良夫と礼子のスワップ⑤「スワップ解除!」

1ヶ月がたった。

良夫の料理の腕は、格段に上がった。
中華鍋を、片手で軽々ともてるようになり、
2つの中華鍋を、同時に使えるようにもなった。

熱心な研究の末、毎日ちがった料理を作り、
家族みんなを喜ばせた。
「お兄ちゃん、すっかり勘を取り戻したね。」
と由紀に言われた。
「そう?だったらうれしい。」
と良夫は言った。

夜、健太と五郎に絵本を読んでやることも楽しみの1つになった。
「ねえ、お兄ちゃん。今日も読んでくれる?」と小学1年生の健太が言う。
「うん、いいよ。」と答える。
「やったあ!」と健太が喜ぶ。
そういう健太が、つくづく可愛いと思う。

健太と五郎が布団を並べている部屋で、
下の健太の布団に入り、本を読む。
本を終わりまで聞かないうちに、健太は寝てしまう。
『自分が読むことで、健太を寝かせることが出来る。』
これは、良夫の大きな喜びだった。

幸せな顔で寝ている健太を見ると、可愛くてたまらなくなる。
健太が寝ると、4年生の五郎は、
「あとは、ぼくが一人で読むから、お兄ちゃんはいいよ。」
と言う。
やさしい子だなと、いつも思う。

良夫は、自分の部屋のベッドで布団から、腕を出して思った。
「家事は大変だけど、なんて幸せなことだろう。
 それは、きっとこの家の子達が、いい子で可愛いからだ。
 いや、こうして一つ屋根の下でいっしょに暮らすと、みんな可愛く思えるのかな。」
良夫は、そうも思った。

ここは礼子の家。
夕食前の厨房には、いつも3人の姿が見られるようになった。
竹中と遠藤と礼子。
礼子は、白いコック用の姿で、竹中の隣で、料理をしている。
今では、すっかり、竹中の片腕だった。
礼子は、たくさんの本格料理を習った。
「お嬢様は、お教えすると、1回で覚えてしまわれますね。」と竹中が言った。
「そうでもないわ。教わったこと、後でメモして、何度もくり返すのよ。」と礼子。
「わあ、その熱心さがあれば、すぐ一人立ちできますよ。」と竹中。
遠藤が、
「お嬢様が、将来、ママになられたら、ご家庭のみなさんは、お幸せですね。」
と言った。
「ママになるのは、お二人の方が先じゃありませんか?」
と礼子が言ったので、三人で笑った。

食事は、5人固まって食べた方がずっと楽しい。
それが、竹中の火傷のときにわかり、
その後、ずっと5人でいっしょに食べている。
礼子が、明るい話題を振りまき、毎日楽しい食事になった。


<スワップから3ヵ月後 スワップ解除の夜>

――以後、良夫は良夫、礼子は礼子と記述します――

良夫と礼子は、同じ夢を見た。

良夫の耳に、近くからのような、遠くからのような、不思議な女性の声がした。

「良夫さん。あなたは、持ち前の性格で、この家の人々を幸せにしました。
 どうでしたか?」
「毎日が幸せでした。みんないい人で、楽しかったです。
 そして、ぼくは、とっても美人な女の子として過ごせて、最高でした。」
「それは、よかったですね。でも、明日から、もとの良夫に戻りますよ。」

「え、この家の人にお別れもなしにですか?」
「そうです。明日は、本物の礼子がいるのだから、お別れは、変でしょう。」
「そう言えば、そうですね。」
「二人が、スイッチして元に戻っても、二人のこの3ヶ月の記憶は共有されます。
 あなたは、ここで過ごした3ヶ月の記憶と、礼子のあなたの家での3ヶ月の記憶の
 両方を持てます。さもないと、不都合が起きるでしょう。
 記憶だけでなく、覚えた技能も共有されます。」

「ああ、よかった。それは、ありがたいです。」
「最後に、がんばったあなたに、1つだけ願いを叶えてあげます。
 何がいいですか。」
「うーーん。思い浮かびません。ぼくは、けっこう満ち足りています。
 あ、もっとお料理の知識が欲しいです。」
「それは、努力によって得られるものです。
 何か、普通では不可能な望みはありませんか。」

「じゃあ、もっとモテるようになるとかはどうでしょう。」
「大勢の女の子から、モテる必要はありませんね。
 ステキな女の子一人からモテれば十分でしょう。
 そのあなたの願いは、すでに叶っていますよ。」

良夫は、礼子のことを思って、顔を赤くした。

「あなたは、女の子になりたいのではありませんか。」
「なりたいです。でも、ぼくの家族に対しては、ぼくは、みんなの知っているぼくがいいです。」

「わかりました。あなたは、欲のない人ですね。
 じゃあ、こんなものをプレゼントしましょう。
 『女の子になれる夢』です。夢と言っても、現実と見分けがつかないくらいリアルな世界です。
 夢だから、どんな女の子にでもなれるし、いつでも覚めることができます。
 夢を見たくない日は、見たくないと思えば、見ません。」
「わあ、すごいですね。それ、一生の能力ですか。」
「はい。一生です。」
「じゃあ、その『女の子になれる夢』がいいです。」
「わかりました。明日の朝、あなたは、元の家で目が覚めます。
 では、さようなら。」

一方、礼子も夢を見ていた。
「礼子さん、よくがんばりましたね。
 大変な努力をしました。

 今日で、二人のスイッチは終わりです。
 明日の朝、あなたは、礼子としてあなたのお家で目覚めます。
 3ヶ月の記憶は、良夫さんと共有できます。
 そして、料理などの技能も共有されます。

