ぼくの体を見て③「家族へのカムアウト」最終回

由梨が言ってくれたものの、
ひろみは、体のことを、どうしても両親に言えなかった。
そのまま、とうとう5年生になった。

ひろみは、泣きたくなった。
1cmくらいあったおちんちんが、とうとう、0mmになってしまった。
2つのたまたまも、体の中に入り込んでしまった。
オシッコをするとき、おちんちんのまわりの皮膚を陥没させてやっとできる。
家でなら、そのまま、しゃがめばいい。でも、紙で拭かなくてはならない。
これでは、女の子と同じだ。

胸は、多分、Aカップくらいになっていた。
乳くびだけでなく、全体に盛り上がってきた。
もうすぐ隠せなくなるだろう。

ひろみは、どうしよう…と思い、自分の部屋のベッドの布団の中で泣いた。

幼稚園のときから、女の子に憧れてきた。
女の子の服が着たかった。
髪を伸ばしたかった。
女の子のマネをするのが楽しかった。
一方、男子と同じような激しい遊びができなかった。
自分が女の子ならどれだけ楽かと思った。
でも、体まで女の子にとは、望んでいなかった。
だが、由梨が、自分の体は、もうほとんど女の子だと言った言葉を思い出した。

クラスの由梨が好きだった。
だから、心は男なんだと思った。
でも、女の子の格好をして可愛くなる男の子も好きだった。
テレビで、綺麗なニューハーフの人を見ると、萌えてしまった。

学校の保健の授業で、「男の子と女の子の体の違い」というのを習った。
習って愕然とした。
自分の体のどこもかも女の子だった。
どうしてこんなことが起こるのだろう。
ぼくは、男の子として生まれたのに。

ひろみは、学校の身体測定を休んだ。
夏の水泳の授業を全部ずる休みした。
移動教室では、風呂に入らなかった。
夏を何とかごまかせば、後の季節は、胸を隠すことができると思った。



5年生の10月だった。
ひろみは、いつものように「覗かないでね。」と強く言って、風呂に入った。
そして、出てきて、バスタオルで体を拭いているとき、
母の道子が、物を取りに、うっかり着替え場に入ってしまった。
「ダメ!」ひろみはそう言って、戸を閉め、思わずバスタオルで胸を隠した。
「あ、ごめんなさい。」と道子は言ったが、ちらっとひとみの体が見えてしまった。
一瞬、女の子だと思った。
乳房を見たわけではない。男の証を見たわけではない。
体全体からくる感じが女の子だったのだ。

「ひろみ、ひろみの体をお母さんに見せて。
 お願い。ひろみ、何か隠しているでしょう。」母は言った。
「ダメ。隠してない。なんでもない。」ひろみは泣きながらそう言った。
「ひろみ。怒らないから。お願いだから、この戸を開けて。」
中で、ひろみは考えているようだった。
いつまでも秘密にしておくわけには行かない。
家族が知っていてくらたら、楽になる。

ひろみは、タオルを女の子巻きにして、母を、着替え場に入れた。

そこで、母は、ひろみの体の全てを見た。
母は、ひろみを抱きしめた。
「ひろみ、いつからなの。」
「4年生のときから、オッパイが出てきた。」
「ごめんなさい、ひろみ。今まで気がつかなかったなんて。おかあさんがいけなかった。
 どれだけ辛い思いをしたでしょう。ごめんなさい、ひろみ。」
母は、ひろみを抱きしめて泣いた。
「ありがとう。ぼく、今まで、どうしたらいいかわからなかった。」ひろみは言った。
「あした、病院へ行きましょう。」そうしたら、なんだか分かるわ。

「家族のみんなには、知らせるけどいい?」
「うん。もう隠せない。」ひろみは言った。

夕食のときに、母はみんなに言った。
「ひろみのことだけど、ひろみは、今、女の子の体をしているの。
 なぜだかわからない。病院で見てもらうわ。
 ひろみは、今まで辛かったと思うの。それをわかってあげて。」

2歳年下の里香が言った。
「うん。お兄ちゃんのこと、ときどきお姉ちゃんって呼びそうになった。
 その訳が、わかった。お兄ちゃんは、お姉ちゃんだったのかも知れないね。」
「私も、ひろみの後姿見て、まるで、女の子だと思ってた。
 胸もあるんだね。」
と3つ上の優衣が言った。

「うん、正常な、女の子と見た目はほとんど変わらないの。」
母の道子は言った。

「不思議だな。なんなのだろうな。」と父の辰夫は言った。



翌日、ひろみは母といっしょに、病院へ行った。
始めは内科から、次は、内分泌科へ、婦人科、外科、そして、精神科へ行った。
一日がかりだった。
そして、最後に、精神科の先生に言われた。
「ひろみさんの場合は、私達が、今まで経験のない症例なのです。
 体の仕組みは正常なのに、同じ年齢の女子と同じ女性ホルモンが分泌されています。
 また、精巣が萎縮して、十分機能していません。
 IS(インターセクシュアル)でもなければ、その他のものでもありません。
 心理テストは、どれも、女子としての反応を示しています。
 ただ、性自認において、自分は男の子だと答えています。
 しかし、これは小さい頃、男のシンボルがあったわけですから、
 言葉では、だれでも『自分は男の子』だというでしょう。
 しかし、ひろみさんは、毎晩神様に、女の子にしてくださいと祈っていたそうです。
 それは、体は、男子だが、心は女子だという認識を裏付けるものだと思います。
 
