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江戸町遊び人・油川京之介⑪「京之介、小杉大吾と戦う」

今回は、いつもの1.5倍ほど長くなってしまいました。
読んでくださると、うれしいです。次回、やっと「最終回」です。
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江戸町遊び人・油川京之介⑪「京之介、小杉大吾と戦う」


彩芽と祖母トメは、殿実篤の言葉に、心が洗われる思いで、
幕部屋に、にこやかに帰って来た。
「よかった。」と言って、京之介は、彩芽を涙ながらに抱きしめた。
雪之丸と桔梗は、婆様の手を取り、喜びを共にした。
みんなが、泣いていた。

「ああ、よきお殿様ですね。」と京之介の母・沙月が言った。
「お殿様のお言葉に、私は涙が止まりませんでした。」と梢は言った。

彩芽の試合の興奮も、やっとおさまり、
4番手の名前が呼ばれた。
木下は、道場で2番目に強い土方内蔵助が、呼ばれた。
大川道場は、京之介に年が近い、畑中誠司が呼ばれた。

「あ、京之介が最後ですね。大将なのでしょうか。」
油川屋の次男倉之助が、兄幸之助に言った。
「京之介が大将とは思えない。父がこの試合の世話をしているので、
 そのお情けだろうか。」
と兄、幸之助が言った。
すると、三男の世之介が、
「ありがたいですが、残るは、あの江戸2番の小杉大吾です。
 惨めな負け方をすれば、京之介が可哀相です。」と言った。
「ああ、いかにも。京之介が、一太刀でも、当てられればいいのだが。」
幸之助が言った。

畑中誠司と土方内蔵助の試合が始まった。
畑中誠司も、皆のように、体格のいい土方を翻弄した。
あやうく土方を倒せるとこまで行って、最後に、胴を打ち込まれた。

見物人は、大きな拍手を送った。
大きな男をあれだけ翻弄したのは、立派との拍手であった。
次は、京之介である。

「いよいよ、京之介ですね。」雪之丸は、桔梗に言った。
「はい、楽しみです。」と桔梗。
「桔梗様は、京之介の勝ちを確信していますね。」と雪之丸。
「もちろん。どうやって勝つかが楽しみです。」と桔梗。

観客もざわざわしていた。
「あれ。油川屋のバカ息子じゃないか。」
「なんで、あそこにいるんだ。」
「強いのかな。」
「バカ言え。この大会は、親父が、資金提供して、任されているんだ。
 京之介を出すというのが、条件だったんじゃないか。」
「なるほど。それなら、うなずける。」

「京之介は、何の取り柄もないが、俺は、あいつが好きだよ。
 いつもにこにこして、愛想がいい。」
「俺もそうだ。憎めない奴だ。俺は、京之介を応援する。」
「ああ、京之介、うまく逃げてくれ。」
と、あちこちのささやきも、だいたいこんなことだった。

やがて、松下の小杉大吾、大川の油川京之介の名が呼ばれた。

そのとき、一人、首をかしげていたのは、千葉の重三郎である。
「あの女は、なぜ出ない。次の千葉戦で出て来るのか。」

「はじめ!」の声がかかった。
小杉は、相手としては、遥かに不足と思った。
だが、獅子はウサギでも全力で倒すという。
相手が誰でも、俺は、手を抜かぬ。
そう思いながら、小杉は正眼に構えた。
正眼から、面の1本で終わりである。
自分の速さを見切れるのは、千葉の重三郎しかいない。

京之介は、無手である。
自然体に構え、やや足を開き、つま先に重心をわずかにおいていた。

二人は、しばらく見合っていたが、
小杉は、瞬足、脚のばねを使いビンと前に飛び出した。
木刀を振り上げ、京之介の額に「面!」と声を上げ入れた。
京之介の顔は、ぎりぎりまで前にあったのた。
だが、木刀を額に入れられる前、瞬時の間に、京之介の顔が消えた。
気が付くと、小杉は、背中を、ぐいと押された。
全力で行った上に、背中の押しで、スピードを加えられ、
小杉は、脚が付いてゆかず、1234と前のめりになって、
必死で、体を止めた。

見ているもの全員が、「あっ。」と声を上げた。

「相手の力を利用するとは、あのことですな。」
千葉道場の一人が言った。
「いかにも。だが、あの速さを見たか。
 小杉の剣を紙一重にかわすとは、信じられん。」

小杉本人が、一番驚いていた。
『奴のかわしが見えなかった。避けるどころか、俺の背中に回り押すとは。
 もう少しで、前に崩れるところだった。』
俊敏な小杉であったればこそ、4歩で崩れず、止められたのである。

正眼では、また交わされる。
そう思い、小杉は、上段に構えた。
そして、全力で、突進した。
だが、またもや、京之介は、小杉の剣を紙一重でかわし、
小杉の背中を、ぐいと押した。
小杉は、前のめりになり、倒れそうになりながら、
7歩ほど、進んで、やっとの思いで身を止めた。

『合気流、恐ろしや。』と小杉は、初めてそう思った。

京之介に向きを変えて、今度は正眼に構えた。
『突きしかない。突きが、最も相手に早く届く。
 これが、かわされたら、もう手はない。』

小杉は、息を整えた。
そして、いざ!と京之介に、向かった。
心は、全力で京之介に向かっていた。
しかし、2度も前につんのめり、全力の突進を恐れる小杉の「裏の心」が、
小杉に、ブレーキをかけた。
小杉は、自分を引き留める、重い力を体に感じた。
『こんな突きでは、届かぬ。』小杉は、焦った。
京之介は、見ていて、「これだ!」と思った。
小杉の突きが遅い。
京之介は、体を回し、その小杉の木刀を、進む方向に、すっと抜き取った。
木刀を取られ、驚きで固まっている小杉の背に、
京之介は、くるりと回り、
ゆっくりと、小杉の後頭部に、木刀を当てた。
剣を取られ、背を取られては、おしまいである。

「油川京之介の勝ち!」
と、審判・太郎之介の声が響いた。

「わあああああ。」と、見物人は、声を上げた。
それは、驚きと喜びが混じったものだった。
「兄上、京之介が、勝ちましたよ!信じられますか?」倉之助が言った。
「速さで、小杉を上回りました!」三男の世之介が言った。
「ああ、見たとも。あの京之介が・・。」
と、幸之介は、声をつまらせ、涙の目に手を当てた。

「母上、大変なことです。江戸2番の小杉大吾に勝ちました。」梢は興奮していた。
「ええ、ええ。京之介には、何かがあると思っていましたが、
 すでに、花が開いていたのですね。」
そう言って、母の沙月は、両手で顔を覆った。

京之介は、取り上げた小杉の木刀を、横に両手で持ち、
小杉大吾に差し出した。
小杉は、晴れやかな顔をしていた。
「かたじけない。」と木刀を受け取り、
「先に試合をした4人が、『合気流、恐ろしや。』と言っていました。
 今、私は、それが身に染みています。
 今後、合気流を習いに行きたいと思っています。かまいませんか?」と言った。
「もちろんです。お越しください。」と京之介は、笑顔で言った。

試合場に、戦った5人ずつが、向かい合って並んだ。
審判・近衛太郎之介が、
「大川合気流道場4点、松下道場3点。よって、大川合気流道場の勝ち!」
と宣言した。
すごい拍手が起こった。
出場者たちは、お互いに握手をして、健闘を讃えた。

少しの休憩の後、千葉道場と木下道場の試合があった。
伝統的な剣道同士、激しい打ち合いがあり、
2勝2敗で迎えた大将戦で、千葉重三郎が、かろうじて小杉大吾の胴を取り、
千葉道場が勝利した。

これで、1勝同士、大川道場と千葉道場の戦いとなった。
大川道場は、京之介以外、ごっそりとメンバーを変え、
千葉道場は、少なからず、驚いていた。

千葉重三郎は、京之介の小杉との試合を見て、
さらに、2戦目も、京之介だけが、2度大将の座にいるのを見て、
やっと気が付いた。
あの門前町での女は、京之介である。
あれほどの女が、2人もいてはたまらない。
そう言えば、京之介は、女にしてもいいくらいに可愛い。
よし、あの女との2度目の戦いができるぞと、重三郎は、喜んだ。

大川道場は、京之介が大将。
4番手に、藤村早苗。
そして、二人より、少し年少の、大村宗太、柏木茜、河村真一郎の3人が出る。

見物の立ち見コーナーの前の方に、元ゴロツキの5人がいた。
リーダー格の権三は、
「ああ、早苗さんが出る。俺どうしよう。身が持たねえよ。」
と声を震わせていた。
「なんで、早苗さんなんだ?」と進吾が聞いた。
「バカ、気が付かなかったのかよ。権三は、早苗さんにぞっこんだよ。」
と元スリの佐助が言った。
「あ、そうだったのかよ。俺だって、早苗さんが好きだぜ。」と進吾。
「俺も、好きだ。」と小六。
「俺も。」と真平。
「じゃあ、みんなで、特別に応援しようぜ。」と佐吉。
「おう!」とみんなは言った。

そのとき、隣のゴザにいる、えらく品のいい奥様が、「皆さま、ありがとうございます。」とにっこりと言った。
五人が驚いて固まっていると、「早苗の家族です。」と夫人は言った。
見れば、奥様、妹と見える嬢様2人、そして優しそうなご主人がいた。」
「えええ?ご家族の皆様でありますか。」
と権三が乗り出してきた。「権三といいます、ケチな野郎です。」と名乗った。
「早苗は、女子として、背が高すぎると思われませんか。」
「とんでもない。それが、早苗さんのステキなところで、
 無手でよし、剣を持った姿は、惚れ惚れするほど美しいです。」
「ありがとうございます。今日、早苗は勝てるでしょうか。」

