超能力者・高島忠男⑤「みんなが幸せに」最終回

最終回です。最後も長くなりました。
お暇なときにでも、読んでくださるとうれしいです。
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超能力者・高島忠男⑤「みんなが幸せに」最終回 (7.30 加筆)


ホテルへの電車の中で、哲夫は考えていた。
おれは、なまじ超能力などあったものだから、
傲慢な男になってしまっていた。
自分はなんでもできると思っていた。
万能だと思っていた。
しかし、今、俺は、人の親切がわかる。
人並に、努力することができる。
仲間がいるありがたさがわかる。
俺は、やっと謙虚な人間になれた気がする。
なんというすがすがしい気持ちなんだ。

ホテルの中では、花柄のワンピースの葉子を見て、みんなが拍手した。
髪の毛は、全体ゆるいカールに前髪は、7:3に分けている。
胸がキュンとする可愛らしさだった。
9時まで、あと7分。
忠男は、葉子を連れて、ガラスの正面玄関の前に立たせた。
「ここ、動いちゃだめだよ。
 もうすぐ、記憶が100%になったぼくがやってくるから。
 葉子さんと、出会った頃の記憶も持ってる。
 じゃあ、動いちゃだめだよ。」

忠男は、そのまま、ホテルの玄関を出て、裏に回った。
周りを確認した。
哲夫は、うれしそうに立っていた。
忠男は、にこっとして、
「言うことは、昨日の夜いったから。さあ、チェンジだ。」
忠男は、哲夫の肩をポンと叩いた。
すると、二人が入れ替わった。
哲夫の頭に音楽が流れた。指を動かしてみると、ちゃんと弾いている。
「葉子さんが、待ってる。早く、行きたまえ。」
「はい!」と言って、哲夫はホテルの回りを走って、玄関から入った。
ワンピースの、愛らしい、女性がいる。
一瞬誰かと思い、立ち止まったが、葉子だと気が付いた。

哲夫の胸に喜びがあふれ、両手を広げ、
葉子を抱きしめた。
「葉子。初めて会ったときから、ずっと好きだったんだ。
 昨日、天使が来て、君のことを教えてくれた。
 君の体のことも、なぜ、ビアンだと言っていたかも、
 なぜ、男装をしていたかも。
 俺は、大バカだった。そんな君の気持ちに何一つ気付かなかった。
 葉子。許してくれ。
どうか、一生俺のそばにいて欲しい。
これ、プロポーズだよ。イエスと言ってくれるかい。」
葉子は、幾筋も涙を流していた。
「あたしで、いいの?」
「君しかいない。世界のダレよりも愛してる。」
「うれしい。イエスよ。あなたと一生一緒にいたい。」

二人は、キスをした。

キスが終わって周りを見ると、ロビーの人々、中2階の人々、
ソヨンとジェニファーが、エキサイトしている。
ほとんどの人が二人を見ている。

哲夫と葉子は照れてしまった。
哲夫は大声で言った。
「あのう、みなさま、つまりは、そういうことです!」
すると、みなさんは、温かい笑みを送り、
大きな拍手をくれた。



日曜日、午後5時。
いよいよコンサートの日である。
入り口の左右で、ジェニファーとソヨンが、切符切りをしている。
二人共、事務員の服を着ている。
忠男は、ややぴんとしたスーツにネクタイをして、
哲夫のコンサートに出かけた。
当日券があるかも知れたない。
行ってみると、テーブルに葉子が綺麗なワンピースを着て立っていた。
「当日券」と札がある。
忠男は、「あの、当日券があるのですか。」
「はい。1番後ろの2席しかございませんが、よろしいですか。」
「はい、かまいません。」
切符を切って袋に入れながら、
葉子は、少し、動作を止めて、忠男を見た。
(知っている人に思える。)
「この2席以外満員なのですね。」と忠男がいうと、
「はい。フランシスコ・ザビエルではありません。」と葉子は言った。
忠男は、ぷっと笑ってしまうのをこらえ、手を口に当てた。
忠男が、行ってしまった後で、葉子は思った。
『哲夫さんの天使さんかな?』


ホールの中は、5分休憩。
みんなが話していた。
「ね、今日の哲夫さん、一味違わない。」
「思った。すごくいい感じ。」
「なんか、ピアノの音に包まれる感じ。」
「ぴったり、その通り。」

予定の曲が全部終わった。
普通そのあと、アンコールが4曲はある。
その4曲も終わったが、アンコールが止まない。
照明係りは、会場の明りを付けようか迷っていた。
普通は、演奏者は、たっぷりもったいをつけて出て来るのだが、
哲夫は、すぐに出て来た。
わあ~と拍手が盛り上がる。

哲夫はマイクを持っていた。これも異例である。
普通、ピアノ椅子に座って語るが、哲夫は立って語った。
「あの、5曲目のアンコールをありがとうございます。
 少し、お話をさせていただきます。」

哲夫は、金曜日の、小学校での話をした。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
指揮の方が、そのアンコールは、私にさせてくださるとおっしゃるのです。
私は、考えて、小学校の皆さんもよく知っている、
「エリーゼのために」を弾くことにしました。
そうして、いざ、ピアノに向かったのですが、
私は、ものすごく緊張していました。
心臓がどきどきして、ヒザが震えて、ペダルに乗せた足が定まりません。
初めて会うお子さん達です。みんな真っ白な心で、聞いてくれるのです。
年に1度の音楽会です。どうしようかと思いました。
私は、深呼吸して、全身全霊、心を打ちこんで弾きました。
無事、弾き終えて、たくさんの拍手をいただきました。
うれしくて泣いてしまいそうでした。

今、この会場に来てくださっているほとんどの方は、
私を知っていてくださり、CDも聞いてくださっている方々だと思います。
言わば、アットホームな空気の中で、今、私は、弾かせていただいています。
私は、つくづく果報者です。

 「エリーゼのために」。どなたかを想ながら、お聞きになるといいと思います。

♪会場に美しい音楽が流れた。

曲が終わった。
哲夫は舞台に立って、客に何度も礼をした。

「今日の哲夫さん、よかったわ。サービス満点だったし。」
「少しも、気どってなかったわ。」
「あたしも、それ感じた。いい感じだったわ。」
客は、そんな言葉を交わしながら去って行った。

アナウンスがあった。
「これより、12歳以下の方に、江原哲夫さんのサイン入り色紙のプレゼントがあります。
出口、左寄りでやっています。
子供たちが言ってみると、哲夫は、小さいテーブルに座っている。
ただ、くれるだけかと思ったら、違っていた。
待っている子は、小さい紙に名前を書いておく。

哲夫は、来た子の名前を書く、ここで、何かしゃべる。
「今、何ひいてるの?」
「楽しき農夫です。」
「あしたの星の光・・だよね。」
「そうです。」
「『あした』って意味わからないでしょ。」
「昨日、今日、明日?」
「違うんだ、朝って書いて『あした』、同じ朝でも、4時くらいの朝。
 まだ空に星が見える。
 そんな朝に、農夫たちが農具をもって、楽しそうに歌いながら来る。
 それが、好きで、毎朝、それを、聞きに行ったっ子がいる。だれ?」
「シューマンですか?」
「あたり。シューマンは大人になって、大好きだった農夫のことを曲にした。
 それが、世界中に広がった。どう、音楽っていいよね。」
「はい。」
哲夫は、自分のサインを書いて渡す。

ひとりひとり、このくらいしゃべって渡す。
哲夫のことばが、よくて、真っ直ぐな列が、丸く哲夫を囲むようになる。
「今、何弾いてるの?」
「トルコ行進曲です。」
「好き?」
「大好きです。」
「お。握手。(握手する。)
「私も、これを弾きたくて、ピアノをならったの。
 あの、タ、タ、タランっていうところ、3連符じゃない。はじめ1おんだと思ってたのに、
 ショックじゃなかった?」
「ぼくも、タ、タ、タンだと思ってて、ショックでした。
「もう、克服した?」
「はい。なんとか。」
「おお。握手。
 がんばってね。あの曲は、1000回弾いても、飽きないから。」

6年生女
「お、あなたは、できるな!」
「そんなでも、ないです。」
「幻想狂想曲あたり、弾いてるな。」
「どうして、わかるんですか。」
「だって、君の体から『音楽~~~』てオーラがする。
 じゃあ、私が弾きき比べしたの、よかったかな。」
「もう、感激でした。速い方のは、感情がすごい押し寄せてくるかんじでした。」
「楽譜通りっていうのは、100の内95大切。
 でも、残り5、自分流に弾いて見るといいんだ。
 それが、、積み重なって、個性になるんだね。
 95は、守らないとダメ。」
「わかりました。ありがとうございました。」

こうして、25人。哲夫は、子供たちと音楽の話をしながら、色紙を渡した。
子供はもちろん、大人も、哲夫の子供たちへの姿勢に、胸を打たれながら聞いた。
哲夫は、これから、コンサートの度に、子供との語り合いを続けるようになる。



柳家の奥様を怒らせたことで、事務所はやはり首になった。
そこで、一同は、ピアノ付きの4LDKの哲夫のマンションに越してきた。
「えーと、俺と葉子は、二人で1ベットでいい。
 ソヨンとジェニファーも、二人―で1ベットでいいよね。
 遠藤くんと川田さんは、別の部屋がいるよね。」
「ああ、それが。」と遠藤が手をあげた。
「俺と川田さん、二人で1ベッドでいいです。」
「え?どうして?あ、結ばれたの?」と哲夫。
「実はそうです。」
みんなは、歓声をあげた。
以上の6人で、これからやっていく。

あるとき、葉子が電話で話していた。
北海道の富良野公演である。
「え?1日でソルド・アウトですか。12月で寒いのに?」
哲夫がそばに来た。
「あの、何人くらいの人が、チケットを買えなかったのですか。」
「1500人です。」
「葉子もったいないよ。2日連続公演にしよう。
 で、二日目は、お年寄り向けの、昔の曲。日本と世界の。
 2日目は、値段を安くしよう。」

葉子がてきぱきと決め、北海道富良野2日公演になった。
「はい、冬の北海道、富良野公演でーす。」
と葉子が、発表した。
「おお、寒いの大好き。」と遠藤。
「あたしは、苦手。」とジェニファー。
「あたしが、抱いてあげるよ。」とソヨンが言って、
みんなで、あははと笑った。

<おわり>

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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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