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スーパー洋子・入社試験(2話完結)

スーパー洋子の三栄出版の入社面接の様子を書きました。
後半は、一度書いたものの書き直しになっています。悪しからずに。
少し長いのですが、投稿します。読んでくださるとうれしいです。
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スーパー洋子・入社試験(2話完結)


洋子は、あるビルを見上げた。
三栄出版とある。
「ここにするかな。1階は、綺麗だし、受付のお姉さんは可愛いし。」
洋子は、紺のスーツ。だが、上着は短く、おかっぱ。
可愛いが、高校生のようだ。

入社面接の廊下に着て、ソファーに座った。
あまり面接者がない。
条件が悪いのかなと思った。

やがて名を呼ばれ、面接室に入って、面接官の前に座った。
洋子は、下唇を出して、ふーと息をオデコにあて、前髪を飛ばした。
面接官は、眼鏡をかけた、すらっとした40歳くらいの男。
「大岡忠雄」という名札を置いている。
横に30歳くらいの女性がいる。中川百合子。
洋子は、履歴書を渡した。
面接官は、履歴書を見て、
「あれ、あなたは、中卒じゃありませんか。ここは大卒のみですよ。」
「あ、これを見てください。」
洋子は名刺を渡した。

「中卒でも、大卒並の会社に就職する勉強会
 代表 倉田洋子」とある。

大岡は、隣の女性に名刺を見せながら、
「説明してください。」と言った。
「中卒だと、多くの就職に門戸が狭くなります。
 高校中退でも、中卒となります。
 高校に入り、即いじめられて、やむなく学校を辞めた。
 その場合、中卒になります。いじめた奴が悪いのにね。
 その人達は、高卒以上という条件に、散々打ちのめされます。
 門前払いです。
 これは、中卒の人ばかりではありません。
 天下の私立W大を出ていても、「うちは、T大卒だけ。」
 と門前払いを食らい、悔しい思いをします。
 T大生でも、「うちは、法学部だけ。経済では無理。」
 こんな調子です。
私たちの会は、そういう門前払いに、悔しい思いをした人で、作ったものです。
中卒のままでは、いけないというのではありません。
あくまで、門前払いを悔しいと思った人の集まりです。

 学校名や学歴で決めるなということで、その会社で必要な知識、技能を集中して
 学んできました。
 よって、私を「中卒はだめ。」と門前払いをせず、
 私と話をして、人となりを見たり、
 実力を試してください。それで、だめなら、あきらめて帰ります。」

大岡は、隣の百合子に相談した。
「おもしろいじゃないですか。
 大卒だって、まるで大卒の勉強をしてこない人が、5万といます。
 それより、彼女のような、筋金入りの人の方が、よっぽどいい。」

「わかった。百合子くん。そこらで、大卒程度の問題、探してきて。」

「待ってください。私は、校正者になるための訓練を主にやってきました。
 ですから、校正をさせてください。」と洋子。
「そうですか。では、百合子さん、何か校正するものを、
 持ってきてくれませんか。」と大岡。
「私の手元に、山崎さんの推理小説がありますが。
 第2校正を終えて、第3校正を私がするところです。」
「では、第3校正をさせてください。見るだけで、書き込みません。
 私たちは、大卒の人を圧倒するだけの訓練をしてきています。
 なぜなら、中卒ということだけで、大卒の人に比べ、蔑まれるからです。
 面接の方が、あっと驚くような能力を見せなければ、なりません。」
「わかりました。」

百合子は、頷きながら、テーブルに置いてある片面300ページの冊子を渡した。
今、人気絶頂のT大数学科の助教授の推理小説である。
数学者だけあって、極めて論理的な推理をする。
同時に、書く文章も、ほとんど間違いがない。
校正の必要など、はじめから、ほとんどいらないくらいなのだ。
彼の物語の主人公は、同じT大の助教授、島田浩平という。
百合子と大岡は、興味津々に洋子を見ていた。

洋子は、原稿を目の前に置いて、全ページを指の端に取り、
パラパラめくりのように、下のページから落としていった。
トップのページを落とすまで、3秒とかからなかった。
新聞社の新聞が印刷されるスピードに似ていた。
「では、申し上げます。」と洋子は言って、原稿を百合子に返した。
「ま、待ってください。最終ページからご覧になって、
 しかも、3秒足らずですよ。山崎三郎の原稿ですよ。」百合子は、言った。
「面接官の方に驚いていただくには、ときに曲芸のようなことをします。
 私は、速読世界チャンピオンなのです。驚かれましたか?」

「もちろん!」百合子と大岡は、声をそろえて言った。
「うれしいです。メモをお願いします。」と洋子は言った。
「直されていない部分が、72あります。
 直す必要のないものを直してしまっているところが、23。
 気が付いていない脱字が、43。
 回りくどい表記が、26か所。
 リズムの悪い文が、58。
 失礼ですが、校正部で第3校正をなさるのは、
百合子さんお一人ですよね。」

「はい、そうです。」
「ならば、第2校正までのこのミスの多さは、百合子さんにとって殺人的です。
 本来は、第1校正で、ほぼ、完璧に校正され、
 第2校正は、第1校正を確認するだけ。
 そして、第3校正は、大まかなところだけ見る。
 題名や作者名、ページ番号など、大きなものは、逆に落としやすいのです。
ですから、そういうところを見るだけ。
 だから、1人でやれるのです。」
「そうです。それなら、私は、どんなに楽か知れません。
 でも、未校正部分が、ほんとに倉田さんがおっしゃった数あるのですか。
 山崎先生の原稿で、その数は、考えられません。」百合子は言った。
「では、第一ページの作者名を見てください。」と洋子。
百合子は、しばらく眺めて、「あ!」と言った。
(しばらく眺めて、やっと気付いた。)
「山崎三郎」なのに「山崎三朗」になっている。

「それは、恐らく、山崎先生がお間違えになったのです。
 ワープロでのミスです。第一候補に「朗」が出て来たのを、
 そのまま、確定してしまった。
 第一校正の方も、第二校正の方も、本人が書いた名前なので、
 違っているはずはないと思ったのです。」
「なるほど。大きいものほど、落としやすいとおっしゃったのは、
 こういうことですね。」と百合子。
「落としやすいのは、作者も同じです。」

「では、好きなページ番号をおっしゃってください。」
「じゃあ、256ページ。」

「そのページには、ミスが5つあります。
 最初のミスは、12行目、上から7文字目に「宇宙」とありますね。
 この「宇」と「宙」の間が、意味もなく半角空いています。
 これは、印刷屋さんを大変悩ませます。
 意味があって、半角あけてあるかも知れないからです。
 私が指摘したミスのほとんどは、この半角空けです。
 恐らく、山崎先生は、小説に数式、アルファベットをたくさん使われる。
 数式の多くの字は、半角です。だから、漢字に移るとき半角を戻さず、
1打うってしまうのです。あ、いけないと思って全角にもどす。
ここで、半角を入れてしまう。
さすがの、山崎先生。漢字、ひらがなの間違いは極少ないです。
でも、字間のミスは、うんざりするほど多いのです。

山崎先生の推理小説は、すでに7巻出版されています。
この内の、6巻は、字間の校正が、あまりに多いので、字間の校正をギブアップして、
知らんふりをしています。山崎先生も字間が気にならない方らしく、スルーです。
でも、1社だけ、きっちり字間校正をやっています。プロ魂がありますね。
読者の9割が、字間など気にしません。
でも、鋭い感覚をもった1割の人は、気になってたまらず、途中で本を投げ出してしまいます。
絶対音感を持った人が、中間音を聞くと、吐き気がしてくるのに似ています。
三栄出版なら、その1割の人のために、字間校正をなさると思います。

字間校正は、漢字ひらがな校正の3倍時間がかかります。
だから、校正者にとって、最もやりにくい原稿です。
そして、第2校正まで、この無駄な半角挿入は、ほとんど赤が入っていません。
全部で64あります。

字間校正を減らす方法があります。
字間に赤の校正がたくさん入っているものを、山崎先生に見せるのです。
「こんなに、間違っていましたか。」と先生はおっしゃる。
そのとき、字間校正をしたためだと伝えます。
山崎先生のことです。
次回は、きっちり字間の揃った原稿をくださると思います。

百合子と大岡は、驚いて頷いていた。
百合子は聞いた。
「私が、任意に言ったページの校正ミスをずばりおっしゃいましたよね。
 もしかして、倉田さんは、この小説の全文が、頭に入っているのですか。」
「はい。私は、一度読んだものは、いつまでも覚えています。」
「えええ!!」
 百合子と大岡は、大きな感嘆の声を上げた。

(次回、後編です。「洋子、山崎の推理ミスを指摘する。」)


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プロフィール

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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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