「うれしいです。でも、この家の人たちとお別れになるのですね。
 それは、悲しいです。」
「良夫さんのガールフレンドとして、遊びにくればどうですか。」
「ああ、そうですね。」
「がんばったあなたに、1つプレゼントをします。何がいいですか。」
「良夫さんのように、やさしく、賢い娘になりたいです。」
「その願いは、もう叶っていますよ。今のあなたは、やさしさに満ちています。
 そして、十分に賢いのです。よいことに発揮すればいいのです。
 これも、すでに願いが叶っていますね。」
「料理の知識が欲しいです。」
「それは、努力で得られるものです。
 もっと、努力しても叶わない願いはありませんか。」

礼子は、考えた。そうか、と思った。
「それならば、あたしにも、優しい妹と、可愛い弟が2人欲しいです。」
「いい願いです。では、その願いを叶えましょう。
 あなたが、明日起きたら、3人のご兄弟がいます。
 お父様やお母様は、その3人が生まれたときからいるように思います。
 お手伝いの2人も、3人が始めからいたように思います。
 礼子さんも、3人の生まれたときからの記憶を持ちます。」
「わあ、うれしいです。」
「では、明日の朝を楽しみに。」
そこで、声は消えた。



良太は目覚めた。
ここは、あ、我が家だ。
礼子の家との別れは悲しいが、やっぱり我が家はいい。
急いで、着替えて、下に降りていった。
洗面所をみんなが競い合っている。
「由紀、五郎、健太、おはよう!」と言った。
「わあ、お兄ちゃん、おはよう!とみんなが言う。
『ああ、いるいる、みんないる。』

母の敏子が、朝ご飯を作っている。
「おかあさん、いいよ。ぼくがやるから。」
と良夫は、母とフライパンを代わった。
『今日は、竹中さんにならった、洋風オムレツにしようかな。』
玉子5つ分をかき混ぜ、塩少々。
平たいフライパンに注ぎ、
手首をトントンと叩くようにして、ふんわりしたオムレツを形作る。
「わあ、お兄ちゃん、カッコイイ。それ、洋風オムレツじゃない。」
とそばに由紀が来ていて言った。
「うん、中、ふかふかだよ。」と良夫。
「後で教えてね。」と由紀が言う。

みんな、テーブルに着いて、
「わあ~!」と言った。
「玉子焼きじゃないね。これがオムレツ?」と五郎が言った。
「うん。ちょっと感じがちがうよ。」と良夫。
みんなで、おいしい、おいしいと言って食べた。

食べながら、良夫は、鼻をちょっとかいた。
由紀は見ていた。
『あ、お兄ちゃんが帰ってきた。』
じゃあ、お兄ちゃんだった女の子も、帰って行ったんだなと由紀は思った。
いつか会いたいな。



礼子は目を覚ました。
「あ、家に戻ってる。」
良夫の家族と別れたのは悲しいが、やっぱり我が家はいい。
『そうだ。ほんとに兄弟がいるのだろうか。』
礼子は、急いで洗面をして、学校の制服を着て、下に降りて行った。
ダイニングに来た。
みんな先に来ている。

「いる!三人がいる!名前もわかる。
 由紀じゃなくて、美紀。五郎じゃなくて、四郎。
 健太じゃなくて、悠太。みんな、似ているけど違う。」
悠太が、椅子から降りて、礼子に飛びついてきた。
「お姉ちゃーん!」
「悠太、おはよう!」
「今日も、絵本読んでくれるの?」と悠太が言う。
「うん、読んであげるよ。いい子にしてたらね。」
「うん、いい子にしてるよ。」と悠太。

礼子の胸はわくわくしてきた。
「お父様、お母様、おはようございます。」と言った。
父も母も、にこにこしていた。

食事を運びに来た、竹中と遠藤に、
「おはようございます!」と行った。
「あ、お嬢様。おはようございます。」
と竹中と遠藤もにっこりと言った。

竹中も遠藤も、朝食はみんないっしょだ。
みんなで8人!
『わあ~!にぎやかでうれしい。』
礼子の胸は喜びにあふれた。

どの人の顔もみんな笑顔だった。

*    *    *

朝、教室に入ると、良夫がいたので、
礼子は、良夫の袖をひっぱり、廊下の隅に行った。
「ね。良夫は、何を願ったの?」
「ぼく?ぼくは、好きな夢を見られるようになった。」
(女の子になる夢とは、言えなかった。)
「礼子は?」
「それが、すごい願いなの。なんと、妹一人と弟二人が欲しいって願ったの。」
「かなったの?!」
「かなったの!それが、美紀、四郎、悠太。
 ね、そっくりでしょう。」
「うんうん。今度遊びに行って、会いたい。」
「あたしも、良夫の家で、みんなに会いたい。」

クラスの大勢が、廊下に顔を出して、廊下の隅で盛り上がっている二人を見ていた。
「良夫とマドンナ。わからねえ。どうしてなんだ。」
「俺達もがんばれば、なんとかなるってことかな。」
「なんとか、ならねえ奴がほとんどだろうよ。」
「そんなこと言うな。」
そう話している数人を、女子達が笑っていた。


つづく

■次回予告■

最終回です。
二人は、それぞれの家に招いて、家族に紹介します。
みんなは、どんな反応をするでしょうか。

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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
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