着ぐるみスーパームーン②『スーパームーン、お婆ちゃんを救う』

書いている私は楽しいのですが、お読みになっている皆様はどうだか。
自信のないまま書いています。読んでくださるとうれしいです。
==================================   

着ぐるみスーパームーン②『スーパームーン、お婆ちゃんを救う』


4年後。
日曜日である。
邦夫の仕事に、日曜休みはない。
邦夫は、電車に20分乗り、ある遊園地に歩いて行く。
さほど、大きな遊園地ではないが、
そのエリアには、着ぐるみのキャラクターが、たくさんいて、
小さな子供たちに人気である。

キャラの着ぐるみの中にいるのは、若い女性が多い。
可愛いゆるキャラも、女性である。
強い系のロボや仮面ライダーは、エリアにはいない。
昔は、常設ステージで、大レンジャーや仮面ライダー・ショーをやったが、
今は流行らず、癒し系着ぐるみが主である。

みんなは、遊園地側が用意した着ぐるみを着ていたが、
邦夫だけは、自分のスーパームーンを使っていた。
それは、とびきり優秀だと思えたからだ。
始めから、男性が着るものと想定して作ってあるように思える。
邦夫は、もう1体同じ会社のものを買って、
洗濯をしながら、代わりばんこに着ている。

着ぐるみをするスタッフの更衣室があり、
桐島邦夫は、男性更衣室に入るが、出て来た時は、スーパームーンである。
邦夫は、可愛い女声で話せるので、
その声で話せば、中の人が男性であるとは、誰も、思わない。

着ぐるみの若い女性スタッフたちは、
「スーパームーンの中が、桐島さんのような男性だと知ったら、
子供たち、ショックを起こすわね。」とからかったりする。
邦夫は、
「ふん!あたしは身も心もスーパームーンなの。
 からかう悪い子は、お仕置きよ!」と言い返す。
女の子達は、キャーといって身をかわす。

邦夫は、このスーパームーンの着ぐるみを、
28歳から、もう4年もやっている。
こんなに続いた仕事は初めで、一生これをやってもいいと思っている。
邦夫は、運動神経抜群であり、体は細身で、脚が特別に長く、
スーパームーンになると、最高にカッコよかったのである。

スーパームーンを知らない子もたくさんいる。
そんな子は、邦夫のところに来て、「おねえちゃん。」と呼ぶ。
そう呼ばれると、自分が女になった気がしてうれしい。
「おねえちゃん、いっしょに写真撮って。」と言われる。
「いいわよ。」とお姉さんっぽい声でいう。
その子のお母さんが、にこにこしながら、カメラを構える。
邦夫は、ポーズを決める。
「ありがとうございました。」と母子に言われる。

その着ぐるみの広場の隅で、いつも椅子を置いて、見ているおばあちゃんがいる。
ぽっちゃりしていて、可愛いおばあちゃんだ。
邦夫は、一度話しかけたことがある。
そばに行ってしゃがみ、
「ねえ、お婆ちゃんは、着ぐるみが好きなの。
 それとも、キャラが好きなの?」
と女の子の声で聞いた。
おばあちゃんは、意外なことを言った。
「スーパームーンのあなたが好きなのよ。」
「え?あたしが?」
「そう、あなたのスーパームーンは、最高だわ。着ぐるみもきっと喜んでいるわ。」
「ほ、ほんとですか。」邦夫は、思わず敬語が出た。
「ありがとうございます。うれしいです。」邦夫は、そう言って礼をして離れた。

この4年間、誉められたのは、初めてだった。
あのおばあちゃんは、きっと着ぐるみの専門家だ。
だから、目が肥えている。
そんな人から、誉められるなんて。
他の着ぐるみのスタッフは、みんな長くて6か月で辞めていく。
自分は、もう4年になる。
着ぐるみを愛している。
邦夫は、キャリアが評価され、飛び上がるほどうれしかった。

季節は、10月に入った。
日曜日で、子供たちが大勢いた。
おばあちゃんは、いつものようにいた。

その出来事は、昼過ぎに起こった。
いつも座っているおばあちゃんが、杖をもって、
よちよちと、広場の着ぐるみのいるところへ来たのである。
邦夫から、3mほど離れたところで、遠くの何かを見ていた。
そのとき、6年生くらいの男の子が、広場の外から、広場にある木に当てようと、
握り拳くらいの石を、思い切り投げた。
だが、その石は、木に当たらず、おばあちゃんの顔の方へ飛んで来た。
男の子と家族は、「あっ。」と声を上げた。
男の子のそばで、「キャー!」と声を上げた人がいた。
邦夫は、石に気が付き、おばあちゃんと石の間を瞬時に見た。
そして、3、4歩ダッシュして、スーパーマンのように飛んだ。
そして、おばあちゃんのところで、体を縦にねじり、石に対して、背を向けた。
背中にゴキッという音と痛みを感じた。
(と言うことは、おばあちゃんに当たらなかった。)

