緑川高校女子バスケットボール部の巻

「緑川高校女子バスケットボール部」の巻

緑川高校の男子部は、洋子によって、部員が運営する平和な運動部が出来た。
しかし、洋子を知らない女子部では、洋子に対しまだ見方がくずぶっていた。

女子バスケットの主将森下亮子の回りに3年の部員が集まっていた。
森下は言った。
「だいたい何なの、あの倉田洋子って1年。
 男バスに勝っていい気になってるようだけど、女子バスは、また違うんだからね。
 聞けばドリブルだけで逃げたっていうじゃない。
 シュートができないのよ。
 あたしたちに、シュートを見せてもらおうじゃないの。
 あたしたちは、シュートの緑川って言われてんだからね。
 全国2位、負けるもんですか。」

その日、部員の3年生一人が、1年の教室に来て、
洋子を呼んだ。
「今日、女子バスに来てくれない。上手なとこ見せてよ。」
そう言って、去って行った。

清水和夫と、浅田恵子がすぐ来た。
「目的は何だと思う。」洋子が聞いた。
「ただ、洋子が生意気だと思ってるだけよ。」と恵美。
「こてんぱんに、やっつければ、もう文句言ってこないよ。」
リーダーの冴子は言った。

放課後、洋子が体育館に来た。
いつもの制服姿だった。
観客は、和夫、恵美、冴子の3人。

主将の森下亮子が来た。
「倉田さん。今日はシュートを見せてくれない?
 男バスのときは、シュートしなかったっていうじゃない。
 今日は、思い切り入れていいわよ。
 ただし、あたし達のディフェンス破れたらの話だけど。
 あたしたちも、一応全日本2位だからね。」

「わかりました。じゃあ、いろんなシュートをすればいいんですか。」と洋子。
「できるならね。だた、ノーマークじゃないわよ。あたし達がいること忘れないで。」
「試合をするんですか。」と洋子。
「そうよ。そうしないと、実践の力わからないでしょう。」
「試合時間は?」
「なし。先に『まいった』した方が負け。」

キャプテン森下は、1、2年を、コートの外に体育座りで並ばせた。
正座させないところが、まだいい、と洋子は思った。
1、2年は言っていた。
「まいったを言うまでだって。」
「これ、バスケで洋子をいたぶろうってことじゃない。」
「嫌いだわ。こう言うの。」

「馬鹿だなあ。女子バス負けるに決まってるじゃない。」
男子の試合を見ていた恵美はそう言った。
「まあ、見ていようよ。」と冴子が行った。

女子バスは、自信満々だった。
疲れ果てて、床に両手をつく、洋子の姿を思い描いていた。

ジャンプボールは、身長189cmの藤崎が出てきた。
笛が鳴って、ボールが上がる。
洋子は、驚くようなハイジャンプをして、マイボールとした。
「うそ…。」藤崎は、目を白黒させた。
次の瞬間、洋子は、リングを背にしたまま、まさかの背面ロング・シュートをした。
無理無理と、部員は、ボールも見なかった。
だが、ボールは、綺麗なアーチを描いて、リングにすぽりと入った。

わあ!と1、2年が歓声をあげた。

5人は、度肝を抜かれた。
『まさか。』
『シュート苦手なんじゃないの?』
全員そう思った。

女子チーム、スローイン。
速攻で、1、2とロングパスをし、ハーフラインを越えた。
3へパスをして、フリースローゾーンに持ってきたが、
そのボールを、洋子が簡単に盗んで、そこからジャンピングシュート。
入って3点。

わあ~と1、2年が騒いだ。

ほぼエンドラインからのシュートだった。
女子バスケのだれも、思い切り投げても届かない距離だ。
5人は、顔面蒼白になった。

この時点で、5人は、自分達がとんでもないことをしてしまったと悟った。
(男バスが負けたことを、もっと考えるべきだった。)

エンドラインから、敵のスローイン。
ハーフラインを超えると、洋子が奪って、シュート。
3ポイントシュートがすべて入る。
これを何度もくり返し、洋子の点は、上がるばかりだった。

そのとき、体育館の扉が開いて、
ぞろぞろと、男子バスケットボール部が、1、2年を連れて全員来た。
「おい、何で言わねんだよ。けちくさいぜ。
 洋子が、今日はシュートするんだって?」
「俺ら、一目でも見てーよ。」
と言って、コートの女子の1、2年の向かいのサイド・ラインを占領した。

(じゃあ、いいとこ見せちゃおうかな。)洋子は思った。
洋子は、後方で、ボールを盗むと、ドリブルをして、
コートのハーフラインから、1、2、ジャンプで大きく飛び、
ダンクシュートを決めた。
ハーフラインからである!

