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則子になった孝一⑦「則子、奇跡の提案」

学校会議の後半です。
則子は、最後の最後に、奇跡とも言える提案をします。
読んでくださると、うれしいです。
尚、次回が最終回です。
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則子になった孝一⑦「則子、奇跡の提案」


みんなが、やっと泣き止み、静寂が訪れた。
校長は、鮎川道子、神戸美佐にも、簡単に言葉を聞いた。

鮎川は、悪いことをするとき「ノー。」と言えなかった自分が悪く、
その罪は、3人同じだと言った。
則子がツッパリになったとき、則子の一生を台無しにしたことを思い、
則子を見るたび、罪の意識で、胸が張り裂けそうに思った。
それなのに、則子がツッパリをやめて、怖くなくなったとき、
また3人で、同じ罪を重ねてしまった。そのときも「ノー」と言えなかった。
そんな自分への情けなさに、もう消えてしまいたいと思ったことを語った。

神戸美佐も、鮎川と同様のことを言った。

校長は、2人の言葉を聞き、しばらく考えていた。
残るは、則子の言葉を聞くことだけだった。
それで、全てが決まる。

校長は、意を固め、
則子に最後の気持ちを聞いた。

則子は、静かに立った。
皆が、則子を一心に見つめていた。
則子は、口を開いた。

「私の気持ちは、家を出たときにもう決まっていました。
 私は、不良となり、1年半の間、友達がいなくて、淋しい思いをしました。
 だから、夜のグランドに行って、走りました。走って、走って、
 気絶するまで、毎晩、走り続けました。
 走っているときだけは、淋しさから逃れることができたからです。

 こんないい方は、梅子さんに失礼かと思いますが、
 私は、梅子さんも私と同様に、一人ぼっちで、ずっといたのだと思います。
 道子さんと美佐さんと、3人はいつもいっしょでしたが、
 梅子さんの心の中は、
 一人ぼっちの淋しさで、いつも悲しかったのではないかと思うのです。

 さっき、梅子さんご自身がおっしゃっていました。
 『二人は、私が恐くて、手先になっていただけ』だと。
 二人は、私が恐いから、いっしょにいてくれているだけだ。
 別に、二人に好かれているのではない。
 本当は、自分は、一人ぼっちなんだと。

 私は、その悲しさを経験しました。
 だから、今なら、梅子さんを許せるのです。

 梅子さんが、私を引きずり落としてまで、
 トップの成績を取りたかったのは、
 淋しさの裏返しだったのだと思いました。

 今日、3年生のほぼ全員に、梅子さんの口から、
 いじめた内容を言わせてしまいました。
 私は理性を失っていました。
 きっかけは、梅子さんの言葉であっても、
 むごいことをしてしまったと思っています。
 これで、3人は、明日から学校に来ることができません。

 私は、それをどう解決すればいいのか。
 3人が、みんなに冷たくされず、ひどいこともされず、
 どうすれば、学校へ来られるようにできるだろうかと、
 そればかり考えました。

 そして、一つだけ、方法を思いつきました。
 私は、サッカーが好きです。
 だから、女子サッカー部を作りたいのです。
 同好会でもいいです。
 そして、私をキャプテンとして、
 梅子さん、道子さん、美佐さんには、是非、
 女子サッカー部員になって欲しいのです。
 
 そうすれば、3年生のみんなは、
 3人を、女子サッカー部員と真先に見ます。
 部員同士の結束は固いので、部員の一人に手を出せば、
 それは、サッカー部に手を出したことになり、
 そんなことは、誰も出せません。

