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オーロラ姫は男の子⑤「本格推理小説・出版」最終回

2回に分けようと思いましたが、切れ目がなく、少し長いのですが、
一気に最終回です。最後まで読んでくださると感激です。

==============================

それから、3週間。
文庫本にして、200ページほどの本格推理小説
『1つを2つにするな(仮題)』
の原稿を、有希は若葉出版の朝倉のいるデスクに「はい。」と置いた。

「おお、早いなあ。」と朝倉は、目を輝かせた。
その日は、朝倉の妻の法子がきていた。
「大森有希、オーロラがペンネームです。」
「まあ、可愛い方だわ。
 あなたが来てくださってから、
 主人は、お金の苦労がなくなったって、大喜びですの。」
と法子が笑いながら言った。

「そう。オーロラは、若葉出版の救いの女神なんだ。
 ずっといてくれよ。」と朝倉。
「はい。昔から、若葉出版しか頭にありませんでした。」と有希。
「どうして?」と法子は聞いた。
「小学生のときから、本屋さんで、いいなあと思って推理本を取って見るたび、
 若葉出版なんです。いいものしか出さないって感じでした。
 もし、若葉出版が出版してくれたら、
 それは、あたしの『最高』の勲章だって思ってきました。」と有希。
「あなた、うれしいお言葉だわ。」と法子が優しい目で言った。

朝倉編集長は、いよいよ『1つを2つにするな』の読みに入った。
法子と有希は、心配そうにソファーから朝倉を見ていた。
とくに、有希は、緊張で心臓が飛び出しそうだった。

朝倉は、途中なんどもニヤニヤと笑い、また大笑いをし、
それから、ものも言わず、集中読みに入って行った。
ときどき、上を見て、ぶつぶつ言ったり、紙に何か書いたり、
そのうち、にゃっと笑い、それが満面の笑顔となり、
最後のページを閉じた。

「オーロラ。」と行って朝倉は立って、机の前に来た。
そして、手を出した。
朝倉は握手をし、そして、両手で有希の手をとり力を込めて、
「傑作だ。すばらしい。完璧だ。法子、喜んでくれ。
 今、世紀の大傑作トリックが誕生した。」と言った。

「よかったわ。あなたが読み終わるまで、寿命が縮みましたわ。」
「編集長、ほんとですか。新しいでしょうか。」と有希は聞いた。
「ああ。2つの密室での同時殺人は、見たことがない。
 考えたくても、まず不可能だ。それを、オーロラはやった。

 犯人を2人と考えたいが、1人なんだ。
 だから表題は、『1つを2つにするな』なんだな。
 この題でいいと思う。
 推理のミスもなさそうだ。
 前作の笑いやユーモアも入れ、ほのぼのとした恋愛も入れ、
 そこに、マニアを驚嘆させる世紀のトリックだ。
 天才少女加奈も実に魅力的。脇もしっかり描かれている。
 オレは今、長年この仕事をやってきて、本当によかったと思っている。
 オーロラ、ありがとう。」
朝倉は、言った。
有希は、うれしくて涙が出た。
法子が、そっと有希の肩に手を添えた。



朝倉と有希の二人で、念には念をいれ、
推理のミスがないか何度も調べた。
そして、確信に至った。

そして、前作から7週間後。

『オーロラが放つ本格推理小説「1つを2つにするな」
 2つの密室で行われた同時殺人。しかし、犯人は1人。
 前人未踏のトリックを解き開かせるのか、天才少女加奈!』

こんなキャッチ・コピーを下げて、
書店にうず高く積まれた。
表紙は、今度も今野英明だった。
前作の150万部突破というのは重く、
今回は、今野自らが、是非イラストをしたいと申し込んできたのだった。

前作の実績で、初版は、80万部。

推理小説マニアたちの間で、騒然となった。

毒舌推理小説評論家で作家を誉めたことのない権藤永吉は、
オーロラの作品を読んだ。そして、言った。
「おのれ、朝倉。これをけなしたのでは、オレの評論家人生は終わりだ。」
そして、こう書いた。
『本書は、推理小説界における財産である。
 このトリックは、世界初であろう。まさに、驚嘆に値する。』

酷評家の権藤にして、この書評である。
今回は、どの推理小説評論家も、絶賛の嵐だった。

本を読んだ人は誰もが、唸り、そして、爽やかな読後感に包まれた。

本は売れに売れ、1週間で、100万部を突破した。
予約の数も入れ、200万部突破は、確実となった。
また、海外でも翻訳され、多くの国で販売され、絶賛された。
本の総売り上げは、過去に例を見ないものとなった。

