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オーロラ姫は男の子⑤「安井退場」((挿入話)

オーロラ姫は男の子⑤「安井退場」((挿入話)


「取るに足らない私との対談を、どうしてお引き受けになったのです。」
「えらい人のどうしてもの頼みだと聞かされたからです。」

「安井さんらしくもありません。偉い人の頼みなら、お聞きになり、
 私のような取るに足らない者には、公共の場で、
 侮辱してもかまわないのですね。」

「侮辱した覚えはない。ただ、正直に答えたまでだ。」
「対談の相手として、私では、不足ということですか。」

「そうだ。私は68歳だ。私と対談したければ、50年勉強してから来なさい。
 不愉快だ。失礼する。」
安井は、席を立ち楽屋に向かって、廊下を歩いていった。
スタッフがあわてて追いかけていった。

カメラは、回っていた。

オーロラは立って、100人の視聴者に聞いた。
「私は、間違っていたのでしょうか!」
「正しい。あなたは何も悪くない。」と100人。
「私は生意気だったのでしょうか。」
「とんでもない。無礼なのは、あの人だ!」

安井を止めにきたスタッフ達は、途中でそれをやめた。
安井を止めても、もう、どうにもならないことを悟り、スタジオにもどった。

プロデューサーは、しかたなく、オーロラをゲストとして、
司会者を置き、性のマイノリティに関するインタビューに切り替えた。
処女作にあえて性同一性障害と記載した理由などから、
アナウンサーは、インタビューをはじめた。

しかし、オーロラは、今日の安井との対談のために、
安井の全著作の中から、「差別と偏見」に関する箇所を、
すべて抜き出してきていた。

そして、抜き出してまとめてきたものを中心に、
「恐れ多いことですが、私なりに、
せっかく勉強して参りましたので、」と前置きし、
「安井民男先生の差別論を私なりに語っていいでしょうか。」と聞いた。
ディレクターのOKが出た。
オーロラは始めた。



オーロラ:先生の作品「△△」の53ページにこんな会話があります。
『差別とは、上に作るものではなくて、下に作るものだよ、ジョン。
 井戸を掘るようにね。
 下に穴を掘れば、一つ差別の対象ができる。
 だが、気がついて欲しい。穴を掘っても、君のいる位置は、少しも変わらないんだよ。』

オーロラ:いかがでしょうか。これで決まりかなと思いきや、
     会話は続きます。ロイが言います。

『じゃあ、掘るのをやめて、土を運んで、底を高くしていこうよ。
 そうすれば、ぼく達、どんどん上に上がっていくじゃないか。』

でも、違う子がいいます。

『そうやっても、ぼくたちが、一番底だということは、変わらないよ。』

オーロラ:
そうかもしれませんね。
でも、ロイは引き下がりません。

『一番底でもさ。その底が穴の口まで来たらどうなる。
 ぼくたち、地面の人と、同じ高さにいるじゃないか。』

えーいかがでしょうか。普段現実主義的な安井先生ですが、
この作品では、差別がなくなることもありうると、提言されているように思います。

それは、言わば、理想主義的であり、安井先生のお若いときの作品かと思いました。
ところが、2008年、先生の64歳のときの作品なのです。
どうしてこういうお考えに至ったのか、大変興味深い一節だと思うのです。

しかし、ヒントがございます。作品「△△」では、こんな記述が見られます。
・・・・・・・・
・・・・・・

こんな調子で、安井民男の偏見・差別論ともいうものが、オーロラによって、
見事に語られていったのである。

安井作品の引用を巧みに構成し、知的興味を駆り立てながら、
クライマックスに運んでいく。
これには、マイノリティーの人達も、安井ファンの人達も、
完全に引き込まれ、興奮しながら聞いたのだった。

時間がせまり、オーロラの言葉は、終わりに向かおうとしていた。
「えーそろそろ時間ですが、最後の1つです。
 ある被差別集団のリーダーである老人が死ぬ間際に言います。
 『みなさん、よく聞いてくれ。
 「偏見」は心の中のものだ。心とは、戦えない。
 しかし、「差別」は、行為であり、目に見えるものだ。
 だから、私達は、まず、行為である「差別」と闘うことだ。
 賢く、賢く、戦うのだ。偏見は、それにつられて、なくなっていくだろう。

この言葉は、安井作品のなんと処女作「海と空の境界」で語られています。
その後の先生の作品は、すべて、この老人の言葉通り、
一貫して、『行為である差別』と闘っています。賢く、賢く闘っていきます。
第1作目でおっしゃったことを、第48巻まで、貫き通しておられます。
私は、このことに、感激して止みませんでした。」

大きな拍手が起こった。
司会者は、近くにいた安井ファンの一人に、マイクを向け、感想を聞いた。
「いい解説を、聞きました。私は、安井作品を、第1巻から、48巻まで、
もう一度読み直したいという気持ちでいます。」

次に、オーロラファン。
「私は、被差別集団の老人の、『賢く、賢く闘うのだ。』という言葉が、
 胸の奥に深く届きました。安井先生の作品の中で、彼らがどう賢く闘っていったのか、
 先生のご本を全部読みたい気持ちでいます。」

視聴者の思いは、この二人の感想で、十分だった。

オーロラの時間も視聴率は、40%代が続いた。
番組はそっと時間を延長し、40分行った。

プロデューサーやスタッフが、オーロラを絶賛したことは、言うまでもない。

(次回は、「巨匠安井民男の後悔」です。)



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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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