オーロラ姫は、男の子①「有希、高校生になる」

「オーロラ姫は、男の子」

初めての赤ちゃんが、明日にでも産まれるという夜。
大森五郎、恵子は、布団の中で祈った。
「どうぞ、ステキな赤ちゃんが生まれますように。」

二人は、その夢を明け方に見た。
「眠れる森の美女」のシーン。
妃に抱かれるプリンセス・オーロラ。
姫の誕生祝いに、国中から王子達が訪れ贈り物をしていく。
そして最後に、幾人かの妖精が、一つ一つプレゼントをする。
「お姫様には、たぐい希な美しさを。」
「お姫様には、たぐい希な美しい声を。」
「・・・たぐい希な、芸術の心を。」
「・・・たぐい希な、賢さを。」
・・・・・・
・・・・
何人の妖精が、贈り物をくれただろう。

朝、目覚めて五郎と恵子は、夢のうれしさにお互いに夢を語った。
すると、二人の夢は、全く同じものだった。
五郎と恵子は、何か、運命的なものを感じた。
そして、オーロラ姫のような美しい姫の誕生を思った。

その日の昼に陣痛が来た。
病院の分娩室に運ばれる恵子。
廊下で、うろうろする五郎。

やがて、元気な赤ちゃんの産声を聞いた。
「おかあさん、おめでとうございます。
 元気な男の子ですよ。」
恵子は、そう言われて、「あ、そうか。」と思った。
オーロラ姫のことばかりイメージしていて、
男の子の可能性を少しも考えていなかった。
我ながらと思い、くすっと笑った。

すぐ後で、五郎も、生まれた赤ちゃんを見せられ、
「元気な男の子ですよ。」
と言われ、「あ、そうか。」と思った。
男の子が生まれるとは、少しも考えていなかった。
我ながらと思い、くすりと笑った。

赤ちゃんは、「有希(ゆうき)」と名づけられた。



5年生になるまで、有希は、全く普通の子供だった。
とくに得意なものはない。勉強も運動もふつう。
ただ、どこか不思議な雰囲気があって、
それは、いつも堂々としていることだった。

夫妻は、あの眠り姫の夢のことなどほとんど忘れていた。
だが、2つのことが、普通の子供ではなかった。

一つ。有希は2年生のとき、
髪を女の子のように伸ばしたいと言い出したこと。
夫妻は、それを許した。

もう一つ、3年生のときに、
「ぼく、家にいるときは、女の子でいたいから、
 女の子の服を着させて。」
と自分から言い出したことだ。
そういう言葉を有希は、なんのためらいもなく堂々と言うのだった。

五郎と恵子は納得した。
あの夢では、「姫」へのプレゼントだったのだ。
じっさい、有希は、女装の方がよっぽど似合っていた。
有希は、まるで、女の子のように可愛く愛くるしい顔立ちだった。
有希は、家では、女言葉を話すようになった。

あの夢のように、有希が、非凡な才能をみせたのは、5年生のときだった。
大森家には、恵子が持っていたピアノがあった。
有希には、ピアノを習わせていなかったので、
そのピアノは、ほとんど眠ったままだった。

ある日恵子は、懐かしさに、埃をかぶったピアノの蓋を開け、
自分が大好きな「乙女の祈り」を弾いていた。
そこへ、有希が学校から帰ってきた。
有希は、母のピアノを聞いていた。
母は、演奏を止めた。
「お母さん。『乙女の祈り』好きだったの?」と有希が言う。
「よく、曲名を知っているわね。」と恵子は言った。
「あたし、弾けるよ。今のお母さんの聞いていたから。」
「うそーー?」と恵子は笑った。

「多分だけどね。」有希はそう言って、母と代わった。
そして、見事に弾くのだった。
しかも、うっとりするように、美しく。
曲の全部を有希は弾いた。

「うそ。有希、どうして弾けるの?」と恵子は聞いた。
「この曲、好きだったから、学校で1曲特訓したの。」
(それは、ウソだった。有希は聞いて初めて弾いたのだった。)
「それでも、すごいわ。」と恵子は言い、あの日にみた夢を思い出した。
「たぐい希な芸術の心を。」と妖精が言った。
そして、このことを、一刻も早く、夫五郎に伝えたいと、うずうずした。

有希が、天才を見せたのは、その一回だけだった。



6年生になって、夫妻は、有希にパソコンを買い与えた。
有希は、すごく喜び、パソコンに熱中した。

そして、ある日、夕食の席で言った。
「お父さん、お母さん、あたし、性同一性障害だと思うの。
 あたし、中学からは、女の子として生きたいから、
 あたしを、ジェンダー・クリニックに連れて行ってくれない。
 性同一性障害って診断をもらえたら、あたし女子として中学行けるから。」

「そんなこと、何で調べたの。」と五郎は驚いて聞いた。
「うん、インターネットで調べたの。
 似たテストをいくつかしてみたら、全部『女子』として結果が出たの。
 ただ一つ、あたしは、男の子に恋をしないから、そこだけは、違うけど。
 実は、ジェンダー・クリニックもいいところ見つけてあるんだ。」
有希は、すらすらと言った。

五郎と恵子は、舌を巻いた。
自分達より、有希の方が、数段しっかりしているように思えた。

有希は、GIDの診断書をもらった。
そして、自分を誰も知らない学校へ行きたいと私立中学・高校を探して来た。
そこは、「希望の森学園」。大学のように広いキャンパスを持った学校だ。
学園は、徹底した自由の校風で、制服はなし。
中学生でもメイクOK.
先生は生徒を徹底して、叱らない方針。
授業中の生徒の出入りも自由。

おもしろい授業なら、生徒はついて来るはずだという考えで、
先生は、毎回、すばらしい授業をする。

そして、何より、有希を驚かせ、感激させたのは、
トイレに、男女の別がないことだ。
「仕切りをするから、お互い禁断の場所になる。
 仕切りを取り去れば、共有の場所と考える。」
実際、その学校のトイレは、ただ「トイレ」との表示があり、
男子トイレ、女子トイレが存在しない。

有希は、こここそ自分の求めていた学校だと確信した。



4年後。

有希は、その日の授業が終わり、
枯葉の散る木の下のベンチで秋の空気を吸っていた。
もこもこっとした茶のセーターに、こげ茶の膝までのスカート。
リュックを背負っている。

有希は、高校1年になった。
髪は、背中まで伸びた。よく手入れされた、さらさらの髪。
4年間のホルモン治療で、有希の胸はCカップくらいになった。
背は、162cm。ピップも豊になり、
目を見張るような美少女になった。


つづく(次は、「初めて書く推理小説」です。)




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1. 無題

jun、女の子の格好に憧れたのゎ幼稚園の時。
はっきり覚えてる。
ここに書くと話が長くなるから書けないけど。

でもjunにできなかったのゎ、この有希のように「女の子の格好がしたい」って言えなかったこと。

だから
うらやましぃ。

junも家の中だけでも女の子の格好が出来ていたら、どんなにうれしかったか。。。


P.S.
新しいプロフ画素敵ですぅ(≧▽≦)

一度、ラックさんの写真を特集して記事を書いてほしぃです~(*゜▽゜ノノ゛☆

2. Re:無題

>junさん

コメントありがとうございます。

私も物心ついたときは、女装したいと思っていました。チンドン屋さんに行けば、女装させてくれると思っていて、チンドン屋さんの家の前を何度往復したかわかりません。

家族には言えなくて、だから、今回ははっきり願いを口にする主人公にしてみました。
でも、でもです。第2話が書けなくて、今日は、何回も書きなおして、結局全部没にしました。(明日かけるかなあ…なんです。)

プロフ画を誉めてくださって、うれしいです。
これは横浜の中華街で、25歳くらいだったと思います。
「写真を特集して」なんて言ってくださって、うれしいです。でも、特集するほど、ありませんので、ちびちび小出しにやってます(笑)。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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