時間交換業⑥「百合子、過去を修正できるか」最終回

最終回です。2回に分けようと思いましたが、
一気に投稿します。少しだけ、長くなりました。
読んでくださるとうれしいです。(Hは、ありません。)
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時間交換業⑥「百合子、過去を修正できるか」最終回


5月9日。
百合子の問題の日は、明日である。
『明日、サロンに行かなければいいんだ。』
百合子こと水上幸男は、そう固く胸にいいきかせた。
サロンにさえ行かなければいいのだが、
一つの心配は、どこのどんなサロンだったか忘れている。
サロンではなく、ニューハーフの店だったのかもしれない。
いずれにしても、風俗に行かなければいい。
簡単なことだと思った。

浮気した女装子の名前は、忘れもしない。リリだ。

夕食になった。
誰も自分を無視しない幸せを、改めて思った。
高2の忠司が言った。
「お父さん、まだ、俺の高校来たことないんじゃね。」
「ああ、そういいえばないなあ。」
「明日、学園祭。俺はバンドやってる。体育館。来る?」
「いくいく、是非にもいきたい。」
幸男は、『これで確定だ!文化祭にいけば、風俗に絶対行かないで済む。』と思った。
「あたしは、ダメなの。」妻
「あたしも。」妹
「お父さん一人でいい?」と妻。
「一人もいいから気にしないで。」
「お父さん。俺のクラス『男の娘喫茶』なんて面白いことやってるから、覗いて見なよ。」
「そうなの。」と幸男は言って、ドキッとした。

そのとき、運命の恐ろしさを感じた。
『そうだ。リリとあったのは、息子の学園祭だ。
 風俗じゃない。高校生がやっていた「男の娘喫茶」だ。
 自分は、こともあろうに、息子の同級生と性関係をもってしまった。
 息子が怒るのも無理はない。
 家族が、怒るのも無理はない。
 一般の女性に浮気するより、はるかに悪い。
幸男は、急に、学園祭が恐くなって、胸がどきどきしていた。

薫は、百合子のことが心配で、2015年に戻り、5月10日、
午前10時に、時間交換業に行った。
中にいた事務員智美に、訳を話した。
「先方のお名前などは言えませんが、
 お客様、このプレートに手を置いてください。
 はい、もういいです。お二人は、学園でお友達であることが確認されました。」
智美は、モニターを開いて、薫と一緒に覗いた。
「今、10時20分ですね。まだですね。」
「サロンと言ってました。早すぎたのでしょうか。」
「百合子さんが、浮気の人と出会うのは、サロンではありません。
 息子さんの男子校の学園祭です。」
智美は、画面をいじった。
学校の中が移った。
「ここです。『男の娘喫茶』ってありますでしょう。
 この女装した男の子の中に、特別に可愛い男の子がいます。
 女の子と見分けがつかないくらいです。
 この教室の入り口で、
出ようとするその女装子さんと百合子さんが出会ってしまうんです。
 百合子さんが、この出会いを、避けることができたら、クリアーです。
 でも、過去を修正するのは、並大抵ではありません。
 針1本動かすのも、ものすごい重圧がかかります。」
「そうでしょうね。それで、世界中が変わってしまうのでしょうから。」
「そうでもないんです。空間を区切る技術が開発されました。
 空間をエレベーターくらいに区切って、
 その中だけで、ことが済むようになったのです。」
「そうですか。それは、すごいことですね。」
「はい。その区切られた小空間の中だけでも、大変な抵抗が生じます。」
 百合子さんが、過去に出会ったのは、午後の1時37分15秒です。
「じゃあ、1時20分になったら、またきます。ありがとうございました。」
そう言って、薫は一旦外に出た。

2300年の愛園学園では、担任片桐冴子と学級モードの学級委員梅原美咲も、
学校のPCで百合子の追跡をしていた。
美咲が、PCを屈指し、百合子が相手と出会う場所と時間を特定した。
「学園祭とは、意外だわ。百合子思い出すかしら。」冴子。
「思い出さなくても、運命の力は、強大ですから、
 ここに来ちゃいますよ。」
「そうね。」

幸男は、午前中体育館にいた。音楽が好きだったので、
次々と出て来るバンドの演奏を聞いていた。
椅子がないので、あぐらをかいて聞ける。
忠司のバンドの演奏もばっちり見た。
忠司が手を振っていたので、手を振った。忠司はうれしそうだった。
幸男は、息子が受け容れてくれることを、しみじみとうれしく思った。

外は安全だと思ったので、
昼は、外の模擬店で、焼そばを食べた。
「男の娘喫茶」は、2回の中央の教室だ。
ただ、リリといつどうやって会うのかが分からなかった。
ぶらぶらして、模擬店を回った。
すぐに家に帰ってしまえばいいものを、
恐らく過去は、修正を嫌うので、過去の出来事の通りに本人を動かす。

1時30分である。正確には、あと7分と15秒である。

そのとき、初老の女性が来て、学内地図が読めず教えて欲しいと言った。
「はい、2階です。分かりますから行きましょう。」
幸男は言い、女性を2階の教室まで、案内をした。

