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江戸町遊び人・油川京之介⑥「油川家に結婚の許しを求めにいく」

少しずつ書いていきますうち、長くなってきました。
あと、3話くらいで、完結の予定です。
お付き合いくださると、うれしいです。
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江戸町遊び人・油川京之介⑥「油川家に結婚の許しを求めにいく」


夜の9時少し前に、京之介、彩芽、婆様は、油川の屋敷に着いた。
黒い木の塀で囲まれ、中に蔵がいくつも見える。
住まいの入り口のところに、提灯を下げた、丁稚がいた。
「ようこそお出でくださいました。ご案内いたします。」
丁稚はそう言って、屋敷の中に案内した。

明りのついた部屋がある。
丁稚は、そこで、引き下がった。
「さすが、油川屋さんどすなあ。立派なお屋敷や。」と婆様が言った。
「京之介、あたし、緊張して気絶しそう。」と彩芽が言った。
「私だってそうだよ。みんながなんて言ってくれるか心配で。」
京之介は、言った。
京之介は、障子をあけて、先に彩芽と婆様を中に入れ、自分も入った。
そう大きな部屋ではない。
正面に父・宗之介。その右サイドに、母・沙月そして、長女の梢。
反対の左サイドに、長男・幸之助、次男・倉之助、三男・世之介がいた。
そして、父に向って末のところに、3つ座布団が置かれていた。
京之介は、右に。彩芽は、真ん中。隣に婆様が座った。

全員姿勢を正し、宗之介は、夜分に来てもらったことの礼を述べ、
家族を名前程度に紹介した。
京之介が、
「木下トメさんです。私たちは、婆様と呼んでいます。
 そして、木下彩芽さんです。
 ここのお二人には、仔細があり、それを、婆様より話していただきます。
 どうか、お聞きください。」
そう言った。
そして、婆様の話しが始まった。
それは、京之介が、聞いた仔細とほぼ同じものだった。
聞きながら、母の沙月や姉の梢が、彩芽の母が亡くなるあたりで、
目に袖の端をあて、泣いていた。
婆様は、彩芽が男子であることも、伝えた。

「こんな仔細でございます。
 陰間茶屋などいたし、彩芽は真の女子ではなく、
 財産も何もない私たちが、身の程をわきまえず、
 このような場に参上いたしました。
まことに申し訳なく思っております。
 恥を忍び、孫・彩芽の幸せを思う一心で参りました。
 どうぞ、お許しのほど、お願い申し上げます。」
婆様は、そう言って、彩芽といっしょに、深く頭を下げた。

父・宗之介が言った。
「なるほど、仔細についてはよくわかりました。
 今日は、家族がみんな集まりましたので、一人一人に感想など聞いてみましょう。
 えーと、梢は小姑になるわけだ。
 世に小姑と嫁の確執というのは、後を絶たないからね、
 梢の感想が、一番大切かもしれない。では、梢から。」

梢は、彩芽と婆様にお辞儀をし、やさしい眼差しを向けた。
「お婆様のお話をお伺い致しますうち、私は、何度も目に涙しました。
 よくぞここまでお悲しみに耐え、忍び難きを忍ばれてお出でになったことでしょう。
 その大変なご苦労をなさりながら、彩芽さんは、清らであり、
 澄んだ瞳をお持ちだと感じます。
 これは、ひとえに、お婆様の彩芽さんへの深い愛情とご努力の賜と思います。
 結論じみた言葉になりますが、
 たくさんの苦労を乗り越えて来られた彩芽さんは、
 遊び人の京之介には、過ぎた人だと思います。

 京之介ですが、私は、京之介にある可能性を感じています。
 京之介は、何か人にないものを持っていて、それが、開花すれば、
 彩芽さんに劣らない、立派な人になることと信じています。

