さとみさんのブログを、過去5年間分、拝見しました。
 辛い病気を抱えながら、必死に働き、生きている姿が描かれ、感銘を受けました。
 そして、同じ病の方々の、どれだけの励み、勇気の元となっているか、
 それも、よくわかりました。
 お写真の聡美さんは、空を仰いで、何かを願っているようでした。
 その姿が美しく、聡美さんを心の支えにしている人のお気持ちがわかります。
 そして、聡美さんは、実に魅力的な方です。
 許されない偽りもあれば、許される偽りもあると思います。」修は言った。

「では、私を『聡美』にしてくださいますか。」と幹夫。
「はい。全力を尽くします。」修は言った。

「では、あのプロフィールと同じ服を作りましょう。」と修は言った。
「え?服からですか?」
「はい、その方がみなさん、聡美さんと信じますでしょう。」
修はそう言って、厚手の紺の生地を取り、ジャケットを縫い始めた。
「寸法が分かるのですか?」
「はい。今の幹夫さんと背が同じ、160cm。
 あとは、あのお写真を見ればわかります。」

修は、見る見るうちに、ジャケットを縫い上げた。
幹夫は、魔法を見るように、見とれていた。

「中は、エンジ色のブラウス。下は、ベージュのタイトスカートに見えるキュロット。
 厚めの記事で作ります。」
幹夫は驚いていた。写真は、上半身で、キュロットまではわからないのに。
「どうして、キュロットだとおわかりなのですか?」幹夫は聞いた。
「小さな全身写真がありましたよ。お忘れですか。」
「ああ、そうです。記事の中に1度載せました。」

「黒のロングソックス、黒のショートブーツですね。」
幹夫は、修が、靴を作り始めたことに、さらに驚いた。
「はい。できましたよ。こんなブーツではありませんでしたか。」
「そうです!裏皮の黒いブーツです。」

「では、体形はほとんど変わっておられないですが、
 少しだけ。そして、25歳になりましょう。
 上着を脱いでくださいませんか。」

修は、後ろから幹夫のウエストに腕を回し、
「気」を入れた。
「息を吐いてください。」
幹夫は息を吐いた。
すると、幹夫のおへその5センチ上あたりに女性のウエストができた。
「幹夫さんは、女装をなさっていたそうですから、着られますね。
 あのカーテンの奥で、下着と今できた服と靴を履いてきてください。
 ブラには、詰め物をしてあります。
 またヒップは、ジャケットのウエストが締まっていますので、
カバーできると思います。」

幹夫は自分の体を見た。ラインが女性の体になっている。
服を着た。懐かしい。当時の服と同じだ。
黒いソックスを履き、ブーツを履いた。
ああ、懐かしい。女装を楽しんだ日々が蘇る。

「なかなかお似合いですね。」
と幹夫を見た修は、にっこりした。
「仕上げです。髪とお顔です。」

幹夫はもう一度、丸椅子に座った。
修は、「気」を入れて、幹夫の顔を何度か撫でた。
すると、顔の皮膚に張りと柔らかさが出て、どんどん若くなっていくのだった。
足も腕も、出ているところは何度も撫でた。
撫でられたところが、みるみる若返って行く。

「次は、かつらです。当時のさとみさんの髪型に作っておきました。
このかつらは軽くて、ぴったりとフィットして、寝ても大丈夫ですよ。」
修はかつらを被せた。
手で、少し型を整えた。
「最後に、メイクです。」
修は、薄い円筒のケースを開けて桃色を指につけ、
目蓋の上に薄くつけた。
小さなハサミで、マユを整えた。
最後に、ベージュとピンクの口紅を、ゴム版の上で調合し、
それを、唇に指で叩くように紅をつけた。
「できました。25歳の聡美さんです。」
修はそう言って、姿見を近づけた。

幹夫は、夢かと思った。
当時の自分が鏡の前にいる。若い。
「そうだ。」と修は言った。

「声を忘れていました。」
修は、後ろから、幹夫の喉仏のところに2本指を当てた。
「あたしは聡美、あたしは聡美・・と言い続けて、
 自分で好きだなという声になったら、止めてください。」

幹夫は、「あたしは聡美」とくり返し言った。
声が女性の声になっていく。ああ、不思議だ。
あ、ここ、イメージの中の少し知的な聡美の声だ。
幹夫は声を止めた。

「あーあーあー、声まで変えていただけるなんて。」
幹夫は、感激の瞳で、修を見た。
修の目に映っているのは、もはや幹夫ではなく聡美だった。
「最後に、こんなバッグを、聡美さんはかけていましたよ。」
修は、馬皮の大き目なショルダーバッグを、聡美(以後・聡美)の肩にかけた。

聡美は目を潤ませて、修を見つめた。
「なんとお礼を申し上げてよいか。
ありがとうございます。
今からなら、オフ会に間に合います。
 動いて話す聡美を見てもらえます。」
「すべて、24時間長持ちするようにしておきました。
かつらや服の一式は、差し上げます。」

「お礼をしなければなりません。
おいくらでもお支払い致します。」聡美は言った。
「もういただいています。」と修は言った。
「え?それは・・。」と聡美は聞いた。
「実は、私も精神的な病を持っています。
この5年間、聡美さんのブログを毎日拝見してきました。
どれだけの勇気と励ましをいただいたことでしょう。」
「ほんとうですか!」聡美は明るい声で言った。
「はい。オフ会には、行けませんが、聡美さんにお会いできて、光栄です。
 それから、聡美さんのブログに、
 『即席ラーメン』というハンドル名でコメントをしていたのが私です。」
「え、あ、あの『ラーメンちゃん』ですよね。
 みなさん、女の子だと思っていますよ。」
「はい。内緒にしてくださいね。」
「はい。」
二人で、くすくすと笑った。

聡美は、何度も振り返り、頭を下げながら、歩いて行った。

修は、うつむき、オフ会での様子を思い描きながら、にこりとして、
そっとドアを閉めた。


<おわり>


■次回予告■

「1度だけ、ウエディングドレスを!」です。
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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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