 そして、いじめた私といっしょにサッカーをやっていれば、
 みんなは、仲直りしたのだと思うと思います。

 友情で結ばれることがむずかしくても、
 サッカーで結ばれることは、可能だと思います。

 これは、3人に恩を着せるのではありません。
 女子サッカー部は、私自身の夢であるからです。

 幸い、梅子さんも、道子さんも、美佐さんも、
 成績は上位の人です。
 サッカーが受験に差し支えることは、ないと思います。

 練習は、男子サッカー部のグランドの隅を借りてします。
 校長先生に、女子サッカー部を認めてくださるように
 お願いしたいと思います。

 私は、恨みの心を、全て忘れたわけではありません。
 でも、それは、私を自滅させるだけのものだと思いました。
 私は、自分の夢に向かって、前だけを見ていきたいのです。

 そこで、過去のことは全て不問とし、
 3人には、学校の寛容なご処分をお願いいたします。」

則子は、礼をして座った。

だれもが、予想もしなかった則子の言葉だった。

校長は、同席の先生方に、視線を向けた。
どの先生も、「OKだ。」とのサインを目で送っていた。
校長が、やっとほっとした表情を見せた。
そして、梅子に言葉をかけた。

「吉井さん、どうですか。サッカーをやってみますか。」
梅子は、すがるような表情で言った。
「はい。やります。あたしは、則子さんが、男子とサッカーをする姿を見て、
 憧れました。やりたいです。則子さん、ありがとう。」
と梅子は、最後は、則子を見て言った。

道子と美佐も、同じ様に目を潤ませて「やりたい。」と言った。

校長が、則子の母恵子に。
「お母様は、それでよろしいのですか。」と聞いた。
「はい。則子の夢でしたから、叶えてやりたいと思います。」と恵子は答えた。

校長は、ほっとしたように笑顔を見せた。
「では、私は、校長として、女子サッカー部を認めます。
 顧問は、そうですね、佐野浩介先生、いかがですか?」
「はい。やらせていただきます。」
と、佐野は言った。

最後に、校長がしめた。
「これで、一件落着となりました。
 本来なら、吉井梅子さんの学校での処分は、退学でした。
 また、鮎川道子さん、神戸美佐さんは、4週間の停学でした。

 しかし、君島則子さんから、奇跡と思える温かな提案があり、
 私は、感激しました。

 そこで、吉井梅子さんの退学は取り消し、
 その代わり、卒業までの11ヶ月間、学校における保護観察処分とします。
 担任を保護教官とします。
 梅子さんは、毎日、一日の日記を書き、担任に提出します。
 その1週間分を、私がまとめて見ます。
 また、月に1度、私と面談をします。
 鮎川さん、神戸さんは、停学を取り消し、
3ヶ月の保護観察処分とし、後は、吉井さんと同様です。
これは、罰ではなく、教育的指導でありますので、
今後の履歴書等に記載する必要はありません。

 許されるということが、どれだけありがたいことか、
 今3人は十分経験したことと思います。
 罰によって人を変えることは難しいのですが、
 感激や感動は、人を変えます。
 3人は、きっと変わると思います。
 ご質問がなければ、これで、閉会といたします。」

梅子が、真先に則子のところへ来て、泣きながら則子に抱きつき、
「ありがとう。ありがとう。あたしサッカーがんばる。」
と言った。
道子も美佐も飛んで来て、4人固まって泣いていた。

親達は、床に手を付いて、恵子に何度も頭を下げた。
梅子の父は、奪い取った12万円を早急にお返しすると言った。



外は、夜が更けて、星の綺麗な晩だった。

帰り道、歩きながら、母に則子は聞いた。
「あれで、よかったのかな。」
「最高だったわよ。則子を心の底から、誇らしいと思った。
則子のツッパリ時代も無駄ではなかったのね。
 あの期間がなかったら、今日のような言葉言えなかったと思うわ。」
「明日から、サッカーだ。お母さん、いいでしょう?」
「目隠しでリフティングする娘に、ダメとはいえないでしょう。」
「えへへ。」
則子は、母の腕を抱いた。


■次回予告■

大きな問題が残っています。
二人の実の家族とはどうなるのか。
二人は、これからも入れ替わったままなのか。
次回、最終回にて、すべてが明らかになります。



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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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