 彩芽さんは、身体が女子でないことを、気に病んでいるかも知れませんので、
 申し上げておきます。
 彩芽さんは、京之介にとって、かけがえのない方なのです。
 実は、京之介は、幼いときから、女子の身なりをしたがる子でした。
 よく私のところへきて、女子の格好をさせて欲しいとねだりました。
 その内治るだろうと、私はその度、京之介を、可愛い女の子にしてあげました。
 でも、これは、治らなかったのです。
 10歳を過ぎてからは、さすがに私のところへ来ませんでしたが、
 京之介は、きっと今でも、女子の成りをしたいと思っていることでしょう。
 京之介が、一般の女性と結ばれたなら、京之介は、女子の成りをしたいという気持ちを、
 一生、心に封印していかねばなりません。これは、予想以上に悲しくも辛いことです。

 でも、彩芽さんなら、京之介のそんな気持ちを分かってくださる。
 世の中で、彩芽さんだけなのです。
 京之介にとって、彩芽さんに出会ったことは、奇跡のような幸せです。
 ですから、彩芽さんは、身体のことで、決して引け目など、思わないでいただきたいのです。
 彩芽さんの心が女性なら、女性です。
 京之介は、女子の成りをしても、心は男子です。
 二人は、男女です。
 互いに理解しながら、幸せになってほしいと思っています。
 二人が、夫婦になることを、心から、祝福いたします。」
梢は、言葉を閉じて、礼をした。

彩芽は、涙が出るほど感激していた。
それは、婆様も同じであった。
なんと優しく、温かな人だと、梢に対し思った。

父宗之介は、梢の言葉に満足しているようであった。
宗之介は、次に、長男である幸之介を名指した。

堅物である兄の幸之介がなんというだろう。
京之介は、気が気ではなかった。
幸之介の言葉で、すべてが決まるといってよかった。

幸之介は、腕を組み、上を向いてしばらく黙し考えていた。
一同は、皆、幸之介に注目していた。
やがて、幸之介は、組んでいた腕を解いて、身を正し、
婆様と彩芽に一礼した。

「私は、堅物と思われているようですが、
 たまには、頭が柔らかくなるのです。」
幸之介がそう言ったとき、家族は、くすりと笑った。
幸之介は、続けた。
「ずばり、申し上げますと、
 彩芽さんは、京之介には、過ぎた人です。
 私は、世辞を言いません。実の気持ちです。
 お婆様から、これまでのお悲しみや大変なご苦労を伺いました。
 しかし、彩芽さんのお顔には、そのご苦労のあとが、うかがわれません。
 これは、誉め言葉として言っております。
 彩芽さんは、きっと、世の人が苦労と思うことを、
 苦労と思わず、楽しげに、やって来られたと思われるのです。
 旅芸人であったときも、今の茶屋での裏方のお仕事も、
 明るく、生き生きとやってこられたように思います。
 これが、彩芽さんの最も素晴らしいところだと、私は思いました。

 彩芽さんの体が女子でないことは、むしろありがたく思っています。
 京之介が、女子の身なりをしたがることは、
 家族みんなが知っていて、大きな悩みでもありました。
 こんなことは、理屈ではなく、言って聞かせて治るものではありません。
 そんな折に、彩芽さんという、この上ない人と、京之介は出会いました。
 京之介は、果報者です。
 
 彩芽さんは、どこから見ても、愛らしい女子です。
 世間には、黙っていれば、それで済むことです。
 もし、子が欲しいなら、養子をもらえばいい。
 子がなくても、二人でずっと愛し合えれば、それも幸せな人生です。

 京之介は、何の取り柄もないバカ息子と、近所では広く評判です。
 だが、実は、『バカ息子』ほどではありません。
(皆が、少し笑った。)
 京之介は、道場へ納めるお金と言って、
 毎回私から、1両をせびりましたが、
 道場には、毎回1両の半分の銀2分しか納めず、
 残りの銀2分をくすねていたことを、私は知っています。
(京之介は、縮こまった。)
 知っていて、私が、なぜ黙っていたかと言いますと、
 京之介は、悪いことにお金は使わないだろうと、信じていたからです。
 京之介には、見どころがあります。
 そこで、彩芽さんにお願いがあります。
 京之介のよい所をたくさん誉め、よさを引き出していただきたい。
 そうすれば、彩芽さんに見合った、立派な夫になっていくと思います。
 それが、兄としての願いです。

