2つの恋の物語③「みんなが結ばれる」最終回

今日で最終回です。こういう小品を前から書きたいと思っていました。
自分としては、満足に思っています。読んでくださるとうれしいです。

============================

昼前の二人と、昼後の二人は、まるでちがっていた。
二人で、カムアウトするまでどんなに悩んだか。
今になっては、笑い話みたいに話した。

乗り物にも乗ったが、二人で話している方が楽しかった。
家事の苦労なんかも話した。
料理の話なんかも、楽しくて花が咲いた。
「じゃあ、もしかすると、涼には、お父さんがいないの?」
「うん。俺が小さい時、病気で死んじゃった。」
「あたしは、お母さんがいないの。
 涼と同じ。あたしが小さい時死んじゃった。」

「ね。彩花のお父さんと、俺の母さんと、恋人どうしにならないかな。」
と涼は言った。
「そうね。あたしたちGID同士が出会えたんだもの、奇跡ってあるものね。」
「彩花のお父さん、何歳?」
「42歳。」
「俺の母さんは、38歳。」
「お似合いね。」
「母さん38歳だけど、若く見えて美人だよ。」
「家の父さんは、背は中くらい。カッコイイっていうより、やさしいよ。」

「ね、今度、二人を会わせる計画立てよう。」
「うん。ダメ元よね。何が起きるかわからないもの。」
二人は、手をがっちり握って、ガッツポーズをした。

二人は、1つ計画を練った。



二人は、お互いがGIDだったことを親に知らせたくて、
早めに解散した。

彩花は、駅を出ると、働いている花屋によって、
佳子と五郎に、デートのことを話した。
「まあ、そんなことがあるの。彩花ちゃん、よかったね。
 きっと運命の女神が微笑んでくれたのよ。」
と佳子は言って、彩花を抱き締めてくれた。

彩花の父孝雄は言った。
「え?それドラマみたいじゃない。」
「うん、奇跡だと思ってる。夢にも思わなかった。」

涼の家でも、同じ会話があった。
「そんな夢みたいなことが、あるのね。」と衿子。
「うん。お互いGIDだってわかってから、話がはずんじゃって、
 乗り物なんか、ほとんど乗らなかった。」
「そうよねえ。涼の苦労を全部わかってくれる女の子だもんね。」
「それに、俺、劣等感を感じないで友達でいられる。」
涼は言った。



二人は、計画を実行した。
まずは、涼から。
「お母さん。次の金曜日、彩花とお父さん、夕食に招待していい?
 彩花は、お母さんがいないの。お父さんと二人暮らし。
 彩花のお父さんは、俺やお母さんに会いたいだろうし、
 お母さんだって、彩花やお父さんに会いたいでしょう。」
「うん。いいわね。金曜日なら、少し早く帰れる。」

こうして、金曜日の夕食会は、成立した。
彩花と涼のマンションは、近かった。
時間は、6時にした。
親二人は、仕事が終わって一目さんに帰ってきた。

彩花は、花屋さんを早退し、
料理を、涼と二人で作った。
アルコールの好みもわかっている。
用意ができたとき、彩花はいったん家に帰った。

6時にピンポーンと鳴った。
涼は飛んで行った。
衿子も玄関に来た。
彩花は、涼のお母さんをはじめてみた。
『わあ~、美人。』と思った。
涼も、彩花のお父さんを見て、『やさしそう。』と思った。

会は盛り上がった。
お互い、親一人、子一人で生活してきた苦労話などし、
たくさん共通点があって、いくらでも、話したいことがあった。

途中、涼が彩花に、「部屋を見においでよ。」と誘った。
彩花は「うん。」と言い、テーブルは大人だけになった。

涼の部屋で、
「どう?二人、気が合ってるかな?」と涼が言った。
「うん、父さん、かなりうれしそうだったよ。」
「母さんも、あんなに生き生きしてるの初めて見た。」

夕食会をお開きにしたのは、10時だった。
4時間もお話をした。
これは、大成功だったことを意味した。

その1週間後に、今度は、彩花の家で夕食会をもった。
このときも、10時まで話し、終わるのが惜しい思いでさよならをした。

それから、3日後のこと。
「彩花。俺、今日ちょっと会いたい人がいるから、
 夕食、俺の分いいから。ピザでも解凍して焼いて食べてよ。」
と孝雄がいう。
孝雄が、夜、家で食べなかったことなど、今までめったになかった。

「うん。安心して。あたし、楽にしてるから。」と彩花は言った。

その日の仕事が終わると、彩花は、涼にすぐメールを送った。
『父さん、今日遅いって言ってるんだけど、
 そちらはどう?』
涼から。
『家の母さんも遅くなるから、夕食はいらないって。』
『もしかして、もしかしてだね。』と彩花。
『かなり、もしかしてだよ。うひひ。』と涼から。
『今日、家に来ない?いっしょにピザ食べよう。』
『やったー!すぐ行く。』



孝雄が、彩花に、「父さんは、今夜遅いから、夕食いらないよ。」という日が、
週に1回になり、それが、週に2回になった。
その度に、彩花は、涼にメールを打つ。
すると、涼のお母さんも、遅くなるのだった。

二人で、これは間違いないという結論に達した。
彩花の家にピザを食べに来ている涼は、
「もう間違いないね。」と言った。
「うん。」と彩花は、うれしそうに応えた。

二人は、ソファーに移ってならんだ。
彩花は、
「二人はデートしている。大人のデート。お酒飲んでる。ステキだな。」と言った。
「きっとそうだね。」と涼は言った。
「こんなにうまく行くとは思わなかったね。」と彩花は言った。
「ほんと、絵に書いたようにうまくいったね。」と涼。

涼は、彩花を見て、まじめな顔をした。
「俺たちも、このくらいしても、よくない?」
彩花は、その意味がわかった。
「うん。」そう言って、目を閉じた。
唇に、涼の唇を感じた。

「やった。ファーストキス。」と彩花は言った。
「俺も、ファーストキス。」と涼は言って笑った。
二人は、まだ若く、セッ・クスまでは、考えなかった。



それから、3週間ほどたった日。
「彩花、今日俺と彩花と、涼君とお母さんの4人で、ちょっといいレストランで、
 ごいっしょしようということになったんだ。
 もちろん行くだろ。」
と彩花の父は言った。
「わあ、ちょっといいレストランなの。うれしい。」
と彩花は言った。

そこはホテルの展望階のレストランだった。
彩花は、めいっぱいおしゃれをしていった。

涼とお母さんはもう来ていた。
お母さんは、セミフォーマルな服を着ていて、
すばらしく綺麗だった。

涼とお母さんは面と向かっていたので、
涼のとなりに彩花が、衿子の隣に孝雄が座った。

彩花も涼も、何かあるねと期待していた。

食事を頼み、前菜も着て、乾杯の時が来た。

乾杯の前に、彩花の父孝雄が言った。
「えーと、涼君、彩花に承諾をもらわなくちゃいけないんだけど、
 俺は、隣にいる涼君のお母さんと、結婚したいと思ってる。
 涼君と彩花が、いいって言ってくれたら、決定なんだ。
 二人とも、いいかな?」

彩花と涼は顔を見合わせ、笑った。
涼が言った。
「いいも悪いも、彩花と俺で、そうなるように、
 作戦立ててきたことなんだよ。今ぼくは、やったー!って言う気持ち。
 彩花もそうだよね。」
「うん。それを、願ってたの。涼君のお母さんすごく素敵だし、
 家族になれたら、うれしいなあって、ずっと思ってたの。」
「よって、俺達は、承諾します。」と涼が言った。

「ありがとう。」と涼の母と、彩花の父は、うれしそうに言った。
そして、みんなで、乾杯した。

料理を食べながら、涼のお母さんが言った。
「それでね。あたしは、今のお仕事を在宅でやることにしたの。
 そうしたら、ある程度家事ができるから、二人には時間ができると思うの。
 そこで、提案なんだけど、彩花ちゃんは、高校に行ったらどうかと思うの。
 涼のいっている学校は、LGBTIの生徒にすごく理解のある学校で、
 クラスの4分の1くらいの子は、そういう子なんだって。
 彩花ちゃんは、中学のとき勉強ができたって聞いてるし、どうかしら。」

「そんな学校あるの?」と彩花は涼に聞いた。
「うん。おれのクラスは、GIDの生徒が3人もいる。
 彩花は、中学で辛い思いしたと思うけど、
 俺の学校来たら、考え変わるよ。大学みたいに広いし、
 意地悪な奴なんか、一人もいない。絶対いいよ。」

「うん。わかった。一度見学に行ってみようかな。」と彩花。
「うん。絶対気に入るよ。」と涼。

「でもさ。お父さん達結婚したら、涼とあたし兄弟になるのよね。
 兄弟で結婚できるの?」と彩花。
「ほんとだ。どうなんだろう。」と涼が言った。

「そんなこと、どうにでもなるから、心配しないでいいよ。
 まだ、先のことだろう。」
と孝雄が言った。

孝雄が言った。
「衿子さんと俺が結婚したら、今度は、4LDKの広いマンションに移ろうと思うんだ。」
「わあ、すごい。」と涼と彩花は言った。

その後、楽しい団欒が始まった。
彩花は、父と二人だけの暮らしが、一気に4人の賑やかな暮らしになることを思い、
それが、うれしくてならなかった。

「ほら、綺麗な夜景見なくちゃ。」と涼が言った。
「ほんとに綺麗。全部ダイアモンドに見えるね。」と彩花はいった。
「今日は、特別にそう見えるね。」と孝雄はいった。
「本当に。」と衿子は言った。

本当にそれは、ダイアモンドのようだった。
父と母の婚約。
彩花と涼はテーブルの下で、顔を見合わせ、
小さな声で、「やったね!」と、親指を出した。


<おわり>

■次回予告■

スーパー洋子を書くつもりです。
ちょっとシリアスなので、
今までの洋子とイメージがちがいます。
読んでくださると、うれしいです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

※ブログランキングに参加しています。
 ポチをくださると、うれしいです。






スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

1. 無題

今日の作品を読むまで、涼と彩花の2人がどんな風に結ばれるだろうと期待していたのに、期待以上の大ハッピーエンド!

2人の親が結ばれるだなんて、junまで幸せな気分になりました(-^□^-)


イライラしたり沈んだ気も持ちになったりして不安定だったjunの心が少しだけ晴れたよぉな気がします。

ありがとぉございました。

2. Re:無題

>junさん

コメントありがとうございます。
「2つの恋」って、2組っていう意味だったんです。4人の家族になったら楽しいだろうなと思って書きました。

junさんは、イライラだったり、沈んだ気持ちになったりだったんですか?私もなんです。スーパー洋子を書いていたんですが、すごく過激になってしまうんです。心を落ち着けるのに必死でした。ハーブティーでも飲んでお休みになってくださいね。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

リンク
最新記事
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧

自己女性化愛好症

御中根 蕗菜 です

女装子動画 Japanese crossdresser porn

enma’s blog

瞳のセルフヌード

毎日が日曜日

女装子&ニューハーフのペニクリ&アナルマンコ

MadameM【秘密の手帳】

川*´v`*川し

復讐の芽 ***藤林長門守***

橙の電車
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム