懐かしい「ママ」のオムライス「みんなが報われる」(後編)

懐かしい「ママ」のオムライス「みんなが報われる」(後編)


未だかつて、こんなに忙しかったことはない。
小林シェフのシャトレでは、入り口を開けると、
30席が、満席になった。
リヨンの方は、18席が満席になった。
リヨンの方は、近所でママの料理をよく食べに来た人。
昔よく食べに来た今は30歳ほどの若者。
シャトレは、小林を知っている若者、
そして、聡子のコラムに感激してきた若い人が多かった。

大きなボールに山盛り作ってあるニンジンのみじん切りを見て、
「これ、午前中になくなりますよ。」と加藤が言った。
「木下さん、午後のために、ニンジン切ってお置いてくれますか。」
と小林が言った。
玉子の裏表焼は、難しいので、小林がやらなくてはならない。
チャーハンを炒める人が一人足りない。
そのとき、コック服の支配人が厨房に現れた。
「私が、昔、優秀なコックだったことを忘れちゃいけませんよ。」
支配人は言った。
「わあ、やったあ。」とみんなが声をあげた。
オーナーは、気の利いたことをしていた。
客席を回りながら、反応を聞き、「おいしい。」「なつかしい。」という声を、
厨房に届けた。
そして、色紙とサインペンをもって、小林を知っていそうな客に、
名前と電話番号を書いてもらっていた。
後で、昔の友達に会えるようにである。

忙しくなって、小林は、両手にフライパンを持って、チャーハンを作り始めた。
「キャー、シェフ、カッコイイ!」と、ソムリエの二人が言った。
支配人が来て、コック2人は、ニンジンに回った。
「疲れたら、休んでくださいね。」と小林はいう。
「まだ、大丈夫です。疲れたら、絶対休むようにします。」木下と加藤は言った。

客達は、みんな気を利かし、自分達が食べ終わると、一言かけて、
さっと外に出てくれた。

リヨンの方は、始めから、猛急がしだった。
シェフの隆は、始めから両手でフライパンを振っていた。
11時半ごろ、やっと順番が来た若者が、
「ママのオムライス、うれしいです。
 今朝、北海道から、飛行機できました。」と言った。
店の人達は、おおおおおおと拍手を送った。
北海道から来た柏木剛は、ママや小林を知っている人に、
自分の名刺を配り始めた。
「『ママを偲ぶ会』なんかがあったら、俺にも声を掛けてください。
 北海道から来ますから。」と言った。

こんな風に、リヨンは、大変な盛り上がりだった。

シャトレも、外に並んでいる人が、ずっと絶えなかった。
交代でおむすびを食べ、午後には、限界状態だった。

リヨンは、夜の8時15分を過ぎて、最後の客が帰った。
シャトレは、8時30分に最後の客が帰った。
「ああ、ああ、うれしかったけど、疲れた。」木下。
「こんなにがんばったの初めて。」加藤。
「でも、なんかすごい充実感。」
「あたしも。」とソムリエの二人。
みんな、厨房にある箱に座り込んだ。

オーナーが来た。
「みんな、客席に座っちゃえばいいのに。」
「いえ、今ここで頑張った余韻に浸っているんです。」木下。
「そう、じゃあ、小林くん。みんなに何か言葉を言って。」
「はい。」と小林は立ちあがると、みんなを見た。
そのとたん、涙がどっと出た。

「今日は、お店の仕事で、私のための仕事ではありませんが、
 みなさんは、私のために、限界を超えるまで、
 がんばってくださったのじゃないかと、思っています。
 ママのオムライスが、こんなに売れて、私は、感無量です。
 みなさん、ありがとうございました。」
小林は礼をして、みんなは大きな拍手をした。

「今日特別にがんばった支配人にも拍手をあげましょう。」オーナー。
支配人は立って、
「私も、けっこうやるでしょう。」
みんなは、笑いながら、拍手をした。
「えー、私オーナーは、小林シェフのために、少し仕事をしました。」
オーナーは、色紙を出した。
「えー、席を回りながら、小林さんを知っている人に、
 名前と一言、電話番号を書いてもらいました。
 小林シェフ、受け取ってください。」
小林は立って、色紙を見て感激した。
「みんな、あの頃の人達です。うれしいです。ありがとうございます。」と礼をした。
オーナー。
「さて、最後に。今日は、開店以来の売り上げです。
 そこで、みなさんに、支配人にも『大入り袋』です。」
みんなは、わあーと喜んだ。
初めてのことだった。
みんな袋を受け取って、中を見て、「わあ~、やったー!」と飛び上がった。
「では、次の大入り袋を目指して、がんばってください。」オーナーは言った。

そのとき、入り口をノックする人がいた。
「毎度、柳澤様から、お寿司の配達です。」
みんなは、わあーと万歳をした。

リヨンでは、隆と絵里奈で、ワインを傾けながら、
静かな時を過ごしていた。
「忙しかったけど、うれしかった。」絵里奈。
「ああ、あんなに大勢の人から、母さんは慕われてたんだなあ。」
「そうねえ。お父さん。母さんの星を見に行こうか。」
「いいね。」
二人は外に出た。
真っ直ぐ、リヨンを照らしている星がある。
「お父さん、あの星だよ。」
「俺も、今、そう思ってた。」
「母さーん、見てたー?あんなに売れたよー。」
「見てたよなー。」
二人は、星がまたたいたように思った。

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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
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