「うへーーー!」と男子たちが、歓声をあげた。
「ハーフ・・ラインからだったぜ。」
「おお、ジョーダン並みだよ。」と男子。

『シュートができないなんて、とんでもないじゃない。』
4人は、一様に森下を見た。

また、パスが、洋子に取られた。
洋子は、猛烈にドリブルをして、1、2、ジャンプ。
ボールを一度ボードに当てて、弾んだボールを、リングに叩きつけた。
「わあ、あれ、アメリカの黒人選手がやるやつ!」
1、2年は興奮した。
男子も大喜び。

次、洋子は、ジャンプして、脚の下をくぐらせて、シュートした。
「わあ、あれも、NBAで見た。すごい、もっとみたい。」
観衆は、熱狂した。

洋子は次に、驚くべき技。
1、2、ジャンプで、後ろを向き、バック・ダンク・シュートを見せた。
「うおーーーー!」と男子は、興奮して、立ち上がった。
「信じられねえ。」
「すご過ぎる。」
1、2年の部員も、総立ちになっていた。
すっかり洋子に魅了され、観衆全員が、洋子を味方しているようであった。

その後も、洋子は、嫌というほど荒業を見せて、
それから、パスをカットしての3点シュートに移った。
3年チームが動けば動くほど、洋子に点を取られるだけだった。

洋子のロング・シュートは驚くことに、すべて、ボードもリングにも触らずに、
ネットにスポッと入る。

5人は、どうしようもない。
どんなパスを出しても、奪われ、その場で3点シュート。
ドリブルすれば、即座にボールを奪われ、3点シュート。
それが、全部入る。1本のミスもない。

『洋子はシュートができないなんて、とんでもない。世界ランク並だ。』
みんなが思った。

時間は、まだ、5分も経っていない。
だが、得点は、150対0だ。
2秒に1回のペース。

洋子から、到底ボールを奪えそうになかった。
男バスが5人で、20分かけて、ボールに触りも出来なかったことを思うべきだった。
自分達に、得点が入らない試合というのは、疲れる。
5人は、焦りと惨めさで、どうしようもない気持ちでいた。
体は少しも疲れていない。
デフェンスをしても、洋子の動きが速くて見えず、何も反応できないからだ。

5人は、ゾーンデフェンスを組んだ。
しかし、それは、洋子には全く無意味だった。
ゾーンの外から、軽々と3点シュートをいくらでも打たれるからだ。

得点を取られ、エンドラインからのスローインし、
1パス、2パスをどこへ投げても、洋子にカットされ、
そこから、ロング・シュートを打たれる。

わずか10分で、得点は、350対0になった。

5人にとっては、絶望の点差である。
0点というのが、決定的な屈辱である。
相手は1人なのだ。

森下は、試合を時間制にしなかったことを後悔した。
体は、全く消耗していない。
それでいて、「まいった」をすることは、許されない。
泣きたい気持ちだった。
心ではとっくに泣いていた。
多分、後の4人もそうだろうと思った。
森下は、4人を巻き添えにしたことを深く後悔した。

大きな敗北感と無力感に襲われながら、
この実力差で、試合を続けるのは、拷問の様だった。
全国2位のブライドは、もうとっくに粉々になっていた。

男子が負けたことから、少し考えれば、洋子の実力がわかったのに。
洋子に対し、もっと謙虚に、シュートを見せてくれるように、頼むべきだった。

いつ終われば、いいのだ。
考えている間に、得点は、400対0になった。

そこに助け舟が入った。
男子主将の山口が声をかけた。
「ストップ、ストップだ。」
そう言って森下のところへ来た。
「いつ止めることになってるんだ。」と山口。
「どちらかが、まいったをするまで。」森下。
「じゃあ、なんで早くまいったをしない。」山口。
「体は、元気だから。」

「点数を見てみろ。このまま意地を張れば、
 1000点、10000点まで取られるぞ。
 洋子のスタミナははんぱじゃねえぞ。
 俺達の5倍動いて、汗1つかいていなかった。
 お前らが、まいったをしなければ、夜中まで平気で戦う相手だぞ。
 20000万点取られて、朝を迎えたいか。」

