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海斗と晴美②「海斗のカムアウト」最終回

切れるところが見つからなくて、後半を一挙投稿します。
少し、長いのですが、読んでくださるとうれしいです。

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「あたし、性同一性障害なんだ。」と海斗は言った。
「そうだと思うよ。」と晴美は言った。
「5年生の初めに診断が降りて、ホルモン治療ももう2年になる。
 胸もBカップくらいになってるの。
 お尻も大きくなってるし、もうすぐ、いろんなところを隠せなくなる。」
「GIDの診断があったら、女子生徒として学校行けるんじゃない?」
「うん。でも、みんながGIDを分かってくれるかって心配なの。
 それに、女子とうまくやっていけるか自信がないの。」
海斗はそう言った。
晴美には、その気持ちが、よく分かった。

「ホルモンって、長くやってると後戻りできないんでしょう?」と晴美は聞いた。
「うん。できない。だから、あたしは、女として生きていくしかないの。」
「自信なんて、何もしなければ、つかないよ。
 女の子宣言して、女子とどんどんお話したり、遊んだりした方がいいと思う。
 カムアウトして、クラスの全員が引いちゃっても、ぼくがいつもそばにいるよ。」
「ほんと?」と海斗は、晴美を見て、目を潤ませた。
「うん。どんなことになっても、ぼくは、春海の味方だよ。」
「ありがとう。」と春海は涙を流した。

「あたし、今日両親と相談して、カムアウトするかどうか決める。」
と春海は言った。
「春海は、一人っ子?」
「うん。そう。」

晴美は、その日、春海から、いろんな女の子の服を着せてもらって、
最高に幸せな時間を過ごした。
春海が言うには、晴美は女の子に見えるそうだった。
晴美自身も、髪がもう少し長ければ、女の子だなあと思った。



その夜、晴美の家の方に電話がかかった。
母がとり、
「晴美、ハルミさんって女の子からよ。」と言った。
母が「女の子」と言ったので、晴美は、にまっと笑った。
「はい。春海?」と晴美は言った。
「今日、5時ごろ、両親と学校へいったの。
 そして、担任の坂井先生と、校長先生に、
 女の子としてカムアウトしたい…って話したの。
 そして、明日から、女の子で通うの。
 女子の制服も買った。
 美容院へも行って、完全な女の子カットにしてもらった。
 晴美が励ましてくれたから、勇気が出たの。
 いろいろありがとう。」
「そう、それはよかった。大丈夫。ぼくは絶対の味方だから。」
「ありがとう。」
春海は電話を切った。



春海にとっても、晴美にとっても、眠れない夜を過ごした。
『みんな、どんな反応するだろう…。
 みんな明るく受け止めてくれたらいいあ。』と晴美は願った。
今のクラスは、明るくて、みんないい人だ。
きっと大丈夫な気がする。
晴美はそう思った。

春海は、祈るのみだった。
トイレも、更衣室も女子になる。
女子が受け入れてくれないと、かなり辛いことになってしまう。
でも、晴美がいうように、いつかは勇気を出して行動に移さないと、
自信なんて生まれない。
それに、女を隠して学校生活をすることは、もう限界だ。



次の日の朝になった。
学校のショート・ホームルームの時間に、立原海斗の席は空いていた。
やがて、担任の坂田則夫と、女子の制服を着た、立原海斗が入ってきた。
スカートであり、首のネクタイの代わりに、ふっさりしたリボンだった。
そして、海斗は、女の子風にステキな髪型に変えていた。
みんなが、わあーと反応した。