「勝ちます!俺らの応援で勝たせてみせます。」 早苗一家は笑っていた。
佐助がいった。
「早苗さんは、気がやさしいから、稽古相手に負け役ばかりなさっているんです。
 それで、もし負けても、俺ら、早苗さんを尊敬します。」
権三が、
「心も姿もいい人は、勝つと、先生が言っていました。だから、勝ちます。」と言った。
「皆様、いいかたばかりですね。今後ともよろしくお願いします。」と早苗一家は頭を下げた。
「そんな、もったいない。こちらこそ、よろしくお願いします。」
5人とも、汗をかきかきだった。

「早苗は、勝ちますか?」と桔梗は、雪之丸に聞いた。
「私の全力の打ち込みをかわしていますからね。」と雪之丸。
「じゃあ、勝てるかしら。」と桔梗。
「早苗は、習ったことを忠実に体得してます。
 基本が一番強いと思いませんか。」
「まあ、じゃあ、京之介が重三郎に勝てば、優勝ですね。」と桔梗。
「はじめから、そのつもりだったくせに。」と雪之丸。
二人は、顔を見合わせて笑った。

審判・近衛太郎之介から、第3試合始まりの声がかかった。

一番の木村宗太が呼ばれ、前に出た。
大川道場は、みんな無手である。
試合は始まった。

千葉道場は、木下道場と違い、大川合気流を恐るべしと心得、
スピードを増すように、剣の振りを小振りに止めて、
突進も、8分の勢いにとどめ、攻めてきた。
これは、かわしにくく、また、相手の力を利用しにくい。

木村宗太。
柏木茜。
河村慎一郎は、早々と負けてしまった。

残るは、藤村早苗と京之介の二人になり、
大川道場は、がけっぷちに立たされた。

「早苗ちゃん、調子はどう?」と隣の京之介が聞いた。
「うん。心臓がつぶれそうだけど、全力でやる。」
と、京之介ににっこりとした。

藤村早苗の名が呼ばれた。
観衆は、早苗の背の高さに、今までの大川の出場者にないものを感じた。
開始線に立った早苗を見て、権三は、胸が高鳴って、気絶しそうになっていた。

早苗は、礼をした。
相手は、千葉道場の2番である八田小次郎である。
小次郎に勝つとは、大変なことである。
だが、そんな一切のことは、早苗の心にはなかった。
ただ、今まで、習って来た合気流をやる。
その思い一つだった。

はじめ!の声がかかった。
小次郎は、正眼に構え、見合った後、「面!」と叫び、飛んできた。
早苗は、さっと、身を半身にして、かわした。
『雪之丸様ほど速くない。』と思った。
また、面が来た。
早苗はかわす。
こうして、早苗は、10回もの小次郎の面をかわした。

早苗の背筋は、いつも真っ直ぐに保たれていて、
剣をかわしても姿勢が崩れない。
それは、美しい姿だった。

小次郎は、じれていた。
どうしても、かわされる。
そこで、正眼の構えを、上段に変えた。
これなら、かわせまい。
そう思い、「面!」と声を上げ前に行った。
早苗は、この時を待っていた。
小次郎は、横にかわされまいと渾身の力で打ちおろそうとしたが、
早苗は、左右にかわさず、前に来たのである。
そして、振り下ろしかけた小次郎の手をがっちり両手でつかみ、
右足を引きながら、右を向き、
小次郎の体と剣を右に運んだ。

打ち下ろしの力を込めていただけに、
小次郎の剣は、一気に早苗の腹あたりに持って行かれた。
小次郎は、とっさの思いで右足を大きく踏み出し、
前への転倒をこらえ、身を後ろに反らせた。
そこを、瞬時に、早苗は、左足を引き、体の向きを左に変えながら、
起き上がろうとする小次郎の剣を上に持ち上げ、
自分の頭を越して、左に運び、「えい!」と小次郎を投げた。
起き上がろうとする力を利用され、小次郎の体は、簡単に、
宙に浮かんで、そのまま、空を向いたまま、地面に叩き付けられた。
早苗は素早く木刀を奪い、仰向けの小次郎の額に、そっと木刀を当て、
「面!」と言った。
合気流、基本中の基本の技である。

「藤村早苗の勝ち!」との太郎之介の声が聞こえた。

「早苗、見事!」と雪之丸は、思わず叫んだ。

見物人、会場の人たちのすごい拍手が起こった。

開始線に戻って礼をしたとき、早苗は目に一杯涙をためていた。
家族が見えたので、拳をぐんと上げた。
幕部屋のみんなが、早苗を迎えて、勝利を祝福した。

権三は、うずくまって、オイオイ泣いていた。
「早苗さんが勝った。うれしい、うれしいよう。」
と、くり返す権三の背中を、みんながさすっていた。

早苗の母は、権三を見て、
「まあ、そんなに喜んでくださり、早苗は果報者です。」と言った。
佐助が、
「松下に勝った千葉の二番手に勝ったんだから、
 お姉ちゃんは、江戸で三番だよ。」と言った。
「わあ、すごい!」と二人の妹は、万歳をした。

藤村早苗の勝利で、大川道場に、優勝の希望が残った。
残るは、いよいよ、京之介と千葉重三郎の1試合だけとなった。


(次回は、「京之介と千葉重三郎との対決」最終回です。)


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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