女装小説家・菅野美雪⑤「GID安井直也」

明日、用があり投稿できませんので、明日の分を今投稿します。
今日このシリーズを終わりまで書きました。すると、今までで、最長のものになってしまいました。
本日登場する男子・安井直也のことについて最後までつづきます。がんばって書きました。最後まで、お付き合いくだされば、こんなにうれしいことは、ありません。

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例の薬を買って1週間後、美雪は、
またあの占いのおじさんのとこへ行ってみた。
そのときは、坂井ミユになっていた。
テントに灯りが点いている。
テントの幕をくぐって入った。
おじさんが、いるではないか。
「わあっほう!」と美雪は叫んだ。

自分で勝手にイスに座った。
「お久しぶり。」と美雪は言った。
「はて、誰じゃったかの。」とおじさんは、きょとんとしている。
「あたしよ。青い薬と白い薬を30万円で買って行った。
 見て、お陰で、いい女になれたわよ。」
おじさんは、目を丸くした。
「なんと別ぴんじゃの。なら、あの薬は本物じゃったか。」
「あらあ?ニセ物だと思って売ったのお?」
「あはは、まあまあ。」とおじさんは、ごまかし笑いをした。

「でさ、あたし、6セットも買ったけど、毎日呑んだら
 あの数では、3年以内になくなってしまうと計算したの。
 でね、一生女でいられるお薬ないかどうか、聞きにきたの。」
「その気持ちは、虫メガネを使わんでも分かるの。」
「あるの?」
「ある。」
「えええ?!!」と美雪は乗り出した。
「今見せよう。」
おじさんは、小さな細長いプラスチックケースを出した。
紫のビロードの台座の上に、
おごそかにピンクの錠剤が5つ並んでいる。

「わあお、今度の薬は、特別扱いじゃない。」
「じゃろう。いかにも効きそうじゃ。」
「一生女にしちゃうのね。」
「そうじゃよ。」
「一生男にする薬と間違えてないわよね。」
「男にするのは、これじゃ。色が青じゃ。」
「ピンクと青。トイレみたいに間違えないわね。」
「そうじゃ。」
「買う、いくら?」
「10円でいい。」
「一生よ。10円なの?」

「あはは。実は、あんたに前売った薬は、
 わしが、マーケットで6セット600円で仕入れたんじゃ。
 本物かニセ物か、知らずにな。
 それを、1セット5万円とあんたにふっかけてみたらさ、
 あんた、買いよった。
 そのあとわし、良心がとがめての。
 こんなわしでも、良心はあるんじゃよ。
 で、あんたが、もう一度来たら、このケースの薬を、
 10円で売るつもりだったんじゃ。」

「1セット100円のものを、5万円で!
 ふふ、おじさんもワルじゃのう。」と美雪はおじさんを見て、にやりと笑った。
「しかし、ケースの薬が本物じゃったら、5人の子を救えるじゃろう。
 ほれ、性同一なんとかいう男の子をのう。」
「性同一性障害。おじさん、お年のわりに知ってるね。」

「青と白のは、もうないの?」
「ない。せいぜい節約しながら、使っておくれ。」
「じゃ、10円ね。」と美雪は、10円を出し、立った。
「その薬が本物かどうか、わしゃ知らんからな。」
「ダメ元、ダメ元。」
美雪は、そう言って、おじさんのテントを出た。

100万円を用意してきた美雪だった。

この薬が本物かどうか。
自分で試すわけにはいかない。
美雪は、一生男がいいと思っている。
ときどき女になるのが楽しい。
女になってしまったら、女装の楽しみがなくなる。
しかし、今日のピンクの薬。
持っているだけで、楽しみ。
くくくっと美雪は笑った。



美雪が、ピンクの薬を手に入れたことを知るかのように、
運命の矢が、美雪に放たれた。

翌日、美雪の本を出している秋風書房から電話があった。
電話は、編集長の鳥居からだった。
「菅野美雪先生、ご在宅ですか。」
「はい。私です。なんですか、編集長直々に。」と美雪。
「えーと、それがですね、
 今ここに高校生の子が来ているんですよ。
 かなり思いつめていて、明日にも死ぬ覚悟だというんです。
 でも、死ぬ前に、一目尊敬して止まない
 菅野美雪先生にお会いしたいと言うんです。

 見たところ女の子になりたい青年で、親も学校の先生も、
 だれも自分を理解してくれない。
 学校のいじめも、ひどいらしく、でも、家庭に理解がないので、
 不登校をさせてもらいない。
 昨日、道路の陸橋から飛び降りようとしたけど、
 菅野先生に会ってからと
 思いとどまったとのことなんです。
 彼に、菅野先生の住所と電話番号を教えて、
 訪ねさせていいでしょうか。」

「はい、わかりました。お待ちしてますと言ってください。」
「安井直也という子です。」
「はい、OKです。」
 
わあ、これは大変と美雪は思った。
男の子の命がかかっている。
その子にとって、憧れの自分は、
綺麗なお姉さんであった方がいいと思い、
青い薬を呑んだ。
今は、3分で効くことが、わかっている。

