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私立男子高「開明学園」のミユとリリ⑤「ミユの最後の言葉」最終回

えー、私の計算違いで、最終ページまで、普段の3倍の9ページもあることに気がつきました。でも、途中で切るところがなく、思い切って、一挙に投稿します。長い「最終回」ですが、読んでくださるとうれしいです。

===============================

次の日の放課後、ミユとリリは、担任のところに行き、
江藤と、友里のことについて、全てを話した。
そして、証拠となる、3枚のCDを聞かせた。

担任のN先生は、すぐに校長に話して、CDを聞かせた。
分かったと校長が言い、校長は女子学園園長に電話をし、
関係の全保護者と本人を開明学園に来てくれるよう要請した。
園長どうして、3枚のCDという証拠があることは、最後まで伏せて置くことにした。

集合の時間は、会議室、夜の7時だった。
校長は、保護者に、停・退学に関わる重要ことだと言ったらしく、
ミユとリリ以外の全ての親は、夫婦同伴で来ていた。
両校の副校長や教務主任も同席し、
総勢15人で、会議室は一杯になった。
女子学園園長は、少し太目の50歳代の女性であった。

ミユとリリの保護者は、地理的に遠く、欠席だった。

江藤と友里の親は、子供から何をどう聞いたのか、憤慨のようすだった。

校長は、挨拶をして、説明を始めた。
『えー、ここにいます、志村幸一さんと大野雅文さんですが、
 ご覧のように、性同一性障害(以下GID)があります。
 よって、戸籍上は男子ですが、学校としては、女子と見なしています。
 
 また、二人は、学業成績が大変優秀であり、1年生のときから、
 二人とも、学年で3位以下を取ったことがありません。
 大変な秀才です。
 
 このうちの志村さんに対して、
 学年で第3位をキープしています江藤淳一くんが、
 一昨日、女子学園高校で、成績が1番の女子ということで、
 立木友里さんを紹介しました。

 これより、志村さんから聞いたことを申しますが、
 会って二人は、カラオケにいき、
 志村さんは、友里さんから性的行為の誘惑を受け、
 「いやだ」と何度も拒んだにかかわらず、
 志村さんにとっては、体の最大の劣等感である、
 男子の証を露出され、そのまま性行為を受けたとのことでした。

 志村さんは、このことに不振なことが多く、
 もういちにち友里さんに会う約束をしました。
 そして、2日目も、カラオケに行きました。

 そこで、立木友里さんが告白したところによると、
 当学園の成績第3位の江藤淳一くんが、
 目の前のたんこぶである、志村さん、大野さんが仲たがいをすれば、
 成績ががた落ちし、自分が、第一位になれると企てたそうです。
 そして、立木友里さんを志村さんに誘拐させ、
 志村さんと大野さんの仲を引き裂くことを、考えたとのことです。
 以上です。
 では、友里さんからも、説明してください。

友里:
「私は、開明学園のトップの人に憧れていましたから、
 友達の江藤くんに頼んで、紹介してもらいました。
 そして、カラオケに行きましたが、
 そんなセッ・クスみたいなことは、何もしていません。
 二人で、おしゃべりして、歌って帰っただけです。
 そして、すごく気が合って、次の日も会いました。
 この日も楽しくさよならしました。
 そのどこがいけなかったのか、今、全然理解できません。」

校長「志村さんには、あなたを女子学園高校で成績ナンバー1と江藤君は紹介したそうですが、そんなことがありましたか。」
友里「いえ、成績のことなんて一切言っていません。」
校長「なるほど。何もなかったということですね。」
友里「はい。そうです。」

校長「では、江藤くんに説明してもらいましょう。」
江藤:
「ぼくは、志村君がいつも大野くんといっしょにいるので、
 少しは、友達の輪を広げた方がいいと思って、
 立木友里さんを紹介しました。
 それだけです。あとのことは何も知りません。」

校長「志村さんのGIDを知っていますね。どうして女子を紹介したんですか。」
江藤「それは、GIDの人は心は女子なので、女の子同士がいいかなと思いました。」
校長「江藤くんは、友里さんに、志村さんとのセッ・クスに成功したら、
   5万円のお礼をすることになっていると聞きましたが。」

