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実話 『男性から告白された思い出』

もう月日が十分たったので、書いてもいいかなと思います。
私は、アメリカで女として過ごして、
その勢いで、女の姿で、帰国し、家族に女装の事をカムアウトしました。

アメリカを出るとき、これでもう女装は、終わりと思っていた私は、
もう少し、女装ができるようになり、うきうきとしました。

帰国して、右も左もわからなかったので、私塾に勤めました。
私より2歳上の理事長がいて、彼は実に魅力的な人で、
私に女として、勤めることを認めてくれました。
その理事長は、「ジュンさん」と呼ばれていましたので、
私は、「ジュンちゃん」と呼ばれるようになりました。

塾にも慣れ、1年が立ちました。
そのとき、私は、1番低学力のクラスの担任になりました。
私は、算数が専門でしたから、隣のクラスの国語専門の人と組みました。
男性のGさんという人でした。
Gさんは、いつも開発部と言う教材開発部にいましたが、
評判が悪いのです。
「え?ジュンちゃん、Gさんと組むの?
 うへー、心配だなあ。」
という人は、一人二人ではありません。
「とにかく気をつけな。」
「何をですか?」と私。
「あの人、惚れっぽいんだよ。
 もう、それで、何度も失敗してる。
 プロポーズされた女先生は、みんな止めちゃったよ。」

「あの人は、熱心だけど、自分のクラスの子のことしか考えない。
 毎日、何人か残して教えてるけど、
 残されてるのは、可愛い女の子だけ。」
「でさ、算数が分からない子がいると、ジュンちゃんが呼ばれて、
 この子達に教えてくれませんかって言う。
 これ、ふつう怒ると思わない?」
「ジュンちゃん、そういう時は、断るんだよ。
 自分には、自分の仕事があるからって。」
みなさんは、たくさんのアドバイスしてくれました。

いよいよ、塾の新学期が始まって、私はGさんと対面しました。
どんな人かと思っていましたが、
それが、実に丁寧で、誠実、謙虚な人なのです。

授業が始まりました。
すると、案の定、何人かの男女が残され、
Gさんが、一生懸命教えていました。
(女の子だけというのは、嘘でした。)
私は、なんとなく、教室のそばを通りました。
すると、とたんに、Gさんが、
「ジュンちゃん先生、ここは、どう教えればいいんですか。」
と私は巻き込まれました。

それから、私は、度々巻き込まれ、
Gさんと二人で、算数を教えることが増えました。
私は、それが少しも嫌ではありませんでした。

職員室では、子供が帰った夜の9時から、ときどき、
何人かの先生が酒のつまみを買ってきて、ビールを飲んでいました。
わたしも、1、2度参加しました。
すると、悪く言われている3人くらいの人がいて、
その3人を肴に、皆さん呑んでいます。
特に酒癖の悪い年配の人がいて、
その人は、Gさんが仇でもあるかのように悪く言います。
きっとGさんと組まされて、散々な目にあったのでしょう。

私は、Gさんは、純粋で熱心な人だと思っていましたので、
みんさんの悪口に適当に合わせていました。
もっとも、酒壁の悪い年配の先生以外は、さほど悪口は言いませんでした。

あるとき、Gさんと帰りが一緒になり、
「喫茶店で話しませんか。」と言われ、
私は、OKしました。

それから、喫茶店でのお話しは増えていきました。
喫茶店は、駅から遠いところにあったからでしょうか、
奇跡的に、誰にも見られていないようでした。

毎回、Gさんは、子供一人一人、どうすればいいかと話し、
私のクラスの子のことも、たくさん心配してくれました。
職員室であれだけ悪く言われているのに、
Gさんは、人の悪口は、一切言わない人でした。
私は、いい人だなあ、と思いました。

喫茶店でのお話しが、10回ほどになったときでした、
Gさんは、何時になく、もじもじと言います。
「ぼくは、人から好かれるということがないんです。
 相手の興味に合わせて、話題を選ぶことができない。
 だから、女性にも、同じように話してしまう。
 ぼくを嫌わないで話を聞いてくれる女性は、すぐに好きになってしまうんです。
 後先考えずに、自分の気持ちを言ってしまい、
 それで、何度も失敗しました。

 ジュンさん(理事長)から、ジュンちゃんには、絶対惚れるなって言われました。
 ぼくから見て、ジュンちゃんは、高嶺の花です。
 綺麗だし、アメリカだって行ってるし。
 だから、自分の気持ちだけ言います。
 ぼくは、ジュンちゃんを好きになってしまったみたいです。」
Gさんは、そう言ってうつむきました。

さあ、何と言おうかと、私は、迷いました。
やがて、私は言いました。
「理事長が、Gさんに私に惚れるなと言ったなら、
 その理由は、Gさんの思いもよらないことです。
 もし、それを口にしたら、私は、もう塾にいられません。
 高嶺の花と言ってくださって、うれしく思います。
 でも、Gさんのお気持ちをお受けできません。
 Gさんのお気持ちは、うれしくいただきます。
 でも、今は、そういう気持ちはなしでいきませんか。」

「はい。わかりました。自分の気持ちを言えて、
 ぼくは、すっきりしました。」とGさんは、にっこりしました。

後から、思いました。
断る理由として、婚約者がいるとか、既婚であるとか、
いくらでも、言葉があるのに、どうしてそう言わなかったのだろうと。
なぜか、そのときは、思いつきませんでした。

Gさんは、その後、お見合いをして、
可愛い女性と結ばれました。


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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