<介護日誌> 第5日 「大きな白い布」

<介護日誌> 第5日(2/13)

午後4時ごろ、うたた寝から覚めた母が言います。
「Jちゃん、私のベッドの足に、大きな白い布を掛けたいのだけど、
 作ってくれる?」
「毛布と羽毛布団だけじゃ寒いの?」と私。
「そうじゃないの。」
「何にするの?」
「その白い布の中に、必要なものをいろいろ入れておくの。」

「ティッシュボックスとか、オムツとか、ビニールとか?」
「そう、それに、お財布とか、大事な写真とか。」
「それを、自分の足元に置いて、白い布をかぶせて、
 そして、毛布と、掛布団を掛けて寝るの?」
「そう。」
「それ、寝にくくない?」
「安心する。」

「母さんは、いままで寝ていて、そんなのがいいと夢で見たんだよ。
 これから、お風呂のヘルパーさんが、来てくれるから、
 お風呂が、終わっても、やっぱり白い布が欲しいと思ったら、作ってあげる。
 お風呂の後まで、我慢して。」
「急ぐんだけど。」
「お風呂まで、我慢。」

母は、ヘルパーさんにお風呂に入れてもらって、
気持ちよさそうに、上気した顔で出てきました。
そして、お風呂の疲れで、気持ちよさそうに、うたた寝の続きをしました。

もちろん、白い大きな布のことなど、とっくに忘れていました。



夕食のとき、母が言います。
「Jちゃんは、年を取らないね。」
「かなり取っているけど。」
「子供だよ。」
「つまり、母さんは、今目の前にいるぼくが、小学生に見えてるの?」
「今は大人だって知ってるけど、やっぱり子供の姿をしてるよ。」
「そう見えてるんだ。」
「学校より家が好きな子だった。」
「うん。その通り。別に学校で嫌なことがあったわけじゃないのに。」

「だから、Jちゃんが学校へ行く後ろ姿見て、
 可哀相で、よく泣いたよ。
 Jちゃんの後ろ姿は、可哀相に見えるの。」

「母さんは、一回、学校へ行くぼくを、後ろから追いかけて来て、
 ぼくを後ろから抱きしめて、『今日は、もういい、家にいていい。』って、
 学校を休ませてくれた。母さんは、泣いてた。
 今でも、覚えてるよ。」
「そんなことが、あったかも知れないね。」
「あの頃のぼくは、女の子に見えたでしょう。」
「そうだったね。」
「平気だった?」
「平気じゃなかったよ。
 たくましくて、男らしい子供だったら、どんなにいいかって思ってた。」
「じゃあ、辛かったの?」
「辛くはなかった。Jちゃんにしかないいいものがあったから。」
「そう。そう思っていてくれたんだ。」
「いいものがない人なんていないよ。」
「ああ、そうだね。」

私は、母が、とても痴呆だとは思えず、
どこか、たのもしく母を見つめていました。
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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
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