専業主婦・柳沢聡子「大御所・伍代洋造」の巻

3ページあり、少し長目です。読んでくださるとうれしいです。
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専業主婦・柳沢聡子「大御所・伍代洋造」の巻


高根沢がシェフをやっている、レストラン・リーゼに、金曜日に行くことが、
義男、聡子夫妻の大きな楽しみだ。
相変わらず義男は、ネクタイをしているものの、よれよれのスーツだ。
一方隣の聡子は、隙一つない恰好。
レストランに着いたのは、午後7時。
義男は、カリフォルニア・ロゼ。

くるっと見回すと、80歳くらいの羽織袴の老人が、
ワインの首に、赤いモールを取り付けている。
やって来たソムリエのエリ子に聞いた。
「あの方、赤いモールで何をやってらっしゃるのかしら。」
「ああ、それは。」とエリ子はにっこりした。
「聡子様と同じことをしてくださっているんです。
 珍しいワインをお飲みになったとき、ソムリエの私達にもと、
底から、4cmくらい残してくださり、
 『中に入ってるよ。』という目じるしに、赤いモールをビンの口に巻いてくださいます。
 聡子様の場合は、コルクで栓をしてくださいますよね。」
「コルクより、赤いモールの方がステキね。
ビンが、赤い蝶ネクタイをしているみたいで、可愛いわ。」と聡子はにっこり言った。
「ほんとだ。可愛いね。」と義男もにここことした。

モールを付け終ると、老人は、杖を持って立ち上がった。
そのとき聡子は気が付いた。
「大変、伍代洋造先生だわ!」
そう言って、老人の方へ、急ぎ足でいった。
細身で小柄な人だ。
「先生!伍代洋造先生でらっしゃいますね。」
老人は、聡子を見た。
「おお、これは、これは、柳沢聡子さんじゃないか。」
「覚えてくださっていたのですか。
 あれは30年前です。軽井沢で行われたワインを楽しむ会、
 伍代先生が講師でした。」
「聡子さんは、人一倍熱心な、生徒だった。
二人は、座り直し、聡子の横に義男が座った。
「あの、紹介いたします。夫の義男です。
 この人は、誰よりもおいしそうに食べ、おいしそうに飲む人なんです。」
「おお、それが、一番レスランには、うれしい客ですね。」
と洋造はにっこりした。
聡子は、エリ子に「シェフに伍代洋造先生がお出でだと言いに行って。」
と言った。
すると、シェフの高根沢は飛んで来た。
「おお!伍代先生が、食べに来てくださっていたのですか。」
「シェフの料理はおいしいものだから、10回ほど、来ていますよ。」
「おおなんと。光栄です。あの、私のようにひねたものより、
 若いのを一人呼びます。何か、一言、言ってやってくださいませんか。」
高根沢は、言った。そして、セカンドの小林に、
「お前、話し聞いて来い。日本一の方だ。
 みんな、悪いな。ここは、小林に行けせてやってくれ。」高根沢言った。
「いいですよー。」とみんなはにっこりと言った。

小林は、カチンカチンになっていた。
若く、小柄で、可愛い顔をしている。
「シェフが、あなたに何か言えとのことなのです。
 私は、小林さんの料理を知ってます。シェフが大火傷をしたとき、
 代わりにお料理をしましたね。私は、それをいただきました。
 実においしかった。私は、世辞が言えません。
 小林ドレッシングも傑作です。感心しました。

 この機会に、あなたに重要なことを言います。
 あなたは、すでにシェフになれる腕があります。
 だけど、高根沢君が、君をどこかのシェフになかなか推薦しないのは、
 訳があると見ました。
 小林さんは、気がやさしい。厨房のコックたちに、ビシバシ言い、
 ダメなスープは、だめだ!やり直せ!などと言い再度作らせる。
 そういうことをあなた自身がまだできない。自信がない。
 あなたの性格は、コックたちにビシバシと命令するというものでない。
 そう思われているからです。

 でも、小林さんは、いいシェフになれますよ。安心してください。
 それは、丁寧語を平気で使えばいいのです。年下にも年上にも。同じように。
 『このスープ、味がもう一歩です。もう一度作って見てください。』
 『ローストし過ぎています。新しい肉で、もう一度やってください。』
 逆に、誉めもします。
 『このスープ、最高に仕上がりましたね。おいしいです。』
 『包丁研いだのですか。サクサクに切れてますね。』
 そう言って、うれしそうな顔をするのです。
 うれしそうな顔は、どんな誉め言葉より勝ります。
 ボーイやウェイトレスさん、ソムリエさんにも、丁寧語を使う。
 そして、たまに、店が終わったときに、
 あなたが、腕によりをかけて、サイコロ肉のステーキ、カナッペなどを作り、
 厨房で、コックさん、ホールの人にも、全員に振舞うのです。
 素晴らしくおいしい。みんなは、やっぱり、シェフはシェフだなあと思い、
 あなたを尊敬します。そして、あなたは、みんなに愛されるシェフになります。
 私がコックなら、そんなシェフの下で働きたいです。
 どうですか。そんなシェフならやっていけそうですか。」

小林は泣いていた。
聞いていたソムリエ達も泣いていた。
聡子も、義男も泣いた。

「一生心に残るお言葉をいただきました。
 大きな悩みだったんです。自分は、強面のシェフにはなれない。
 みんなを叱ったり、命令なんかできない。
 だから、一生シェフにはなれないと思っていました。
 今、いただいたお言葉で、自分なりのシェフになればいいのだとわかりました。
 ありがとうございました。」
小林は、大きく頭を下げた。そして、厨房に返った。

高根沢が待っていた。
「どうだ、日本一の先生の言葉は。」
「最高でした。ぼくを、シェフになりたいという気持ちにさせてくださいました。」
「ほんとか!じゃあ、俺は、本気で探すぞ。
 小林君をシェフとして待っているところを。」
「はい。いつでも、いいです。お願いします。」小林はにっこりと言った。

高根沢は、腕を組んで、首を傾け、
『一体なんて言われたのかな・・・』と小林を見て思った。。

(つづく)

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ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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