江戸町遊び人・油川京之介⑦「3大道場・武芸大会に向けて」

江戸町遊び人・油川京之介⑦「3大道場・武芸大会に向けて」


彩芽と婆様が、油川家の家族と対面した日の、3日前に、
油川屋の主、宗之介は、松下藩の家老・吉田三郎太に呼ばれた。
宗之介は、松下藩とは親しく、出入りを許されていた。

家老・三郎太が言うには、江戸で名高い3道場。
つまりは、松下藩お抱えである松下道場、名門の千葉道場、
そして、江戸で人気1番の大川道場で、武芸大会を行いたいとのことだった。
これは、武芸を奨励している藩主・実篤の希望であるという。
そこで何とか実現したいが、財政困難の折、油川屋がスポンサーになり、
武芸大会実現に向けて、動いて欲しいとのことであった。
宗之介にとっては、何の見返りもない仕事であったが、
自分がスポンサーであるなら、武芸大会を町人に解放し、
誰もが、見物できるようにしたいと思った。
また、京之介がお世話になっている大川道場の宣伝になると考えていた。
そのことで、何とかの見返りを思っていた。

宗之介は、承知し、計画を立て、まずは、千葉道場に赴いた。
千葉道場は、大乗り気であり、二つ返事で承知した。

日は、1か月後、気候のよい、10月10日が予定されていた。
宗之介が、次は、大川道場と思っていたとき、
彩芽と婆様の訪問があった。
そして、宗之介は、彩芽の父の敵、菅原清右ヱ門が、松下道場にいることを知った。
宗之介は、京之介は、弱いと思っていた。
しかし、彩芽が実質5、6段であるなら、
菅原清右ヱ門との対戦は、あり得ると考えていた。
勝てなくても、一打くらいは、浴びせることができるかもしれない。
そんな思いで、翌日の夜、宗之介は、大川道場を訪れた。

道場は、夜は、接骨院であり、宗之介が来たとき、後2人が、治療を受けていた。
宗之介は、二人が終わるのを待ち、道場に上がった。
座布団が用意され、宗之介は、雪之丸と桔梗を前にして、まずは挨拶をした。
宗之介は、語った。
「雪之丸様が、江戸1番の剣士坂本龍太、そして、新選組の天才剣士、
仲田総司2人を相手に、乱捕りをし、天才二人を、まるで子供のように、
バタバタと倒していくのを、私は、最前列で見ていました。
あれほど興奮し感動したことはありません。」
雪之丸は、照れくさそうに頭を掻いた。
「実は、隣にいる妻の桔梗ですが、私の師匠なんですよ。」と雪之丸。
「え?雪之丸様の、お師匠様。それは、もう大変なことですな。」
と宗之介は、笑った。

それから、宗之介は、本題に入った。
話しを聞いて、雪之丸は、桔梗に、
「面白そうですね。」と言った。
「はい、道場の宣伝になりますね。」と桔梗。
二人は、武芸大会の参加を承知した。

「道場対道場で、全部で3回試合があるわけですね。」と雪之丸。
「はい、各道場からの5人が、他の2つの道場と戦います。」と宗之介。
「1回目と2回目とで、顔ぶれが変わってもいいのですか。」と桔梗。
「はい。どこも最強の5人を出してくると思いますが、
 顔ぶれが同じである必要はありません。」と宗之介。

「それじゃあ、できるだけ多くの道場生に経験をさせたいから、
1、 2回、総とっかえで、10人出しませんか。」と雪之丸は桔梗に言った。
「それは、名案です。ぜひそうしましょう。」と桔梗。

宗之介は、この二人の道場主には、経験を大切に考え、
勝つことは2の次に思っていることを見て、胸がほのぼのとしていた。

「5人のうち、4人は、勝って1点ですが、大将同士は、勝って3点です。
 7点満点のうち、4点取れば勝ちですから、大将さえ勝てば、
 後の4人のうち、一人が勝つだけで、組の勝ちになります。」
宗之介は言った。
それを聞いて、雪之丸と桔梗は、同じことを考えた。
『京之介が、2度大将になればいい。』

宗之介は、思い切って言った。
「これは、身内びいきになることかもしれませんが。」
そう言って、彩芽の敵討ちのことを話した。
「仇討ご禁制の今、命など狙いませんが、彩芽と祖母のトメは、
 面の一打ちでも浴びせたいと願っています。
 菅原清右ヱ門は、松下道場の3番手と聞いています。
 彩芽が、菅原清右ヱ門と対戦することは、叶いませんでしょうか。
 実力的に及ばないなら、忘れてください。」
宗之介は、言いにくいことをやっとの思いで言った。

桔梗が言った。
「彩芽さんにとり、これは、絶好のチャンスです。
 清右ヱ門は、必ず3番目に出てきます。
 ですから、対松下道場のときに、彩芽さんを3番にしましょう。」
「そうですか。彩芽が一打でも、浴びせることができるでしょうか。」と宗之介。
「そんなご事情があるなら、この際私が特訓して、
1打どころか、勝たせます!」
と桔梗は、胸を張って行った。
「ほ、ほんどですが。二人はどれだけ喜ぶことでしょう。」
宗之介は、それから、もっと言いにくいことを聞いた。
「親バカな質問で恥ずかしいのですが、
 京之介が、その出場の10人に入れる可能性など、いかがでしょうか。」

雪之丸と桔梗は、顔を見合わせた。
京之介は、道場1の天才剣士ですよ、と言いたいのを我慢した。
何事も、当日のお楽しみだ。

「はい。10人の中には、確実に入ると思います。
 京之介さんは、小さいことから、もう10年も通っていますからね。」
と雪之丸は言った。
長く通っていることのご褒美だろうかと思ったが、
宗之介は、ありがたく頭を下げた。

京之介が、その御前試合で、たとえ負けても、よい試合をすればよし。
彩芽が、清右ヱ門に1打でも当てたら、
祝いとして、二人の祝言を上げたいと思った。



千葉道場は、広い道場を2面もっており、道場の横に、狭い板の間がある。
そっと、自分の剣を磨きたいとき、
そこにこもって、研究をする。

このところ、千葉重三郎は、その部屋に閉じこもりっきりである。
重三郎の幼馴染である、八田小次郎が、その小部屋に顔を見せた。
「重三郎。もう3日も閉じこもっているぞ。
 何があった。」
「おお、小次郎、いいところに来てくれた。
 俺は、門前町で、恐ろしい女にあった。
 女は、棒を構えた4人のゴロツキに、前後左右囲まれていた。
 助けに入ろうと思っていたが、
 女は、小物入れを、ぽんと上に放った。
 普通、一瞬小物入れを見てしまうだろう。
 もちろん、ゴロツキも見上げた。
 そのとき、あっという間に、女は、4人を倒してしまい、
 落ちて来た小物入れを、ぽんと受け取った。」

「うおおお。それは、すごいな。」

「だろう。だから俺は、その女と立ち合いたくて、
 先回りして、待っていたわけよ。
 で、女に対し、居合の構えをした。もちろん峰打ちだ。
 小次郎。居合に対するかわし方を言ってくれ。」
「まずは、後ろに飛ぶ。」
「ああ、そうだな。他に?」
「上に飛び上がって、一文字をかわす。」
「ああ、その通りだ。他に。」
「他には、自分の刀で、一文字を受けるしかないな。」
「他に、あるか。」
「この3つだろう。他にあったら驚きだ。」
「だろう?だが女は、その第4のかわし方をした。」
「なんだと?どうかわした。」
「俺が剣を抜くより早く、俺の右肩に来た。」
「よくわからん。」
「じゃあ、俺の右肩の横に、立ってみてくれ。
 で、俺は、抜くぞ。」
 一文字に抜いた。
「小次郎、どうだ。」
「あ、お前の右腕が、俺の体の前に来る。うへー。」
「な。ここで、俺の右手首を握られ、
 腕を山に折られ、手首を引かれ、山になった肘を押された。
 俺は、びくとも動けなかった。
 激痛が走り、俺が無理をしたら、右肩を脱臼する。」
「これは、すごいな。」

「小次郎、お前が女の真似ができるか、やってみてくれ。」
「よしきた。」
重三郎が、居合に構えた。
小次郎は、無手。
「いくぞ。」
「よし。」
重三郎は、抜き、小次郎は、重三郎の右肩へと動いた。
だが、右肩へ達する前に、重三郎に切られた。

「知っていても、俺には無理だ。速く動けん。」
「だろう?女は着物にゲタだった。」
「ほんとか?驚きだ。どこの女だ。」
「大川合気流道場だと言った。」
「えええ?そんな女が、2、3人いたら、たまらんぜ。」
「俺の勘だがな。俺が一番怖いと思ったのは、
 女は、そういうかわし方を知っていたんじゃなくて、
 その場で、とっさに考えて動いたと思えることなんだ。」
「そうなのか・・。天才に近い女だな。」
「ああ。俺は、御前試合で、正式にその女と立ち合いたい。」
「お前が、3日もここにこもっている理由がわかったよ。
 武道大会、その女が大将の座にいたらいいな。」
「ああ、何としてでも、俺は、勝つ方法を見つける。
俺の一番得意の居合で負けたからな。今度は、同じ居合で勝って見せる。」
重三郎は、拳に力を入れて、そう言った。


(次回は、「彩芽、必殺の技」です。)


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プロフィール

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Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
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