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うつけの雪姫<第6話>「道場見学の巻」

予定を変えまして、「雪姫道場見学の巻」を投稿します。

<大体のあらすじ>
藤之森城主信重は、嫡男雪之丸の暗殺を恐れて、生まれたときから雪姫として育てます。
しかし、あまりにも利発な姫を見て、5歳のときから「うつけ(バカ)」を装うように命じます。
それから、雪姫は、うつけを装い、誰からも「うつけ姫」と呼ばれます。
元服に向けて若としてデビューする5日前に、御前試合があり、
そろそろうつけを止めようと、家臣達の道場見学に行きます。
姫は、地下の隠し道場で、修業をし、伊勢青眼流免許皆伝の腕前です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<第6話> 『雪姫の道場見学』


雪姫が道場の見学に来るという。
御前試合が近いと言うに、
うつけと呼ばれる姫が来たとて、何ほどのものぞ、
かえってうっとうしいだけではないか。
家臣たちは、そんな言葉を残し、いつもと変わらず、打ち合いをしていた。

やがて、雪姫が、年長の腰元・秋葉と茜を連れてやってきた。
家臣達は、一時打ち合いを止めて、例をした。
秋葉が道場正面のひな壇に、小椅子を置こうとしたとき、雪姫は、
「私は、立って見たいゆえ構わぬ。」と言って座らなかった。
正面ひな壇は、神聖なところであり、椅子を置くなど許されぬことであった。

姫は、その椅子を、床において、秋葉を座らせた。
茜は、そんな姫の心遣いをみんなわかっていた。

皆は打ち合いを再開した。

その内、一衛という家臣が、突進を相手にかわされ、
勢い余って、竹刀を持ったまま、雪姫の喉に向けて突っ込んで来た。
一衛は、「あああ。」と血の気を失った。

だが、雪姫は、さっと紙一重にかわし、手で一衛の胸を押さえて止めた。
腰元の秋葉が立って、「無礼者!」と言うより早く、雪姫は言った。
「一衛殿。その意気です!見事な突進です!」
姫は、にっこりして、うなずいた。
場合によっては、手打ちになるところを、逆に誉めて救ってくれた。
一衛は、感激して、稽古に戻った。

姫は30分ほど稽古を見ていた。

雪姫は、秋葉に合図をした。
秋葉は、立って、大きな声で、
「皆の方、姫様のお言葉がある故、
 並んで、拝聴されますように。」
と言った。

家臣達は、正座をして並んだが、
雪姫の言葉など、どれほどのものぞと思って、
その時間を耐えることにした。
(一衛だけが、只の姫ではないことを思っていた。)

姫は語り始めた。
「皆様の力強い剣を見て、この雪は、感服いたしました。
 さすがに藤之城の家臣であります。
 2、3私のようなものが気づいたことがあります。
 それを、お伝えして、よろしいでありましょうか。」

家臣たちは、何ほどのことやあると思っていたが、いやとは言えない。
皆、ははあと言って頭を下げた。

雪姫は、始めた。
「まずは、小平太殿。」
小平太は身を起こした。

「そなたは、小柄にして俊敏、
 鋭い剣の振りを見て、道場一の方と見ました。」

家来達は、ふん、それくらいは誰でもわかるだろうと思っていた。
雪姫は続けた。
「しかし、小平太殿は、左足に比べて、右足が、若干短い。
 このために、打ち込みのとき、体が揺れ、不利となってはおられませぬか?」

家臣達は、この姫の洞察には驚き、目を大きく開け、姫と小平太を見た。
なぜなら、皆、長年小平太と稽古をしてきて、
小平太の右足が短いことなど、誰も気が付かなかったからである。

「ははあ、それに相違ございません。」と小平太は頭を低くした。

「そこで、これはわたくしの案に過ぎませぬが、
馬の皮を足型に切り取り、
それを2、3枚重ね右の足袋の中に仕込んではどうかと思います。
外の稽古では、問題はございませぬが、
道場では、裸足が原則です。そこで小平太殿に限り、
足袋着用のお許しを、伊勢之守様にお願しておきます。
また、足袋は、滑りますゆえ、松ヤニなど、底に塗っておけば、
程よい滑り止めになりましょう。」

「ははあ、ありがたきお言葉。」と小平太は感激した。
長年、左右の脚の長さが違うことは、自分の大きな悩みであった。
それに対し、こんな助言をもらったのは、はじめてであったし、
こんな簡単なことを、自分でも思いつかなかった。
小平太は、頭を床に擦り付けた。

道場にいた全家臣が、雪姫の言葉に驚いていた。

その内、大柄な権太と言うものが、前に出て来た。
「姫様、どうか、私にもご助言を。
 私は、打ち込みの速さ、力では、誰にも劣らぬと自負しておりますが、
 どうしても先に面を取られます。どうすれば、よろしいでしょうか。
 もし、私がお目に留まっていますれば、一言、いただきとうございます。」

姫は言った。
「権太殿は、お言葉の通り、豪快さでは、道場一と見ました。
 しかし、権太殿には、一つ癖があります。
 権太殿は、打ち込みに参るとき、勢いを付けるためか、一瞬、
 頭を後方に引かれるのです。そこで、息を吸い、肩が上がります。
 頭を後方に引く時間、打ち込みが遅れます。

