スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

美雪と瞳④「美雪、教授の前で弾く」最終回

瞳は、美雪と両親の許可を得て、横山康孝教授に、美雪のプライベートなことも伝えた。
「そう。GIDの学生は、この大学にごろごろいるよ。
 瞳君のようにね。」
と教授は言った。
そして、教授は、両親同伴で来て欲しいと言った。



ようやく、教授の前で演奏する日が来た。
瞳は、美雪の両親へのカムアウトの日から、
自分も決心し、女性として大学に通い始めていた。

午後の4時が約束の時刻だった。
父靖男は、仕事を休んで同伴した。

美雪は、新しい服をたくさん買ってもらったのか、
その日は、赤いワンピースだった。
とても、似合っていて可愛かった。

教授の研究室に訪れた。
日本で屈指のピアニストであり教授であるのに、
教授の研究室は、片付けが全くなされていなかった。
教授は私服を着ていて、
極めてフランクな人柄だった。

美雪の両親が挨拶をしようとすると、
「いや、お父さん、お母さん、私は1秒でも早く美雪さんの演奏が聞きたい。
 昨日は楽しみで、眠れなかったくらいなんですよ。
 隣が、小さい教室になってますので、早く移りましょう。」
と早口で言った。
早苗や靖男は、先生の人柄にほのぼのするものを感じて、目を合わせて微笑んだ。

隣の教室には、正面の低いステージの上に、演奏会用の最高級のピアノがあった。

「美雪さん、ショパンの夜想曲第2番あたりどうだね。」
と教授は、美雪に言った。
「はい、ノクターンですよね。暗譜しています。」
と美雪は言った。
そして、正面のピアノへ歩いて行った。

教授と3人は、後部の椅子に横に並んで座った。

やがて、静かに美雪の演奏が始まった。
瞳は、美雪のよさが最高に表現される選曲だと思いうれしかった。

美雪は、ピアノに深く入り、まるで美しい夜に一人想う自分を表しているのだろうか、
演奏に、しっとりとした色合いが出ていた。
天下の教授が聴いているというのに、あがったり、緊張している風はまるでなかった。
教授はだまって、ときに演奏に合わせてうなずいたり、首を揺らしていた。

美雪の演奏が終わった。
みんな、教授の反応を祈るような気持ちで待っていた。
美雪が来ると、教授は立って、大きな拍手をした。
美雪がうれしそうな顔をした。
みなも立った。
美雪が来ると、教授は、満面の笑顔で、早苗と靖男に言った。
「美雪さんは、宝石ですなあ。」
美雪も、両親も、瞳も顔がほころんだ。
「研究室のソファーに移りましょう。」
と教授に言われ、部屋に移った。
教授は、真先に美雪に聞いた。
「美雪さん。演奏してみてどうだった?」
「ピアノがすばらしくて、始めの音を弾いたら、もううれしくなってしまって、
 いつの間にか音に包まれて、最高に幸せな気持ちになり、いつまでも弾いていたいと思いました。」
美雪は言った。

「ふーん。私達が聴いているというのに、集中力があるんだね。」
と教授は言い、両親に向かって言った。
「立原君が、美雪さんのことを何べんも誉めるんですよ。
 私は楽しみでなりませんでした。
 そして、今日願いが叶った。
 さっきも言いましたが、美雪さんは、宝石です。
 宝石だから、まだ磨ける余地はたくさんありますよ。
 しかし、宝石であることに違いはない。
 実に、心に沁みる演奏を今日されました。
 人に聞かせる音を出せますね。
 いいですなあ。」と。

早苗は、天にも昇る気持ちだった。
「教授のお言葉を伺って、感無量です。」と言った。

「こうしませんか。」と教授は言い、
「週に1度でも、2度でも、この私の部屋に遊びに来ませんか。
 いつ私が入るかは、立原くんに後で伝えます。
 授業じゃありません。遊びに来るだけです。
 ピアノは、さっきの教室ので、自由に遊んでけっこうです。
 もちろん、私も、遊びに聞いたりして、
 いいと思ったところを2、3言うこともあるでしょう。

 授業料なんかいりませんよ。遊びですから。
 要するにですなあ。私は、ライバルの大学に、
 美雪さんを取られたくないんですよ。」
そう言って高らかに笑った。
「教授、それ、名案ですね。」と瞳は言った。
「まあ。」と早苗は、目を潤ませた。
「ありがとうございます。」と靖男も言った。

教授は、
「高校ですが、全然人に知られていないのですが、
 この大学の付属音楽学校として高校があるんですよ。
 小人数で和気あいあいとした学校です。
 美雪さんは、すでにNHK学園に在籍していますから、
 編入という方法があります。
 希望されるのであれば、私がお世話します。

 立原くんがいうのですが、美雪さんには、クラスメートとの交わりや、
 楽しい学校生活の経験はあってもいいのじゃないかと。
 私も、反対ではありません。
 しかし、NHK学園を卒業することも、
 それなりに、意義のあることです。

 それと、プライベートなことも伺いましたが、
 病院か、ジェンダー・クリニックへ行って、
 一度診断をお受けになった方がいいと思います。
 GID(性同一性障害)の診断書をもらえれば、
 学校では、その生徒を正式に女子として扱えます。
 もちろん他の生徒には、知らされませんよ。
 体育は女子として、トイレ、更衣室も女子として、
 堂々と使えます。もちろん女子の制服でね。
 その診断書は、ずっと使えますので、大学でも通用します。

 立原くん。このくらいでいいかね。」と教授は瞳に聞いた。

「はい。教授としては、花丸です。」
と瞳が言ったので、みんなで、和やかに笑った。



帰り道。
いちばん喜んでいたのは、早苗だった。
手を広げてくるくる回っていた。
「ああ、幸せだわ。こんなうれしい日はないわ。」と早苗は言った。
「あの教授、ぜんぜん威張ってなかったね。」と美雪が言った。
「そうだねえ。なんか、立原先生に子供扱いされてたね。」と靖男は笑いながら言った。
瞳は言った。
「だって、あの先生、聴いてはくれるんですよ。
 でも、何にも教えてくれないんです。
 欠点は、自分で見つけ、自分で克服せよとのお考えです。
 でも、私達が自力で克服したときは、すかさず誉めてくれるんです。
 そのときのうれしさったらありません。
 だから、みんな教授のこと大好きなんです。」

大学からの道は、長い下り坂だった。
家々の景色が遠くまで広がってみえる。
美雪は瞳と目を合わせ、胸一杯に息を吸った。


<おわり>

※最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
 次ですが、この続編を書きたいと思うのですが、まだ何も書いていません。
 また、ここに何かあったら、読んでくださるとうれしいです。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

1. こんにちわヾ(@⌒ー⌒@)ノ

最終回は良かったですd(^_^o)
昨日読めなかったのでまとめて読みましたょd(^_^o)
良いラストでした
この続編楽しみにして待ってますねm(_ _)m
また無理しないで下さいね
待ってますからd(^_^o)

2. Re:こんにちわヾ(@⌒ー⌒@)ノ

>美咲ちゃん

読んでくださって、ありがとうございます。
今回はあまりおもしろくないのでは、と思っていましたので、お言葉うれしいです。
ちょっと、休んで、続編かけたらなあと思っています。

3. 早く続きが…

早く読みたいです。
クラッシックはTFMで朝5時からよく聞いて仕事を(運転してます)してます。
なんか落ち着くんですよね。
ピアノとかは弾けませんが音楽は好きでした。
あわて泣いでくださいね。
次の作品を楽しみにしてます。

4. Re:早く続きが…

>ゆな ちゃん

コメントありがとうございます。
私はクラシックはあまり詳しくないので、
ちょっと苦しい思いをしています。

続編、ぼちぼち書いて行きますね。
ありがとうございます。

5. とても優しい空間に包まれて。。

読後の気持ちはこんな感じでしょうか、こういう気持ちになれるのって好きです~
誰もが思いあっていて、人の気持ちに素直になれる。。
現実はそう出ないことも、求めなければ得られないことがあることも知っているが故にこういうシチュエーションに憧れます。
マイノリティはとかく差別、いじめの対象になることも知っています。。
だからこそその思いやりが必要なのでしょうね。
ここではその思いやりがとても自然で自分が女の子で良いんだということをうまく導いているところが好きです。
今回の私のお気に入りは
瞳が美雪を男の子から女の子に変身させるところです。ドキドキしてしまいました。。

6. Re:とても優しい空間に包まれて。。

>麻耶さん

いつも、ありがとうございます。
コメントをいただけると、とてもうれしいです。

ほんとに、世間は世知辛いことが多いので、私は、物語の中だけでも、いい人ばかりであって欲しいと思っています。
思いやる場面がうまく書けると、私自身、幸せな気持ちになれます。(なかなか上手く書けないんですけど。)

いつも、「お気に入り」を言ってくださって、うれしいです。女の子への変身場面は、書いていて私自身一番幸せになれます。相変わらず少女趣味なので、お姫様やお嬢様ルックばかりになってしまいます。お姫様ルックは、私の永遠の憧れです。

7. 無題

やっとの週末になり、コメする(心理的)余裕ができました。

今回の作品もラックさんの愛情のこもった優しさにあふれる作品で、junゎ心が和みました。

昨日から始まった作品ゎこの続編といぅことでわくわくしながら読ませていただきます。

jun

8. Re:無題

>junさん

コメントありがとうございます。
junさんは、気を使うお仕事をなさっていそうですね。週末ほどうれしいものは、ありませんね。

続編をやっと書き始めました。
今回は、悪い人、意地悪な人、嫉妬深い人など一切登場しないというコンセプトで書いています。現実は厳しいので、せめて、物語の中だけでも、安心して読める物が書ければなと思っています。読んでくださるとうれしいです。

9. おはようございます

今頃、遅いコメントになってしまいました。
ごめんなさい。

音楽の世界って、絵の世界と違って外交社会です。

外からみると、とっても華やかなのですが、
その実はドロドロした欲望が渦巻く世界でもあります。

横山教授のような人柄の先生が本当にいたらいいなぁ・・・
いや、ちっとも教えてくれないなら、私は困りますね・・・
いやいや、それ以前に私なんか生徒にとってくれませんね。

きっと横山教授は才能と自分で欠点を克服していける力を持った生徒さん、
それを見抜く力があるんでしょうね。

次回作もすでに発表されていますが、
これから読んでいきますね。


10. Re:おはようございます

>みすりんさん

コメントありがとうございます。
今、次の作品を書いて、一休みしています。
音楽の世界はどろどろした世界で、大学と言う世界そのものが渦巻いてしていますよね。
美雪は、そんな思いを体験させたくないので、横山先生のような、実力だけでいるような人物をつくりました。
続編も思いの他長くなってしまい、申しわけない限りです。
今すごく、ネガティブな話を書いてしまったので、投稿は止めようと思っています。

コメントくださって、うれしいです。
ありがとうございました。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

リンク
最新記事
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧

自己女性化愛好症

御中根 蕗菜 です

女装子動画 Japanese crossdresser porn

enma’s blog

瞳のセルフヌード

毎日が日曜日

女装子&ニューハーフのペニクリ&アナルマンコ

MadameM【秘密の手帳】

川*´v`*川し

復讐の芽 ***藤林長門守***

橙の電車
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。