教室は私の部屋⑨「夢を追いかけて」最終回

全9話に渡る長い物語になってしまいました。
最後までお付き合いくださった方々、どうもありがとうございました。

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弘美は家に帰って、大学の話をした。
「圭吾さんが、あたしはあまり学校へ行ってないから、
 行った方がいいというの。」
「うん、それは、行った方がいい。」と父の郁夫は言った。
「で、目標は。」母の孝子は言った。
「医学部。お金がないから、できれば国立。」と弘美は言った。

「ええ??」と両親は驚いた。
「どのくらいむずかしいか分かるか。」と父の郁夫。
「よく分からない。
 でも、あたし小学校のとき学年で1位だったんだって。
 だから、がんばれば受かるって圭吾さんが言ってくれるの。」
「そう、じゃあ、がんばれ。」と父は言った。

「そのために、圭吾さんは、毎日来て教えてくれるって。
 いっしょに住むのは、受験が終わってからにしようって。」
「うん、わかったわ。圭吾さんには、うちで夕食をとってもらうわ。」
と母は言った。

郁夫と孝子は、もし合格が私立であっても、
資金的援助はすべてするつもりだった。

その頃圭吾の家でも同じ様な会話があった。
「え?国立か。圭吾の給料じゃ、私立は無理だもんな。
 大いに結構だ。」と父の洋次は言った。
母の浩子が言った。
「ねえ、ずーと、夕食に圭吾がいないのは淋しいから、
 1週間交代にしない。半分は弘美さんが、うちで勉強するの。」
「それも、いいね。父さん、母さんと親しくなれるし。」と圭吾は言った。

こうして、弘美の勉強は始まった。
1週間ずつ2つの家を渡って。
弘美は、とても勉強ができたので、質問することが、たまにしかなかった。
圭吾は、部屋に小机を出してもらい、そこで仕事をした。

いつも、勉強のあとで、圭吾は範囲を見て、問題を出す。
そして、弘美が答える。
「わあ、すごい。覚えていたの?」と圭吾がいう。
弘美は、圭吾が驚いてほめてくれるのが、何よりの楽しみだった。


弘美は、圭吾が仕事をしている昼間も、
圭吾との勉強が終わった後も、夜遅くまで勉強した。

ブログに書き込むのは、1週間に1度くらいになった。
今、医学部を目指してがんばっていることを書いた。

すると、すごい応援のコメントをもらった。
そのコメントも、やる気を出させてくれる大きなものだった。

弘美の通信制高校最後の年、弘美は19歳。
5月に模擬試験を初めて受けた。
いっしょに付いてきた圭吾は、
「どうだった?」と聞いた。
「むずかしかった。あんなにむずかしいとは、思わなかった。」と弘美は言った。

結果が返ってきたとき、国立医学部、合格率50%と出た。
弘美は、それを見て、がっかりした。
90%くらい出ないといけないと思っていた。
圭吾から聞かれて、「ダメ。合格率50%だって。」と言った。
圭吾は驚いて、
「何言ってんの、50%ってすごい数字だよ。
 75%で、まず合格するだろう…だから、50%は、すごい成績だよ。」
と言った。
「そうなんだ。」と弘美は喜んだ。

そして、共通一次で、高得点をとり、
最後の模擬試験で、とうとう75%を取った。
「この成績、家族のみんなには、内緒にしておこう。」
と圭吾は言った。
「うん。私もそうしたい。」
と弘美は言った。



大学に障害者における相談日があって、
弘美は、性同一性障害であることを前もって告げた。
大学はその配慮をしてくれた。
例えば、受験票は男子で、本人が女子でも、問題にされないように。

とうとう本試験の日が来た。
手がこごえそうな、寒い日だった。
圭吾は、仕事があり、弘美に朝だけ付いて行った。
「弘美、今まで、よくがんばったね。」と圭吾は言った。
「うん。やれることは全部やった。」
「あとは、試験だけ。」
「あたし、あがらないタイプだから大丈夫。」

弘美は、無事、全ての試験を受けてきた。
英文での小論文もあった。

「お疲れさん。」と仕事から帰ってきた圭吾は言った。
「全力出したから、もう後悔はしない。」と弘美。
「その通りだよ。」
「圭吾さんがいてくれたから、ここまでやれた。
 圭吾さん、ほんとに、ありがとう。」
「いやいや、ほとんど弘美が自力でやったよ。」
弘美は、圭吾の家に行って、毎週夕食をごちそうになったお礼を言った。
「いいええ。弘美さんとごいっしょできて、楽しかったわ。
 ああいう日がずっと続いてほしいくらい。」と浩子は言った。



合格発表の日が来た。
ちょうど日曜日だった。
結果は、パソコンを見れば知ることができる。
しかし、弘美は、学校まで行って、掲示されているのを見たいと言った。
そこで、圭吾といっしょにいった。
「ああ、なんか、駅に近づくだけで、ドキドキする。」と弘美は言った。
「俺も。怖くて近づけない。」

大学の正門を通り、やがて、正面の掲示板が近づいてきた。
「ああ、どうしよう。心臓が破裂しそう。」と弘美。
「ダメ元で行こう。中学からの勉強、全部一人でやってきたんだよ。」と圭吾。
「うん。ダメでもともとよね。」
合格通知の紙は思ったより小さかった。
多くの人がいる。
飛び上がって喜んでいる人、落胆に肩を落としている人。
圭吾は弘美の肩を抱いて、前に進んだ。
そして、二人は見たのだった。
弘美が、泣いて圭吾に抱きついた。

弘美の受験番号があった。

「わあ、すごい!」と圭吾は弘美を抱きしめた。
「弘美、国立医学部だよ。すごい。ああ、感激だ。」と圭吾は続けて言った。
「うん、圭吾さん、ありがとう。」と弘美は言った。
「さあ、はやく、電話しよう。」圭吾は言った。

二人はそれぞれの家に電話した。
弘美の父は、椅子から立って喜んだ。
「今、母さんに変わるからな。」
「弘美、夢じゃないのね。本当なのね。」
「うん、本当。圭吾さんと見たから。」
母は、その場で泣き出した。
由佳が電話に出た。
「お姉ちゃん、すごいよ。ほんとに合格なんだ。おめでとう。」

母の孝子は、その場に座り込んで言った。
「弘美の将来を考えることができなかった。一生家にいることを覚悟してた。
 それが、圭吾さんに出会い、国立の医学部だなんて、うれしい、うれしい。」
と顔を覆って泣いた。
郁夫が孝子の背に手をかけた。
「俺も、孝子と同じ様に思っていた。弘美は今まで辛かった分、
 きっと、これから報われる。ほんとによかった。夢のようだね。」

圭吾の父は、
「これは、大変だ。すばらしい。おめでとうって言ってくれ。」
母が代わり、
「すごいわ。よくがんばったものね。圭吾もよくサポートしたものね。」
母は、泣いていた。

その日の夜、弘美の家で、二家族合同で、お祝いの会をした。
両親達はすっかり仲良くなった。

その日の夜、弘美はブログに書いた。
『合格しました。泣きました。
 これからは、「教室は私の部屋」ではありません。
 「教室は、私の大学」になります。』

たくさんの、「おめでとう!」との祝福コメントをもらった。
・美咲さんのお陰で、夢が広がった。嬉しくてたまらない。
・美咲さんを見習って、俺もニートから抜け出せるようにがんばる。
・泣いたよ。ほんとにこんなことがあるんだ。美咲はあたしたちの希望だよ。
うれしい言葉ばかりだった。



二人は、約束どおり、森の中の小さな教会で、
家族だけの結婚式を挙げた。

バージンロードを歩くウエディングドレスの弘美は、眩しいほど綺麗だった。
家族みんなが泣いていた。
牧師の言葉に、二人は、「はい。」と答えた。

そして、二人は、みんなの見ている前で、口づけをかわした。
「王子様とお姫様みたい。」と由佳が言った。

外に出て、弘美が投げるウエディング・ブーケ。
「由佳、行くわよ。」と弘美が笑顔いっぱいに言った。
由佳が見事キャッチした。

五月晴れの青い空に、
二人を祝福して、真っ白な鳩が群れをなして飛んだ。


<おわり>

※次回から、また心を新たにがんばりたいと思います。
 予定は、「女性化チャリティ・UFO」です。 

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非公開コメント

1. 無題

今回のお話もとても幸せな気分になりました。

読み終わったあとのこの気持ちのよさゎ何ものにも変えられません。

お二人の幸せを心から祈ります(*゚ー゚*)

P.S.
今見たらjun1位でした。
うそみたい。
感激ですぅ(≧▽≦)
ラックさんも2位に僅差。
2人で並んでいられたら最高ですぅヾ(@^▽^@)ノ

2. Re:無題

>junさん

コメントありがとうございます。
気持ちよく読み終わってくださって、
とてもうれしいです。
いつも、最終回を書くのが一番の楽しみです。

PS
朝一番に見たjunさんの1位に興奮してしまいました。何度もページを開いてみました。
だって、Uかっちさんの上ですから、医学部合格に匹敵します。私は銅メダルで十分幸せです。

3. ありがとう

>ラックさん
私嬉しいです*\(^o^)/*
なんか私に言われてるみたいで私に励ましてもらえて嬉しいです*\(^o^)/*
わぁい嬉しいですヾ(@⌒ー⌒@)ノ

4. Re:ありがとう

>美咲ちゃん

喜んでくださって、私もうれしいです。
なんとか最後まで書けました。
明日、次のお話投稿できると思います。
また、読んでくださるとうれしいです。

5. 無題

とっても幸せな気持ちになった最終回でした。
あっと言う間の9話だった気がします。
楽しい時間はすぐ過ぎてしまうって本当ですね。

次のお話しも、すごく面白そうですね!
早速読ませて頂きます^ ^

6. Re:無題

>まみさん

コメントありがとうございます。
幸せな気持ちになってくださったのですか。
そう言っていただくと、最高にうれしいです。

今の物語ですが、実は、あんまり先のことを考えてなくて、どうしようかと思っています。
でも、精一杯がんばります。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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