 また、肩を上げてしまうことは、相手に、打ち込みの時を知らせて
 いるようなものです。
 打ち込みは、息を細く吸っておき、その息を吐きながら、
 なさいませ。息を止めては、なりませぬ。」

権太にとって、姫の言葉は、目からウロコであり、しかもすべて納得のいくものであった。
「ははあ、この権太、姫様のお言葉が、身に染みましてございます。」
権太は、床に頭を付けた。

家臣達は驚いていた。
一人一人の欠点を大勢の乱捕りの中で、ここまで把握なさるとは。
自分たちには到底、出来ぬことであった。

3人目、兵衛が来た。
小柄で、細く、自信のなさそうな家臣だった。
「姫様。私は、動作が遅く、突進の威力もありません。
 道場一の下手でございます。
 しかし、こんな私でも、強くなりたいのでございます。どうか、一言お言葉を。」

姫は言った。
「兵衛殿、道場一の下手などとおっしゃいまするな。
 体の柔らかさにおいては、兵衛殿は、道場一番と見ました。
 体の柔らかさは、筋力にも劣らぬ大切な資質です。
 しかし、その柔らかさを、発揮できずにおられます。
 その原因は、竹刀の右手と左手を広くお持ちであることかと思いました。

 打ち込みの力を増すために、そう工夫をされたことかと思いますが、
 これでは、左右の攻撃、また、打ち返しに不利であります。
 そこで、竹刀の持ち方を、握りこぶし一つ狭くなさいませ。

 そうすれば、自在に左右の攻撃に対処なされるでしょう。
 握りを狭くした分、筋力がより必要となります。
 そこで、練習用の重く太い木刀を、毎日500回、素振りをなさいませ。
 3か月後には、見違えておられることでございましょう。」

兵衛は、雪姫を見て、感激の至りと、平伏した。
「柔軟さでは、道場一。」と言ってもらえたことも、涙が出るほどうれしかった。

雪姫の助言は、具体的で納得がいき、その対策にも及ぶものであったため、
家臣は我も、我もと前に来て、
とうとう、雪姫は、35人全員に助言をした。
つまりは、30分という時間の中で、35人、一人残らずの長所短所を把握し、
短所を克服する方法を述べたのであった。

姫が去ったあと、家臣たちは感動していた。
「うつけの姫などと、とんでもないことじゃ。」
「あれだけの姫は、どこを探してもおられませぬ。」

そのとき、一衛が、姫の首に向かって突進してしまったことを皆に話した。
そのときの、姫の見事な身のかわし。
手打ちになりかねないところを、逆に誉めて救ってくれたこと。
そして、自分の名前を『一衛』と呼んでくれたこと。
そのときの感激を伝えた。

なんという慈悲ある姫様だと、一同は感じ入った。

「そういえば、姫様は、我らが名乗りを忘れたときも、我々の名前を呼ばれた。」
「それどころではない。我らの中で、名乗りをしたものなどおらぬ。
 みんな、それを忘れておったのではあるまいか。」

「その通りじゃ。誰も名乗らなかった。」
「だが、姫様は、我らを皆、名で呼んでくださった。」
「姫様は、我らの名前をみんな知っておいでなのだ。」
「なんと、ありがたい。姫様は、我々家臣を、
 それほどに大切に思うておられるのじゃ。」
「ああ、姫様が、若であったなら、
 どれほどの名君になられたことだろう。」

道場の家臣たちは、感激に震えた。

その夜、城代家老東野九郎は、人払いをして、
信重に小声で伝えた。(姫が若であることを、殿の次に知らされた人物である。)

「姫様は、本日道場を見学され、35人の家臣一人一人に、
 剣術の助言をお与えになったそうです。
 その助言は、的をズバリと得ており、対策の方法も示され、
 家臣一同は、深く感動したようでございます。

 また、家臣らが名乗りを忘れたときも、その者の名を呼び、
 家臣らは、姫様は、自分たちの名前をすべてご存知と、
 痛く感激したそうでございます。」

「ほほう、うつけと呼ばれし姫がのう。
 爺、よう知らせてくれた。礼を申すぞ。
いずれにしても、それは、うれしい話である。
これで、家臣達の心を、姫は、つかんだことであろうの。」

「はい。皆、雪姫さまのためなら、命も惜しまぬと、
 こぞって、言うておりましたとか。
 姫様は、幼い頃よりよく道場を見に行き、家臣たちの名前を覚え、
 一人一人の長所、短所を見てご覧になっていたのでございます。」

「そうか。これまで姫のうつけ話ばかり聞かされてきたが、
 やっとよい話が聞けた。晩酌の折、奥にも伝えようぞ。
 奥の喜ぶ顔が、楽しみである。」
と、信重は、上機嫌であった。

「それから、もうひとつ。」と東野九郎は、殿に耳打ちした。
「なるほど、それは妙案じゃ。苦労をかけた雪姫に、褒美をやりたいと思うておった。
これから、前向きに奥とも相談してみようぞ。」

殿は、うんうんとうなずきながら、部屋を去っていった。




■次回予告■

次回は、ちょっとえちな、新作を書こうと思います。
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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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