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女装小説家・菅野美雪⑩「二人の幸せ」最終回

今日で、第10話「最終回」です。終わりまで書けたことが、うれしいです。
ここまで、お付き合いくださったみなさま、本当にありがとうございました。

============================

次の日から、直子のメールが毎日来た。
「今日も女の子でした!」
このメールが、1週間毎日来た。
これは、いよいよ本物といえそうだ。美雪は、うきうきした。

その間、直子は学校には、行かず、
ジェンダー・クリニックで、「女性である」という診断書をもらった。
それをもって、戸籍の変更を申請した。
その結果、今までの性が誤りだったとして、
女性の性に書き換えられた。そして、名前の変更も行われ、直也は、直子になった。

両親は、学校へ行き、転校の手続きを願う際、
校長に、直子が受けたいじめの実態を知らせた。
しかし、一番悪かったのは自分達親であったという謙虚な姿勢を貫き、
学校を一切責めはしなかった。

その代わり、性同一性障害の理解を図るため、クラスで話をしたいと言った。
健三は、クラスで話をした。大勢の先生が、自分のクラスを自習にして見に来ていた。
健三は、その際も、一番悪いのは、親であったという姿勢をとり、
いじめたクラスの生徒達を責めることは、一切しなかった。

健三自身も、心と体の性が異なる体験をしたことなどを話し、
それが、どんなに辛く、たった1時間で、死ぬことを考えたことなどを語った。
直也は、その苦しみに17年間耐えてきたことを伝えた。
校長や先生達は、後ろで参観していて涙を流した。

健三の話は、生徒達の心に入った。
始め、女子の一群が、泣き始め、それが広がって、
クラス中が号泣を始めた。
そして、直也をいじめてしまったことを、
心から詫びる言葉を一人一人が述べた。



直子は、落ち着きのある、有名私立の女子高に転学した。
直子は、本物の女子になったのである。
自分の身体に劣等感をもつことは、何もなかった。

あのピンクの錠剤が本物であったことは、
まだ、ずっと女の子のままでいることで、証明されたようなものだった。

美雪は、ある日、直子にメールを出した。
「本物の女の子になっちゃうと、私の小説、全然面白くないでしょう。」
すると、直子は、
「それが、今までのクセで、先生の読むと、未だに興奮しちゃうの。」
と返事がきた。
わあ、うれしいと、美雪は、うふっと笑った。

*    *    *    *

あれから、3ヶ月半。12月23日。
通りはクリスマスの賑わいで活気付いている。

『こういうとき、一人は、かえってわびしいなあ。』
そう思って、美雪は、ジャンパーのポッケに、手を突っ込んで、
マンションへの道をぶらぶら歩いていた。
ときどき、道行く人へのサービスとばかり、
豪華な、イルミネーションを家の外に作っているところがある。
その奉仕的精神には頭が下がる。
一人者の心を温かくしてくれる。

冷たいマンションの部屋の中。
淋しい夜を女で過ごそうかな、
と、美雪は、青い薬を1錠呑んだ。
坂井ミユになった。

そうだ、あのおじさん、いるかなあと思った。
おじさんには、家族がいないかもしれない。
美雪は、おじさんのテントまで、白い息を吐きながら行ってみた。
すると灯りがついている。
美雪は、ちょっと引き返し、
スーパーの駐車場で売っている焼き鳥を多めに買った。
そして、スーパーで、一升ビンの酒とコップを2つを買って、
おじさんのテントの入り口をめくった。
おじさんがいるではないか。

「やあ、おじさん。」
「だれじゃったかな。べっぴんじゃの。」
「あたし。ピンクの薬を10円で買った。」
「おお、どうじゃった、ありゃ、本物じゃったかの。」
美雪は、やきとりを広げ、ビニールコップを出した。
「おじさん、一人でしょ。
 いい女と、一杯やんない。」
「おお、ええのう。わしゃ、孤独な老人じゃでな。」
「はい。」とお酒をコップにつぐ。
2人で、「メリークリスマス。」と言った。

