超能力者・高島忠男②「売名演奏家?」

少し体調がよくなりました。読んでくださるとうれしいです。
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超能力者・高島忠男②「売名演奏家?」


午後の2時を30分過ぎている。
忠男は、ホテルの中2階のテーブルで、紅茶を飲んでいた。
『そうか。アイツも超能力者だったのか。
 俺とチェンジしたのは、自分の時間が欲しかったからだ。
 場末でラーメンでも食べて、カラオケでもやっているかな。
 いつも、誰かに見張られている体なんだろう。
 ピアノの技能を、俺に置いて行ったのは、わざとか、うっかりか。
 次のチェンジがうまく行かなかったとき、
 俺がピアノを弾けばいい。

 それにしても、奴は、超能力者の鉄則を破った。
 なんの罪もない俺に断りもなく、勝手にチェンジした。
 人を助ける訳でもなく、自分の遊びのために使った。
 俺には、大切な用があったかもしれない。
 重要な約束があったかも知れない。
 超能力者の鉄則を破った場合、超能力を失う。
 奴は今それに気づいているだろうか。」

音楽家の常だろうか。
やたらと散歩がしたくなる。
このままではいけない。
忠男は、自分が荷物運びに見えるよう、周囲に幻覚をかけた。
(奴もこうすれば、誰にも迷惑をかけないのに。
 それとも高度な技術である幻覚を使えないか。)
忠男は、玄関を開けて、ホテルの裏の道を歩いていた。
江原哲夫の姿に戻った。
(しまった。何も、哲夫に戻る必要はなかった。)
幻覚を変えようとしたが、角を曲がって後ろから中年の婦人が歩いてくる。
人に、幻覚のチェンジを見られてはいけない。

前方に小学校があり、オーケストラの音が聞こえて来る。
音楽教室かな。
そばによって聞いていた。
すると、ピアノの音が変である。
右の小指で打つ音が全部弱い。
ピアニストは、右の小指を怪我している。
おせっかいをしようかと迷った。
この曲は、後半ピアノソロの部分がある。
曲目を変えればよかったのに。
忠男は、おせっかいに決めた。
みんながいる体育館の袖にいってみると、若い女性がいた。
「あのう、ピアノの方、小指を怪我していませんか?」
「はい、無理をして、もう血が出ていると思います。」
「差し出がましいようですが、私は、ピアノが少し弾けます。
 怪我をされている方と代われます。」
女性は、うなずき、ピアニストのところへ行って、小さな声で言った。
女性は、忠男に手招きをした。
忠男は来て、ピアノの人とうまくバトンタッチした。
見ると、鍵盤に血が付いている。
忠男が弾き始めると、オーケストラ全体が一気に盛り上がりあがった。

やがて、ピアノソロのところに来た。
忠男は、全力で弾いた。これは、哲夫の意志だ。
どんなときも手を抜かない。
素晴らしい演奏で、楽器を持った人たちは、思わず見とれてしまった。
小学生にも、名演奏はわかる。
体育館内、大きな盛り上がりで、ラストの曲を終えた。

すごい拍手が起こり、楽団の人達に取り囲まれた。
「ただの方とは思われません。お名前を。」と指揮者に言われた。
「名乗るほどのものではありません。」と忠男。
その頃、子供たちのアンコールの声が始まっていた。

「私達の曲ではなく、この方に弾いていただきましょう。」と指揮者が言った。
「賛成です。」とみんなは言った。

「それでは、ピアノを習っている高学年の方たちは、
 もう弾いてらっしゃると思います。
 『エリーゼのために。』」
わあっと拍手が起きた。

静かになり、忠男は演奏を始めた。
難易度では高くない曲だが、弾く人が違えば、こうも違うのかと思われた。
楽団の人達は、それがわかり、うっとりと感激しながら聞いていた。
弾き終えたとき、ひととき静寂が訪れた。
そのあと、すごい拍手の嵐が起きた。

忠男は、楽団や、指揮者、子供たちに礼をして、舞台のそでに消えた。
そこに、ピアニストの男性がいた。
涙ながらに、感謝された。
「ね。あの方、もしかして、江原哲夫さんじゃない。
 今、泊まってらっしゃるホテル、この近くだもの。」
「そうよ。絶対そうよ。わあ、感激。」
隣の男性が言った。
「ご本人が名乗らなかったのだから、ぼく達も秘密にしなくちゃ。」
「あ、そうですね。でも、感激。」

忠男が、外に出たとき、オーケストラの取材に来ていたのか、
大手の新聞記者が2人追いかけてきた。
「あの、江原哲夫さんですよね。」という。
「違います。高島忠男といいます。」
「ごまかしてもダメですよ。」という。

忠男は、少々カチンときた。
「これは、取材ですか?
 もしそうなら、私の名前を聞く前に、
 ご自分たちの名前、身分を言うのが先でしょう。
 そして、取材なら、取材だとはっきり言って、
 取材の目的をきちんと述べて、
 今、私が、取材に応じる時間と気持ちがあるか、聞くものです。
 普通は予約をします。
 あなた方は、小学校の音楽教室にいましたね。
 それなら、名乗った後、私の演奏について、一言感想を述べるのが礼儀です。
 それから、なぜ私が、ピアニストの方と代わったか。
 それを、聞くのが普通です。
 名乗りもせず、人をある人物だと決めつけて、
 なんの前置きもなく質問をぶつけてくる。
 毎朝新聞は、取材の礼儀をしらないのですか。
 まあいいや、名刺だけいただきます。」
二人は名刺を渡した。

「では、一番聞きたいことから、ズバリとどうぞ。」と忠男。
一人は、言いにくそうにしていたが、
「これは、一種の売名行為ですか。」
「そうですよ。」と忠男。
「真っ直ぐそう言われちゃ、困りますよ。」
「私のしたことを『偽善』だと言いたいのですか。」忠男。
「まあ、そうです。」
「ロックフェラーは、『偽善』は、『善』の半分の価値があると言っていますよ。
 今日ここを通ったら、ピアノの方が怪我をされていることがわかりました。
 右の小指で打つ音が弱かったのです。もう、限界に来ておられる。
 そこで、しゃしゃり出たのです。鍵盤に血が付いていました。
 そうでなければ、こんな出しゃばりはしません。

 子供たちが、1年に1度しかない音楽教室を、どれだけ楽しみにしているか。
 それを思うと、出しゃばらずにはおれませんでした。
 子供たちの前で弾くのは、大変な緊張を強いられます。
 真っ白な心で、聞いてくれるのです。
 私は、緊張して、ペダルに乗せた足が震えていました。

 こちらからお聞きしたい。
 私がピアノの方の怪我に気が付いても、売名行為になると恐れて、
 スルーする方が正しかったのか、売名行為と言われるのを覚悟の上で、
 ピアノを代わるのがいいのか。どっちですか。おっしゃってください。」

「そ、それは、ピアノを代わられた方がよかったです。」
「あなたは。」
「ピアノを代わるのが、正しいです。」
「なんだ。はじめから同じ意見ではないですか。
 最後に、私は、高島忠男です。江原哲夫さんと疑うなら、
 あそこのホテルを覗いて見るといいです。」
忠男は、歩き始めた。

二人は、忠男の背中を見ながら言った。
「エリーゼをそれほど真剣に弾いていたとは、思わなかった。」
「演奏が終わってホッとしているときに、無礼な取材をしたな。」
二人は、軽い自己嫌悪に襲われていた。

(次回は、ちょっとエッチです。)


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プロフィール

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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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