ダメな受付嬢の巻<別話>『受付嬢の真なる反省』後編

エッチな場面もないまま、大変長くなってしまいました。
読んでくださると、うれしいです。
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ダメな受付嬢の巻<別話>『受付嬢の真なる反省』後編


案内係に礼を言って、中に入った。すると、義男がいて、豪華な寿司が並んでいる。
「まあ、義男ったら、この会社の社長さんだったの?」朱美はびっくりした。
「はじめっから言ってくれればいいのに。」
「ほら、例のお願いがあったろう。第一受付の出来具合。」
朱美は、2つボイスレコーダーを出した。
「第一受付は、これ。点数マイナス100点。
 第二受付は、これ。プラス100点。さすが黒川商事たる受付だったわ。
 第一受付は、惨憺たるもので、ひどすぎるの。
 バイリンガルの女性が、彼女たちの教育係りみたいだった。
 彼女がいちばん第1受付嬢のひどさを知ってると思う。
 あんな受付されたら、大口の顧客をみんな逃してしまうわ。」

その頃下では、2人が大変な思いをしていた。
赤い服の女性が見当たらなくなってしまった。
第一受付の沙也と美穂は、大慌てだった。
赤い服の女性が、会社を去るに十分な時間を、ジュディと話してしまった。
待っていてくださいとも言わず、ただ、ほっぽったままにした。

さらに、お客の発言の途中で、
ジュディのところへ聞きに来ってしまった。
なんたる、失礼だろう。

「ジュディさん、いらっしゃいません。」二人は、ジュディに言った。
「だったら、外でしょう。今すぐ外を探しなさい。」
二人は、会社の周りを、探しにさがした。1kmは、走ったかもしれない。
自分たちの首がかかっている。どうしても、見つけないといけない。
しかし、電車の駅は遠くない。
今頃、とっくに電車の中だ。
赤い人を見つけることは、不可能だ。二人は、断念した。



「どうしよう。」と、二人は、頭を抱えながら、
会社そばのベンチに座った。

「あたし達、首になったら、どうなるの。」
「どこも雇ってくれないわ。
 履歴書で、どうして退社したのか絶対聞かれる。
 聞かれたら、嘘は言えない。
 その会社は、雇う前に、あたし達が辞めた理由を絶対に調べる。
 首になった人間を、雇う会社があると思う?」
「黒川商事ほど待遇のいい会社はないのに。
 病院で寝たきりの弟がいるの。あたしが入院費を負担してるの。
 入院費を払えないと弟は死んじゃう。」
沙也は泣き始めた。
「あたしだって同じよ。妹を大学に行かせてあげられなくなる。
 妹は、がんばって1年生のときから、必死に勉強して来ているのに。
 そんな大切な会社なのに、どうして、いい加減な仕事をしちゃったんだろう。」
そう言って、美穂も、泣き始めた。
やがて、二人は、ベンチにうずくまって、大泣きをした。



二人は、会社に戻って来た。
第2受付の入り口に来たので、試しに聞いた。
「ね、メイクの濃い、赤い超ミニの人見なかった?」
「あたし達が、受付したわよ。今社長室にいらっしゃるはず。」
「ああ、よかった。」と二人は、安心した。
「ね、変な人だとは、思わなかった?」
「何が変なの?
 ・危険物を持っていそうな人。
 ・精神的に不安定な人。
 ・流行性の病気にかかっていそうな人。
 私たちが、気を付けるのは、それらの人って、マニュアルにあるじゃない。
 赤いミニの方は、このどれかにあてはまるって言うの?」

それを聞いて、二人は答えることもできず、ふらふらと受付に戻った。
第2受付の二人が、立派で輝いて見えた。
二人とは同期で受付に入った。
2年間の心がけの違いで、こんなに大きな遅れをとってしまった。
いや、遅れではなく、堕落だ。
沙也と美穂は、惨めでならなかった。

二人はジュディを見つけそばに行った。
「社長室にいきますよ。」
ジュディは、そう言って、後は黙って二人を連れて行った。
社長は、二人にとって、雲の上の人のような存在だ。
二人は、かちんかちんになっていた。