 最後に、お婆様に申し上げます。
 これまでのご苦労、察して余りあるものがあります。
 お婆様のお蔭をもちまして、京之介は、彩芽さんに出会うことができました。
 心より、お礼申し上げます。そして、京之介をよろしくお願い申し上げます。」
幸之介は、そう言って、お婆様に深く頭を下げた。

そのとき、次男、三男の二人が、思わず拍手をした。
それが、広がり、油川家のみんなが、拍手をした。

宗之介は、それを嬉しげに眺め、
「今の拍手で、もう決まりましたね。
 倉之介、世之介も、賛成だね。」
「はい。兄上、姉上に同感です。二人の結婚を祝福いたします。」
と、二人は言った。

母・沙月は、感無量という様子で、
「私は、彩芽さんを一目見て、気に入りました。
 京之介をよろしくお願いいたします。
 また、お婆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。」
そう言って頭を下げた。

「では、お婆様、彩芽さんにも、一言ずついただきましょうか。」
と宗之介は言った。

婆様は、顔中涙だらけだった。
「只今、感激で、言葉も出ないありさまです。
 長年生きて参りまして、この油川家の皆様ほど、
 心が広く温かいご家族を、他に知りません。
 私と彩芽の不利な条件の中で、
 彩芽の身体のことだけは、認めてくださるはずはないと思っていました。
 ところが、皆さまは、そのことまでも、認めてくださり、
 私は、ありがたく、夢を見ている思いでした。
 どうぞ、彩芽をよろしくお願いいたすます。」
婆様は、涙ながらに、深く頭を下げた。
皆が、温かい拍手をした。

「では、最後になりますね。彩芽さんどうぞ。」宗之介が言った。
彩芽は、涙の目を拭いた。
一礼をして、話し始めた。
「皆様の、温かく、ありがたいお言葉に、心の中で、何度も手を合わせていました。
 私に過分なお言葉をくださり、うれしく、感激で胸がいっぱいになりました。

 私の父母が他界しましたことは、大きな悲しみでしたが、
 私には、祖母がいてくれました。
 苦労をしたのは、祖母であり、私は、祖母のお蔭で、
 何の苦労もなく参りました。
 旅芸人の一座のときも、今の茶屋においても、
 私は、祖母の愛情に包まれ、たっぷり甘え、わがままを言い、
 何の苦労も知らぬまま、やって参りました。
 私は、これまでの日々で、不幸と思ったことがありません。

 梢様から、『澄んだ瞳をしている』、
 幸之介様から、『苦労が顔からうかがえない』
 とのありがたいお言葉をいただきました。
 私にとり、心の奥に染み込むほどのうれしいお言葉でした。
 そして、そのお言葉は、祖母にとり、何よりうれしいお言葉だったと思います。
 祖母は、いつも、私が惨めな思いでいやしないだろうか、
 苦労が顔に染みついた子になっていないかと、心配をしていたと思います。
 私を不憫に思い、そっと涙する日が、幾度もあったことと思います。

 それだけに、いただいたお言葉を、
 祖母は、何より、ありがたく、うれしく思ったことと思います。
 (母沙月や、梢は、涙を拭いていた。)

 京之介様は、すでに、私には、遥かに過ぎた方です。
 京之介様は、周りの人を幸せにしてくれる方です。
 京之介様と出会えましたことは、私にとりまして、夢のような幸せです。
 ふつつかな私ですが、
 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。」
彩芽は、深々と頭を下げた。
婆様は、涙に暮れていた。
家族は、うなずきながら、にこにこして、大きな拍手を送った。

父宗之介は、人一倍大きな拍手をしながら、大声で言った。
「いやあ、お婆様。今の彩芽さんのお言葉、ご苦労が報われますな。」
「はい。うれしゅうございます。」と婆様は言って、再び涙に暮れた。

(次回は、「3道場、武芸大会に向けて」です。)


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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