このとき、江藤の父親が、怒鳴った。
「そんなことするわけないでしょう。なんの証拠があって言ってるんだ。」
校長「分かりました。ここは引きましょう。
  他に、お言葉のある方はいますか。」

立木友里の母親が手をあげた。
眼鏡をかけた、以下にもきつそうな人だ。
「なんですか、聞きますに、志村さんと大野さんは、
 休み時間も、口・づけをしているというじゃありませんか。
 そんなふしだらな生徒さんの言葉と、
 家の娘の言葉のどちらを信用なさるんですか。」

校長「では、立木さんは、カラオケにおいても、
   セッ・クスなどとんでもないというご意見ですね。」
立木「もちろんです。とんでもありません。」
校長「友里さん。カラオケでセッ・クスをしたことがありますか。」
友里「ありません。そんなこと一度も。」
校長「他に何かいい足りないことがありますか。」

一同、意見は出ず、シーンとなった。

校長。
「では、申し上げます。志村さん、大野さんは、
 性同一性障害という重篤な障害者であることは、
 ご承知いただきましたね。
 障害者は弱者と言えます。
 弱者である志村さんは、そのカラオケ店において、身を守るために、
 特別な道具を使わねばならなかったことも、ご理解願いたいのです。

 志村さんは、江藤くんから紹介したい子がいると言われたとき、
 大変な身の危険を感じたと言っています。
 何か大きな嫌がらせをされる。
 されたときの、自分の立場を守るものを携帯して行った。
 これは、障害者として、許されることです。
 これに、ご異存はありませんね。」

一同は黙ってうなずいた。

校長。
「志村さんは、友里さんに会うことになったとき、
 ある罠、あるいは陰謀を感じたと言っています。
 そこで、ボイスレコーダーを身につけて行ったのです。」

このとき、友里は、「ひー。」と顔を引きつらせ、
体を振るわせ始めた。
万事休すを悟ったのは、江藤より友里が先立った。

校長は続けた。
「そのボイスレコーダーの大事なところを、
 CDに焼いた物がここに3枚あります。
 ここに出てくる声の持ち主を否定されるなら、
 私達は、今から警察にいき、声紋の判定を受けながら行うことになります。
 いかがですか。このCDを信用されますか。」

警察に行くとは、だれも言わなかった。

このとき、江藤は、真っ青になりながらも、頭をフル回転させていた。
自分は、友里を紹介しただけだ。
友里が、カラオケで何をしたかは、俺の知らないところだ。
あくまで、しらを切ればいい。
友里が何と白状しようと、俺は、知らないを通せばいい。
俺の声は、ボイスレコーダーにはないのだから。
江藤は、そう思い、かすかな安心を得ていた。

校長は、しつこくいった。
「くどいようですが、あとから、この録音をしたこと自体が、
 罪にあたると言われるなら、
 私は、ただちに、すべてを警察に委ね、
 警察の判断で、録音の罪の可否を問います。
 そして、次に、録音の内容如何によって、
 お子さんは、警察に呼ばれ、刑法の罰をそれぞれ受けることになります。
 こうなれば、学校で内々に済ますことは不可能です。
 警察に呼ばれたら、その罪により、退学もあるでしょう。
 女子学園高校の園長先生、いかがですか。」

園長「はい、初めの志村さんのお言葉が真実なら、
   立木友里さんには、退学も考えられます。」

校長「さあ、警察に行きますか。それとも録音した罪は不問に伏しますか。」
校長は、畳みこんだ。

「ここで、聞きます。録音したことを、攻めたりしません。」江藤の父親は言った。
「はい、そうしてください。早く聞かせてください。」
との友里の母も言った。

CDのスイッチが押された。
友里は、すでに、涙目になっていた。
江藤は、「安心しろ。」と自分にいい聞かせていた。

第1のCDを、みんな静まりかえって聞いた。
その中の女の子の声が誰のものか、拒んでいるのが誰の声か。
火を見るより明らかだった。
友里の母親は、涙を流して聞いていた。父親は、うなだれていた。