やきとりを食べながら、
「おじさん。ピンクの薬、本物だった。
 一人の男の子を救えたわ。」
「おお、そりゃめでたいの。」
「あたし、わかったのよ。
 おじさんは、全部本物だとわかっていた。」
「なんで、そう思うんじゃ。」

「あたしが、始めに買った青と白の薬も、
 ふっかけたんじゃない。
 本物と知ってたから、5万円だと言った。
 本物なら、10万でも100万でも欲しがる人がいるもの。」

「ほう、それじゃ、わしは、正直者か。」
「そう、おじさんは、天下の正直者。
 そして、ピンクの薬。本物だって知ってた。
 10円であたしに売ってくれたのは、
 あたしが正直な人間と見てくれたから。

 自分で使わず、誰かを助けるために使うと
 分かっていたから。
 『性同一性障害』の言葉も、本当は言えた。
 おじさんは、人を使って、人を助ける。」

「ほうほう。ますます、わしは、善人じゃの。」
「そう、善人中の善人。」
「して、わしの正体は?」
「えへへ。夏にはわからなかった。
 今、やっとわかったわ。
 おじさんは、サンタクロースでしょ!」
「あははは、うぉふぉふぉふぉ。
 バレてしもうたか。」とおじさんは、高らかに笑った。

「でさ、明日はクリスマスイブ。
 おじさんは、忙しい。
 だから、今日来たのよ。」
「こりゃええわい。もう一杯くれんか。」
「はいはい。」
「周りが賑やに浮かれとるとの、一人身の淋しさが応えるわい。
 あんた、よう来てくれた。」
「あたしも、一人身でさみしいのよ。」
「あんたには、もうすぐ生涯の伴侶が訪ねてきよる。
 ちょっとの我慢じゃ。」

「ほんと?向こうから来てくれるの?
 おじさん、そんなことまで、わかるの?」
「忘れてもらってはこまる。わしの副業は、占い師ぞい。」
「サンタのおじさんの言うことなら信じる。
 ああ、楽しみ。」
「今夜は店じまいじゃ、あんたと飲み明かそうかい。」
「はい、はい。いきましょう。」
こうして、2人は、大いに盛り上がったのだった。



さて、女装小説家菅野美雪の生涯の伴侶が来る日を、
美雪は、片時も忘れたことはなかった。
明日か、明日かと待ち続けた。

一年と数か月が過ぎたある日、
桜の咲く頃、彼女はやってきた。

ピンポーンと鳴り、胸騒ぎがして、美雪はドアをあけた。
そこに、めちゃめちゃ綺麗な子が立っていて、目が笑っている。
美雪は、その子を中に入れた。
「だ、だれ?」
男の姿でいた美雪は、目を丸くして言った。
「あたしです。直子。」
「わあ、綺麗になって、どうしたの?」
「ちょっと、メイクしてます。
 高校を卒業しました。
 だから、先生のところにおしかけてきました。
 今日から、炊事、洗濯、掃除、全部やらせていただきます。」

直子を畳みの部屋に上げ、
「う、うん。うれしい。直子。直子だったのかあ。」
「ということは?」
「あのね。占いのおじさんが、言ってくれたんだ。
 生涯の伴侶が来てくれるって。」
「ピンポーン!あたしがお嫌でなかったら、
 先生と一生いっしょにいたいです。」
「わあ、やったあ。うれしい。バンザーイ。」
美雪は飛び上がった。
直子は、くすくす笑っていた。

「男の姿の先生もステキ。」
「そ、そう?ださくない?」
「目の優しさが同じです。」
「わあ。うれしー!」
美雪は、直子を抱きしめて、くるくる回った。

こうして、占いのおじさんは、
またもや正しいのだった。

直子と二人で、おじさんに会いに行った。
すると、おじさんは、テントごといなかった。



夜のベッド・タイムでは、青と白の錠剤を呑んで、
美雪と直子は、いろいろなバリエーションで楽しんだ。
金曜日は、変身の日として、美雪は、たいていアリアリの坂井ミユになった。
ナシナシ同士として、レズビアンを楽しんだり。

そして、不思議なことが一つ。
あの青と白のお薬。いくら呑んでも少しも減らないのだった。

おじさんは、やっぱりサンタさん。


<おわり> (次回は、未定です。)




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1. junが思うに

親が変わらなきゃ子どもゎ変わらない。

ラックさんのお話でゎ、親が考え方を自ら変えるからハッピーエンドになる。
「自分たちが間違っていた、自分たちが悪い」
どこの家庭でも、親がこんなふうに素直になれたらいぃのにナって思いました。

人のせいにしたり、人を責めてたりしてたらいつまでも変わらない!