1時20分。薫が事務所に戻って来た。
智美と薫で、モニターを見た。
「もうすぐですね。」
「はい。運命は恐ろしいです。
 何が何でも、連れて行くんですよ。」智美が言った。

「どうしよう、冴子。あと7分。男の娘喫茶に近づいてます。」美咲。
「隣の隣ね。ああ、心配。神様。」と冴子は祈った。

幸男は、気が付いていた。
隣の隣の教室が、「男の娘喫茶」である。
そこから、離れようとしたが、すごい抵抗感に襲われていた。
過去の力か、幸男を無理にもそこへ行かそうとする。
「当たり前だな。過去を大きく変えようとしているんだから。」
幸男は、じりじりと押されて、とうとう「男の娘喫茶」の出口を過ぎた。

「入り口ですよね。入いっちゃいけないのは。」美咲は言った。
「そうなの。がんばれ、百合子。」冴子。

「問題の小空間に入りました。ここからが、苦しいのです。」智美は言った。
「ああ、百合子、がんばれ。」薫は言った。

幸男は、必死に抵抗していた。
リリと出会う時刻に近づいてる証拠だ。
幸男は、とうとう、入り口の端まで来てしまった。

7分が過ぎた。正確にはあと15秒。
幸男の体は、ほとんど入り口の前だった。

冴子「ああ、だめ、だめ。」と叫んだ。
美咲も、「だめ。」を叫び通していた。

智美「あと、15秒あります。」
薫「はい。でも、もう体の半分が入っています。

そのときである。赤いビニールボールが飛んで来て、
幸男のお尻にあたり、転がった。
幸男は、「あ。」と思い、何も考えずボールを拾いに行った。
女の子が走って来て「ありがとうございます。」と頭を下げた。

幸男は、入り口を見た。
すると50歳くらいの男性が、入ろうとして、
中から出て来た女の子にぶつかりそうになった。
「あなた、まさか、女の子ですよね。」と男性は言った。
「いえ、あたし、男です。」その子は、にっこりと言った。
「うそー、ほんとお?おじさんね、勇気がなくて入れないでいたの。
 よかったら、いっしょに入っていただけませんか。」
「はい。どうぞ。ご案内します。」

幸男はそれを見ていた。
「そっくりそのまま、あのとき、俺が言った言葉だ。
 ということは、俺の過去があの人に移った。
 あの人がリリとどうなるかは、あの人の問題。
 わーい、やっほー!」と手を挙げた。体が、急に軽くなった。

冴子は泣いていた。そして、美咲と抱き合った。
「よかったね。一人が救われた。」

薫「あー冷や冷やしました。よかった。うれしいです!」
智美「あのボールは、神様の贈り物でしたね。
   親切に拾ってあげたので、贈り物をもらえました。
   百合子さんの人柄が、百合子さんを救いました。」



水上家の夕食。
幸男の誕生日なので、オードブルやケーキが並んでいた。
「お父さん、学園祭来てくれてありがとう。」と忠司。
「ああ、すごく楽しかったよ。」幸男。
「お父さん、午前の部、全部見てくれたじゃない。
 みんな、誰のお父さん?って注目だったよ。
 お父さん、見た目カッコイイし、みんな感謝してた。」
「音楽好きだからね。」幸男。
「ところで、俺のクラス行ってみた?男の娘喫茶。」
「入り口まで行ったけど、恥ずかしくて入れなかった。
 入り口に女の子がいたよ。」
「あはは。」と忠司は笑った。
「アイツ、男なんだよ。
 まるで、女の子だったでしょ。
 髪は、ボブヘアーだし、声も言葉も女。
 でも、俺ら男子校じゃない。もてもてだよ。
 カラオケなんかに引っ張りだこ。あいつ女の格好で来るしさ、
 女の子がいるのと、いっしょ。」
「ふーん、会ってみたいな。」妹の香里。
「将来、どうなるのかしら。」母のエリ子。
「うん、アイツは心も女だから、手術して、女になるんじゃない。」忠司。
「心が女の子なら、女の子の素質で生まれて来て、よかったね。」幸男。
「それを言うなら、ずばり女に生まれて来た方が、よかったでしょう。」
「そりゃそうだ。」幸男。
みんなで笑った。
こうして、幸男の5月10日は、無事済んだのである。

次の週、百合子は、愛園学園に来た。
そして、みんなの前で、みんなが心配してくれたことのお礼を言った。
そして、担任の片桐先生に助けてもらったことを言った。
それを聞いて、「ずるい。」などという子は一人もいなかった。
みんなが、「おめでとう。」と大きな拍手をした。

片桐は言った。
「百合子さんの、修正前の歴史では、
 お尻に飛んで来たゴムボールを、無視してしまったの。
 今度は、何も迷わず拾ってあげた。
 こんな小さなことで、自分の歴史って大きく変わるのね。
 みなさん、親切にすれば、皆さんの歴史は、
 どんどんいい方向に変わるようですね。」

席に戻って来た百合子に、薫は言った。
「学級委員の美咲さんから、観客参加型ショーのご招待が来てるわよ。
 多分、百合子のお祝い。」
「いつ?」
「今日。」
「わあ、うれしい。」と百合子はバンザイをした。


<おわり>


(次回、迷ってます。観客参加型ショーのエピローグにしようかな?)

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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
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