続けて、全員は第2のCDを聞き始めた。

江藤と友里は、まさかと耳を疑った。
江藤の家で話している声だ。何で?どうやって録音された?
その疑問より、江藤は万事休すを悟るのに、5秒もかからなかった。
江藤は、目を見開き、恐怖に全身を振るわせた。

第2のCDは、こうだった。
**************************
「惇一、あたし、してやったよ。
 あいつヒーヒー声上げてさ、もっと、もっとって、
 もう、気が狂いそうだなんて、言いやがんの。
 もう、あたしの虜だってさ。」
「ほんとかよ。そりゃ上出来だ。」
「あいつ、男のくせに、あたしには、何もできないんでやんの。
 笑っちゃうよ。
 でさ、明日も会って欲しいって必死に頼みやがんのよ。
 結局、女を知らないオカマってとこね。
 一度、女の味、覚えたら、もうころりだよ。
 これで、あと3回くらいヒーヒー言わせりゃ、
 女から離れられなくなるってことね。」

「お前、あいつに惚れるなよ。」
「まさか。あんな女みたいなヤツ、キモイだけよ。
 あいつ、女物のショーツ履いてやがんだぜ。あたし、ぞっとしたよ。
 惇一、あいつを落としたから、約束の5万円ちょうだい。」

「まだだ。明日、もう一回やって、アイツを完全に落としてからだ。」
「いいよ。明日は、よがり泣きさせてやるよ。」
「あいつが、もう一人のオカマと喧嘩別れすりゃあよう、成績はがた落ち。
 学年3位の俺がトップの座に輝くってわけよ。」
「明日で、片がつくよ。この友里様の腕を信じてよ。」
******************************

3枚目を聞くまでもなかった。
2枚目を聞き終わり、江藤の父親は、惇一を平手で何度もひっぱたいた。
叩きながら、泣いていた。
友里の母親は、会議室のデスクに泣き崩れた。
友里はうつむき、体をぶるぶると震わせていた。
江藤は、叩かれた後、全てを観念したようにうつむいた。

校長は大声で言った。
「みなさん、席についてください。」
泣いているものも、一応静かになった。

校長「みなさんに、わかっていただきたいことがあります。
 2番目のCD中での、友里さんの言い様。
 全国でナンバー1の女子私立校の生徒である立木友里さんでさえ、
 あそこまで志村さんを蔑んだいい方をしているのです。
 この障害のある二人が、これまで、どれだけの蔑みの声を聞いて来たか、
 ご想像願いたい。

 だから、二人は、お互いに支え合い、励まし合って、ここまできたのです。
 そのかけがいのない二人の絆を、引き裂こうとすることは、
 どれだけ残酷で冷酷な行為であるかを、考えていただきたいのです。
 車椅子で下り坂を恐る恐る下っている人を、後ろから蹴り飛ばす行為に似ています。
 友里さん、江藤くんが、罠を仕掛けた相手は、
 世間のから差別的な見方をさんざんされてきた障害者だということも考えてください。
 性同一性障害というのを、みなさん、ご想像願いたい。
 どれほど重篤な障害であるかをです。」

校長。
「立木さん、二人が休み時間にキ・スをしていることと、
 あなたのお嬢さんと比べて、どちらが、恥ずべき行為をしていますか。」

立木の母は立った。
泣きながら語った。
「キ・スは誰にも迷惑をかけません。それは、風紀上の問題です。
 比べて、家の娘は、犯罪を犯しました。志村さんを誘惑したとありましたが、
 私から見て、誘惑を越えて、レイプです。
 誘惑は、相手もある程度のその気がある場合のことです。
 しかし、志村さんには全くその気がなかった。

 志村さんは女性です。そのご本人がもっとも恥ずかしいと思っているところを、
 無理矢理露出させ、性的暴力に至った。
 レイプは、国によっては、死罪や放火の次にランクされる重罪です。
 罪をつぐないきれません。
 せめては、娘を直ちに退学をさせ、一から倫理教育をしていきます。
 志村さん。両校長先生、誠に申しわけございませんでした。
 お詫びのし様もありません。」
友里の母は、深々と頭を下げすわった。
友里は母親がなんとか自分の弁護をしてくれるかも知れないと思っていただけに、
絶望感にうたれ、再び泣き始めた。

