超能力者・高島忠男③「忠男、婚約を跳ね除ける」

今日もまた、ながくなってしまいました。
読んでくださるとうれしいです。
=============================

超能力者・高島忠男③「忠男、婚約を跳ね除ける」


忠男は、小学校での演奏でうれしくなり、
ホテルに帰り、ピアノのある自分の部屋にこもり、
演奏会の曲の練習をはじめた。
ピアノが弾けるというのは、これほどにうれしいことかと、
江原哲夫をうらやましいと思った。
自分がこれだけ弾ければ、毎週でもいろんな小学校へ弾きに行く。
『そうだ、哲夫に、それを提案してみよう。』そう思った。

江原哲夫は、電車に乗り、繁華街へるんるんと歩いて行った。
音楽大学のときは、貧乏学生だった。安いところは知っている。
まず、宿を見つけた。ビジネスホテル。1泊8000円。
手持ちが1万5千円。1泊ならOKと思い、部屋を借りた。
そして、早速、スマホで安くてうまいラーメン店を探し、食べに行った。
学生時代が懐かしかった。
それから、一人カラオケに行った。
そこで、2時間も寝てしまった。
起きても、歌う気はしなかった。
こんなところで、ボーとしているのが一番だ。

ふと、ソファーから起きて、鏡を見た。
一瞬ドキッとしたが、すぐに気が付いた。
『そうそう、今は哲夫ではない。アイツだ。
 それにしても、このよれよれのスーツにはあきれる。
 この流行遅れの黒縁の眼鏡も、趣味を疑う。』
哲夫は、幻覚を使えなかった。
だから、よれよれのスーツをぴしっと見せることができなかった。

哲夫は、これからの大体の予定を考えた。
今日は、金曜。ビジネスホテルで1泊。
カラオケは2000円。残り約5千円。
5000円では、もう1泊はできない。
明日、土曜日の午前中に、ヤツとチェンジした方がいい。
「呼び出しの術」で、奴をホテルの外に呼び出す。
(よれよれのスーツでは、ホテルには入れない。)
出て来た奴の両肩をポンと叩けば、チェンジ完了。
と、ここまでの哲夫は幸せだったのだ。

哲夫は、足元にボールペンが落ちているのを見た。
気になるので手をボールペンに当てた。
ボールペンが、手の中に飛んでくるのが常だ。
だが、ボールペンは、動かない。
『え?待てよ?』
哲夫は、「前を向いたまま背中を見る法」を試みた。
見えない。
カラオケのスクリーンに手を当てて、ONにしようとした。
一番簡単な、超能力だ。しかし、スクリーンは何も、反応しない。
『まさか・・。超能力を失うなんてありえない。
 何も悪いことをしていない。奴とチェンジするとき使っただけ。あ!』
哲夫は大声で叫んだ。
奴の未来を1日奪ったことになるのか。
奴にも、予定があったはずだ。
危篤の親に会いに行くところだったら、俺の罪はものすごく重い。
いや、これは、軽重ではなく、どんなに軽いことでも、人を犠牲にし、
己だけのために使ったらお終いなのだ。
これは、大変なことだ。

すぐにヤツの泊まっているホテルに行こうかと思った。
しかし、そこで奴に会えたとしても、何ができるのだ。
俺に、超能力がない限り、奴とチェンジするのは、不可能だ。
哲夫は、真っ青になり頭を抱えながら、泣いた。

3時間の練習を終え、午後6時だった。
忠男は、中2階の椅子で考えていた。
『そうか。哲夫が超能力を使えないことに気が付いたら、
 もう、俺とはチェンジはできないと思って、絶望しているだろう。
 俺も超能力者だと知らないのだから。これは、可哀相だなあ。』
「哲夫さん。何の思いに浸っているのですか?」
と女性がそばに来た。
愛くるしい顔をしているのに、ズボンにワイシャツ、黒のベスト。
髪を油で撫でている。つまり、バーテンダーのような男装をしている。
「えーと、あなたは。」と忠男は言葉に詰まった。
哲夫の記憶は、10分の1程しかない。
「マネージャーの佐伯葉子ですが、お忘れですか?」
そう言って、葉子は笑った。
「冗談じゃなく、記憶のほとんどを失っているんだよ。」
「まさか!ピアノは弾けますか?」
「うん。3時間ほど練習したけど、全部弾けた。
 あの、9割ほど忘れたことは、ほんとだからね。
 だから、あんまり人と会いたくない。」
「今日、柳様ご家族と7時から、お食事です。」
「嫌だなあ。目的は?」
「麗子お嬢様と婚約する段取りです。」
「俺の心に麗子さんが好きという感情はない。そのくらいわかる。
政略結婚なのね。ところで葉子さん、隣に座りませんか。」
「あ、ありがとうございます。そう言ってくださった哲夫さん、初めてです。」
「嘘でしょう。あのう、聞いてもいい?」
「はい。」
「どうして、葉子さんは、男装しているの?」
「それは・・。」葉子はうつむいた。
「あの、あたし、女性しか愛せないんです。」
「そうだったの。言いにくいこと聞いて、ごめんね。」
「いえ。」
忠男は、このとき、めったに使ってはいけない超能力=読心術を使った。
葉子の心を少しだけ覗いた。
『そうか、そうだったんだ。』と忠男は思った。

「その柳様って、大切な人なの?」
「コンサートの度に、チケットを1000枚さばいてくださる方です。」
「そのために結婚?」
「はい。」
「そんな1000枚はいらないよ。その分狭いホールでコンサートをすればいい。
 そうすれば、満席に見えるから。」
「そうですね。」葉子は、どこかうれしそうに言った。
「柳様のお嬢さんの麗子さん。彼女、好きな男性がいる気がする。」
「内緒にしてくださいますか?実はそのとおりです。」
「よし、じゃあ、今日のお食事会は、ぶち壊しちゃおう。」
「わあ、ステキ。記憶を失っている哲夫さんは、前よりステキに思えます。」
「例えば?」
「やさしいのに、思い切りがいいです。」
「うれしい言葉だね。」

「もう一つ聞いていい?」
「どうぞ。」
「あそこに赤と黄色のロングドレスをきた、えらく可愛い人が2人いるでしょう。
 何か仕事をしているでもなし。何者?」
「哲夫さん、それも忘れちゃったんですか?」
「ああ。」
「あの二人は、レディボーイです。
赤いドレスが韓国のソヨンさん、黄色のドレスが、タイからのジェニファーさん。
苦労してスタッフで探して来た二人。哲夫さんのマスコットじゃないですか。」
「レディ・ボーイなの。つまり、アレのある元男の子なの。
 それが、ぼくの趣味なの?当たっているけど。」
「そうですよ。」
「あの二人は、ぼくのもの?」
「はい。」
「うれしいけど、彼女達『物』じゃないし。どうにかしなくちゃね。」
「そうですね。」葉子は、うれしそうに言った。

忠男は驚いた。入れ替わったアイツと、趣味が同じだなんて。

C型になった中2階の端に、三方壁で囲まれた、
プライバシーのあるテーブルがある。
そこに親2人、娘1人の3人が席についた。
3人とも、最高のおめかしをしている。
「哲夫さん。お出でになったわ。」
横で葉子が言った。
「あと5分待たせる。」と忠男。
「いいんですか。大切な日ですよ。」
「そう、大切な日だね。」
横で葉子がはらはらとしていた。

忠男は、きっちり5分待たせ、椅子から立った。
そして、何やら、なよなよとした歩き方をして、3人のテーブルに行った。
「どうも、ごめんなさ~い。化粧がなかなかうまく取れませんでしたの。
 リップの紅をとるのは、コツが要りますわね。」
忠男は、テーブルの椅子に座りながら言った。
柳家の3人は、口をぽっかり。
「今日は、婚約と言う大事な日、そそうがあってはなりませんもの。」
「そそうとは?」と母が聞いた。」
「あら、言いませんでしたっけ。
 あたし、女装が趣味なんですよ。
 で、夜になったら、綺麗にお化粧をして、いい女になり、
 好きな男のところへ、行くんです。
 そして、やさしーく抱いてもらうんです。
 そのときほど、幸せに思えることはありませんわ。
 あたしが、遅刻してもね、単純な言い訳で、男は、ころりと信用します。
 男って単純で、おバカなのね。でも、あたし、男のそんなところが好き。」

柳家で一番気性の激しい母恒子がいった。
「哲夫さん。なんて汚らわしい。今まで、猫の皮を被ってらしたのね。
 もう、体中、虫ずが走ってならないわ。さあ、出ましょう。
 これから、江原哲夫のコンサートは、1000枚売れ残るとお考えください。」
「まあ、それは、大変なことですわ。
 1階のど真ん中が、まあるく空席ですか。
 それではまるで、フランシスコ・ザビエルではありませんか。
 2階席には、とても座っていただけませんわ。」
麗子と父は、思わず笑ってしまった。
「私、女の心で、麗子さんを愛していますが。」
「お断りです!」
母親に連れられ、麗子は出るとき、哲夫を見た。
すると、哲夫はVサインをしながら、ウインクをした。
麗子は、くっと笑って、Vサインを返した。

中2階のテーブル席の裏で、葉子は聞いていた。
ザビエルの頭が目にうかんで、あははは、と思わず笑ってしまいそうだった。
「哲夫さんったら、ほんとにやるなんて。」
葉子の心は、ぽかぽかとしていた。

(次回は、物語進行に迷っていて、未定といたします。)

バナーをこちらではまだ貼れずにいます。
アメブロの方で押してくださると、幸いです。





スポンサーサイト
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

リンク
最新記事
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧

自己女性化愛好症

御中根 蕗菜 です

女装子動画 Japanese crossdresser porn

enma’s blog

瞳のセルフヌード

毎日が日曜日

女装子&ニューハーフのペニクリ&アナルマンコ

MadameM【秘密の手帳】

川*´v`*川し

復讐の芽 ***藤林長門守***

橙の電車
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム