良夫と礼子のスワップ④「礼子の采配」

クラスの連中が不思議に思うことがあった。
この頃、良太と礼子の仲がいいのだ。

良太は、学校で暇さえあれば、料理の本を見ている。
そして、しょっちゅう礼子のところへ聞きにいく。
礼子は、少しも嫌がらず、良夫に丁寧に教えている。

二人は、料理という趣味で結ばれた仲間なのかとも思えた。
しかし、昼休みなど、校庭の木の下で、
二人で仲良く話していて、ときどき大笑いをしていたりする。

クラスの男子は、言動がしっかりしていて、勉強もできる良夫を認めていて、
蔑むものなど1人もいなかった。
しかし、同時に、良夫を、モテる奴だと認める者もいなかった。

とくに、最近、性格がよくなってきた礼子は、
表情まで明るくなり、マドンナとして男達の評価は高まる一方だった。

その礼子と良夫の組み合わせが、皆には、不思議でならなかったのである。
度胸がなく、礼子のそばにも寄れない男子も多くいた。
だから、教室で、まっすぐ礼子に教えてもらいに行った良夫に、
皆は、目を見張ったのだった。

校庭の木の下で、良夫と礼子は、毎日の出来事を、情報交換していた。
誰か、そばで聞いているといけないので、
良夫は男言葉、礼子は女言葉を守っていた。

良夫:この頃、寝る前、五郎と健太に絵本の読み聞かせしてるんだ。
礼子:わあお、良夫すごい。あたしもやれないできたのに。
良夫:それがね、読みながら、ぼくが先に寝ちゃったりするの。
礼子:あはは。自分の当番の日は、けっこう辛いわよね。
良夫:礼子の方はどうなの。
礼子:ちゃんとうまくやってるよ。みんな誉めてくれる。
良夫:だろうな。礼子のように、性格よくなりたい。
礼子:良夫がんばってるじゃない。良夫が料理の本読んでいるとうれしい。
良夫:うん。みんなが、おいしいって言ってくれると、本当にうれしいから。

陰で聞いていた同じクラスのA男は、発見した。
二人は、「良夫、礼子」と呼び捨てで呼び合っている。
これは、大変なことだ。

ひえ~~~~とA男は、みんなに知らせようと走って行った。



1週間が経った。

礼子は、料理に興味があるので、
竹中と遠藤が夕食を作るのを毎日のように見に行った。
そして、メモを取った。

「お嬢様、お料理のお勉強、熱心ですね。」
竹中が言った。
「ええ、竹中さんのように、おいしいお料理が作れる人になりたくて。」
と礼子は言った。

「このソースわかりますか?」
と竹中が、お醤油のようなソースを小皿に取って礼子に渡した。
礼子は、それを指につけて、味見をし、
「わあ、複雑な味。おいしい。
 多分、お醤油にニンニクを漬けて、それにレモン汁が少し入っていますか?」
と礼子は言った。
「わあ、お嬢様、すごい。そこまで当てるなんて。」
と竹中。
「でも、それだけじゃない。もう一つ隠し味に何か。」
と礼子は言った。
竹中は、にこりとした。
「かすかに甘いの。お砂糖より風味があるもの。ほんの少しだけど、黒砂糖?」
「わあ、お嬢様すごい!その通りです。お嬢様、いいコックになれます。」
竹中は、拍手し、横にいた遠藤は、飛びあがって喜んだ。
このところ、遠藤は、すっかり礼子のファンになっていた。



その次の日、礼子は、厨房に行くのが、少し遅れた。
厨房のそばに来ると、
「キャー。」と言う、竹中の声が聞こえた。
急いで厨房に駆けつけると、
竹中が、右肩から右腕に油を浴びて床にいた。
竹中は痛みに声も出ない様子だった。

遠藤が、竹中の作業服を脱がそうとしていた。
「遠藤さん。服をぬがせないで。」
礼子は言った。
「竹中さん、何かにすべったんです。
 そして、熱い中華鍋の油を浴びたんです。」
遠藤が説明した。
父と母も見に来た。

大やけどは、弟の五郎のときに経験していた。
礼子は、竹中を横に抱き上げ、風呂場に行った。
そして、浴槽のそばに、竹中を座らせ、
まだ空である浴槽の中に、竹中の肩と腕を入れ、
冷水のシャワーを強にして、肩から腕にかけた。

「ああ、水を浴びてると痛くないです。」
と竹中は言った。
見に来ているみんなに、礼子は、
「お母様、救急車を呼んでください。
 遠藤さんは、竹中さんの着替えと、
 健康保険証の入っていそうなバッグを探してください。」
「はい。」と言って、母と遠藤は飛んで行った。

やがて、救急車の人たちが来た。
二人が竹中をタンカに乗せて、一人が冷却用のキャタビラで竹中の患部を包んで、
風呂場から、外に出した。
「お母様と遠藤さんは、付き添いを。
 お父様は、お留守番を。
 あたしは、厨房を整えます。」
礼子は言った。
それから、礼子は遠藤に、病院を出るときに、電話をくれるように頼んだ。

救急車の中で、隊員の一人が、言った。
「見事な応急処置です。
 すぐに冷やすことが、第一なのです。
 流し水がベストです。
 肩を冷やすのに、浴槽でシャワーを使うなど、
 我々でもなかなか思いつきません。
 それに、油の火傷のときは、服と皮膚が接着している場合がありますので、
 服を脱がすと、皮膚がはがれてしまうことがあります。
 服を脱がさないことが、正解です。
 一体どなたの采配ですか。」

母の早苗は、少し照れながら、
「娘です。」
と言った。
「そうですか。それは、素晴らしいお嬢様です。」
と隊員は言った。

竹中と遠藤は、あのときの礼子の行動が目に焼きついていた。
礼子が、あれほど頼もしく、そして、ステキに見えたことはなかった。
とくに、竹中にとっては、礼子が救いの天使のように思えていた。

礼子は、みんなが戻ってくる間に、
キッチンペーパーで、床の油を完璧に拭き取り、
竹中の作ろうとしていたものを、下ごしらえを見て考えた。
『若鶏の竜田揚げ・オニオン甘辛あんかけソース。』そう見た。
厨房にあるコック服を着て、白い帽子をかぶった。

父に言った。
「みなさんが帰ってきましたら、竹中さんはあの状態ですから、
 遠藤さんとお二人、私達といっしょに、ここで夕食をいただいては、どうでしょうか。
 あたしが、お料理の続きをやってみたく思います。」
「礼子がお料理を。礼子のいう通り、5人かたまって食べよう。」
父は礼子を頼もしく思った。

礼子は、スープを作り、サラダを作り、あっさりしたチャーハンを一人少量作り、
オニオンソースを作った。
前に見せてもらった、ニンニク醤油のソースに酢をまぜ、
微塵切りにしたオニオンを混ぜ、砂糖を加え、火を入れて、
片栗粉少々をいれ甘酢あんかけにした。

病院から、今から出るという遠藤の連絡があった。
礼子は、時間を計算に入れ、みんなが帰ってきたときに、
ジャストタイムで、竜田揚げを仕上げた。
竹中のために、1つの皿は、包丁を入れて、すべて一口サイズにした。
テーブル・セッティングはされていた。

父と礼子で、3人を玄関で出迎えた。
竹中は、三角巾で、右手を釣っていた。
竹中を二人でねぎらった。

「礼子が、竹中さんのお料理を完成させて、
 今日は、5人固まって食べようと言うんだ。
 それも、いいと思わないか。」と父の雄三は言った。
「賛成です。」と早苗が言った。
わあ、と竹中と遠藤は喜んだ。

雄三の左に、竹中と遠藤が並び、
早苗のとなりが礼子の席。

ワゴンに乗せた料理を配る。
サラダとスープが配られ、次にチャーハン、そして、竜田揚げが配られた。
竹中は、料理を見て、
「まあ、お嬢様。竜田揚げだとお分かりになったのですか。」と言った。
「ええ、あたし、竹中さんのお料理の弟子ですから。」と礼子は、にこっと笑った。

竹中の前に竜田揚げが置かれたとき、
竹中はそれを見て感激した。
すべて左手だけで食べられるように、一口サイズになっている。
「まあ、お嬢様。」と言って、竹中は、思わず涙を浮かべた。

「どうしたの?」と早苗に聞かれた。
「お嬢様は、あたしのために、あたしのだけ、小さく切ってくださっているんです。」
竹中は、言った。
「おお。」と雄三はうれしそうな顔をして、
「そこまでの心遣い。今日の礼子は、100点満点だね。」と言った。
「わたしは、300点ぐらいあげたいです。」と早苗は言って、
救急車の人に誉められた、礼子の素晴らしい応急処置のことを話した。
雄三は、さらに喜び、
「それは、300点だね。」と言った。

礼子は言った。
「また、300点いただくために、明日から、竹中さんの腕がよくなるまで、
 竹中さんにそばにいていただいて、あたしが、竹中さんの腕となって、
 お料理を作らせていただきます。
 そして、その間は、ずっとこうして、5人固まって、お料理をいただきませんか。」

「それは、いい。そうしよう。」
と雄三が言って、みんなが拍手をした。

お料理を口にしたみんなは、一様に、「おいしい!」と言った。
「お嬢様、あのニンニク醤油漬けをお使いになりましたね。」と竹中。
「はい、おいしさの秘訣は、全部あたしの先生によるものです。」
と礼子はみんなに言った。
「いえいえ、揚げ方といい、甘辛ソースの配合といい、もう、教えることがありません。」
と、竹中が言ったので、礼子はうれしかった。
みんなの顔はにこにこして、幸せいっぱいな気持ちだった。


つづく

■次回予告■

二人のスワップが解除になります。
そのときに1つの願いが叶います。

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No title

新しいサイトにおぢゃましますぅ♪
FC2ゎ飴侮露と違い規制がほとんどないよぉなので、文字を変えたりしなくてもいいし、何良いも記事を消されたりしないからいいと思いますよ。

これからもラックさんの熱烈なファンでいさせてください。

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Re: No title

>junさん。

早速来てくださって、うれしいです。
なんか思い切りえちなこと書きたいときは、こっちに書くのがよさそうですね。
まだ、このブログの使い方がわからなくて、いろいろ失礼するかもしれません。
そのときは、お許しくださいね。

これで、ブログを消去される恐怖から逃れられました。
ほっと一安心です。

Re: No title

>junさん

お手数をおかけしました。
いただきました。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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