校長「江藤さん。事実をわかっていただくためには、
 やはり、証拠がなければだめでしたか。」
江藤の父は立って言った。
「お恥ずかしい限りです。我が子を盲信していました。
 これからは、そうはいたしません。
 子供の罪については、先ほどの立木さんと同意見です。
 しかも、息子は金を出して、他のお嬢さんに行為をさせようとしました。
 ここが、さらに罪が重いところです。なんの弁解の余地もありません。
 息子は、即、退学させ、明日から働かせます。
 息子のような人間は、この伝統ある開明学園に通う資格はありません。

 志村さん。今度のことは、本当に申し訳ありませんでした。
 また、両校長先生、誠に申し訳ありませんでした。」
江藤の父は涙を浮かべて座った。

校長。
「これで、ご両親のお言葉をいただいたのですが、
 最後の、被害の当人である、志村幸一さんの意見を聞きたいと思います。
 それを、聞いて、女子学園の校長先生とご相談の上、処分を決めたいと思います。
 では、志村さん。」

ミユは、立ち、デスクにそっと指を置いた。
リリは、ミユを見た。
不思議なくらい、平静な表情だった。
怒りも憎しみもなかった。
ミユの顔は惚れ惚れとするほど美しかった。
ミユは、静かに語り始めた。

「私は、『出来心』というものがあると思います。
 普段そんなことをしない人が、あるきっかけでやってしまう。
 今度の江藤くんも、友里さんも、その『出来心』だったのだろうと思ってます。

 江藤君は、普段クラスでは、私や隣の大野さんに、
 差別的言葉を使う人ではありません。
 ふつうに話し合って、冗談を言えるクラスメートです。
 それが、何かの『出来心』で、今回のようなことを考えてしまったのだと思います。

 立木友里さんも同じです。お母様がおっしゃるような、レイプなのではありません。
 そう、武道に例えるなら『試合』です。
 友里さんはGIDの私に女性のよさを分からせようと全力を尽くしました。
 一方、私は分かるものかと必死で抵抗しました。
 第1試合は、友里さんの勝ちでした。でも、第2試合もあり、そこでは、私の勝ちでした。
 二人は、引き分けだったのです。
 5万円がかかっていたようですが、
 試合の場で、二人は言わば真剣勝負をしたのです。
 そんな試合の最中、友里さんは、5万円のことなど心には微塵もなかったと思います。

 江藤君と二人のとき、友里さんは、私に差別的な言葉を使っていましたが、
 私は、友里さんの本心の言葉とは、思っていません。
 友里さんは、江藤君にうれしさを語りたいあまり、
 少し悪ぶり、普段使わないような表現を多発しただけだと思います。

 私は、私のクラスメートに、私が原因で停学や退学の人が出ることを望みません。
 友里さんにおいても、女子学園において、停学や退学になって欲しくありません。

 元は、『出来心』によるものです。
 失敗が許される学校時代であるなら、失敗すれば、正せばよく、
 それが、私達の心構えだと思います。

 そこで、私が被害者であるのなら、今回は、「不起訴」とし、
 二人には、なんのお咎めもないよう、お願いできれば、うれしいです。」

ミユはそう言って座った。

水を打ったように物音一つしなかった。

しばしの、沈黙のあと、女子学園園長が、大きな拍手を送った。
園長の目が潤んでいた。
開明の校長も同感だった。
『ありがたい。よくぞ言ってくれた。』と校長は思っていた。

校長は大声で言った。
「えー、女子学園園長先生の拍手は、志村さんの寛容な言葉に敬意を表するものと思います。
 私も、同感です。志村幸一さんの不起訴により、両者お咎め無しとしたいと思いますが、
 反対意見の方は、いらっしゃいますか。」

反対意見があるはずもなかった。

閉会となった。

副校長や教務主任がミユに固い握手をしていった。
そのうち、江藤惇一が来た。
惇一が床に手をつこうとするのを、ミユはやめさせた。
すると、惇一は、ミユの手を両手でとり、頭を下げながら、
涙をいっぱい浮かべていた。
「ありがとう。俺のしたことに対して、あんな優しいこと言ってくれて、
 俺、心から反省したし、感動した。俺もミユのような心の広い人間になりたい。ありがとう。」
惇一は、そう言った。
「次の期末、勉強で、がんばろう。」ミユは言った。

惇一の父親からも言われた。
「あなたは、すばらしい人です。このご恩忘れません。ほんとに、ありがとうございました。」
夫人といっしょに、深々と頭を下げた。

次に、友里が来た。
友里も目に一杯涙を貯めていた。
「あたしのやった悪いこと、あんな風に優しく言ってくれて、泣きながら、感動した。
 一生忘れない。あたしも、志村さんみたいに人を許せる人になりたい。」
友里の母も横に来て、
「志村さんって方は、何てすばらしい。心から感謝いたします。ありがとうございました。」
と言った。
お父さんも、涙ぐみながら、頭を下げて通っていかれた。

最後に、女子学園の学園長が残った。
横にいた校長に、
「うらやましいですわ。我が校のナンバー1は、志村さんに遠く及びません。」
そして、ミユに言った。
「もう、今日は、あたし、志村さんの最後の言葉で、
 地獄から一気に天国に来た思いでした。
 『不起訴にします。』とあのお言葉を聞いたとき、
 体中から感激が湧き立ちました。

 私にも、あの2人を許してやりたいという気持ちがあったのです。
 でも、どう許せばいいか分からなかった。
 うまい方弁が見つかりませんでした。
 それを、『出来心』と『不起訴』という2つの言葉、
 そして、立木友里の行為を『真剣勝負』と言って、許してくださった。
 本当にすばらしい。感動しました。」

校長が、言った。
「ほんとうに、そのとおり。許してやりたいが、釘はささんといけない。
 で、私は、脅し気味に釘を差しました。
 だか、差した釘をどう抜こうかと方法がわからなかった。
 それを、君は、見事許してくれた。感無量です。」

「それは、そうと校長先生。」と女子学園の園長は言った。
「これほど、女性である志村さんと大野さんに、男子の制服は、気の毒ですわ。
 開明は男子高校ですが、お二人には、女子の制服を着用させるべきです。
 そこで、我が校は女子高校なので、女子の制服のいいデザイナーがおります。
 この度のお礼と、今後のお付き合いということで、
 お二人に女子の制服をプレゼントさせてはくださいませんか。
 開明の男子服の形をある程度残すようにいたします。」
「そうですか。それは、ありがたい。私もどうにかせんといかんと思いながら、いままで…。」
校長は言った。

ミユとリリは、その話を聞いて、うきうきしていた。
「あの、私達、女子の制服を着られるんですか。」とリリが聞いた。
「そうですよ。けっこう優秀なデザイナーですのよ。
 この世に、2着だけの開明高校の女子制服です。」と園長。
わあ~い、と二人は抱き合って喜んだ。



それから、1ヶ月。季節は7月。
夏服になっていた。

白い丸えりの可愛い半袖のブラウスに、
膝上5cmの茶系のチェックのスカート。
胸元に、ぴっと決まった蝶のタイ。
紺のソックス。
ブラウスのポケットに、開明高校の刺繍が入っている。
受け取ったミユとリリは喜びに飛び上がった。

いよいよ、女子制服での初登校の日。
二人が、校門をくぐると、学校中の生徒に取り囲まれた。
「だれ?だれ?すげー可愛い。」
「女の子がどうしているの。今までいたか?」
「いねーよ。今日はなんだ?」
「え?2年A組?」
「A組かよ。すげー。」
「え?A組で、トップ2?!」
「え?なんだか、めちゃすごくねー。」
「なんで、女なの?」
「わかんねー。」

こうして、二人の周りには、いつも1年生~3年生までの取り巻きができるようになった。
だから、二人はできなくなったことがある。
それは、休み時間の木陰のキ・ッス。

「まあ、いいか。」教室からイチョウの木を眺め、ミユが言った。
「そうね。」とリリが言った。
「それより、ちやほやされて、うれしい。」リリが言った。
「うん。うれしいよね。」ミユが小さい声で言った。

下で取り巻きの声がする。
「早く、下りて来いよー。」
「今、行くねー。」と二人。

「ま、待てよ。お前らこのクラスだぜ。」2-Aの男子が言った。
「二人は、このクラスのもんだぜ。ここにいてくれよ。」とまた一人。
「ごめん、あたしたちすぐ飽きられちゃうから。今だけ。」

二人は校庭に手を振って、急いで階段を下りて行った。

気分はアイドル!


<おわり> 

(次回は、ミユ&リリの軽い続編「全日本高校生クイズ大会」を考えています。
 しばし、お時間を。)
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1. 良かった!

一時はどうなるのか心配でした。
でも良かったです。
それに女子の制服になって良かった。
次の作品を楽しみにしてます。
あわてないで!
ゆっくり作ってくださいね。

2. Re:良かった!

>ゆな ちゃん

わあ~、長いの読んでくださったのですね。
うれしいです。
「良かった!」と言ってくださって、ほっとしました。
次のも、がんばりますね。

3. 私も良かったです

>ラックさん
すごく良い記事ありがとうですd(^_^o)
私も似たような事私が泣かされてイジメに有った事私思い出しました
志村さんのも私も許した事私嬉しく読みましたありがとう
私の場合は先生に見つかったからホームルームで出たんです私も許して終わったんだけどね

4. Re:私も良かったです

>美咲ちゃん

長いの読んでくださって、とってもうれしいです。
GIDとかそれに近い人は、必ず辛い思いをしていますよね。美咲ちゃんも、許してあげたんですね。それはよかったです。
恨みの感情って、つらいですものね。
いっそ許しちゃう方が、ずっと気持ちがいいですよね。

5. 無題

このGW、junゎDVDをレンタルしてきて映画を1本観よぅかと思ってましたが、結局ゎ借りてきませんでした。

今回のラックさんの記事がjunにとってDVD映画のかわりになった今年のGWでした。

やっぱり、せー描写ゎさすがですぅヾ(@^(∞)^@)ノ
海千山千のラックさんだからこそなせる業だと思います。

ハッピーエンドもラックさんらしぃです。
例えが悪いかもしれませんが、遠山の金さんを見ているよぉな思いでした。

6. Re:無題

>junさん

GWをこれを読んで過ごしてくださったのですか。それは、うれしいです。
今回は、お休みを取って書いたので、毎日が楽でした。

せー描写をほめてくださって、うれしいです。
自分に欲求がたまると、書きたくなるんですね。で、書くと不思議にすっきりするので、止められません。(今回は、けっこう書いちゃった方ですよね。)

今回書きながら、どうハッピーエンドにしようかと悩みました。でも、なんとかなったので、ほっとしています。
遠山の金さん。そうですね。金さん本人が証拠っていうあれ。「この金さんの桜吹雪が見えねえのけえい!」あれいいですよね。水戸黄門みたいに、何回でも飽きずに見られますよね。

ちょっと休憩して、また投稿します。
また読んでくださいね。

ありがとうございました。

7. 一気に読みました

読みやすくて写実的で映像のような一コマがとてもセクシーなタッチでドキドキしてしまいました。不思議なことに、男の視点と女の視点が時には同時に、時には交互に。。。
やりたい自分とされてみたい自分が同時に主人公の二人を通して感じることができました。
二次的GIDという言葉を聞いたことあります。女装のお遊びが自分の女性的な感性を覚醒してしまうことのようですが、
私はGIDではないと思っていますが、二次的GIDになる可能性もあるのでしょうね。
とにかく面白かったです。。

8. Re:一気に読みました

>麻耶さん

おもしろかったというのが、私への最高の誉め言葉ですので、すごくうれしかったです。
ちょっと私自身、欲求不満気味でしたので、やりたい自分、されたい自分が、 書けたのかもしてません。
読み易いというのも、私が目指していることの一つですので、そう言ってくださって、うれしかったです。

私も二次的GIDだと思っています。できれば、女体になりたかったのですが、女の子も好きでしたので、なんとかTV止まりにしました。二次的GIDの方は、大勢いらっしゃるでしょうね。

長い話を読んでくださって、とってもうれしいです。ありがとうございました。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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