2つの恋の物語②「勇気をふるってのカムアウト」

この小品を読んでくださりありがとうございます。
次回が、もう最終回です。
最後までお付き合いくださると、うれしいです。

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彩花は、父の孝雄に何でも話す。
夕食を食べながら、
「お父さん。デートに誘われちゃった。」と彩花。
「例の男の子にか?」
「うん。明日、遊園地。朝9時に駅で待ち合わせ。
 だから、明日一日、お父さん一人でやって。」
「OKだ。やったな。カッコイイ男の子か。」
「うん。そうとういい線だと思うよ。」

「そうか。わかってくれる子だといいな。」
「うん。ダメ元。」
「そう。気楽にカムアウト。それで、行け。」
「うん。」
「あ、名前は?」
「涼くん。」
「いい、名前だな。」
「うん。」

「お母さん。明日デートだ。」と涼。
「もう、実行したの?やるじゃない。」
「口では言えないからさ、メモ渡した。」
「そういう手があったか。で、OKもらったんだ。」
「うん。さそってくれて、うれしいって。」
「わあ~、やったね。なんて名前の子?」
「彩花。」
「まあ、すてき。」
「ああ、カムアウト辛いなあ。
 これだけは、メモじゃダメだしな。」
「メールでもだめよ。」
「わかってる。絶対口で言う。」

ベッドの中で、彩花は考えていた。
カムアウトは辛い。
カムアウトしたら、それっきりになるかも知れない。
1回延ばそうかな。
そうすれば、もう一回会える。
ああ、だめだめ。
そんなことしたら、ずるずる絶対言えなくなる。

彩花は、カムアウトの言葉をいろいろ考えていた。
『実は、あたし、生まれたときは、男の子だったんだ。』
『実は、あたし、性同一性障害なの。』
この言葉では、ピンと来ないかもしれない。

ああ、初デートっていうだけで、緊張するのに、
カムアウトもあるから、もう身が持たない。
それに、明日何着て行こう。
ちょっとくらいメイクしていった方がいいかな。
お店ではすっぴんだから、それでいいかな?
ああ、考えなくちゃいけないことが多すぎる。
彩花は、眠れない夜を過ごしていた。



朝食は、いつも母が作ってくれる。
「涼、顔に、眠れませんでしたって書いてあるわよ。」
母の衿子は言う。
「だって、初デートだってだけで緊張するのにさ、
 それに、カムアウトもあるんだぜ。
 超プレッシャーだよ。」

「じゃあ、行くのやめれば。
 それだけプレッシャーあっても、会いたいんでしょ。
 若いっていいわね。そのエネルギー。」
「からかわないでよ。髪型も決めないといけないし。」
「あら、涼は、ナチュラルがいいわよ。」
「多少、いじくらないと。」

彩花は、鏡の前で、丸1時間着て行くものに迷った。
寝不足とで、朝、すでに参っていた。
「女の子は、大変だなあ。」と父が言う。
「もう、疲れちゃった。お父さん、決めて。」
「よし。じゃあ、黄色と白のワンピース。
 髪は、普通にとかして、飾りの着いたピンで、前髪から額を少しのぞかせる。
 バッグは、肩からななめにかける白い小さめなもの。
 靴は、白いサンダル。これで、決まり。」
「うん。それ悪くない。それでいく。」
そう言って、彩花は、やっと朝食のテーブルについた。



彩花が駅に着くと、涼はすでに待っていた。
「涼君、寝不足?」彩花は聞いた。
「だって、彩花ちゃんと初デートだよ。眠れなかったよ。」
「実は、あたしも。でも、涼君にあったら、目がさめた。」
「俺も。今、すごく元気。」

「あ、今日は、メイクしてるんだ。すごく可愛い。」と涼。
(あ、気がついてくれた。)
「ありがとう。慣れてないから、へたくそなの。」
「そんなことないよ。」
涼は、さわやかな笑顔をみせた。

遊園地は、怖い乗り物系の多いところだった。
二人で、いろいろ怖いものにのった。
そのたび、彩花は、「キャー。」と叫び、涼につかまった。
涼は、それが、うれしくてたまらなかった。

涼は、カムアウトは、昼を食べながらする、と固く心に決めていた。
1回、カムアウトを伸ばせば、もう一度会えるのに。
こんなに可愛い彩花を失うことは、悲しかった。
しかし、一度決めたことだ。
絶対話す。涼は、心に誓いを立てた。

やがて、その決意の時がきた。
丸テーブルで、ハンバーガーを食べていた。
涼のプレッシャーは最高潮に達して、
話している彩花の言葉を半分しか聞いていなかった気がした。

『よし、カムアウトだ。』
「彩花(もう、『さん』なしで呼んでいた)さ、LGBTIって知ってる。」
彩花は、なぜ突然に涼からそんな言葉と思いドキンとした。
ひょっとして、自分のGIDがばれているのかと思った。
だから、自分がカムアウトしやすいように、
涼は、やんわり、話を振ってくれているのかとも思った。

「知ってるよ。」と彩花はドキドキしながら言った。
涼は、彩花の言葉がうれしかった。
そう言うことに無知ではない。
「俺ね、初めてのデートのとき、
 はっきり言うのがフェアーだと思うから言うね。」
「うん。」彩花の胸は高鳴っていた。

「俺、そのLGBTIの一つなんだ。」
「え?(涼のことなの?)」と彩花は驚いた。
なんの障害もなさそうな、さわやかな涼に、何があるのだろうか。
「当ててみて。」と涼は言った。
『Lのはずない。Gのはずは、もっとない。Bはありえる。
 でも、あるとしたらTかI。』
彩花は、戸惑っていた。
「Iの人はめったにいないから、Tなの?」
彩花はそっと聞いた。

涼は、彩花を見つめて言った。
「俺、生まれたときは、女の子だったんだ。」
「ほんと?」
彩花は大きなショックを受けた。
それは、悲しいショックではない。言わば、うれしいショックだった。

「涼。あたしも、初めてのデートのときに、打ち明けようと思っていたの。
 あたしもTなの。生まれたときは、男の子だった。」
「ほんと!」涼は瞳を大きく開いた。
「じゃあ、彩花は、俺の気持ちわかってくれる。」
「うん。あたし涼の悩みや辛さが、そのままわかる。」
「俺を、嫌いになったりしない?」
「逆よ。涼もGIDだと知って、あたしうれしい。
 あたし、劣等感なしで、涼とお友達になれる。」
「俺も同じ気持ち。俺、劣等感なしで、彩花と友達になれる。
 バンザーイ!」と涼は、椅子から立ち上がって、喜びを空に向けた。

『これは、奇跡。神様が二人を合わせてくれた。』
彩花は、そう思った。


つづく

■次回予告■

2つの恋の、もう一つは?
語るまでもありませんね。
次回、最終回です。

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1. 無題

若い2人の恋の物語に胸キュンしながら読ませていただきました。

初デートに夜も眠れない。。。すっごくわかる。

jun、今でもオフ会でアメンバーさんと会うのに朝2時とか3時とかに目覚めちゃうから(///∇//)w

2人の恋が無事成就することを祈りながら明日の記事を楽しみにしていますぅ(-^□^-)

2. Re:無題

>junさん

コメントありがとうございます。
初デート。自分のときを思い出しながら
書きました。
junさんも、アメンバーさんとお会いになるときは、眠れない夜を過ごしてらっしゃるのですね。
junさんの記事からは、軽くリラックスして、お会いになっている感じがしましたが。
そんなことは、やっぱりないのですね。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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