トランキュラ@女装 ③『ミサの弟・淳』

少し長くなりました。今回はエッチがありません。
読んでくださるとうれしいです。
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トランキュラ@女装 ③『ミサの弟・淳』


2日後。
7月になったばかりで、もう梅雨明けだという。
大学の昼休み。
洋平は、学生食堂の奥の歩道に近いところにいた。
ガラス越しに明るい日差しが降り注いでいる。

洋平は、毎日食べても飽きないと思っている玉子丼を食べていた。
そのとき、思いがけなくも、嬉しくも、加納ミサが横に来た。
「大森君。同じ大学だったの?」と、トレイを持ったミサが、横にいる。
「横に座っていい?」とミサが聞く。
「う、うん。もちろん。」と洋平は言った。
焦って声がどもってしまった。
ミサの手首に赤いリングがなかった。(「見ないモード」にしてる。)

洋平は、うれしくて踊り上がりそうだった。
トランキュラだと知っても、やっぱりミサを、女の子として、好きでたまらなかった。
横に座ったミサから、ちゃんと女の子オーラを感じた。
洋平は、夢心地だった。
「同じ大学だなんて、びっくりだね。」と洋平は言った。
「うん、びっくり。大森君は何学部?」
「人間学部。加納さんは?」
「社会学部。」
「あ、二人とも、玉丼だね。」
「あ、ほんとだ。安くて、おいしいものね。」
と、ミサは、にっこりとした。

「加納さん、変わってるね。」と洋平。
「何が?」
「だって、女の子は、男の横になんて座ってくれないよ。」
「ああ、それね。あたし、面と向かって座ると、
 あたしが、もぐもぐ食べるところみんな見られちゃうじゃない。
 それ、少し恥ずかしいの。あたし、ときどき、ガッツいちゃうから。」
「なるほど。すごく納得。」洋平は笑った。

二人は食べながら、
「ね。大森君、人間学なら、LGBTってなんだかわかる?」
「わかるよ。性的マイノリティのことだよ。」
「詳しく言うと?」
「レズビアン、ゲイ、バイ、トランス、
 最近は、Iを加えて、LGBTIって言うみたい。」
「Iは、何?」
「ISのこと。インターセクシュアル。医学的には、性分化疾患。」
「大森君。そう言う人達に、偏見ある?」
「ほとんどないよ。
 加納さん。興味があるの?」
ミサは、ノートを出して、メモを取っていた。
「妹が知りたがってるの。」
「ふ~ん。妹さん、変わってるね。」
「すごく変わってる。写真見る?」
「絶対見たい。」
ミサは、スマホに、1枚出して、洋平に見せた。
「わあ、可愛い!ものすごく可愛いじゃない。」と洋平は言った。
「うん、ありがとう。大森君、理解がありそうだから、言っちゃおうかな。」
ミサがそう言う。
「言って。」
「この子ね。実は、弟なの。」
「うそ!もう一度見せて。」
洋平は覗いた。女装子の洋平は、興奮してしまった。
完全に女の子で、しかも超可愛い。

「大森君、あたし、弟のことどうすればいいと思う?」ミサは聞いた。
「このまま、放っておいてもいいかってこと?」
「うん、そう。止めさせるべきか、迷ってるの。」
「『心の性』ってあるじゃない。『男』『女』っていう。
女装も1つの『性』だと思うんだ。『女装の性』っていう『心の性』。
だから、『女装の性』も変えられないよ。ふつう一生ね。」
 加納さんが、協力して、たくさん女装させてあげるといいよ。」
「大森君って、ちゃんと考えがあって、ものすごく理解があるのね。」
「そんなことないよ。それより、どうしてご家族の秘密を、
 ぼくなんかに話してくれたの。」
「弟の素顔が、大森君と似てるの。
 可愛いっていうか、女の子みたいで。あ。気を悪くしないで。
 大森君、女装すれば、弟より可愛くなると思うな。」
「まさか。弟さん、『じょそこ』として、最高のレベルだよ。」
「弟みたいな子、『じょそこ』っていうの?」
「うん。『女装子』って書いてそう読むの。可愛いネーミングだよね。」洋平は笑った。

笑ながら、洋平は気が付いてきた。
バイトでは、ろくに口を利いたこともないミサが、
どうしてここまで親しく話してくれるのか。
洋平は、一昨日トランキュラになったばかりだ。
それまでは、そんな世界をまるで知らなかった。
だから、手首を晒し放題だった。
だから、多分、かなり前から、トランキュラだったミサにとっては、
女装子の学生を見つけることなど、なんでもなかった。
バイトでも、大学でも。
ミサは、とっくに、ぼくが女装子だと知っていた。
ぼくは、ミサに選ばれたのだ。

ぼくは、手首に青いリングがあるようにしなければならない。
「青いリングだけ見える。」試しにそう呪文をかけた。
もっとも、ミサが「リングが見えないモード」にしていたら、
無駄なことだけど。

ミサにもう知られているなら、カムアウトしようと洋平は思った。
「カムアウトするね。」と洋平は言った。
「何を?」とミサ。
「弟さんと友達になりたいから。実は、ぼくも、女装子。」
「そうなの!」とミサは驚いて見せたが、それは演技だと、洋平には分かった。
「弟さんを一目見て、胸がキュンとしちゃった。」
「弟の名前は『淳』。女の子にもなれる名前なの。」

「あ、そうだ。これが女装したぼく。」
洋平は、スマホの画面を、ミサに見せた。
「わあ!可愛い。女の子じゃない。女の子で、超可愛い。」
ミサは、ものすごく喜んだ。
「ぼく、1LDKのマンションだから、今度の日曜日、
 弟さんを招待していい?」
「いいわ。淳、すごく喜ぶと思う。あたし、弟とマンションに同棲してるの。
 初回は、弟を、大森君のマンションに行かせるね。」ミサは言った。

ミサと別れて、洋平は、ミサに対して、
自分が、わずかに怒っていることに気が付いていた。
理由は、多分だが・・。

ぼくのことを女装子と知っているなら、
もっと単刀直入に言えばいいのに。
『大森君、人間学部なら、相談に乗って欲しいことがあるの。』
『何?』
『実は、あたしの弟、女装子みたいなの。』
ぼくが、女装子と知れているなら、即、カムアウトした。

これだけで済むではないか。
LGBTのことから、じわじわと聞くなんて。
ぼくが、女装子なら、偏見がないに決まってる。
LGBTのことなんか、トランキュラのミサなら、絶対知っているはずだ。
トランキュラは、女装子でもあるのだから。

だが、洋平は考えを変えた。
ミサを信じている。
ミサは、性格のいい子だ。
じわじわ人を試すようなことはしない。
何かの理由があって、遠回しに、聞くしかなかったんだ。
「弟が女装子」だということより、もっと言いづらいことだ。
トランキュラは、男だ。
兄と弟で同棲しているなら、
女装子の弟・淳をトランキュラにしてあげればいいのに。
弟もトランキュラにしようかどうか迷っていたのかな。
それなら同じトランキュラ仲間に相談するはず。
第一、ぼくは、まだ、トランキュラだとばれてない。


そうか!
洋平は、はっと思い当たり、歩を止めた。
『弟なんかいない。ミサが淳なんだ。』
『ミサは、素顔の淳のまま女装をして、ぼくに会ってくれようとしているんだ。』
『ぼくをそういう存在として、見てくれたんだ。』
洋平の胸は、躍った。

洋平は、自分が、別の男子にもなれることを思い出した。
そこで、急いで、食堂のトイレに入り、
目立たない、平凡な眼鏡をかけた、男子学生に変身した。
そして、ミサのいる社会学部の方へ走って行った。

さほどの遅れではなかった。
前方にミサが歩いていた。
洋平は、走るのを止めて、ミサの後をつけた。
ミサは、その内、道から外れ、大きなイチョウの木の陰に入ると、
小柄な男子学生になって出てきた。

洋平が、トランキュラではなかったとき、
洋平の女装子を知っているミサが、アドバンテージを握っていた。
今、洋平のトランキュラを知らない、ミサに対し、
アドバンテージは、洋平の手に移った。

ミサの後から歩きながら、洋平は何かチャンスを探していた。
すると、ミサは、ポケットから半分落ちそうになっていた
ポケットティッシュを落としたのだ。
チャンスと思って、洋平は走り、それを拾った。
「おーい、淳。」と呼んだ。
淳が後ろを向いた。(やっぱり、ミサは淳だ。)
洋平は、ティッシュを渡した。
「ああ、ありがとう。」と可愛い声で、淳は受け取り、
「どうして、ぼくの名前を知ってるの。」と聞いた。
「俺は、大平勉。」と洋平は偽名を言い手を出した。
「ぼくは、加納淳。」と淳も手を出し握手をした。
「君は、可愛いから、大勢の学生が君を知ってるよ。」
「女みたいだって?」
「やさしそうで、笑顔が可愛いって意味だよ。
 じゃあ、お先に。」
「ありがとう。」淳は叫んだ。
心に爽やかな風が吹いた。

洋平は、校舎の裏まで走って、壁に寄りかかり、息を整えた。
間近で見る加納淳は、スマホの写真よりずっと可愛かった。
眩しいほどだった。
胸がキュンとして、ときめいた。
ああ、ミサが淳にもどって、自分を訪ねて来るのか。
身が持つかなあ。
ミサが何を求めているのか、わからない。
しかし、ビッグなことだ。

日曜日まで、あと3日だ。


(次回は、「淳と洋平との熱い時間」です。)


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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