続・女塾⑥「ライブ前10日間」

ライブの会場と日にちが決まった。
チケットは1万枚売れると予想し、
大阪で1日2500席、次の週末、渋谷で、2日間2000席×2。
そして、同じく渋谷で、追加公演をする予定だった。

会場が決まると、
大滝は、2日で両会場用の台本を書き、美術・舞台効果の方にも手を回した。



事務所の中。
大滝は、出来たてのライブ台本をJunとジュリアに渡した。

「Junは、音楽監督だから、私の考えた曲目、自由に入れ替えていいし、
 全体の音楽構成を自由に変えていいよ。」
大滝は、Junにそう言った。

大滝の台本の中に、ジュリアとJunが、2台のシンセを並べ、
シンセを前に座って、
話しながらカバー曲を歌うコーナーがあった。

「悠子、見て。こんな楽しいコーナーがあるよ。
 悠子と僕とで、二人でお話しながら、自分の好きな曲、1曲ずつカバーできる。」
「うん。ここ楽しそう。Junの歌の上手いところ披露するチャンスだよ。」
悠子は言った。
それは、大滝の目論見でもあった。

それから、Junの忙しさは、殺人的なものになった。
バンド曲が、7曲ある。これのバンドの楽譜を全部書かなければならなかった。
そして、新曲も3つ用意する。

しかし、Junは何とかやりこなし、
12月10日、大阪ライブの10日前になった。

チケットは、11月10日の発売と共に、即日に完売した。
ジュリア・ファンの多くがチケットを手に入れることができなかった。

悠子とJunは、家族や友達を招待できるように、招待チケットを10枚もらっていた。



悠子は、クラスで仲良しの好美、悦子、江里菜の3人をライブに招待するつもりだった。
そこで、東京公演の12月17日・土曜日の夜は、空けておいてくれるように、前から言っておいた。
悠子は、3人がだれもジュリアのライブのチケットを買えなかったことを知っていた。

その日の昼休み、悠子とJunは、3人を体育館の裏に呼んだ。
3人を前に、悠子は言った。
「3人に、あたしとJunが出るライブのチケットもらって欲しいんだ。
 できたら、当日来てくれるとうれしい。
 だから、12月17日空けといてって言ってたの。」悠子は言った。
「わあ、ライブやるの、すごい。だから毎日二人で早く帰ってたんだ。」
と、悦子が言った。
「うん、そう。」悠子は言った。
「これ。」そう言って、悠子は3人に細長い封筒に入ったチケットを渡した。
「それ、招待チケットだから、スタッフonlyの入り口から入れるの。」
悠子は言って、Junと顔を見合わせた。
3人は、チケットの封筒から、チケットを出して、目を丸くした。
「これ、ジュリアのライブじゃない。すごい。ほとんど手に入らないよ。」
と、好美が言った。
「悠子、これに出るの?コーラスか何かに入れたの?」江里菜が言った。

「ボーカルだよ。」と悠子は言った。
「どういうこと?」と3人は言った。
「3人にだけは、正直に話すね。他の人には、絶対の秘密だよ。」
悠子は、そう言って、結んだ左右の髪をほどき、眼鏡をはずした。
「わあ、悠子、綺麗。」
「こんなに美人だったの。」
「知らなかった。」
と3人は言った。
「誰かに、似てない?」と悠子は言った。
3人は、じーと悠子を見た。
そして、同時に声をあげた。
「ジュリア、ジュリアに似てる。」
「え?もしかして、わあ~、もしかして。」
「悠子は、ジュリアなの?ジュリアが悠子なの?」
「うん、これまで隠して来てごめん。そうなんだ。」
「わあ、わあ、わあ、大変。」
「うそー!うそー!」
と3人は口々にいった。

「じゃあ、あたしたち、ジュリアとお友達なの?」
「毎日、ジュリアと遊んでいたわけ。」
「うん。」悠子は言った。
3人は、大興奮した。
「わあ、わあ、すごーい。感激!」
と言って、3人は、悠子に抱きついた。

「で、淳一は何なの?」と悦子が聞いた。
「あたしの曲を作詞してる『Jun』って、淳一君なの。」悠子は言った。
「じゃあ、CDのジャケットに出てる、魔女のキキは、淳一なの?」江里菜が言った。
「はい、そうでーす。」と淳一は言った。
「Junは、バンマスだし、ライブの音楽監督で、えらいのよ。」悠子は言った。
「わあー、知らなかった。淳一すごい。」悦子が言った。
悠子は、髪をまた2つにまとめて、眼鏡をかけた。

教室に帰りながら、
「ああ、みんなに言いたい。私達のクラスにジュリアがいるよって。」と好美が言った。
「だめ。それだけはやめてね。」と悠子。
「うん。3人だけの秘密にする。親や兄弟にも言わないから。」と江里菜。

こうして、昼休みは過ぎた。
東京ライブまで、あと17日だった。



ライブ前、最後の日曜日、
体を休めるために、OFFとなった。
悠子は、Junと共に、まだ行ったことのないJunの家に挨拶に言った。
家族みんなが、ジュリアがくるということで、
どこへも行かずに待っていた。

悠子は、クリーム色のワンピースを着ていた。
Junに案内されて、父が車椅子でいるリビングに通された。
「みんな、ジュリアだよ。」とJunは言った。
中学の妹の美紀と由希は、「わあ~!」と声をあげた。
悠子は、みんなに挨拶をされ、挨拶を返した。
車椅子のJunの父建治は、あまりうまくしゃべられずにいた。
悠子は、父建治のそばにいき、ジュータンに膝をついて、
建治に挨拶した。

「ジュリア、本当の名は、悠子です。
 淳一さんがいないと、私は、曲が作れませんでした。
 淳一さんに感謝でいっぱいです。」
と、建治に言った。
建治は、何度もうなずき、「ありがとう。」と一言をやっとの思いで言った。
「お父さんも、ライブに来てくださると聞きました。
 淳一さんと二人で、トークをして歌うところがあります。
 そのときは、淳一さんを近くでご覧になれると思います。
 私もがんばります。」
悠子は、言った。
「…たのしみです。がんばってね。」
と、建治は、言った。
ほとんど話さなくなっている父が、言葉を言おうとしている姿を見て、
母の百合子や妹の美紀と由希は、少し涙ぐんでいた。

それから、ソファーのテーブルを囲んで、
楽しくおしゃべりをした。
ジュリアが来て花が咲いたように、明るくなった。
美紀と由希は、初め遠慮をしていたが、
その内だんだん慣れてきて、たくさんしゃべるようになった。
父建治は、発作を起こしてから、何かと塞ぎがちだった。
その父が、楽しそうに笑顔でいた。
Junは、それが何よりもうれしかった。


つづく(次は、「ライブ」です。)
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ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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