 つぎに、男女どちらに恋をするか。性志向ですね。
 それは、女の子が好きと答えています。
 その限りにおいては、典型的な性同一性障害とは言えないのです。

 しかし、体がこれだけの女性化を遂げている限り、私は、男子としての生活は極めて困難と考えます。
 性器の形状以外、骨格、とくに骨盤においてもほぼ完全な女子の体です。
 そこで、我々は、身体的には女子であり、精神的にも女子に近く、男子としての生活は困難であること。そして、女子としての生活に、順応が高いと見て、総合的に、女子としての扱いがされるよう、意見書を書きたいと思いますが、いかがですか。」

そう聞かれた。
「ひろみ、明日から女の子として生きていけるけど、どう?」母が言った。
「うん。うれしい。女の子になりたいっていつも思ってたから。」
ひとみはそう答えた。



その日、ひろみは始めての、女の子の服と靴を勝ってもらった。
翌日、姉の優衣の使った赤いランドセルをしょって、
女の子の服を着て、母と学校へ行った。
担任を訪ねた。
そして、校長室で、病院の意見書を出し、簡単な説明をした。
「そうですか。子供達には、女の子なのに、男として育った。
 それが、女の子に戻って暮らすことにした…とかいうことにしましょう。
 学校の公文書では、男子ですが、その他の扱いは、全て女子にします。」
校長は言った。

朝の会のために、担任は、ひろみといっしょに教室に言った。
母は、入り口までついていった。
担任は、まだ若い、20代の男の先生だった。

教室で、担任の横に立ったスカート姿のひろみを見て、
みんなは、「わあー。」と言った。

「えー、実はだね。梅宮ひろみ君は、女の子だったんだ。
 いろいろな事情で男の子として育ったのだけれど、
 もうそれは無理ということで、今日から女の子に戻った。」
みんなが、すごいどよめきの声を上げた。
「そうだと思ってたんだよ。」
「ひろみは、女の子って、ちょーバレバレだったもん。」
「変だと思ってたんだよ。」
「いままで、苦労したでしょう。女の子に戻れて、よかったね。」
などとみんなは言った。

「えー、ひろみから一言ある。」と先生に言われ、ひろみは言った。
「えーと、あたしは、女の子になりましたので、女の子の遊びに入れてください。
 男の子は、あたしのこと好きになってもいいです。」
そう言ったので、男子は、あははと笑った。
しかし、実際、ひろみは可愛かったので、好きになる男子もいそうだった。

「じゃあ、みんなで、拍手かな。」
先生が言ったので、みんなは拍手した。
その中に、橘由梨もいた。
ひろみは、由梨と目を合わせた。
「よかったね。」
由梨の目がそう言っていることがわかった。



その日の夜、
由梨の家から、由梨が1サイズ小さくなった服を全部持ってきてくれた。
由梨が、
「ひろみとの約束だったんです。女の子で通えるようになったら、
 小さくなった服、全部上げるって。」
ひろみの母は、
「それは、助かります。さしあたり何を着せようか、困っていたんです。」と言った。
由梨のお母さんが、
「あたし、ひとみさんが白いワンピースを着ているの見ているんです。
 あんな可愛いお嬢さん、近所にいたかしらって思っていたんです。
 あれは、ひろみさんだったんですね。」と言った。
ひろみの母は、
「まあ、そんなことをしていただいていたんですか。
 申しわけありません。」と言った。
ひろみのお父さんも来た。
「あそこで、お話が聞こえていまして、
 ほんとにありがとうございます。
 由梨さんが、ひろみを支えてくださったので、
 ひろみもなんとかやってこれたのだと思います。
 由梨さん、どうもありたとう。」
「あ、いえいえ。」と由梨は言った。

由梨とひろみは大人の話を抜け出した。
「ひろみ見てみて。」と由梨が空を見た。
「わあ、すごいお星様。」
「ひろみは毎晩お願いしていたんでしょ。」
「うん、今もしてる。」
「それ続けると、ひろみ、完全な女の子の体になれそうな気がする。」
「うん。だって、今までも奇跡の連続だもん。もう少し、奇跡をお願いしますって言うね。」
「きっと、奇跡はつづくよ。」
「だといいな。」

二人は、晴れ渡った空に満天の星をみた。
奇跡が続きますように。



ひろみは、中学2年の終わりに、体の全てが女性になった。
橘由梨とは、いつまでも親友だった。


<おわり>(次回は、「女装診療所」です。)
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非公開コメント

1. 泣けて泣けてわかるょ

嬉しい最後ありがとうです
泣けましたょヾ(@⌒ー⌒@)ノ
これは良い記事ありがとうですd(^_^o)

2. Re:泣けて泣けてわかるょ

>美咲ちゃん

コメントありがとうございます。
泣いてくださったのですか。
それは、うれしいです。
今回の記事は、ちょっと自信がなかったので、
うれしいです。
ありがとうございました。

3. 可愛い

可愛らしい小さな、でも印象に残る物語でした。

こんなこと、実際に自分に起きたら良かったなぁ・・・と思いました。

でも今だからこそ、かな。
実際にまだ○十年前の時代にそんなことが怒ってたら大変だったのかも知れませんね。

4. Re:可愛い

>みすりんさん

物語のこと誉めてくださって、うれしいです。

ほんとですね。私も小さいころ、こんなこと起こらないかなあといつも思っていました。

「ほんとうは、女の子だったんだよ。」と先生に言われ、ああ、そうかあ…って、昔ならなりそうですよ。世の中不思議だって思っていた時代ですから。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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