「オーロラ、どうしよう。
 もう一生仕事しないで、よくなったよ。ビルにでもするか。」と朝倉は言った。
「だめですよ。このオフィスは古いまま、狭いまま、編集長は1人。
 社員のような人1人。それ以上絶対大きくしないでくださいね。」とオーロラは言った。
横で、朝倉の妻法子も、
「オーロラさんに、賛成。私も、今のままの事務所が好きだわ。」と言った。
「実は、オレもそう思ってる。」と朝倉は言い、3人で笑った。



「お父さん、お母さん、はい、これ。」
と有希は、父と母に1冊ずつ、本を渡した。
「実は、待てなくて、本屋さんで買ってしまったの。」
と母は、すでにある本を見せた。
「恵子、ずるいぞ。オレは会社で読めなかったぞ。」
「あなた、ごめんなさい。」
「で、お母さん、どうだった?」と有希は聞いた。
「あたし、天才を産んだと思ったわ。」と恵子。
「そんなによく書けてるの。」と父の五郎。
「天才って言ったじゃない。」と恵子。

「あの夢は、本当だったのかもしれないね。」と五郎はいった。
「あたしも、そう思った。」と恵子。
「だから、ペンネーム、オーロラにしたの。」と有希。
「有希のお金、すごくなったでしょう。
 でも、家には回さなくていいからね。有希が好きにつかって。」と母は言った。
「うん。法律のことは、これからなんだけど、
 GIDのために使いたい。
 例えば、手術の基金にするとか。
 性のマイノリティの人達のセンターを作るとか。」
「それは、いいね。お父さんは応援するよ。」
「うん。ありがとう。」有希は言った。



8時ごろ、典子ママの店に言った。
「まあ、オーロラさん。出版おめでとう。」とママが言った。
有希は、二人にサイン本を渡した。
「実は、待てなくて、もう買って読んじゃったんだけど、いただくわ。」
とママが言った。
加奈が、
「もう、トリックのところ、感動して体が震えちゃった。
 もう、ほんとすごい。日本の推理小説の歴史に残ると思う。」
と言った。
「あのう、典子ママと、加奈さん、つい実名使っちゃったんです。
 すいません。」とオーロラが言った。
「いいのよ。本名は、二人とも別にあるから。
 それより、お店の名前や場所も書いてくれたでしょう。
 毎日、高校生たちがわっと訪ねてくるの。
 とくに、加奈なんか、大変な人気で、サイン攻め。
 あたしもね、サインさせてもらってるけど。」とママ。

「あたしのこと、あんなにステキに書いてもらって、
 どうしようかと思ってるの。」と加奈は笑いながら言った。
「ほんと、天才少女加奈、ステキよね。
 映画化されたらさ、加奈本人が出るのが一番よ。」とママ。
「あたしもそう思います。映画化のお話は、まだないんですけど、
 あたし、加奈さんの、考えてる時の表情がたまらく好きで、
 そこ、書きたかったんです。」とオーロラ。

「このご本は、GIDの人や、女装子や、マイノリティーの人が、
 普通に出てきて、そえぞれ魅力的じゃない。
 あたし、世の中の人のあたし達を見る目が少し変わる気がする。」とママ。
「あたしも。そういう意味でも、すごい価値ある1冊だと思う。」と加奈は言った。

夜のお客さんも、大入り満員で、客がとだえたことがないと言う。
ママと加奈は、うれしい悲鳴をあげた。

学校に行って、今度も夏樹一人に、サイン本を渡した。
「親友 夏樹洋子さんへ。」
と書かれていた。
夏樹は泣いた。
「あたしのこと、親友と思ってくれてるのね。
 うれしい。」
と言って、夏樹は、有希に抱きついた。

職員室でも、騒ぎになっていた。
ある男性教師が、
「この作者のオーロラは、我が校の生徒ですよ。
 主人公が、『希望の森学園』のことを、
 2度も語っています。」
「ほんとだね。これは、うれしい。
 これで、我が校は、一躍有名になるな。」
と校長始め、みんなが喜んだ。

*   *   *   *  

ある日、学園の正門のそばの大きな木の下で、
有希と夏樹は、椅子を出して座っていた。
二人は、大きな紙でプラカードを作っていた。
「GIDの人LGBTIの人、
 カムアウトして、友達になりましょう。」

「だれか、来てくれると思う?」と夏樹が言った。
「来てくれるまで、何日でもがんばろうよ。」と有希は言った。

そのうち、一人が来た。眼鏡をかけた小柄な女の子。
「わあ、オーロラさんですよね。
 オーロラさんの本を読んで、カムアウトする気になったんです。
 上月さち子、GIDです、どうぞよろしく。」
と彼女は言った。
「わあ、やった。お友達になろう。」有希と夏樹は言って、握手をした。
また一人来た。
背の高い子だった。
「あたし、オーロラさんの本読んでて、GIDであることを、
 そんなに引け目に感じなくなりました。
 小池由布子です。仲間に入れてください。」
次は、男の子が来た。
「FtMでも、いいんでしょう。
 オレ、高橋真吾。よろしく。もう隠してるのやんなっちゃったから。」
「ああ、うれしい。」と有希はいった。