社長室の別室に、社長の黒田義男、第一秘書の大西健二がいた。

朱美は、お寿司を前に、社長室で待っていた。

5分ほど後、社長室の別室で、
沙也と美穂は、
自分たちのボイスレコードと第二受付のボイスレコードを、聞かされ、
泣きはらしていた。
改めて聞かされ、自分たちのひどさに、耳をふさぎたいくらいだった。
どんな弁明もできなかった。

「私は、2年間騙されたのね。」とジュディが言った。
「あなた達は、私が近くにいるときだけ、マニュアル通りにやって、
 それ以外では、ひどい手抜きの受付をしていた。
 マニュアルの内容を忘れてしまったのなら、まだ許せます。
 でも、いつでもマニュアル通りにできた。
 それなのに、手抜きをし、自分達だけ楽をした。
 わが社にいらしたお客様は、受付嬢とは、二人とも座っているものだと、
 思っていることでしょうね。
 私は、この責任をとって、辞職いたします。」
「悪いのは、私たちです。私たちが、辞表を書きます。」
沙也と美穂は言った。


「まず、受付の君たち自身が、自覚しているかどうか聞こう。
 今日、一番いけなかったのは、何だと思っているかい。」
義男は聞いた。

「それは、アポイントはございますか、と2年も使ってきたことです。」
「それは、2年間にわたる罪だ。今日のことを聞いている。」
「お客様の指摘に対し、不愉快を顔に出し、口答えしたことです。」沙也。
「マニュアルを見てごらんと言われて、マニュアルはここにはないと、
 嘘をついたことです。」美穂。
「わかっておらんなあ。君たちを本当に首にしたくなった。」
義男は、不機嫌を顔に出した。

「正直に、心のままを言いなさい。」
ジュディが助け舟を出した。
二人は考えていて、やっと気が付いた。
「あの、朱美さんの厚化粧や超ミニの格好を見て、心で馬鹿にしました。
 そこから、すべての間違いを犯しました。
 偏見を持たなければ、朱美さんのすべての助言に従えました。
 朱美さんが、文が変だと思う理由をおっしゃったときも、
 よく考え、間違いに気付けたかもしれません。」
「応対マニュアルを見なさいと言われたときも、素直に見ることができました。
 朱美さんに言われたときは、ないと嘘をつき、ジュディさんに言われたときは、
 飛んで見に行きました。
 朱美さんからご覧になれば、これは、大変な屈辱です。
 初めに、お名前や要件をおっしゃったとき、
 約束などないにきまってると思い込み、しっかり聞く気になっていませんでした。
「そうです。私たちの偏見で、すべての間違いを犯しました。」
 
「やっと、少しわかってきたようだね。
 こんな可能性を君たちは考えたことがあるかな?
 
 あくまで、例えばの話だよ。朱美さんは、顔に大きなアザがある。
 それを、隠すために、ファンデーションをすごく厚塗りにしている。
 左右の目の開き方がちがっている。そこで、つけ睫毛をたくさん使い、
 目の開きを左右揃って見えるようにしている。
 唇に縦に貫いて、大きな傷がある。
 だから、真っ赤な口紅を、大きく塗って、少しでも傷を隠している。
 超ミニで来るのは、顔を見られたくなくて、人の視線を脚に集めるため。
 あくまで、例えばの話しだがね。」義男は言った。

二人は、顔色を変えた。思ってもみないことだった。
「あの、そうだとしたら、朱美さんを馬鹿にしたことで、
 朱美さんの心を、ひどく傷付けました。」
「厚化粧の朱美さんを蔑んではいけませんでした。
 超ミニを見下しては、いけませんでした。
 人にはどんな事情があるとも限らないのに、私達は、想像力がなさ過ぎました。
 そのため、朱美さんを深く傷つけました。」
二人は、再び、涙をこぼし始めた。

「きっと朱美さんは、方々でも同じ扱いを受けているかも知れません。
 だとしたら、この会社だけは、公平な態度で接したかったです。
 どの方にも、公平に、接するべきでした。
 それが、受付としての私たちのプライドのはずでした。
 会社を愛する心でした。それを私たちは、いつの間にか失っていました・・。」

「今やっとわかりました。私たちに一番大切なのは、笑顔ではなく、
 誠実さでもなく、まず『公平』であることです。
 偏見を捨て、どのお客様にも『公平』に接することです。
 公平を欠いては、どんな誠実さも不誠実になります。
 どんな笑顔も、公平でなければ、笑顔を送らなかった人を傷つけます。
 私たちは、あまりにも、ひどすぎました。あまりにも、慢心していました。
 いくら後悔しても、後悔しきれません。」
二人は、そう言って号泣した。

泣いている二人をしばらく見ていて、義男は、ジュディを見た。
彼女は、にっこりして、手で丸を作って見せた。
大西を見た。
大西も、にっこりと丸を作った。

義男は二人に言った。
「もういいよ。顔を上げなさい。
 君たちなりに、ある考えに至ることができたようだね。
 なるほど。『公平』とは、何より大切なことかもしれない。
 ある人に笑顔を見せ、別の人に笑顔を見せないなら、
 両方の人に笑顔を見せない方がましだ。
 『公平』とは、私も教えられた思いだ。

 ジュディさんから聞いたが、
 君たちは、会社を首になってはならない事情があるそうだね。
 弟さんの病気のこと、妹さんの進学のこと。
 だからと言って、処分を軽くするつもりはない。

 しかし、さっきの君たちの反省は、真心と、私たち3人は見た。
 
 本来、首もあるらしいが、幸か不幸か、私は、甘い人間でね。
 人に、チャンスをあげたくなる。
 だから、君たちにも、3か月のチャンスをあげよう。
 
 第2受付の二人は、今、会社で、最も優秀な受け付けであるので、第一受付にする。
 そして、君たちに、第2受付を3か月できるチャンスをあげよう。
 その3か月、私たちは見ているからね。
 そして、君たちが、最も大切だと考えた『公平』を見事貫くことができたら、
 正規に第2受付の仕事をまかせよう。
 会社に大きな恥をかかせてしまったので、第1受付に返り咲くことは、
 あきらめなさい。
 ここで、自分の力で考えたことを、忘れず、がんばってくれたまえ。
 さ、もういいよ。」

沙也と美穂は、夢でも見ているような顔をした。
やがて、頬が赤らみ、二人で立って、姿勢を正した。
「夢のようです。がんばります。ありがとうございました。」
そう言って、ジュディと大西にも礼をして、頭を下げ、退室した。

廊下で、二人が、安堵の涙に暮れている声が聞こえた。

社長は、社長室にジュディと大西を誘って、
そこにいる朱美を紹介した。
ジュディは、朱美に何度もお礼を言い、部下の無礼を詫びた。

お寿司を4人で食べながら、
「社長。朱美さんのお顔のお話しは、本当ですか?」と、ジュディが聞いた。
「いえいえ、私が作った話です。」と義男。朱美が笑っていた。
「まあ、社長さんたら、なんとお上手な。あたし、信じましたわ。」
「私も、信じました。『社長が、例えばの話だが』と何度もおっしゃるので、
 逆に本当の話しだろうと思ってしまいました。」と大西。
「厚化粧は、不本意なんですけどね。」と朱美。
「好きなくせに。」と義男。
4人で笑った。

「しかし、彼女たちは、よく『公平』と言ったね。
 ふつう『誠心誠意』くらいでしょう。」と義男。
「『公平』が大正解です。公平さを欠いた誠実は、不誠実と同じです。」
そう言って、ジュディは、応対マニュアルを手に取り、
その第1ページを開いた。
そこに、大きく、「受付で一番大切なのは、『公平』である」と書かれてあった。
「おお、じゃあ、彼女たちはよくたどり着いたものだなあ。」義男。
大西が、「私は、『誠実』かと思いました。」と言った。
ジュディは、
「これが、正しいのです。なぜなら、私が書いたのですから。」と言った。
「わあ、これは参った。」義男。
4人で、わはははと笑った。めでたし、めでたしであった。
 
