スーパースターのジョー(書き直し)

一度過去に投稿したものを、書き直しました。
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自叙伝「スーパースターのジョー」(書き直し)


私のアメリカの大学は、フットボール・チームはなかったが、
全米の学生バスケットボールではかなりいい線をいく「パイレーツ」というチームがあった。
そのパイレーツが、本大学の体育館で試合をするという。
めったにないことらしくて、学校中でかなり盛り上がっていた。
テレビ局からの放映もあるという。

試合の日、私はウォンと見に行った。
ギャラリーは超満員で、ミスター・キャンパスと、ミス・キャンパスが、
ティアラを頭に乗せて座っていた。

黒人選手がほとんどだった。
試合は勝った。その勝ち方がカッコよかった。
1点差で負けていて、パイレーツ・ボール。残り10秒。
パイレーツの2人がパスを互いに送りながら、時間稼ぎをしている。
あんなことしていて、いいのかなと思った。
時計の針が残り5秒となり、3秒となったとき、
2人は、猛然と敵ゾーンに突っ込んでいった。
残り時間、2秒、1秒というとき、シュートを放った。
わあーとすごい歓声があがった。ボールが宙をアーチ状に飛び、見事バスケットゴールへ。
入ったときに、試合終了の笛がなった。(このプレーは、名前があるらしい。)
逆転勝利だ。
すごい歓声だった。
「カッコイイ!」とウォンと二人で、最高に興奮してしまった。
ゴールを決めた、その黒人選手の顔をしっかり覚えていた。
彼は、ニグロで、色が完全に黒い。
どうやら、大学のスーパースターらしい。



私は、「児童文学」の授業を受けていた。
部屋に15,6人の学生。みんな女子だった。
キャシー先生は、40歳代の優しい女性。
私はこの授業が大好きだった。

その日、教室へ黒人の男子学生が、遅れて入ってきた。
キャシー先生は、
「まあ、珍しい、ジョーじゃないの。ジュンの隣が空いているわ。」と言った。
彼の顔を見て、私は、思わず「うそー!」と思った。
昨日のバスケットボールのスーパースターだ。
先生はジョーと呼んだ。
ジョーは私の隣の机椅子に座った。
座るとき、私を見て、ちょっと会釈のようなものをした。
私もちょっと笑顔を返した。

先生が、
「ジョー、いくらあなたがスーパースターだからと言って、
 授業をサボっていいってことはないのよ。もっと出て来なさい。」
ジョーは、何も言わずに、手をちょっと挙げて、頭を下げた。

ジョーと児童文学。どう考えたって結びつかない。
きっと単位の取りやすい科目を選んで履修しているにちがいない。
もちろん、スポーツ学生として優遇されているのだろう。

ジョーは、無口で、早く授業が終わらないかと、そればかり考えているようだった。
授業が終ったとき、驚いたことに、ジョーが私に手を出して、
「俺は、ジョー。よろしくな。」と言った。
私はジョーと握手をして、
「私は、ジュン。よろしく。」と言った。
「コーヒーでも飲みにいかねーか。」とジョーが言った。
「あ、いいわよ。」と言ったものの内心ものすごく驚いていた。
仮にも、大学のスーパースターだ。

廊下をいっしょに歩きながら、
「どうして、私を誘ってくれたの?」と聞いた。
「君は、スカート履いてる。俺はスカートの子が好きだ。」
「それだけ?スカートはいてれば、誰だっていいの?」
と私は意地悪く聞いてみた。
「まいったな。負けたよ。君が、」
「ジュンよ。」
「ごめん。ジュンが、可愛かったからだよ。」
「あはっ。無理に言わせちゃった。ごめんなさい。」
「ジュンは変わってるな。」ジョーが首を振りながらそう言った。



校舎のホールのコーヒー店で、コーヒーを飲みながら。

「ジュンは、俺が誰だかわかっているのか?」とジョーが言った。
「昨日、試合見たわ。」
「なんだ。だったら、俺といることにもっと感激してくれよ。」
「感激してるわ。」(私は、男子だから、どんな男子でも平気。)
「そうは見えない。」
「してるわよ。今日は、スーパースターのジョーとコーヒーを飲んだって、
 友達中に言いふらすわ。」
「ほんとかよ。」
「ほんとよ。」
「あやしいなあ…。」とジョーは、にやっと白い歯を見せた。

そのあと、20分ほどジョーと話した。
不思議なほど話がはずんだ。(その訳が今でも分からない。)

黒人の男子とゆっくり話をしたのは、初めてだった。
しかも相手は、スーパースターのジョー。
ウソみたい。
友達みんなに言いふらす…は嘘。
ウォンにだけは自慢したい。
いえ、ウォンにも黙っていようかな。
どうしようかなと考えながら、
私はうきうきとして、校舎を出た。


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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