合気流・高木啓子④「親善試合の終了」最終回

<高木啓子の巻>第1部の最終回です。
全体に、主人公である啓子の活躍が少なかったのですが、そうなってしまいました。
アクセスは、日に日に少なくなって行きましたが、読んでくださった方も、
大勢いらして、うれしく思いました。<第2部>もまた書きたく思っています。
これまで、お付き合いくださり、ありがとうございました。
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合気流・高木啓子④「親善試合の終了」最終回


ミミは、礼をする間も、じれったかった。
礼を終わって立った時、依田は、力士のように「どす来い!」と言って、
畳を踏みしめようとした。
そんな、余計なことをしたのが、よくなかった。
依田の足がわずかに浮いたとき、
ミミが弾丸のように飛んできて、技をかけられ、勝負は終わった。
依田は、仰向けになり、右腕をひねられ畳に押し付けられ、
右足に足をかけられ、微動だにできないでいる。
右腕を無理に動かすと、骨が折れる。

依田自身、何があったのかもわからなかった。

「見えなかった・・。」と、五十嵐進は冷や汗をかいた。
「見えたか?」と、となりの副将安田に聞いた。
「依田が、骨折の形にされたことだけがわかった。」と安田は言った。

ミミの名を挙げる審判の声がした。

ミミは、みんなにピースをして、帰って来た。
「強いね。」と隣の女の子に言われた。
「ありがと。」と、ミミはニコッと笑った。

五十嵐は考えていた。
「あんな怖ろしいのが、あと3人も残っているのか・・。
俺の4段とは、どれほどのものなのだろう。
1000人で1位とは、大半が子供や初心者だった。
 さっきの3年生に勝てるのか。
 3年生から3人も上にいる中川は、どれほど強いんだ。
 まさか、館長の孫として、お情けで大将にいるのか。
 それは絶対にない。3番勝負をするのだ。1番強いのが大将だ。」
五十嵐は、今まで靖男にして来た嫌がらせを思い出していた。
馬鹿にして、頭をこづいたこともある。
「女」とからかったことなど数知れない。

五十嵐は、靖男との対戦を思い、怖くて震えが止まらなかった。
隣の安田、山川を見た。
二人とも、驚くほど、平気な顔をしている。
こいつらは、さっきの3年生以上の相手と戦うことがわかっているのか。
五十嵐は、自分一人が震えていることが恥ずかしい気さえした。

第8番試合。
合気流は、3年2段の山川誠一である。がっちりした男だ。
和円流は、中1で、細身の今野百合である。

山川誠一は、先ほどの依田とミミの試合を見ていながら、
細身の百合に対し、2段の自分なら絶対勝てると、確信していた。
手刀を作り、相手の肩に思い切り打ち込むことで、相手は崩れる。
万が一交わされても、百合を包み、体ごと倒せばいい。

礼をして、両者は立った。
山川は、手刀を作り、猛然と百合の肩めがけて打ち込んだ。
百合は、山川の手刀の手首を取り、外に逃げて、
手首を引き上げながら、山川の肩を下に押した。
これで、山川は、回転をかけられ、頭から落ち、背をしたたか畳に打った。
合気流のもっとも基本的な技にかかった。

畳に仰向けになって、山川は思った。
『2段とは、こんなにも弱いのか。』

残るのは、3段の安田、4段の五十嵐。
和円流は、啓子と靖男だった。

「安田。なんとも感じなのか。怖くはないのか。」と五十嵐は聞いた。
「ようやく3段の登場だ。相手は女だ。全敗にはしないぜ。」
そう、驚くべき明るさで、出て行った。

安田は、「これが、3段の強さだ。」と、それを見せつけようと思っていた。

礼が終わって、両者は立った。
そのとき、安田は、ぱっと腕を広げ、
「さあ、どこからでもかかって来い。」
と、恥ずかしい真似をしたのだった。

啓子は、じっと安田を見ていた。
安田は、啓子を見た。
そのとき、わかったのだ。
『はっ。高木啓子・・まさか!あの高木啓子10段か。
 自分たちから見て山のように強い大杉8段より強い10段か。』
安田は、広げていた両手を、ぱっと閉じた。
そして、真っ青になり、恐怖に脚をガクガクと震わせた。
体を震わせ、歯をガチガチとさせ、うつむいていた。

「安田3段、どうした!戦意消失で、負けとするぞ!」
大杉師範がそう言った。
「や、やります。」かろうじてそう言った。
戦意消失だけは、ダメだ。
安田は、目を閉じて、わああああと言って、かかって行った。
啓子は、相手が目をつぶっていたので、1歩横に身をかわした。
「安田、目を開けろ!」
五十嵐が、そう叫んだ。
「あ、ああ。」安田はそう言い、やっと目を開けて啓子に向かった。
啓子は、背を伸ばし、惚れ惚れするような美しい動きで、安田を投げた。

礼をして戻って来た安田は、五十嵐に言った。
「高木啓子だ。高木啓子10段だ!」
「ああ、お前の様子を見て、俺も気が付いたよ。」
「中川靖男は、それより強いのか。」
「互角かそれより強いだろう。」

途中から、ずっと恐怖と闘って来た五十嵐と、
急に恐怖に襲われた安田とで、これだけの心の差があった。

名を呼ばれた。
五十嵐は、恐怖と闘っていた。
だが、安田ほどうろたえなかった。

靖男は、座っているとき考えていた。
このままでは、合気流は、全敗に終わる。
せめて、大将戦くらいは、手加減をして、互角の戦いをし、
最後に投げて決めようかと。
だが、その考えをすぐに否定した。
手加減をするなど、五十嵐を侮辱することだ。
合気流を侮辱することだ。
常に全力あるのみ。それが、親善試合だ。

啓子は、靖男の隣で、同じことを考えていた。
心配して、靖男を見た。
靖男は啓子に気が付き、「常に全力あるのみ。」と言って、笑顔を見せた。
「うん。」啓子は、笑顔を返した。

靖男と五十嵐は、お辞儀をして立ち、互いを見つめた。

審判の大杉は、そのときの五十嵐を見て、はっと思った。
五十嵐の体は、恐怖に震えていたが、目が震えていなかった。
しっかりと対戦相手を見ていた。

『五十嵐、お前・・・。』と大杉は、そっと微笑んだ。

第1試合は、靖男の瞬殺で終わった。
第2試合も、同じであった。
第3試合。五十嵐が初めて技をかけた。
だが、その後すぐに、靖男に投げられた。

畳に横たわる五十嵐に、靖男は手を差し出した。
そのとき、靖男を見ながら五十嵐は言った。
「靖男、今まですまなかった。
 それと、全部の試合、本気を出してくれて、ありがとう。」
「五十嵐相手に、手加減など、できるわけがない。」と靖男は言った。
五十嵐と靖男は、互いにニッコリとした。

『試合の後で仲良くなること。』
と、啓子は心で言って、嬉しそうに、二人を眺めていた。



和円流道場を出て、帰る道、大杉師範は、わずかに機嫌がよかった。
「大杉師範。合気流が全敗したのに、どうしてうれしそうなんですか?」
と、安田が聞いた。
「お前たちも、みんな、いい顔してるじゃないか。」と大杉が言う。
山川が、
「そりゃ、プライド粉々になりましたからね。清々してるんですよ。」と言った。
「俺も同じだ。」と大杉が言ったので、みんなは、顔を見合わせて、わはははと笑った。

和円流道場では、みんながたくさんのお菓子をもらって、
ワイワイとにぎやかだった。
啓子も靖男も、満ち足りたものがあり、
甘いお菓子を、口に頬張った。

<第1部・おわり>

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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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