田村さんの笑顔(3部作・第3話)

あけましておめでとうございます。
みなさまにとって、よい一年となりますように。

                   ラック
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3部作の第3話で、これで3人の女の子とのお話は終わります。
今回も、前編、後編を一気に投稿します。
少し長いのですが、読んでくださるとうれしいです。

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「田村さんの笑顔」

小学校4年のとき、田村笑子(えみこ)さんという女の子がいた。
田村さんの家はとても貧しかった。
着ているものは、とても粗末で、汚れて見えた。
顔や手足も、汚れているように見えた。
だけど、この田村さんに嫌がらせを言ったり、いじめる子はいなかった。

それは、とても不思議なことだった。
島田さんには、あんなに嫌がらせをしていたのに。
きっと田村さんは、いじめるには、余りにも可哀相な感じがしたからだと思う。

背は女子の前から2番目で、とても小柄だった。
そして、学校では、一言もしゃべらない子だった。



当時、社会科の勉強で、班での発表というのをよくやった。
これは、学校が終わってから、班のみんなが順番に、みんなの家を回る。
そこで、作業をする。
初めはみんなから10円ずつ集める。
それで、模造紙と黒のマジックインクを買う。

この順番に家を回るというのは、お金持ちの子にはよかったが、
家が貧しい子には、さぞ辛いことだったと思う。
集まった子には、大抵その家の人から、おやつがもらえる。
ケーキだったり、クッキーだったり。
この一つとっても、家に自信のない子には、つらいものがあった。



七月になり、この社会の発表があった。私たちの班6人の中に田村さんがいた。
田村さんの家が貧しいことはみんなが知っていた。
初めの家の子の家に集まったとき、みんなが心配した。
『田村さんにとって、10円でも大変なんじゃないか。』と。
田村さんはなかなか来なかった。
田村さんだけ、10円はいらないというのは、かえって失礼な気がする。
みんなそのくらいわかっていた。
私は、どうなるのかなと心配でたまらまかった。
そのうち、30分くらい遅れて田村さんが来た。
田村さんは、広告用紙の端切れに包んだものを、みんなに出した。
みんなが中を開けると、そこに5円玉1枚に1年玉5枚があった。

田村さんはきっと、自分が1円ずつ貯めたお金を貯金箱から下ろしてきたんだと思った。
きっとこの日のために、10円をどうしようかとずっと悩んできたに違いない。
そう思うと、私は不覚にも涙が出てきた。
涙を見せるなんて、田村さんに失礼だ。
懸命に我慢したけれど、どうにもならなくて、
私は、みんなの座を外して、靴を履いて外に出た。
そして、どこかの家の脇に隠れて、泣いた。いくらでも涙がでてきた。

やっとみんなのところへもどって、お腹がいたかったんだと言った。
お金を出して田村さんは、幾分安心した顔をしていた。
それに、私は救われた。



作業をする家が次は田村さんの家だというとき、
みんなは悩んだ。
気の毒すぎるのではないかと。
でも、だからといって回らないことも失礼だ。
班のメンバー達は、みんなそういうことがよくわかる人たちだった。

みんなが、田村さんに聞いた。
「今度田村さんの家だけど、いい?つごうがわるかったら、べつにいいよ。」
田村さんは、うなずいて、「いい。」の意味の返事をした。



田村さんの家は、私の家の近くだった。(初めて知った。)
あるベーカリーの二階で、入ってみると、とても天井が低くかった。
家全体が細長く暗かった。
それでも私たちは、いちばん奥の大きな窓のそばを使わせてもたった。
私たちはそこで、作業をした。
やがて、田村さんのお母さんが、お菓子と飲み物を出してくれた。
大変だったろうなと内心思った。
でも、みんなで、おいしくいただいた。
ご馳走様でしたと、みんなで、きちんとお礼を言った。
田村さんは、少しうれしそうだった。

社会科の発表も無事終わった。
先生は、こういうのもうやめて欲しいと思った。



そのころの私には不思議な法則があった。
夢の中にある女の子が出てくると、
明くる日、学校で、その女の子が特別に見えるという…。
つまりその子を好きになってしまうのだ。

そして、発表が終わったある日、田村笑子さんの夢を見た。
はっと起きて見ると、胸の中が、ぽっぽとする。
学校へ行ってみると、やっぱり田村さんが特別に見える。
同じ班で、前にいる田村さんに、私は恋をした。

お昼休み、みんなが外に行っても、田村さんは教室の中にいた。
私は、絶好のチャンスと思って話しかけた。
「田村さん。ぼくの家、田村さんの近くなんだ。今日、ぼくと遊んでくれない?」
と私は胸をドキドキさせながら、言った。
田村さんは、後ろを向いて、首を縦に振ってくれた。
「じゃあ、今日、3時に行くね。」



やったーと思った。
私には1つ作戦があった。
女の子の格好をして行く。
ひょっとしたら、それを見て、田村さんが笑ってくれるかもしれない。
田村さんの笑顔が見たい。

私は母にせっついて、姉の昔の洋服を出してくれるように言った。
「何に使うの。」と母がいうので、
「ぼくが着て、ある女の子を驚かせたいの。」と言った。
母は協力してくれた。
そして、姉のワンピースを3着だしてくれた。
一つ、赤いのを着てみた。
ぴったり!
私はそれを着た。
「靴ないよね。」と母に聞いたら、とってあるわよ、という。
そこで、赤い靴も出してもらった。
「あ、純、待って。後ろのりぼん。」
母はそう私を呼びとめて、ウエストのリボンをむすんでくれた。
「おかしな子ねえ。」と母は言っていた。



もうすぐ3時。
私は、平さんのところでやったように、耳を出してヘアスタイルを整えた。
私は田村さんの家の、二階に上がる階段のところで、
「たーむーらーさーん。」と大きな声で言った。
ドアのところから、田村さんの顔が見えた。
田村さんが、降りてくる。

田村さんが私を見た。驚いている。私は心臓がどきどきした。
「あのう、女の子同士の方がいいと思って、女の子のかっこしてきたんだけど。」
そう言った。
田村さんは、私の目を見て、
両手の指で口を押さえて、今にも笑いそうな目を私に向けた。
そして、「くすっ。」と笑った。
それから、「くすくすっ。」と笑い、「うふふふふ。」と笑った。
(やった!田村さんの笑顔を見た。かわいい!私はうれしかった。)

つづく

「女の子に見える?」と私は聞いた。
田村さんは、首を縦に振った。まだ笑ってる。
「じゃあ、公園に行こう。」
私は田村さんの手を取った。

公園に行く途中、田村さんに話しかけた。
「ぼくね、昨日、田村さんの夢見ちゃった。
 夢で見た人を、ぼくは、ぜったい好きになっちゃうの。
 だから、こうして田村さんといると、ぼくは幸せ。
 まず、女の子同士として、お友達になってくれる?」と言った。

田村さんは、首を縦に振った。

「笑子って呼んでいい?」と聞いた。
田村さんはうなずいた。

二人で、砂場で山を作り、トンネルを作り、
両方から、互いに手を突っ込んで、指が触れ合ったら、握手をした。

それから、ブランコやシーソ、ジャングルジムなどで遊んだ。
外からみたら、二人の女の子が仲良く遊んでいるように見えたと思う。

田村さんは、しゃべらないけれど、笑ったり、うなずいてくれるので、
遊ぶのになんの不自由もなかった。



こうして、毎日毎日あそんで、10日くらいのときだった。
私は女の子の格好でその日も、田村さんの家の下にいって、田村さんを呼んだ。
すると、田村さんといっしょに、お父さんとお母さんも降りて来て、
私に笑顔を見せてくれる。
「あなたが、純ちゃんかい。」とお父さんは言い、
「ありがとうね。毎日笑子と遊んでくれて。
 笑子はお友達ができたことが、すごくうれしいらしくて、
 家で、純ちゃんの話ばかりする。
 笑子は、外ではしゃべらないけど、家ではよくしゃべるからね。
 純ちゃんが、どんなにいい子か、ようくわかってる。」と言った。

「いえ、笑子ちゃんに遊んでもらってるの、あたしのほうです。
 はじめに遊んでくれるようにたのんだら、いいってうなずいてくれました。
 笑子ちゃんと遊んでもらって、とってもうれしいです。」と私は言った。
「ほんとに、やさしい顔をしているね。いい子なんだねえ。」
とお母さんは言った。

田村さんのご両親からほめてもらって、とってもうれしかった。



それは、公園のコンクリート上で、ロウセキで絵を描いているときだった。

私の後ろから、ボールが飛んできたらしい。
「純、あぶない!」
私は、はっと後ろを向き、なんとかボールをよけた。

私は、田村さんを見た。
田村さんは、なんか気まずそうな顔をしていた。
「今、教えてくれたの、笑子だよね。」
「うん。」
「笑子、ありがとう教えてくれて…。」
田村さんに近づいた。
「うれしい。しゃべってくれて。」
私の胸の中に、熱いものが込上げてきた。
私は、田村さんをそっと抱いた。
田村さんは、私の胸に頬を寄せて、
「しゃべっちゃった。純があぶなかったから。」と言った。
「うれしい。笑子が、ぼくのためにしゃべってくれた。」
私は思いきり笑子を抱きしめた。うれしくて涙がこぼれた。

私は言った。
「これから、ぼくといるときは、もっとしゃべって。」
「うん。純となら、話せる。」と田村さんは言った。



それから、公園のいろんな遊具で遊んだ。
田村さんは、キャッキャッと喜んで、たくさんしゃべった。
私は田村さんの声が聞こえてうれしくてならなかった。


*    *    *

それから数日後、ある二人が私たちの後をつけているとは、わからなかった。

私が、女の子の格好で、田村さんを呼び、二人で公園に行くのを、つけていた二人。

田村さんと私がシーソーで遊んでいるときだった。

「わあ、純、ずるいぞー。」
「私たちに内緒で。」
とやって来たのは、平さんと、島田さんだった。二人は笑っていた。

私は、とっさにシーソーを降りて、田村さんのところへかばうように言った。
「笑子。この人たちは、いい人たちだけど、好き?」
と聞いた。
「知ってる。平さんも、島田さんもやさしいから好き。」
「じゃあ、いっしょに友達になっちゃう?」と私は言った。
「うん。友達がいっぺんに増えてうれしい。家帰ったら自慢しちゃう。」
「わあ~!」と平さんと、島田さんは言って、
田村さんのところへ行って、抱きあって喜んだ。

それからは、4人で遊んだ。
田村さんを独り占めできなかったけど、
田村さんにお友達が増える方が、もっとうれしかった。

4人でくたくたになるまで遊んで、
田村さんの家の下まで来た。
田村さんが、
「お父さん、お母さん。」と呼んだ。
お父さんとお母さんが降りてきた。
「お父さん、お母さん。平さんと島田さん。
 二人ともすごくいい人。
 今日からお友達になってくれるの。」
平さんと、島田さんは、あいさつをした。

お母さんは、そのとき、田村さんを見ていた。
「笑子…、お友達の前でも、話せるようになったの?」と聞いた。
「うん。あたし、もう大丈夫。」と笑子さん。

お母さんの目に涙が浮かんだ。
「この子は、1年生のときから、お友達が一人もいなかったの。
 それなのに、純さんはじめ、こんなに一度にお友達ができたなんて。
 おまけに、しゃべれるようにもなったみたいで、
 こんなにうれしいことはありません。
 よろしくお願いします。笑子、よかったね。」
とお母さんが、田村さんを抱いて泣いた。

お父さんも目を拭いていた。

島田さんが言った。
「私も長い間、友達がいませんでした。こここにいる平さんが、初めてのお友達でした。
 だから、笑子さんとみんなで、きっと仲良くやっていけます。」
平さんが、
「不思議なことに、私たちがお友達になれたのは、いつも純くんが関係しているんです。
 純くんって、キューピッドなんですよ。」と笑って言った。
私はそばで、うれしくてはねていた。

おかあさんが、
「純くんって、純ちゃんは女の子でしょう。」
「ちがうんですよ。」と平さんは笑いながら言った。

そのあと、何が何だかわからなくなり、笑い声だけが残った。

*    *    *    

そのつぎの日、国語の時間。
(田村さんは、おしゃべりデビューをまだしていなかった。)
私たちの列が、一番後ろの人から立って、音読をすることになった。
私のところまで回って来て、私はなんとか1ページを呼んだ。
次は、田村さんだ。

女の松下先生は、田村さんが、口を開かなくても、
必ず、名を呼んで指名していた。
その日も同じように、
「田村笑子さん。」と呼んだ。
「はい。」と返事をして、田村さんは立った。
先生や、クラス中の子が驚いた。
田村さんは、私が読んだ次のページから、
一言もつっかえず、とっても上手に読んだ。

その田村さんの音読を聞きながら、
松下先生は、田村さんを見て、涙を頬に流していた。
田村さんが読み終わったとき、
先生は、田村さんに寄って、
膝立ちになって、田村さんを抱きしめた。
「しゃべれるようになったのね。よかった…。」

なぜか、クラスの腕白たちが、一番に立ち上がって、拍手を送った。
「田村、えらいぞー。」などと叫んだ。
その後、クラス中の子が拍手をした。
田村さんは、ときどき後ろを見ながら、
恥かしそうにうつむいていた。

クラスみんなのうれしそうな顔が、
田村さんを温かく包んでいた。


<第3話 完 >

*     *     *

その後、平さん、島田さん、田村さんの3人は大の仲良しとなり、これでもう、クラスには淋しい人はいなくなりました。3人は、6年生の卒業後も仲良しでした。

平さんのお母さんは、島田さんにしたように、田村さんの腕や、顔のケアもしてくれ、田村さんは、日に日に、きれいになりました。
また、平さんのお母さんと私の母は、平さんや私の姉の小さくなった服や靴を持って、いっしょに、田村さんの家を訪ねました。(あの頃は、小さくなった服や靴を捨てるということは、まずありませんでした。)

お父さんや、お母さん達も、みんな仲よしになりました。

めでたし、めでたし。

$女装小説と自叙伝


女の子の服の純 5年生



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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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