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大原久未の女装子友達③「泣いてしまうクミ」

<第3話> 「泣いてしまうクミ」


時刻は、午後の7時になった。
係りの人から、簡単な説明があった。
それから、みんなに出場番号を書いた円盤が配られ、それを身に付けた。
クミは、16番だった。
そして、アシスタントの女の子が、20人みんなにつき、
「どうぞ。」と案内した。
会場へ行ってみると、座席などはなく、
客は立ったままでいた。
会場には、20の低い小さなステージがあった。
アシスタントは、出場者それぞれを、各ステージに案内して、
台から、ステージに上がるように言った。

これが、第2審査である。
クミは、高さ80cmほどの台の上に上がった。
すると、観客たちがやって来て、下からクミを眺める。
アシスタントから、いろんなポーズをするようにと言われていた。
クミは、ミニスカートだ。
下から、きっと白い下着がのぞかれる。
幸い光沢のある分厚いショーツを履いて来ていたのでよかった。
観客たちが、カメラで撮り放題撮っている。
価値のないものなら撮らないだろう。
あたしは、男たちの観賞に値するものなのだろうか。

恥ずかしいと思いながら、
あるマゾヒスティックな思いに興奮してくる。
男たちの視線に犯されている。
人々の中に、エロティックな気分でいる人もいるだろうか。
そう思うと、クミ自身が燃えてくるのだった。
自分が、女として、男を興奮させられるなんて。

クミは、だんだん見せたくなってきて、
いろいろなポーズをとった。
脚をX脚にしたり、猫の真似をしたり、
膝に両手を当てて、お尻を上げたり。
(さあ、見て頂戴というポーズだ。)
その度に、フラッシュがどっと焚かれる。

会場をみると、気のせいか、自分の台に多くの人がいる。
マユを探した。
マユのステージもすごい人だかりができていた。

アシスタントが来て、クミに台から降りるように言った。
その間、観客は、一人を選んで投票する。
これが、第2次審査だ。

アシスタントは、
クミを、正面舞台の入り口に連れて行った。
みんなが、舞台袖に置かれた椅子に腰かけるように言われた。
そして、番号順に呼ばれ、審査員からいくつかの質問をされ、
それに答える。
答えたら、うしろに横一列になっている椅子に腰かける。

これが、最終審査だ。

観客は、全て立ち見で、ホールを埋めていた。

審査員の目的は、出場者の声を聞くことだった。
男声は、もちろんマイナスである。

出場者の多くは、男声だった。
中には、トレーニングをして女声の出せる人もいた。

やがて、15番のマユが呼ばれた。
質問され、マユが一声話すと、会場が湧いた。
生れながらの女声は、わかるのだろうか。
「えー、あなたの声は、大変女性的ですが、
 それで困ったこともありますか。」と質問された。
「はい、病院で保険証を見せて、男と信用されなかったことがあります。」とマユ。
「そうでしょうね。それは、困ったことでしょうね。」と質問者は言った。

マユは終わった。
次、クミが呼ばれた。
マイクの前に立った。
質問をされ、一言答えると、会場は、マユ以上に湧いた。
マユより、可愛い声だったのだ。
マユと同じ質問をされた。
「驚くべき可愛い女の子の声ですが、それで、困ったことがありますか。」

クミにとっては、それは、あり過ぎるほどあった。
高校の3年間、恥ずかしくて声を出せなかった。
そのために、友達もできなかった。
教室で先生から指名されるのが怖くて、
毎日気が気ではなかった。
指名され、声を出せず、黙って立ったまま、
ただ、時が過ぎるのを待っていた。
どれだけ、辛かったかわからない。

それらのことが一つ一つ思い出されて、
クミの胸に悲しみがあふれて来た。
それが、涙となってこぼれ落ちた。

こんなはずではなかった。
女声を披露して、高得点をとる予定だった。
それなのに・・・。

質問者の権堂義男は、質問の配慮に欠けていたことに気付いた。
ニューハーフや男の娘カフェなどのプロではない。
目の前の出場者は、普段は男子として生活をしている青年たちだ。
そんな彼らなら、女声が、大きな劣等感になっていることもあるだろう。
それを思いやれず、軽はずみな質問をしてしまった。
泣いている出場者の気持ちをやっと察した。

『女声で、得をしたことがありますか。』
と聞く方が、よっぱどましであった。
権堂は、何とかしなければと、口を開こうとした。
そのとき、クミが話し始めた。
クミは、涙の流れるままに話した。

「楽しいコンテストに、涙を見せてしまい、すみませんでした。
 私の声が、少々女っぽいくらいならよかったのですが、
 私の声は、小さな女の子のようです。
 私の声を聞いた人は、大きな違和感を示し、
 驚きの目であたしを見ました。
 それが、辛くて、高校の3年間、私は一言も口を利けない生徒でした。
 そのために友達もできず、
 学園祭や修学旅行などの、楽しいはずの行事も辛いだけのものでした。

 ですから、あたしは、このコンテストに、
 友達と出会うために来ました。
 幸い、友達になってくれそうな人に出会うことができました。
 あたしに、女装の趣味があることは、神様の贈り物だと思っています。
 あたしは、これから、24時間女の子として暮らすつもりです。
 このコンテストが、あたしにその勇気を与えてくれました。
 感謝しています。ありがとうございました。」
そう言って、クミが礼をした。

会場から割れるような拍手が起こった。
「君なら、女の子になれる!」
「負けるな!」
「がんばれ!」
などの声が、たくさんかかった。

質問者の権堂が、マイクを持った。
「不用意な質問をして、出場者に辛い思いをさせてしまいました。
大変申し訳なく思っています。
 しかし、クミさんが、このコンテストで、友達ができそうだと、
 また、このコンテストから、勇気をもらったと言ってくださり、
 今、私は、ほっと安心し、感激もしています。
 前向きなクミさんに、感謝します。どうもありがとう。」
質問者の言葉にも、大きな拍手があった。

クミが、舞台後方の椅子に掛けようとすると、
マユが出てきて、クミを抱きしめた。
マユは、ぼろぼろに泣いていた。
「クミとあたしは、同じ悩みをもってきたの。
 絶対友達になろうね。」マユはそう言った。
「うん、ありがとう。」とクミ。
そこにいた出場者も、クミのそばに来て言葉をかけ、
励ましていた。

残り4人の出場者も、終わった。

いよいよ最終審査になった。

観客の票数と、審査員の点数を合計して決まる。

舞台には、後方に、横1列に20人が並んでいる。

やがて、発表である。



■次回予告■

コンテストが終わります。
クミには、二人の友達ができます。
最強の友達です。

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No title

女声で困ったこと。。。
ラックさんもいろいろあったのでゎ?

そんなラックさんだからこそ、こんなに奥の深い話が書けるのだと思いました(*´∀`*)

No title

junさん。

私も、女声で苦労しましたので、このお話の久未ほどではないにしろ、困ったことが、多々ありました。
電話をかけると、さらに女声に聞こえるらしく、
私が、「ぼく」と言わないかぎり、女として、話をされました。

「奥の深い話」と言ってくださり、うれしいです、
この作品にあまり自信がなかったので、
とても元気とやる気がでました。
ありがとうございます。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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