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リヨンのオムライス

リヨンのオムライス


町の小さな洋食店リヨン。
妻がなくなり、ホテルリッツのシェフであった隆と、
娘のソムリエ絵里奈の2人でやっている。
客が来ず苦しい時代があったが、
柳澤聡子が、グルメ雑誌にリヨンのことを書いてから、
店は連日満員になった。

木曜日、店が休みの日、娘の絵梨香は言った。
「お父さん、『レストラン・シャトレ』というお店ができたらしいの。
 シェフは25歳で、すごく可愛い男性らしいの。行ってみない。近く。」
「あはは。可愛い男性は余分だろう。レストランは味だ。」

時刻は、8時半を過ぎ、閉店までわずかしかなかった。
今から、来て、注文する人もいない。
二人は、シャトレに来た。
思ったよりずっと小さな店だった。
「いらっしゃいませ。」とソムリエが来て、窓側の席に案内した。
きびきびしたソムリエの態度1つを見ても、きちんとした店に思われた。

シェフ小林は、厨房の出口から、隆親娘をみていて、
『おや、これは、たいへんだ。』と思った。

二人は、メニューを見ていた。
「わあ、お父さん。これおもしろい。『今風オムライス』と『懐かしいオムライス』
ですって。」
「懐かしい・・とは、トッピングがケチャップだったりするのかな。」
隆は笑った。
途中で、料理を取り替えることにして、
「今風オムライス」と「懐かしいオムライス」を頼んだ。

オムライスの注文が来たとき、小林はさらに緊張した。
「シェフ、力はいってますよ。」と加藤。
「ばれちゃう?一世一代がんばって作るんだ。」

やがて、料理がきた。
「今風」は、チャーハンの上に、半熟のふかふかの玉子、
 デミグラスソース。青い葉っぱ。
シェフ隆は、一口食べた。

「う~ん、上手い。100点満点だな。玉子料理は一番むすかしいからな。
 若いと聞いたが、たいしたシェフだ。」

隆が、ふと絵里奈を見ると、絵里奈は、1口を呑みこんで、涙を流していた。
「絵里奈、どうした。どうかしたのか。」隆は聞いた。
「お父さん。これ、お母さんのオムライス。」絵里奈は言った。
「まさか。ちょっと食べていいか。」
隆は、一口取って、口に運んだ。
「ああ、これは。」と隆志も目を潤ませた。
「お母さんのは、チャーハンの中に、みじん切りにしたニンジンが入っている。」

「少しでも、若い人にニンジンを食べて欲しいからよ。
ママさんはそうおっしゃっていました。」
小林シェフが横に来ていた。

「シェフの小林です。どうぞよろしく。」
「リヨンの隆です。」
「リヨンの絵里奈です。」

「あの、妻のメニューがどうしてここにあるのか、訳を教えてくださいませんか。」
隆は、言った。
「はい。私は、母を知らずに育ち、3人の弟と父のために、料理が専門でした。
 そして、お休みの日に、遠い道を歩いて、
まだ、奥様がやってらっしゃったころのリヨンへいきました。
私は、母を知りませんので、リヨンのママさんを、心で母のように慕っていました。
注文するお料理は、オムライスばっかりでした。
オムライスは、とても面倒なので、普通家庭では食べられません。
私は、いつもカウンターに座って、ママさんのお料理を見ていました。
「どうして、みじん切りのニンジンを入れるんですか。」と聞いたとき、
ママさんは、さっきのようにおっしゃいました。

ママさんの人気は、私だけではなくて、地方から働きに来ている若い人も、
みんな、ママさんが好きでした。
私は、高校にいかず、すぐコック見習いになりました。
その内ママさんが他界されるという大きな悲しみがありました。
私は、地面を何度も叩いて泣きました。
その時、心に固く誓いました。
もし、シェフになれたら、必ずママさんのお料理を1つ置こうって。
ニンジンのみじん切りの入った、チャーハン。
裏表焼いた玉子。ケチャップの垂れ、グリンピース2個。
それが、「懐かしいオムライス」です。
けっこう人気があるんですよ。
「懐かしいオムライス」をメニューに置いている限り、
私の中で、ママさんは生きているんです。

小林は、目をにじませていた。
シェフの隆と絵里奈は、ハンカチを目に当てて泣いていた。
隆は言った。
「小林さん。ありがとうございます。
 まさか、妻のオムライスを置いてくださっているなんて。
 妻が今も生きていると思っていてくださる方がいてくださるなんて。」
絵梨香。
「お母さんは死んでも、お母さんのお料理は生きている。
 お父さん。内にもおこうよ。『懐かしいオムライス』。」
隆。
「小林さん、真似をしても、いいですか。」
小林。
「もちろんですよ。それこそ、本家本元じゃありませんか。」
小林はわらった。



九時を過ぎ、隆志と絵里奈は、空を見ながら歩いていた。
「なんだなあ。母さんのレストランこそ、町にとけ込んだレストランだったのかな。」
「お父さんだって、値段を上げてないから、立派な町のレストラン。」
「小林さんに会えてよかったな。」
「小林さんの中学時代と母さんを思って、胸がじんとする。」
「俺もだ。」
二人の心に、目をくりくりしながら、
ママの料理を見ている小林の姿が思われた。


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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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