オシャレ服より普段着がいいと思った。
水色の袖なしの木綿のワンピース。
部屋のごちゃこちゃの資料を片付けた。
自殺を覚悟した子だ。
何か甘い物を買ってこよう。
ケーキ屋さんで、ジャンボ・シュークリームを4個買った。
(一人二つ。)
ああ、暑い中来るんだから、
冷やしたタオルがいるな。
冷蔵庫に濡らして巻いたタオルを入れた。

もういいかなと、6畳の真ん中に小机を出して、彼を待った。
ふと、自分は、なかなかいい人間だなと思った。

やがて、ピンポーンと鳴った。
美雪は、すぐにドアを開けた。
顔を見せたのは、背は、160cmくらいの可愛い男の子だ。
髪は普通の長さ。
リュック型のスクールかばんを背負っていた。

「あのう、菅野美雪先生のお宅でしょうか。」と安井直也は言った。
「そうですよ。直也君ね、あがってください。」
美雪は、そう言って、直也を小机の座布団に座らせ、
冷蔵庫のタオルを取りに行った。

「先生は、今いらっしゃらないんですか?」と直也は聞いた。
「ええ、今ちょっとね。」と美雪は、
すぐに「私です。」とは、なぜか言えなかった。

「はい、冷たいタオルよ。」
「ありがとうございます。ああ、気持ちいい。」
と直也は言った。
「菅野先生は、美雪ってお名前だけど、男性ですよね。」と直也は聞いた。
「ええ、そうよ。先生女装が好きだから女名前なの。
 あ、あたしは、坂井といいます。」美雪は名乗った。
「ぼくは、安井直也です。」と彼は言った。
「女の子になりたいのよね。女装じゃなくてGIDさんよね。」
「はい、そうです。」

直也は、学校の制服を着ていた。
堅苦しいだろうと思った。
「直也君に、女の子の服もってくるね。」
美雪は、そう言って、女の子の下着一式と、
赤に白の水玉のワンピースを出して渡した。
「わあ、いいんですか。」と直也は目を輝かせた。

お風呂場で着替えて来た直也は、まるで女の子だった。
「今時暑いけど、髪を少し長くしましょう。」
美雪は、直也をドレッサーに連れていき、
ショートのボブへヤーのカツラを被せた。
直也は喜んでいた。
その姿で、直也は完璧に女の子になった。
「これから、自分のこと、『あたし』って呼ぶのよ。」
「はい。あたし、心の中では、いつもそう呼んでいるから、使えます。」

美雪は、直也を観察しながら、この子は心の奥まで女の子だと思った。
仕草や表情、全てが女の子だ。
「坂井さんは、すごくお綺麗ですね。モデルの坂井ミユさんに似てます。
 あ、苗字も同じだ!」
と直也が言った。
「え?知ってるの、坂井ミユ。」
「ファッション雑誌『CaMie』のモデルさん。
 あたしの好きなモデルさん、ベスト3です。」
「そうなんだ。あたし、ミユちゃんほど、綺麗じゃないわ。」
「ううん。お姉さん、同じくらい綺麗。
 ドアを開けてもらって、お姉さん見て、胸がキュンとしました。」
「直也君は、女の子なのに、キュンとするの?」
「しますよ。女の子でも、可愛い子や綺麗な人は大好きです。」

「ふーん、そうなんだ。あ、シュークリームがある。」
美雪は、急いで取りにいった。
「一人2個よ、食べられるでしょう。」
「わあ、うれしい。」

2人で食べていた。

そのうち、直也の目が潤んできて、直也が泣き出してしまった。
「先生のお宅で、こんなに温かくしてもらって、うれしい。
 それなのに、自分の家で、くつろげないのが、悲しい。
 学校は、地獄。だれも助けてくれない。」
その後、たくさん辛いことを口に出した。
美雪は、目が潤んでしまい、直也の後ろに行って、
直也を背中から抱いた。ずっと抱いていた。


つづく(次回は、「直也、青い薬を呑む」です。)




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1. 無題

junも一生男がいい。
「ときどき女になるのが楽しい。女になってしまったら、女装の楽しみがなくなる。」といぅ美雪と同じ。

それなのに「毎日呑んだら、3年以内になくなってしまう。一生女でいられるお薬ないかどうか、聞きにきたの。」と言い、そのときからすでに人のために使おうと思ったんですね。
たとえ100万円かかったとしても。

junにゎできないこと。

まだまだjun、人のためにといぅ気持ちにかけてます(*v.v)。
そんなjunだからラックさんのお話を読むととっても心が洗練されるよぉな思いになるんです。

P.S.
アドわかりました?

2. Re:無題

>junさん

コメントありがとうございます。

私も、junさんや美雪と同じです。男、ときどき女がいいです。

そうなんです。美雪は、人のためにと思って、一生女でいられる薬を、100万円払ってでも、買いにきたんです。そのへん、きっちり読んでくださって、すごくうれしいです。

junさんは、「人のために尽くす人」の代表じゃないですか。junさんほど、面倒見のいい方は、少ないと思っています。おそらく、会社では、いい上司なんだろうなと思っています。

PS
あどですが、わかったのですが、アンダーハイフンを打てなくて、停滞してます。あれ、いっつも出せないんです。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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