双子の兄弟・カイとケイ④「両親へのカムアウト」

やがて、海も同じヘアスタイルにしてもらい、待合のソファーに来た。
カールが、ちょうど肩に触れるくらいの長さで、
後ろも髪がばっちり決まっている。
前髪を斜めに分けると、眉が見える。
真っ直ぐに降ろすと、眉が隠れる。
細くなった眉を見せる方が、すっきり可愛い顔になる。

アーケードを歩きながら、圭は言った。
「ここまで、女の子になっちゃったら、もう男にもどれないね。」
「うん。学校でも、ばればれ。だって女の子としてばっちりだもん。」海。
「今から、もう『ぼく』って呼ぶのきっぱりやめない?」圭。
「学校でも?」海。
「うん。学校でも『あたし』。オ△マって多分言われるけど、
 もう、女で通すの。」圭。
「女言葉使って?」海。
「家でも。」圭。
「家で使うのが一番はずかしい。」海。
「3日でなれるよ。そうしたら、あたし達、24時間、女の子になれる。」圭。
「それ、魅力だなあ。女の子のパジャマで寝たいもの。」海。
「朝、起きたら女の子のパジャマ着てる。いいと思わない?」圭。
「思う。たった1回の人生だもんね。好きなように行きたい。」海。
「そうだよ。悔いのない高校生活にしよう。」圭。


父母がかえって来るのは、6時半。
夕食は、7時半だ。

海と圭は、部屋で、一番フェミニンなワンピースを着て部屋にいた。
7時半が近づいて来るまで、心臓が高鳴ってならない。
始めに何ていおうか。
二人で、いろいろシュミレーションをした。
「ああ、ドキドキして死にそう。」と圭が言った。
「あたしも。もう、たならない。」海が言った。
そのうち、運命の声、「お食事よう。」という母の声がした。

「よし、行こう。」
「うん。」
と二人で行って、階下へ降りて行った。
姉の律子はすでに来ていた。
律子と父の啓太が、始めに見た。
味噌汁をよそっている母明美が、見た。
それで全員。
父は目を丸くしていた。
母は、味噌汁を落としそうになった。
「ああ、なんだ、そのう、圭と海か。」と父が言った。
「うん。あたしたち、圭と海。」
圭が、『ぼく達』ではなく『あたし達』と言った。
父母は固まっているというのが、ぴったりな表現だった。

「馬鹿者!」と雷を落とす父ではない。
母も、椅子についた。
「つまり、何か?仮装大会なんかでなくて、真面目にその格好なのか。」
父が言った。
「女の子の格好をしたいってこと?」母が聞いた。
「うん。あたし達、女の子の格好で一日過ごしたいの。」海が言った。
「小さいときからの夢だったの。女の子でいたい。」圭が言った。

「一生か?それとも、今だけか?」
父が、思ったより核心を突くことを言った。
さすが、医者だと思った。
「それは、わからないけど、小さいときから思ってたから。
 女の子として過ごして、満足して男に戻りたくなるかも知れないし、
 どんどん、女の子になってしまうかもしれない。」
海は、言った。

圭も海も、次の父の言葉に驚愕した。

「そうかあ。律子だけかと思っていたのに。」そう父は言った。

「え?お父さん、今なんて言ったの。」
そう聞いたのは、海も圭もいっしょだった。

「律子。二人に話してもいいよな。」父は言った。
「うん。二人のことがわかったから。」と律子は言った。

「ねえ。なんなの。お姉ちゃんがどうしたの?」
海が聞いた。

「圭、海。律子は、男の子として生まれたんだよ。
 性同一性障害。二人ならよく知っているだろう。GIDだよ。」と父が言った。

「えー!うそー!」
と海と圭は、叫んだ。
「だって、お姉ちゃんの、男の姿なんて見たことない。」圭が言った。
「律子は5歳のときから、ずうっと女の子として暮らしてきたから、
 圭や海には、お姉ちゃんだと思ったと思う。
 小学校の5年生のときからホルモン治療を受けて、女の子と同じように第二次性徴をとげた。
 高校3年の夏休みに、性別適合手術を受けた。今は、律子は正式な名前、
 戸籍の性別も、女性だ。」
父は言った。

「わあー、知らなかったあ。」と圭と海は驚いた。

母が言った。
「律子が、私のお腹にいるときに、多分ホルモンの関係で、
 律子は、体が男子なのに、女脳になったのだと思うの。
 だから、圭と海も、半分くらい女脳になったのね。
 あたし、自分のせいだとは思わないけど、神様がそうされたと思ってる。」

「じゃあ、あたし達が、こんな格好してきても、
 お父さんも、お母さんも、あんまり驚かないんだ。」圭が言った。

「驚いたわよ。でも、『やっぱり。』っていう気持ちもした。」と母は言った。

「結局、あたし達がいちばん驚いちゃったんだね。」
と圭と海が顔を見合わせて言った。

「圭と海の気持ち、あたし小さいときから分かってたけど、
 だまっていて、ごめんね。」
と律子が言った。

「ううん。お姉ちゃん、苦労しただろうなあって、今それ考えてる。」圭が言った。
「きっと、すごく辛くて、死にたくなるとき、いっぱいあっただろうなって。」海が言った。

それを、聞くと、律子は、両手を顔にあて、泣き出した。
「ありがとう。わかってくれて。だれもわかってくれないときもあったから。」
律子は、そう言った。



男3人、女2人のはずだった食卓が、
男1人、女4人の食卓になった。

「あ~ん、それ、あたし、まだ一つしか食べてない。」と海。
「海は、さっきお肉食べたじゃない。これは、あたしの。」と圭。
「じゃあ、あたしのこれ、あげるわよ。」と律子。

父の啓二は思っていた。
『本当は、妻の明美だけが女性だ。今は、女性が4人。
 眺める風景として、この方が華やかかな。』と。


つづく(次回は、「心も女の子に」です。)
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1. おはようございますヾ(@⌒ー⌒@)ノ

良いの書けましたね
律子さんまでとは思わなかった驚きました
楽しく読めましたょありがとうですd(^_^o)
次のも読みたいですd(^_^o)

2. Re:おはようございますヾ(@⌒ー⌒@)ノ

>美咲ちゃん

コメントありがとうございます。
そんなんです、律子もGIDなんです。
楽しく読んでくださって、うれしいです。
明日か、明後日、最終回にするつもりです。
読んでくださるとうれしいです。

3. 無題

予想外ノテンカイ(^_^;)
海ちゃん、圭ちゃんどうなっちゃうんでしょう?

4. Re:無題

>凛鵺(Ba)さん

読んでくださって、うれしいです。
今日の回だけ、ちょっと予想外なんです。
あとは、淡々とすすみますので。
明日は、無理して、最終にするかもしれません。

5. 今頃コメントしちゃってゴメンナサイ

私もびっくりしました!

いつもラックさんの小説の展開には驚かされます。

最後のお父さんのつぶやき、思わず笑ってしまいました。

「うん、たしかにそうだよね」 って。

6. Re:今頃コメントしちゃってゴメンナサイ

>みすりんさん

ありがとうございます。
ちょっとブログにいろいろあって、コメントを承認制にしたんです。
1つのお話がおわって、次は、平凡なお話をかきたいと思っています。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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