そう思う。

涙を流すことゎ恥でも何でもない。

今回健三が恥とかそんなことを考えず、真剣に話をしたからこそ、聞いている人みんなの心に響くものがあり、直也に対して申し訳ないって気持ちになれたんだと思う。


P.S.
長くなってしまいましたが、まだ書きたいので続けて書かせてください。

2. とっても素敵なハッピーエンド♪

jun、今までのエンディングの中で今回のお話のエンディングが一番好きかも。

junも、もう一度あのおじさんに会いたいと思ってたんだよ。

そしたら、美雪、ちゃんとおじさんのところに足を運んだ。
junも、そうしたと思う。

だから、その分、junとってもうれしくなりました。


もひとつ。
ラックさんが、こぉいうエンディングを用意しなかったら、jun、ラックさんにリクエストしようかな、って思ってたんです。
「美雪と直子の絡みを書いて」って。

そしたら、結婚って形で2人が結ばれるなんて、これ以上ないハッピーエンドぢゃないですか(≧▽≦)

P.S.
jun、また「女性化する薬」のお話を書きたくなりました~(///∇//)

3. Re:junが思うに

>junさん

うれしいコメントをありがとうございます。

学校のことも、やはり解決しておかなきゃなと思いながら、どうしようかなと思っていました。

健三は、本心で、自分がいちばん悪かったと思っていて、学校にも、生徒達にも、その姿勢で話をすれば、伝わるかなと考えました。
相手を攻めるような口調が少しでも出てしまうと、相手は反発するし、ここは、徹底して、相手を攻めないことにしました。

それを、junさんにも共感をいただいて、ほっとしています。
お互い、自分が悪かったという気持ちでいれば、多くのことは、解決しますよね。

4. Re:とっても素敵なハッピーエンド♪

>junさん

今回のエンディング、一番かもと言ってくださって、うれしいです。⑨で一応解決でしたが、それで終わっては、少し暗いなと思っていました。
そこで、junさんが、始めの①が、テンポがよくてよかったと言ってくださったことを思い出して、じゃあ、占いのおじさんかなと思いました。だから、占いのおじさんの再登場は、junさんのお陰です。

美雪と直子が、メールだけで、もう会わないというのは、もったいなさすぎますよね。で、どうせなら「生涯を共に」にすることにしました。
直子の理解者として、美雪は一番の人物だし、美雪のやさしさを一番知っているのは直子だし、ということで、二人はめでたく…ということにしました。

junさん、創作意欲が、ふつふつでしょうか。
あの、お父さんが娘さんになるお話は、まだ未完ですよ(笑)。
junさんの文体は、とても読みやすくて、情景が目に浮かんで来るので、とってもステキです。ときどき「号外版」として、部分的にでも発表されると、みなさん、喜ばれると思います。私も喜びます。

5. こんばんわ(^○^)

>ラックさん
私も素敵なエンディングは気に入りましたょ*\(^o^)/*
私の伴侶さんは占い師さんにこの占い師さんに聞きたいです(^○^)
良いエンディングは良いね

6. Re:こんばんわ(^○^)

>美咲ちゃん

コメントうれしいです。
エンディングを気に入ってくださって、
うれしいです。
こんな占い師さんがいるといいですよね。
私、青い薬ほしいです。

7. 無題

今回のお話もとっても楽しかったです

こんな素敵なサンタさんがいてくれたらいいなぁって思います


8. Re:無題

>まみさん

コメントありがとうございます。

楽しかったと言ってくださり、うれしいです。

そうですよね。私もサンタさんに会って、
青い薬ほしいです。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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