「ね。みんなで、バンド組まない?
 楽しいと思うけど。」
「有希、推理小説やめるの?」と夏樹。
「やめないよ。でも、フリーな時間は、いっぱいあるもの。」と有希。

「いいね、それ。オレやりてー。ドラムやれるよ。」と真吾。
「あたし、ベースやれる。」と長身の小池が言った。
「あたし、パーカスなら、小学校のときからやってます。」と上月。
「えへん。実は、あたし、ギターやれるの。」と夏樹。
「ほんと、全然知らなかった。」と有希。
聞いてみると、みんなそれぞれ得意な楽器があった。
「ね。有希は何かできるの?」と夏樹が聞いた。
「あたし?楽器は全部できます。ボーカルも。」
 そして、作詞・作曲ができまーす!」と有希はうれしそうに言った。
おおおおおとみんなが言って、拍手した。

上月さち子が、ハンカチを出して、泣き始めた。
「どうしたの?」と背の高い由布子が、さち子の肩に手をかけた。
「うれしいの。あたし今まで、ずっと劣等感持ってたの。
 表向き女の子だけど、女の子達に本気で馴染めなかった。
 みんなをだましている気がして、罪悪感があったの。
 でも、あたしのこと完全に分かってくれる人達に会えて、
 もう、一人じゃないんだって。うれしいの。ありがとう。」
さち子は、そう言った。
「オレもそう。上月さんの言うこと痛いほどわかる。」
と真吾は言った。
みんな、それぞれ、涙を浮かべた。

メンバーは、最終的に8人になった。
FtMの子が2人になった。
みんな、今日会ったばかりの人達とは思えなかった。
いっぺんで、心が通った。
有希は、夏樹と二人で、やってよかったねと言い合った。

有希は、今度は、一番得意な音楽で、
メンバーと共に活躍していく。

そのお話は、またの機会に。


<おわり>




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1. 無題

ラックさんの書くお話ゎ書店に並んでいてもjun、きっと買っていると思う。
ラックさんの本が出版されてベストセラーになったらなぁ。。。
そしたら、ラックさん、junにサイン本くださいっ!
junの宝物にするっо(ж>▽<)y ☆

ラックさんゎご謙遜なさるかもしれませんが、今回のお話も楽しく読ませていただきました。
70代、80代になってからも活躍される作家ゎいらっしゃるので、ラックさんもこれからでも執筆活動を始められたらいぃのに。

あ、今日のお話の具体的な感想がまだでしたw

今日のお話ゎ長かったのでどの部分を切り取っても素敵だったんですが、一番好きだったのゎ有希が稼いだ印税を自分のためぢゃなく、GIDの人たちのために使いたいって両親と話をしてたところ。

今回の作品の中で、junの自分にないものを持つ有希にいろいろ教わりました。

有希さんに
「バンド活動頑張ってください」って伝えていただけたら嬉しいです。

2. Re:無題

>junさん

おはようございます。
うれしいことを、いっぱい書いてくださって、ありがとうございます。
ベストセラーになったら、junさんへ1番に、サイン本をお贈りします。

今回も、まあまあだったでしょうか。それなら、うれしいのですが。80歳代になっても、書けたらいいなと思います。でも、今60代で、ネタが浮かぶことを神様に感謝しています。仕事をしていると、これ絶対無理なんです。
junさんは、お仕事の傍ら、毎回企画のある記事を書いておられるのは、すごいと思っています。

GIDの人のための基金なんかができたら、いいなあと思っています。女になるって、永久脱毛などを含めて、1000万円はかかると思っています。そのお金を作るために、GIDの人の仕事は限られてきますよね。
性マイノリティの人達のセンターも私の夢です。
実現できないので、せめてはと、お話に書きました。

有希のバンド編をいつかかきたいです。
バンドの知識があまりありませんので、そのときは、junさん頼りになってしまいそうです。よろしくお願いします。というより、物語にjunさんをモデルにした人物を登場させたいと思っています。
有希に、junさんの声を伝えておきます。

3. こんばんわ*\(^o^)/*

>ラックさん
私もベストセラーになったらIFの事だけど二番目にちょうだい
今回のは好きな話だょマイノリティセンターあれば私も行くだろうなぁ
ってか欲しいょ*\(^o^)/*
おにゃの娘なりたい私も言うの怖いから言えないの;^_^A
今回のも面白かったです~

4. Re:こんばんわ*\(^o^)/*

>美咲ちゃん

コメントありがとうございます。
性のマイノリティセンター、あったらいいですよね。外国には、ずっとまえからあるんですよ。
そこで、発言して、みんな励まし合っていました。
日本にもあるといいですよね。
おもしろかったと言ってくださって、うれしいです。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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