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続・美雪と瞳⑥「コンクール前夜まで」

長々続けております。次の次が、最終回の予定です。
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございます。

================================

九月から3週目の土曜日。
美雪は、G大の横山教授が研究室にいる日なので、
隣の教室で、ピアノの練習をしていた。
瞳も、この日たいてい研究室にいて、教授の書類の整理をしていた。
その教室のピアノは、演奏会用の最高級のもので、普通ならめったに弾けないものだ。
そのピアノで弾けることは、美雪にとって、この上ない幸せだった。

美雪は、主に「ハンガリア狂詩曲2番」と「幻想即興曲」を弾いていた。
美雪は、「幻想即興曲」をもう少し速いテンポで弾きたかった。
その方が、聞く人の情感に訴える気がしたし、自分をもっと表現できる気がした。
そのためには、ものすごく速い指使いが要求される。

速さを意識し始めてから、かなりいい線まできた。
しかし、目標までもう少しだった。

「瞳君。」と横山教授は言った。
「はい?」と瞳。
「君の仮説はあたっていたね。」教授。
「美雪のことですか。」瞳。
「高校に行き始めて、早、3週間で音が変わった。」
「はい。そうですね。」
「ハンガリア狂詩曲の方だと、音のメリハリが出て、明るく、聞いていて気持ちがいい。」
「同感です。」
「『幻想即興曲』の方は、スピードに挑戦しているね。」
「はい。その方が情感に訴えます。」瞳。
「君が、教えたわけじゃないのだろう。」教授。
「はい、美雪が自分で思ったことだと思います。」
「その通りなんだよ。いい感性をしている。
 あれが、完成したら、コンクールの出場を誘ってみよう。
 コンクールの資料、集めておいてくれる?」
「はい、喜んで。」
「美雪くんに上達を誉めるのは、彼女が自分で『やったー!』と思えるまで待とう。」
「賛成です。」と瞳は言った。



美雪の「やったー!」の日は、その3週間後に来た。
10月の中旬だった。
その日、教授と瞳は、教室の椅子で聞いていた。
美雪は、すごいスピード感のある「幻想即興曲」を弾いた。
『弾けた!』心で思った。
うれしさで、天井を見上げた。

そこに、二人の大きな拍手があった。
美雪は気がつき、飛んできた。
「美雪君。やったな。こう、たまらなく情感をかき立てられる演奏だった。
 どこに出しても、恥ずかしくない。そこでだ。」
と教授は身を乗り出した。
「コンクールに出てみないか。」と言った。
「あたしがですか。」と美雪。
「そうだとも。瞳君が調べてくれた。
 KHKが主催の『全国ピアノ・コンクール』というのが、11月末にある。
 瞳君は、すでに優勝しているので、出ないがね。
 今の美雪くんは、瞳君に引けをとらない。どうかね。」
「はい。出たいです。」
「よし。これで、楽しみが増えた。詳しいことは、瞳くんから聞きたまえ。
 学校には、私から、連絡をしておくから。」
教授は、にこにこして、席を立った。

瞳から説明を聞いた後、美雪は飛んで家に帰った。
そして、父母に真先に報告した。
母早苗は歓喜した。
「あのK響のピアノコンクールなのね。
 教授がOKを出してくださったの?
 ああ、お母さん、うれしくて気絶しそう。」
「そんなにすごいコンテストなの?」と靖男が言った。
「もう一つ全日本国際音楽協会のコンクールっていうのもあるの。
 それと、同格のコンクールなの。
 でもK響の方は、『年齢枠なし』という部門があって、ここで優勝した人は、
 実質日本1っていうことになるの。」
「それは、すごいね。でも、すごい子が大勢出てくるんだろうね。」と靖男。
「当然そう思うけど、あたしは、他の子の演奏も聞きたいし、
 とにかくそういうところへ出てみたい。」
美雪は言った。
母は涙ぐんで言った。
「外に出られなかったあなたが、今はみんなの演奏を聞きたいだなんて、
 お母さん、うれしいわ。出られるだけで名誉なのよ。」
「うん。」と美雪は答えた。
美雪は、胸の内側から、闘志が湧きあがってくるのがわかった。



コンクールは、予選があり、人数が絞られ、本コンテストに望める。
美雪は、選曲に迷っていた。
そこで、瞳に電話をしてみた。
瞳はこう言った。
「『ハンガリア狂詩曲』で、勝負。10分の時間枠ぎりぎり。
 で、優勝できたら、優勝者の演奏がその場であるのね。
 そこで、『幻想即興曲』を弾いて、聴衆を完全に魅了する。
 こんなのどう?」
「瞳、あたしが優勝すると思っているの?」
「思ってるわよ。教授が、美雪のことあたしと同レベルって言ったじゃない。
 あたしは、すでに優勝しているんですからね。」
「ありがとう。そうするね。
 なんだか、優勝者の演奏の方に身が入ってしまいそう。」
「あはは。それでいいの。それ、大事だから。」
瞳はそう言った。

予選は、全国各所で行われた。
小学生の部、中学生の部、高校生の部、大学・大学院の部。
それぞれの部で、順位が決められ、順位の高い演奏者の順に、
年齢枠なしの部門に希望できる。
柔道でいう「無差別級」のようなものだ。
予選で、1位、2位になった演奏者は、
ほぼ全員、年齢枠なしの部門を希望する。
また、小学校に満たない子も出場してくる。
過去に、5歳の子が優勝した例もある。
ここで、優勝すれば、事実上日本1ということになるからだ。
このシステムが、あることが、KHK「ピアノコンクール」の魅力だった。

美雪は、高校生の部の予選において、2位を取った。
そして、「年齢制限なし」の部の出場者の資格を得た。
母早苗は、美雪を抱き締めて、喜びを表した。

大会は、3日にかけてKHKの中ホールで行われる。
座席数1500。
小中学生で、一日。高校・大学で一日。
3日目に、年齢制限なしの部だけが行われる。
3日目の、出場者は、18人であった。

大会まで、あと2週間。
予選で第一位は、私立ナンバー1・桐邦学園高校の男子だった。
加納公平という名を美雪は忘れなかった。
ラフマニノフの超難曲を弾いた。驚くべき演奏だった。

美雪は、「ハンガリア狂詩曲2番」。
会場でどんなにあがっても、他のことに気が散っても、
目隠しをしても、意識を失っても、指だけはちゃんと動くという段階まで練習していた。
しかし、桐邦学園の加納公平に勝つには、もう一つ何かが足りないと思っていた。
瞳に聞いても教えてくれるはずはない。
横山教授と同じ方針だから。
自分で見つけるしかない。

美雪は、それを、とうとう大会当日まで、見つけることができなかった。


つづく(次は、「美雪の開眼、そして演奏」です。)
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1. こんにちわヾ(@⌒ー⌒@)ノ

この2曲良いょね私も好きな2曲だょ
良いょねで本物の2曲が記事に乗ってるの良いねd(^_^o)
続き気になるょ楽しみにしてますねd(^_^o)

2. Re:こんにちわヾ(@⌒ー⌒@)ノ

>美咲ちゃん

こんにちは。
私もこの2曲好きなんですよ。
美雪がどんな曲を弾いているか、ちょっとYouTubeから借りてきました。
あと2回で最終回です。
ハッピーエンドは、間違いなしですので、
安心して読んでくださると、うれしいです。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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