大勢が見ている。
邦夫に、自分はスーパームーンだという自覚が生まれ、
そのまま、右手で着地し、側転に移り、左手をつき、
両足で着地、その勢いのまま、後方腕立て回転(バク転)をした。
邦夫の体は、空にお腹を向けて、高く宙に浮き、両足で着地した。
長いツインテールの髪が舞い、美しい光景だった。

「わあ~。」と見ていた人のすごい歓声が上がり、
100人くらいの大きな拍手をもらった。
「わあ~い、やっぱりスーパームーンは、すごいね。」
と、小さな子が言っているのが聞こえた。

邦夫は、おばあちゃんに、
「あたしに当たりましたから、おばあちゃんは、ご無事ですよね。」
と言った。
「ええ、ええ、あなたのお蔭で、あたりませんでした。
 さすが、スーパームーンだわ。」とにっこりと言った。
男の子が、家族で謝りに来た。
「すいませんでした。」と男の子も親も言う。
「石は、危ないから、今度投げたら、お仕置きよ。」
と、邦夫は、男の子に指を差してにっこりとした調子で言った。
(それは、叱るより、ずっと効果がある。)

その後、サインください、ツーショットお願いしますの声が続いた。

やっと静かになった。
見ると、おばあちゃんがいる。
「今度、お休みの日に、ここへ、来てくださいますか。」
とおばあちゃんは、小さい名刺をくれた。
見ると「木の実着ぐるみ工房」とある。
邦夫は、ドキンとした。忘れもしない「木の実着ぐるみ工房」。
邦夫のスーパームーンを作ってくれたところだ。
「このスーパームーンを作ってくださいましたね。
 だから、私を毎日見に来てくださったのですか。」
「はい、そうです。あたしの作った着ぐるみが、どうしているか、
 毎日見たくなるの。あなたへプレゼントもあるんですよ。」
おばあちゃんは、そう言ってにっこりしながら、杖を突いて行ってしまった。

邦夫の休みである水曜日に、おばあちゃんの工房へ行った。
おばあちゃんの着ぐるみ工房は、電車の途中駅にあった。
邦夫は、自分が男姿でいることに、気が引けた。
せめて女装姿で来たかったが、自分の女装は話にならないことを知っていた。

邦夫は、胸をドキドキさせて、工房の木の扉を開けた。
周りは、いろんな素材の棚。
ビニール素材の棚。ゴム素材の棚。
キラキラの飾り紐。
天井からも、いろいろなものが吊り下がっていた。
おばあちゃんは、ミシンの前にいた。
「あのう。桐島といいます。スーパームーンの中身です。実は男です。」
と邦夫は言って、照れて下を見た。
「知ってましたよ。通販であなたは本名をお書きになっていたでしょう。」
とおばあちゃんは言った。
「だから、男性が着て、女性に見えるように、工夫を凝らしました。
 胸に、シリコンが詰まっていたり。
 アンダーバストの10cm下が、ウエストになっていて、
そこからなだらかなピップラインを描くようにしたの。」

「だからなんですね。
なんだか、あのウエアを着ると、女性になれた気がしていました。」
「そうお。うれしいわ。今日は、あなたが体を張って、私の命を助けてくれました。
 恩返しに、新しい、特別なスーパームーンを作ったの。
 受け取ってくださると、うれしいわ。」
おばあちゃんは、そう言って、平たい大きな箱をくれた。
「いただいて、いいんですか。」
「はい。あなたは、命の恩人ですから。」
おばあちゃんは、にっこりして、そう言った。

邦夫は、興味ある工房について、たくさん聞きたいことがあったが、
もらったスーパームーンが着たくて、お礼を言って早々に帰った。

おばあちゃんは、邦夫が行ったのを確かめて、くくくと笑った。
そして、頭の髪をまとめて、上にひっぱった。
すると、おばあちゃんの顔が、スポンと抜けて、
中から、可愛い女の子の顔が現れた。
前髪におかっぱの髪、それが、ブルーに染まっている。
その子は、おばあちゃんのコスチュームの背中のファスナーを下ろし、
おばあちゃんの体を脱いで、全身を現した。
胸の青い大きなリボン、青いプリーツのミニのスカート。
女の子は、人差し指で天を突き、
「スーパーマーキュリー、明日より、遊園地へ参上!」
そう宣言した。
このスーパーマーキュリーこそ、邦夫がこの4年間、
片時も忘れず待っていた、あの日の少女だった。

(次回は、着ぐるみスーパームーン③『桐島邦夫・本物に変身』


バナーをこちらではまだ貼れずにいます。
アメブロの方で押してくださると、幸いです。





スポンサーサイト
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

リンク
最新記事
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧

自己女性化愛好症

御中根 蕗菜 です

女装子動画 Japanese crossdresser porn

enma’s blog

瞳のセルフヌード

毎日が日曜日

女装子&ニューハーフのペニクリ&アナルマンコ

MadameM【秘密の手帳】

川*´v`*川し

復讐の芽 ***藤林長門守***

橙の電車
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム