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専務・高坂由紀夫⑥「専務の手腕、ユキの働き」最終回

短く終わるつもりのお話が、⑥まで、続いてしまいました。
今日が、最終回といたします。
これまで、読んでくださり、ありがとうございました。

=============================

憧れのOL。
新入社員。

由紀夫は、毎日一番に会社に来て、
トイレに一輪挿しをおいて、花を生けた。
そして、お茶とコーヒーを淹れる。
社員の茶碗も1日で覚えた。

仕事は抜群に早く、正確で、部長の直しがほとんどなく、いつも一発で通った。
手が空くと、
「手が空いてまーす。」と声をかけて、
コピーや、冊子のホチキス留めなど、手伝った。
また、社内用のコンピュータ・ソフトに困っている人がいると、
真先に飛んで行って、教えた。
誰が見ても、人の2倍働いているように見えた。

「ユキさん」から「ユキちゃん」と呼ばれるようになり、
女子社員から特に人気があった。

由紀夫は幸せだった。
OLの制服で、女子として働くことができる。
これが、自分の夢だったような気がした。

一方、部長の邦夫は、例のアイデアを活かし、
売れ筋の訪問先を特別な方法で分析し、男子だけでなく、
女子も時間があるとき営業に出した。

また、コンピュータの宣伝システムに参入して、
効率のよいCMを放った。

さらに、社員が自分の営業成績が分かるように、
パソコンを開いて見れば、訪問回数、契約回数、売上額など、
いろいろな観点で、社内でのランキングが分かるように、
プログラムを作った。
契約を結べたときなど、社員は楽しみにランキングをのぞいていた。

由紀夫は、部長がすばらしいと思ったとき、
啓子にそれとなく言った。
「部長の今度の企画いいですよね。やる気が出ます。」
などと言う。
それが、啓子から部長に確実に伝わる。
実際、邦夫は、啓子からユキの自分への誉め言葉を聞くのが、
何よりの喜びだった。

こうして、売り上げがぐんぐん伸び、
3ヶ月にして、売り上げが、50%伸びた。
そして、わずか6ヶ月で、2倍になった。
これは、大変なことだった。

邦夫は、社員から絶大な信頼を得た。
邦夫は、人柄もよく、威張ったりはしなかった。
人情派で、大きなことも、小さなことも、見逃さず人を誉めた。
社員の失敗は励まし、成功は誉めた。



そのうち、東京支社の実績を知り、
大阪本社から、社長(父)と取締役である長男が来た。
二人は、邦夫の経営のノウハウを学ぶのが目的だった。

応接室に、ユキがお茶を運んできた。
社長は、由紀夫を見て、
「おお、由紀夫、似合ってるな。」と言った。
「由紀夫も、これで、天職を得たのじゃないか。」
と兄の取締役が笑いながら言った。

由紀夫は、ふふっと笑って、
「部長、この東京支部は、会社の『離れ小島』、
 あたしが来たときは、「左遷だ。」なんて言われてたんですよ。
 それが、社長と取締役が、そろってここへ、お勉強に見えるなんて、
 社員一同、鼻高々です。すべて、部長のおかげです。」
と言った。
「ははは。その通りなんですよ。」と社長は笑った。
邦夫は、うれしかった。大いに意気に感じた。

由紀夫は、社長と取締役の訪問の目的を女子社員に知らせた。
それは、すぐに、男子社員に伝わった。

2時間ほど、勉強会をして、社長と取り締役が帰って行った。
玄関まで見送りにいった部長が、オフィスに帰ってきた。
すると、社員一同総立ちになって、部長に拍手を送った。
「部長、我々は、うれしいです。もう『離れ小島』なんて言わせません。」
と男子社員の一人が言った。
「いや、拍手をありがとう。これは、みんなのお陰だ。
 がんばってくれてありがとう。」
と邦夫は言った。

啓子はうれしかった。
前の会社のときは、重苦しい顔で帰ってくる父を何度も見た。
失業のときの父は、さらに辛そうだった。
それが、この会社に来てからの父は、毎日溌剌としていて、
今こうして、社員一同から拍手を受けている。
そんな父の顔を見て、目頭が熱くなった。

邦夫は思った。
前の会社は、大きかったが、社員のみんなから、
こんなうれしい温かい言葉を聞くことはなかった。
そして、その陰に、ユキが絶妙な潤滑油となって、
みなの心を盛り上げていることも思った。
ここへ来て本当によかったとしみじみ思った。

*    *    *    *

それから3ヶ月が経った。
会社の売り上げは、とうとう300%の伸びとなり、
部長はもちろんのこと、社員全員が意気揚々と仕事に励んでいた。

しかし、由紀夫の目から見て、一人だけ悩んでいると思える人がいた。
いつものように、由紀夫が早々と自分の仕事を終えて、
「あたし、手が空いてます。」
と言うと、いつも申し分けなさそうに手を挙げる人がいる。
根岸浩二という、52歳の人だ。
根岸は、社内のコンピューターソフトがどうしても使えないでいた。
「はい。」と由紀夫が飛んでいく。
「いつも、すいません。ここがわからなくて。」と根岸は言う。

昨夜のことだ。
夕食の後、根岸浩二は妻の好美に言った。
「ひょっとしたら、俺、仕事変えるかもしれない。」
「どうしたんですか?変えるなんて、
 そんなたやすいことでは、ありませんよ。」
と妻の好美は青い顔をして言った。

「とっくに辞めようと思っていたんだ。
 俺は、パソコンがどうしても使えない。
 もうアウトだと思っていたときに、
 天使のような女性が新入社員として来てくれた。
 実に親切な人で、俺は、その人にだけは、甘えることができていた。

 しかし、いくらいい人でも、限度があるだろう。
 頼めば、彼女はいくらでも教えてくれる。
 しかし、周りの社員の目もある。
 ああ、また教わっている。そんなふうに思われているだろう。
 それが、辛くてなあ。
 どんな仕事でもいい。
 パソコンなんか使わない仕事に変わりたいと思っているんだ。」

「そうだったの。気が付かなくて、ごめんなさい。」
と妻の好美は、涙を見せた。
「でも、あなたは、営業の成績もいいし、パソコンだけなんですよね。
 どうにか、ならないかしら。」
「パソコンを使わなければいけないとき、
 びくびくするのに、正直疲れたんだ。」
浩二は首を垂れた。



由紀夫は、そのころパソコンにかかりっきりの夜を送っていた。
もう6週間になる。
もうすぐできる。
できたらいいなあ。
もう少しだ。
そう思っていた。

2日後。由紀夫は、
「できた、バンザーイ!」
と手を挙げた。

次の日の朝。
早く来ていた啓子に、ソフトを起動させて見せた。
「わあ、すごい。吹き出しのガイドが出てきて、
 次何をすればいいかがわかる。
 これなら、だれでも使える。
 ユキちゃん、やったー!」
と啓子は喜んだ。

「大変だったでしょう?」と啓子。
「はい、6週間かかりました。」と由紀夫。
「あ、わかった。」と啓子は、由紀夫を見つめて、少し目を潤ませた。
「ユキちゃん、いい人だね。ときどき感動する。」啓子は言った。

「おはようございます。」の後、由紀夫は部長にすぐ見せにいった。
「これは、いい。新しい人が来てもすぐ使える。
 苦手な人も……そうか…わかった。」
と部長は、啓子と同じ様に、由紀夫を見つめ、目を潤ませた。
「わかっていても、俺はどうしていいか、わからなかった。
 ありがとう。感激だ。」
部長は、根岸浩二をすぐに呼んだ。
「根岸さん。ユキさんが、こんなの作ってくれた。
 どう?ほら、次にやることの吹き出しが出て、教えてくれる。」

根岸は見た。キーを少し試しながら、
「はい、はいはい。ああ、これなら私にも使えそうです。
 なんてわかりやすい。ああ、感激です。ありがたい。」
と浩二は涙を見せた。
社員が集まって来ていた。
「わあ、すごい。これがはじめからあったらなあ。」
「ユキちゃんが作ったの?わあ、すげー、普通作れないよ。」

浩二は、ユキの手を両手でとって、
「ありがとう。あなたが天使に見えます。
 これで、もうパソコンが恐くありません。
 妻も安心します。」
と涙を浮かべて言った。

由紀夫は、うれしかった。
この喜びのためなら、6週間の作業など、なんでもないと思った。

昼休み、廊下の隅で、家に電話をしている根岸浩二の姿があった。
「そうなんだ。多分、俺のために作ってくれたんだ。
 大変な労力だったと思う。
 天使みたいな人だと言ったろう。その人なんだ。
 これで、俺はもう恐いものなしでやっていける。
 ありがたくて、涙が出た。
 好美にずいぶん心配をかけたと思う。
 しかし、もう、大丈夫だ。」

廊下の陰で、啓子は涙を浮かべて聞いていた。
そして、思った。
父の邦夫、そして、ユキちゃん。
この二人がいる限り、オフィスは安心。

「啓子さーん。先に行きますよー。」
と、ユキの声がした。」
「今行くー。」と啓子は言い、

なんだか、たまらなくうれしくなって、スキップを踏んだ。


<おわり>  
※次回は、「エピローグ」です。




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1. 無題

ラックさん、こんにちは。

今回のお話しも本当に楽しかったです。
私もパソコン苦手なので、由紀夫さんみたいな人がいてくれたら…
ユキちゃんは見返りを期待したりしないし、みんなを思っての心からの行動が素晴らしいですね。
相手の幸せが、自分の幸せというか…なかなか出来る事ではないと思います。

前のお話しのえちなシーンもドキドキ\(//∇//)\
楽しかったです。

2. Re:無題

>まみさん

コメント、ありがとうございます。
今回のお話は、短く終わるつもりで、どんどん長くなってしまいました。
新しい人物を考えると、早く終わるのがもったいなくなってしまって、ついつい書いてしまいます。
「楽しかった」と言ってくださって、うれしいです。

そうなんです。ユキは、相手の幸せが、自分の幸せとできる人物なんです。

途中、かなりえちな話を入れましたが、余分じゃなかったでしょうか。冷や冷やしながら入れました。

次のお話が思い浮かばなくて、今、七転八倒しています(笑)。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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