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スーパー洋子「私立桜台高校」③「決着」 (前・後編)

スーパー洋子「私立桜台高校」③「決着」


「夏子さん、あたしの答えがあっているのかどうか、早く言ってください。
 HRの時間以内に、あたしを追い出すと、後ろで木下さんと加藤さんに話していたわ。
 あと、3分よ。」
洋子は優しく言った。

夏子は、口を開くことができなかった。
クラスのみんなは、息を潜めて、成り行きを見ていた。

3分の間、夏子はだまったままだった。
夏子にとっては、地獄のような時間であった。

「夏子さん、時間が来たわ。あ、でも、1時間目は、あたしの英語だから、伸びてもいいか。」
と洋子は言った。

とうとう、夏子は言った。
「問題を写し間違えました。」
「そんなことは、私の知ったことではありません。
 写し間違えだろが、なんだろうが、
 あなたが、私に解かせたのは、この紙の問題なの。
 あなたが、家庭学習で何をしようと、今は何の関係もありません。
 わかる?
 私は、あなたが出題した問題を一応解いたんです。
 私が解いたら、その答えが正しいか間違いか、答えるのが、
 あなたの義務です。これには、私の母の命がかかっているのよ。
 お遊びのつもりだったの?友達2人の退学もかかっているのよ。
 さあ、○なの×なの?言いなさい!」
洋子は、最後の言葉だけ、凄みを聞かせて言った。

木下朱実と加藤ユカは、生きた心地がしていなかった。
万事休すであることが目に見えていた。
今まで自分達がやって来たのは、答えだけを覚え、
難問を先生達に突きつけることだった。
夏子も同じ。答しか知らないことを、2人はよくわかっていた。

夏子はじっとだまっていた。やがて、じんわりと涙ぐんだ。
やっとのことで、
「すいません、わかりません。」と言い、涙をためて、うつむいて言った。
「あなた、さっき自分で解いて、説明もできると言ったわ。みんな聞いていたわよね。」
「はーい、聞きました。」と残り全員が大きな声で言った。

「それは、コピーの方の数式です。」夏子は言った。
「『コピー』?今そう言いましたか?
 さっきあなたは、自分で考えてワープロで打ったと言いましたよ。
 ねえ、みんな。大村さんは、そう言いましたよね。」洋子は聞いた。
「はーい、そう言いました。」みんながにこにこと答えた。

夏子は、絶体絶命であった。
木村朱里と加藤ユカは、すでに、机の上で泣き顔になっていた。

「じゃあ、100歩譲りましょう。コピーの数式でいいです。
 こっちなら、家庭学習して、自分で解を得たのですね。」洋子は言った。
「はい。」夏子は力なく言った。
「ほんとですね。もう言い直しは聞きませんよ!」
「はい。ほんとうです。」夏子は震える声で言った。

「では、聞きます。あなたは、オクスフォード大学のラッセル博士の『疑問』を、
 どう克服したのですか。」洋子は言った。
思わぬ質問に夏子は、はっとした顔をして、当惑した。
「意味がわかりません。」 
夏子には、他に言葉がなかった。

「お父様から、聞かなかったのですか。」
洋子は、そう言って、教卓から立ち、ゆっくり歩きながら言った。
「夏子さんが、昨夜家庭学習した問題は、
 これまで、何十年と解決不可能とされてきた数式です。
 それを、先月、T大の大村啓介教授が、
 ロンドンの学会で、問題を解き得たかも知れないと、発表されたものです。
 あなたのお父様は、世界の数学者に、その検証を願いました。

 そのとき、5人の博士から、疑問が提出され、
 教授は、そのうちの4つに答えましたが、
 ラッセル教授の疑問に対し、どうしても答えられず、
 今、そのことに日夜没頭されていることと思います。

 夏子さんのいう、X2-ABという解は、まだ、認められていないのです。
 だから、夏子さんに聞いているのです。あなたのお父様でさえ解き得ていないものを、
 どう克服して解き得たのか。その方法を一番聞きたいのは、
 あなたのお父様でしょうね。

 言っておきますが、あなたのお父様、大村啓介教授は、
 小学校時代に「神童」と呼ばれ、小学校を卒業すると同時に、
 オクスフォード大学の数学科に入学されました。
 そこで、わずか3年でドクターコースを修め、
 世界最年少の数学のドクターと言われ、数々の業績を残されています。
 あなたが、教授の娘なら、こんなことくらい知っていたでしょう。

 その大天才のお父様が、20年の歳月をかけて、未だ解き得ていない問題を、
 あなたは、一夜にして、解いたと言う。
 これは、自分が、お父様を超える大大天才だということです。
 あなたは、お父様の顔に、泥を塗るつもりですが。娘の方が上だと。

 さらには、この私なら解けると、『期待して持ってきた』とはっきり言いましたね。
 それは、お父様を、一介の英語教師である私以下の数学者だと言うに等しい。
 お父様は、20年以上をかけて考えていらした。それを、この私が、この場で解けると
 期待して持ってきた。
 これが、お父様をどれだけ侮辱する言葉であるか、あなたは、わかりますか!」
洋子は、ここだけは、すごい迫力で言い放った。
幼児語を使っていた洋子とは、まるで別人だった。

「何とか言いなさい!」洋子は怒鳴った。
「はい、わかります。」と夏子はとっさに言った。
「何がわかったの!」
「父を侮辱したことです。」夏子は言った。

夏子は、洋子の言葉に、縮み上がった。
そして、洋子の圧倒的な知識の前に、身がすくみ、体中が震えた。
こと数学に関して、生まれて初めて味わう完全敗北の思いであった。
まるで、自分はアリのようなもので、
そのアリが、巨大なライオンに向かっているような思いでいた。
そして、心の底から後悔していた。
自分には、退学の覚悟など、露ほどもなかったのだ。
それが、今、思ってもみない現実になりつつあることを認識し、怯えおののいていた。

「さあ、ラッセル博士の疑問です。」洋子は畳み込んだ。
「説明できません。」夏子は言った。
「また、いい直しをするのですか!今さっき、自分でやったと言ったばかりでしょう!」
洋子は、教卓を叩いて、夏子に迫った。

夏子は、身を震わせ、血の気を失っていた。
「すみません。嘘をつきました。父の数式の展開をコーピーして、
 答えだけ覚えていました。
 内容は、まったく理解していません。」
そこまで言って、夏子は、わっと泣き出した。

「あなたは、こうやって、今まで5人もの先生を辞めさせてきたのですね。
 自分が解けもしない問題を、答えだけ覚えて、先生に解かせた。どうなの!」
「はい、そうです。」夏子は泣きながら言った。
「木下さん、加藤さん、立ちなさい。あなたがたも、同じですか。」
「はい。答えだけ覚えて、先生をやりこめました。」
2人は立って、涙を流していた。

「では、夏子さん。あなたの負けでいいのかしら。」
「はい。」
「では、席に戻りなさい。」洋子は言った。

「木村さん。加藤さん。座りなさい。異存はないですね。」
「はい。」
二人は、泣きながら、うなずいた。
二人とも、洋子の迫力に、恐れおののいていた。

「では、私は、これから、3人の退学の意向を理事長、校長に伝えてきます。
 3人は、帰りの支度をして、呼ばれるまで、教室で待っていなさい。
 やがて、3人は、校長室に呼ばれます。
 校長にはっきり退学の意志を伝え、そこで退学願いを書きます。
 夜、3人の保護者の立会いの元で、正式に退学が決まります。
 3人は、親には謝罪させないと、私と約束しました。
 その約束は、守ってもらいます。だから、3人の退学は、決定も同然です。
 私は、その手続きがありますから、これで失礼します。」
洋子は教室を後にした。

夏子は、机につっぷして、泣くばかりだった。
あとの2人も、約束上、夏子を攻めることもできず、ただ泣くばかりだった。

クラスのみんなは、3人に対して冷たかった。

一人が、たまりかねて、自分の靴を夏子に投げた。それは頭にあたった。
投げた生徒は泣きながら言った。
「なによ、なんなのよ。泣けばいいと思ってるの?
 4月からあたし達は、あんた達のおかげで、
 ろくに授業をうけられなかった。
 あたしたちが、どれだけ迷惑だと思っていたかわかってるの。
 私達の6ヶ月の授業をどうしてくれるのよ。
 どう取り返してくれるのよ。
 私の好きだった先生を2人も辞めさせて、
 どうも思っているのよ。ふざけんじゃないわよ。
 自分達が負けて、終わりなの。
 退学したって、私達の失った月日はもどってこないのよ。
 それをどうしてくれるのよ。
 もう、絶対学校へ来るな。あんた達の顔も見たくないのよ。」

また、別の一人が泣きながら言った。
「そうよ、あんた達は、学年のトップ3で、いいかもしれないけど、
 あたしなんかは、先生の授業を必死で聞いて、
 それで、家に帰ってまた復習をして、やっとなのよ。
 その授業が、あんたたちのおかげで、
 今までろくに聞けなかった。もうT大へ行けない。死ぬまで恨んでやる。
 この学校を、早く出て行け!」

3人目の生徒が言った。
「あんた達を止められなかった私達もいけなかったのかも知れない。
 でも、あんた達は、学年のトップ3。
 その3人が組まれたら、あたしなんか恐くて何も言えないのよ。
 みんなもそうだったと思う。
 あたしは、T大に入るのが夢で、小学校のときから、必死でやってきた。
 みんなが遊んでいるとき、遊びたい気持ちを我慢して、全部勉強して来た。
 夢があるから、我慢して来た。
 それが、あんた達の授業妨害で、ほとんど勉強ができなかった。
 もう遅いのよ。今からじゃ、T大に受かりっこない。
 あたしは、家が貧しいから、浪人なんてさせてくれない。
 あんた達は、私の夢を奪った。」
その生徒は、号泣した。

クラス中の生徒が、靴やカバンを手当たり次第、3人に投げた。
そして、クラスのみんなは、悔し涙に泣き始めた。

3人は、ただ、頭をかばって、机の上で泣くばかりだった。
3人は、まさか、自分達が、これほどまでみんなに憎まれているとは、
思っていなかったのだった。
先生降ろしという劇を、痛快なものとして、
みんなが一緒に楽しんでいるものと思って来た。
授業妨害も、退屈な授業を中断させることで、
みんなは喜んでいると思って来た。
そんな自分達は、みんなの英雄だと思い、得意満面でいたのである。
今、みんなの言葉を聞いて、自分達の大きな思い違に気づいた。
そして、自分達の罪の大きさをやっと認識し、
それが、身に沁みてわかったのだった。

次回は、(「ことの成り行き」最終回です。)


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プロフィール

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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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