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春果を包むやさしいクラス①「春果は女の子だ」

このお話は、意地悪な人は、一人もでてきません。
安心してご覧になれます。

============================

泉が丘中学校は、各学年1クラスしかない、小さな学校だった。
坂田晴美(男子)は、中学1年。
子供のときから、女装の趣味があった。
学校でも、ときどき女の子の真似をして、みんなを笑わせた。
背は低くて前から3番目。
髪の毛を伸ばして可愛い顔をしていたので、女の子に見えた。
成績はよくて、学年=クラス45人中でいつも1番を取っていた。
運動も好きで、昼休みは、必ず友達とサッカーをしていた。

そのクラスに、六月に転校生が来た。
たった1クラスしかない学年なので、
転校生が来ることは、大事件だった。
みんな、どんな子が来るか、心から楽しみにしていた。

朝、先生の後についてきたその転校生は、
顔立ちが女の子のようだった。
女の子なら、さぞ可愛いだろうと思われた。
長髪にしていて、髪がさらさらとしている。
顔立ちだけではなく、何となく身のこなしが女の子っぽい。
背は、高い方だった。

先生が紹介して、その子立原春果(男の子)は、挨拶をした。
「立原春果です。女の子みたいな名前ですが、男です。
 どうか、よろしくお願いします。」
そういう、春果の声は、変声期は過ぎたと思われるのに、
女の子のような声だった。
みんなが、拍手をした。
そのとき、春果は、特別温かい眼差しで、
自分を見ている生徒の存在を感じていた。

立原春果は、本当に女の子のようだったのである。
座っている姿勢がよく、動作、仕草の一つ一つが、女の子なのだった。

初めは男子達が、昼休みに、サッカーに誘った。
春果はついていったが、行くだけで、自分は、そばの木にもたれて見ていた。
「見てるだけじゃ、つまんねえだろう。やろうぜ。」
とAが声をかけたが、いえいえと手をふって、辞退していた。
そのときも、春果は、自分を温かく見ている眼差しをどこかに感じた。

男子は、3日、昼休みに春果を誘ったが、春果はいつも見ているだけだったので、
悪いと思って、もう誘わなくなった。

それから、昼休みや、中休み、春果は、いつも教室に残って、
本を読んだり、絵を描いていたりした。
そのとき、春果は、温かい眼差しの本人が分かった。
一人いる教室に、髪の長い女の子のような男子が、同じように教室にいた。
その子は、春果と目が合うと、にこっと笑った。

春果のそばに、
ときどき女の子が、集まり、絵を見て、
「うまーい。」
などと騒いだりすることがあった。
しかし、春果は無口で、にこっとするだけだった。

そのころから、男子、女子が集まり、
「春果、女の子説」というのがささやかれた。

みんながあつまり、小声で、言い合っていた。
「春果は、訳があってさ、女の子なんだけど男の格好してるんだよ。」
「なんのために?」
「それは、わからねえ。だって、春果はどう見ても女の子だぜ。」
「トイレも、立ってしてるのみたことねえ。
 必ず、個室入る。」
「え?そうなの。でも、春果まだ胸出てないわよ。」
「お前だって出てねえじゃん。」
「ま、失礼ねえ。」
「あは、ごめんごめん。」

「春果の仕草とか、動作は、完全に女だよな。」
「それは、同感。」
「春果の声は、変性期前の少年の声じゃない。
 お前らと同じ、変性期後の女の声だ。」
「するどいな、その分析は。」
「そんな、感じがする。」
「だから、春果は、ほとんどしゃべらないのよ。声で、女ってバレる。」
「そうかあ、そうに決まってる。」

「ズボンだって、男のふくらみがないと思わねえか。」
「そうだ。体育のジャージも、女の子みたいに、あそこが膨らんでねえ。」
「あたし、字も見たの。春果の字は、女の子文字だよ。」
「可哀相にな。何か事情があってさ、女の姿ができねんだ。」
「これからさ。春果は女の子だと思って、無理させるのはなしだ。」
「言葉に、気をつけろよ。傷つけるような言葉は、なしだ。」
「わかった。」
みんながうなずいた。

(春果は、いつも自分の男の証がいやで、それを股の後ろに回し、
 きつめのショーツを履き、その上からトランクスを履いていた。
 だから、ジャージを履いても、女の子のように見えたのだった。)

ここで話したことは、クラスの春果以外の全生徒に密かに伝えられた。

こんなふうに、泉が丘中1年の45人は、男女とも、
希に見るような、やさしい生徒の集まりだったのである。

掃除当番で、春果が重たい水の入ったバケツを運んでいるとき、
力持ちの男子が来て、
「俺が持つ。」
と言って、すっと春果のバケツをもっていく。

黒板消しを、はたいていて、
制服が粉だらけになっているとき、
「オレに任せろ。」と言って男子が代わってくれる。

女の子達は、自然に「春果」と呼び捨てにする。

ある昼休みのこと。
一人でいる春果のそばに5人の女子が来て、
「あたしたち、今、好きな男の子を、絶対内緒で、言い合ってたの。」
「久美子はさ、森泉くん。瑠奈は、大川君。」
 みんなその度、キャーキャー言っていた。
紗枝が好きな男子を、みんなに教えた。
「きゃー、ほんと!うそー。」などと言っている。

「じゃあ、次、春果よ。」とB子がさりげなく言う。
「あたし?」と春果は、両手で自分の胸に手を当てた。
そのとき、女子達は、バチバチっと目を合わせた。
『春果が、自分のこと「あたし」って言った。』
『やっぱり女の子。証拠をつかんだ。』
目のバチバチは、その意味だった。
だが、5人は、何食わぬ顔である。

「そう、春果も言うの。」
「うーんとね、あたしは、坂田晴美君」と春果は言った。
「おおおお。」と5人は言い、
「まだ、なんとなくよ。話ししたこともないし。」と春果は言った。

「どうして、坂田なの。そりゃ、アイツ可愛いけど、とっぽいよ。」
「あたし、女の子みたいな男の子、なんとなく好きなの。」と春果。

春果は、自分が、「あたし」と自分を呼んでいることに、少しも気がついてなかった。
それに、これは、女の子同士の話であることも気がついてなかった。

「うん、坂田は、女の子みたいではあるね。」

そんな風に、春果は、その休み時間、
5人の女の子たちと、ガールズ・トークをしてしまったのだ。
5人は、何事もなかったように、
「じゃあ、またね。」と解散した。

その後で、春果は気がついた。
あのとき、自分の心は、完全に女の子になっていて、
自分をつい「あたし」と言ってしまったこと。
好きな男の子まで、言ってしまったこと。
気がついて恥ずかしくなり、うつむいて真っ赤になっていた。

自分を「あたし」と呼ぶ男子を、あの人達はどう思っただろう。
でも、その5人が後で、からかいにきたり、
男子に言いふらしたりすることは、なかった。

『ひょっとして、ここは、ものすごくいいクラスなんじゃないだろうか。』
と、春果は思った。


つづく(次回は、「春果のいきさつ」です。)





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1. 無題

児童たちの優しい雰囲気が伝わってきました。

春果ゎこの新しい環境で心を開いていくのかナ。

明日の記事も楽しみにしています。



ところで

以前から気になっていたブログのタイトル。
「遥かなる想い」でjunが知っているのゎかぐや姫の同名の歌。
関係あるのでしょうか?
教えてください。

ラックさんの大ファンより

2. Re:無題

>junさん

コメントありがとうございます。
そうなんです。
春果は、このクラスで、トラウマを克服します。
と言っても、あっさり書いていくつもりですので、
3話くらいで終わります。

「遥かなる想い」、かぐや姫の歌に同名のものがあるのですか。全然知りませんでした。
というわけで、関係ないです。
今、カーペンターズにもそんな歌があったような。調べてみます。
情報ありがとうございます。

3. 第一話を読んだだけでも

ラックさん、こんにちは

第一話を読んだだけでも、
とても暖かい気分になりました。

いつもはちょっと主人公が最初は悲しい思いをする・・・
そんなところから物語が展開するから、
いい子ばかりだとどんな話になるんだろう?って思います。

第二話に行ってまいりまーす。

4. Re:第一話を読んだだけでも

>みすりんさん

コメントありがとうございます。

私は、主人公にちょっとでも辛い思いをさせるのが、辛いので、こんな、いい人ばかりの物語を書きたくなります。

こんなクラスがあったらなあという希望をもって書きました。そんなに、物語性はないのですが、
第3話ですっきり終わりたいと思っています。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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