―3カ月後―

朱美こと武井英治は、午後の2時頃、黒川商事に来た。
ところどころ横に裂けたジーンズ、シワのある白いTシャツ。
そんな身なりで、第2受付に来た。

前に、2人、VIPに見える紳士が、受付をしていた。
英治は、気おくれをしていたが、順番が来て、受付を前にした。
2人の受付嬢が、さっと立って、
「いらっしゃいませ。」とにこやかに礼をした。
「失礼いたします。」と一人が座った。
「あのう、武井英治といいます。社長さんに会えますか?」英治は言った。
「はい、武井英治様。『じ』は、『政治の治』でよろしゅうございますか。」
「はい、そうです。」
「社長に、会見をご希望と、承りました。
 社長の今日の予定を調べてみます。少々お待ちくださいませ。」
パソコンの画面を見て、
「武井様。あいにく今日は、ほとんどふさがっておりますが、
 お約束など、なさってお出ででしょうか?」
「いいえ、しておりません。」
「では、そうですね。あ、ちょうど、今から、1時間だけ、社長が空いております。
 武井様、もし、1時間でよろしければ、社長の都合を、今、電話で聞いてみますが。」
「あ、それには及びません。その代り、メッセージを残しますので、
 社長様にお渡し願えますか。」
「はい、かしこまりました。このメッセージ用紙をお使いくださいませ。」
「ありがとうございます。」
「どういたしまして。」

英治は、横のカウンターテーブルで、メッセージを書いた。
そして、書いたメッセージを、受付に渡した。
「オープンなものですので、ご覧になってもかまいません。」
そう言って、英治は受付を離れた。
座っていた受付が立って、二人で礼をした。

立っていた沙也が、メッセージの文面を読み始めた。
その内、涙を浮かべ、白い手袋の手を口に当てた。
「沙也、どうしたの。」
美穂が覗き込んだ。

<メッセージ>
社長様へ。

今日は、天気がよく、ぶらりと社長さんに会いに来ました。
いつものように、穴の空いたジーンズによれよれのTシャツという、
ひどい身なりでした。

第2受付に来ましたら、前にVIPなお客様がいて、受付の方は、
てきぱきと応対なさっていました。
私の番が来ました。
私は、みすぼらしい恰好で、気が引けてなりませんでしたが、
受付のお二人は、とても爽やかな笑顔で、私に、応対してくださいました。

予約のない私に、社長さんの1時間の空きを見つけてくださり、
そこで、会見できるかどうか確認しようとまで、してくださいました。
社長さんの貴重な休み時間かも知れず、
私は、このメッセージを書くことで、会見をお断りしました。

わたしは、いつもこんな身なりですので、
方々の会社の受付で、邪険にされることが多いのですが、
さすが、黒川商事ですね。
私の身なりなど少しも構わず、実に気持ちのいい応対をしてくださいました。
おかげ様で、今日一日とてもいい気分で過ごせます。
そのことが、とてもうれしく思いましたので、
社長様に、お知らせしたく、1筆、したためました。
では、またの折に。

○月△日 午後2時。 武井英治


美穂も、涙を浮かべながら見た。
「沙也、これ、あたし達のために、書いてくださったものじゃない?」
「うん、そう思う。『社長様へ』だから、堂々と社長に渡せる。」沙也。
「ちょうど3か月よ。さっきの方が、審査員だったのかしら。」
「そうね。じゃあ、きっと合格かな。あたし、公平に応対したよね。」
「うん。VIPの方と、同じようにした。合格よ。」
二人で、手を取り合って喜び、そして、泣いた。

黒川義男は、にこにこしながらメッセージを読み、
ジュディを呼んで、見せた。
「まあ、これで、あの二人、合格ですね。」
「ジュディさんには、苦労をかけました。」
「いえいえ。この武田英治さんって、どなたですか。」
「朱美の変装です。」
「まあ!では、これで、完全に合格ですね。」
社長室に、明るい笑いがこだましていた。


<おわり>


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ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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