担任の坂田則夫は、まだ20歳代の先生だが、
とても知性的で、話が上手だった。
坂田は、性同一性障害がどういうものであるか説明した。
そのときこんなことをした。
「みなさん、少し目をつぶってみてください。」
みんなが目をつぶった。
「自分が、男であるか、女であるか、自分でどちらかに思っていますね。
 ここで、想像してください。
 目を開けたとき、自分の性の反対の性の体をしていたら、どうでしょう。
 目をつぶって、例えば、自分が男だと思っている人を例にあげます。
 その人が、目を開けてみて、もし女性の体をしていたら、
 どっちを信じますか。体の性を信じて、明日から女として生きていきますか。
 それとも、心で思った性を信じて、例え体が女でも、あくまで、自分は男だと
 心で思った方を信じますか。
 心で思った性は、変えられないと思う人、手を挙げて。」

ほぼ全員が手を挙げた。
坂田は、続けた。
「では、目を開けてください。
 目を閉じて、心の性と体の性がちがっているというのは、
 今、仮にやってみたことです。
 でも、ここにいる立原海斗さんは、実際にそのように生まれてきたのです。
 心は、女の子として、体は男の子としてです。
 その人の性を決めるのは、心です。
 だから、立原さんは、これから女子として生きていきます。
 だから、服装も女子です。当然、女子トイレをつかい、女子更衣室を使います。
 立原さんは、これから、立原春海と名前を変えます。」
坂田は黒板に、春海の字を書いた。

「これから、みなさんが、立原春海さんを女子として、
 気持ちよく接してくれるとうれしいです。」

晴美は、みんなの反応を祈るような気持ちで見ていた。
みんな、真剣に聞いていた。

「何か、質問なりありますか。」と坂田が言ったとき、
クラスの女子で、一番しっかりしている高橋美津子が手をあげた。
先生は指名した。
高橋は立って、発言した。

「これは、質問ではありません。私の今の思いです。
 私は、立原春海さんが、今日ここに、
 どれだけの勇気を出して来たことだろうと思って、涙が出そうです。
 きっと、昨日は眠れなかったと思います。
 でも、安心してください。
 私は、誰がなんと言おうと、春海さんは、女の子だと思います。
 これから、いっぱい大変なことがあると思います。
 くじけないでがんばって欲しいです。」
高橋は涙を浮かべて着席した。

高橋に賛成する拍手が、ほとんどの生徒から起こった。

男子が一人手を挙げた。
安井和夫という生徒だ。
おもしろくて、言わば男子のリーダー的人物だ。

「こんなこというと、立原さんは、怒るかも知れないけど、
 立原さん以外の男達は、ずっと前から、
 立原さんは、女の子だと信じていました。」
(女子から笑いがもれた。)
 女の子が、何かの事情で、男装している。そう思っていました。

 だから、体育で着替えるときなんか、俺ら、
 立原さんを絶対見ちゃいけないと思って、誰も見ませんでした。
 トイレだって、男子トイレの個室使ってるのは、気の毒だなあと思っていました。
 体育で走るとき、女の子走りでも、歩くとき女の子歩きでも、
 それは、当然だと思って来ました。
 ドッジボールのときなんか、立原さんには、強いボールを投げませんでした。

 だから、今、立原さんが、女の子だと聞いても、全然びっくりしません。
 ああ、やっぱりって思いました。

 密かに、立原さんが、好きだと思ってる奴、俺、何人か知ってます。
(クラス、笑い。)
 つまり、俺の言いたいことは、性同一性障害は大変なことだけど、
 立原さんが、今日女の子宣言ができて、ほんとによかったなあと思うことです。
 これで、立原さんは、思いきり『女の子』やれるし、
 立原さんを好きな男子は、思いきり好きになれます。
 とにかく、女の子宣言、おめでとう。」
(クラスで、なごやかな笑いが起こった。)

安井の言葉にも大きな拍手が起こった。

「あたしは、学年で1番の海斗くんが、春海さんになって、
 1番が女子になったことがうれしいです。」
と元気にいう生徒がいた。

「そう、もう一人の晴美くんは、立原さんを抜けません。」
と次の生徒。
「ええー?」と晴美が反応した。

クラスの空気はとても和やかだった。

「じゃあ、立原さんから言葉がある?」
と担任の坂田が言った。
「はい。」と言って春海は、口を開いた。
「高橋さんが、言ってくれましたが、昨日は眠れませんでした。
 でも、今日、女の子宣言をして、
 みなさんが温かく向かえてくださった気がして、
 感激でいっぱいです。

 今までの、あたしは、ぜんぜんしゃべらない生徒だったと思います。
 それは、口を開けば、女言葉が出そうで、黙っていたんです。
 あたし、本当はおしゃべりなんです。
 だのに、黙っていることは、つらいことでした。
 女が出てしまって、からかわれることが恐くて、
 みんなといっしょに遊びにも出られませんでした。

 でも、あたし、女だとバレバレだったことを、
 安井くんの言葉で知りました。
 あたしみたいな男子はオ△マなんて言われて、
 からかわれるのが、普通だと思います。
 でも、あたしをからかう人は、このクラスにいませんでした。
 どうも、ありがとう。
 あたたかい、やさしい人達に恵まれて、あたしは幸せです。
 (春海は、涙ぐんでいた。)

 最後に、菅原晴美くんへの、特別な感謝を伝えます。
 菅原君は、友達のいなかったあたしの友達になってくれました。
 今日の、女の子宣言をして、もし全員が引いてしまっても、
 自分だけは、春海のそばにいるよ、と言ってくれました。
 その言葉がなかったら、あたしは、今日の「女の子宣言」は、
 できませんでした。
 菅原君。本当にありがとう。
 では、こんなあたしですが、よろしくお願いします。」
春海は、頭を下げた。
みんなから、盛大な拍手が起こった。
そのとたん、
「晴美、お前、やるじゃないか。」
「いつの間に、友達になったんだ。」
とか、男子に髪をくちゃくちゃにされていた。

2時間目が終わり、中休み。
高橋美津子を中心としたグループ6人が早速来て、
「春海、いっしょにお手洗い行こ。」と誘いに来た。
「うん。ありがとう。」と春海はうれしそうに言った。

その中休みで春海は、グループとすっかり仲良しになった。
春海が、早口に、おしゃべりをするのを、
晴美は、離れたところから、うれしそうに眺めていた。

その後、春海は、いろんなグループのひっぱりだこになり、
いっそ、クラスの女子全体で遊ぼうということになった。

昼休み、外で、女子全員で、楽しそうにドッジボールをしながら、
キャーキャー言っている春海を、晴美は見た。
「よかったなあ。」と心の中で言った。

さあ、今日は、女子のドッジボールにいれてもらおう。

「いれてー!」というと晴美がいうと、
「男子は、左手たよ。」と女子たちがいう。
「OK。」と言って晴美がやり出すと、
どんどん男子が入ってきた。

春海が、額に汗を一杯かいて、
キャーキャー言いながら、何度も笑っている。

青い空の下。
晴美の心は、喜びに弾んだ。



<おわり>  


◆次回予告◆『スーパー洋子出版社・校正部の巻』

日本を代表する世界の文学者・岩崎芳郎。
その校正を任された倉田洋子。巨大な相手に蜂の一刺しをしたい。
一体校正者に何ができるのか。前編・後編の2回でお送りします。

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1. 無題

春海がみんなに受け入れてもらえて本当に良かったです。
先生もクラスのみんなも素敵だなって思いました。

もし、私だったらどうかな…晴美みたいに絶対の味方になってあげられたかな…。
大人になった今なら…と思いますが、学生の頃を思うと、なんだか自信がありません。

だからこんな素敵なクラスのみんなに憧れちゃいます。

2. Re:無題

>まみさん

コメントありがとうございます。
GIDの子にとって、現実は未だに厳しいようです。大人より子供の方が理解がある気がします。

物語なので、こうあって欲しいな、という理想をかいています。理想を書くだけでも、なんだか、気が収まる感じがします。

どこも、こんなふうだといいですよね。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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