「ううん。」と森下は、涙を流して、頭を横に振った。
 俺にまかせるか。」
「うん、お願い。」森下は、涙を拭いた。

山口は、
「おーい、男子も5人足して、10対1だ。
 それで、洋子が1000点行くか、俺達が1本でも決めたときが終わりだ。」
おーーーーと言って、男子のレギュラーが来た。
1、2年は大喜びだった。

前代未聞の10対1が始まった。
しかし、洋子は強い。
ボールを持つと、風のようにデフェンスを抜けて、シュートを決める。
ロングパスを出すと、必ず空中でカットされ、そのままロングシュートを決める。
だが、7分後に、奇跡的に、男子がロングシュートを決めて、2点取った。
そのとき、洋子は、870点だった。

試合は終わった。

女子5人を座らせ、対面に洋子が座り、
山口と男バスのレギュラーが間に入った。

「で、森下達は、男バスを破った洋子が、いい気になっているとでも思ったのか。」と山口。
「うん。なんとなくだけど。」森下。
「ドリブルだけで、俺達をたおした洋子は、シュートができないとでも思ったのか。」
「うん。」森下。
「それは、俺達男バスに対してあんまりじゃねーか。
 たった1人で、俺ら5人を床に這わせるほどのドリブルがどんだけのもんだったか、
 ちょっと想像して見ろよ。洋子のドリブルは、速くて見えねんだよ。
 それほどの洋子が、シュートをできねえわけがねーだろうよ。

 ある顧問の先生に40発のビンタをされて、その日に自殺した倉田健二。
 高校サッカー界、No.1の天才と謳われた倉田健二。
 洋子が、健二の妹だってこと知らなかったのか。」

「え?」と森下は、洋子の顔を見た。
あとの4人も驚いて洋子を見た。

「洋子は、だから、暴力を憎み、暴力のない運動部にしようと、
 それこそ命がけでやってきたんだよ。
 剣道の顧問の先生との試合なんか、下手すると命はなかったんだ。
 そうやって、俺ら男子の暴力顧問の先生達を反省させてくれたのが洋子なんだ。
 部員の自主でやれるようになって、俺ら、どれだけやる気になれたか。
 それも、全部、洋子一人のおかげなんだ。
 それだけの気高い精神をもった洋子が、いい気になったり得意がったりすると思うか?!」

それを聞いて、森下達5人は涙を流した。
「そうだったんだ。倉田さん、ごめんなさい。
 何にも知らないで、あなたのこと、こてんぱんにやつけようと思ったの。
 思い込みで、あなたのこと生意気だと思ってた。
 ごめんなさい。
 あたしは、自分のしたことがはずかしい。
 あなたが、強かったからよかったけど、
 あなたが、弱かったら、あたし達のしたこと、『暴力』そのものだった。
 あなたが、死ぬほど憎んでいる暴力を、あたし達やろうとした。
 ごめんなさい。ごめんなさい。」
そう言って、森下は、号泣した。
あとの4人も、声を上げて泣いた。

「洋子、もう怒ってないか?」と山口が言った。
「はじめから、怒っていません。」洋子は言った。
「森下、洋子は、怒ってないって。
 じゃあ、形だけだけど、握手でもするか。」
山口は、そう言って、森下の手を取って、洋子と握らせた。
「ほんとに、ごめんなさい。」と森下は洋子の手を両手でつかんだ。
「気にしないでください。」と洋子が言った。

1、2年生が、拍手をした。

山口のおかげで、一同解散した。
「それにしても、洋子は、すげーなあ。」と斉藤が言った。
「なんで、あれだけできるんだ。」と吉井が言った。
「兄がどこかで、応援してくれてるみたいです。」と洋子。
「サッカーが出来るのなら、納得。ほかのもできるだろう。ほんと不思議だ。」と斉藤が言った。
「では。ありがとうございました。」
と言って、洋子はわかれた。

3人が待っていてくれた。
「洋子、ハッピーエンドでよかったね。」と和也が言った。
「それにしても、洋子はすごいなあ。」と冴子。
「今日も、お疲れの洋子に、アイスクリームみんなでおごってあげるからね。」と恵美。
「試合の度に、アイスが食べられて、あたし、うれしい。」
と洋子がいい、みんなで笑った。

夕暮れのさわやかな風が吹いていた。


<おわり>

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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
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