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江戸町遊び人・油川京之介⑤「ゴロツキの5人が来た」

江戸町遊び人・油川京之介⑤「ゴロツキの5人が来た」


道場は、9時に開く。
9時前に早列ができている。
京之介と彩芽は、白い道着を着て、
彩芽は、髪を下ろし、肩のあたりで結んでいる。
額の左右に、わずかな前髪があり、
頬の髪の房も可愛く、化粧をしていなかったが、
誰が見ても、可愛い女性であった。

京之介は、早速、道場の正面にいる雪之丸と桔梗に、
彩芽を紹介した。
そのとき、彩芽が女子ではないことも、そっと伝えた。
「そうなの。まあまあ。」と桔梗は喜んだ。
「桔梗様と私もね、仔細ある体だから、お仲間だよ。」
と雪之丸が言った。
「そうなんですか!」と京之介は、目を輝かせた。

「京之介、もしやあなたは、女子の成りをしたいと思っていますか?」
と桔梗が言った。
京之介は、図星を突かれて、真っ赤になってしまった。
「そ、それは、極たまにそう思います。」と京之介は言った。
「京之介が、女子の成りをしたら、さぞ可愛いでしょうね。」
と桔梗が言って、雪之丸と笑った。
彩芽も、こっそり笑っていた。

稽古が始まり、10時ごろ。
玄関に5人の若者が来て、もじもじとしている。
あのときのゴロツキだが、少しましな格好をしている。
雪之丸と桔梗は、玄関に迎えに行った。
「初めて、稽古に来たのね。」と桔梗。
「実は・・・。」と言って、あのとき、京之介の正面にいた権三が、
門前町の出来事を話した。
京之介と彩芽は、あのときのゴロツキとわかり、
玄関そばに来て、話を聞いていた。

「ほう。君たちをあっという間に倒した娘が、
 『やられ賃』だと言って、一人に1両をくれたの?」と雪之丸。

横にいた真吾が言った。
「そうなんです。俺らが、全部悪いのに、くれたんです。」
スリの佐助が、
「そんなことされて、俺ら、もう悪いことやりにくくなって、
 心を改めて、大川道場で、修行しようと思ってきました。
 その人は、『暇なら、大川道場にお出で。』って言いましたから。」

雪之丸と桔梗は、顔を見合わせた。
「家(うち)は、『戦った後、相手と仲良くなる。』っていうのが、
 一番大切な精神なんだね。
 その娘は、見事、そうしたことになるね。
 君たちと、心で、つながった。
 しかし、はて、そこまで到達している娘が、道場にいるかなあ。」
雪之丸は、言った。

「ねえねえ、あなた達みたいな体格のいい人たちを、
 その子は、どうやって、あっという間に倒したの。」
桔梗が言った。
そのとき、じっとしていられず、彩芽が出てきた。
「あたし、そばにいたので、わかります。」
と彩芽は言い、玄関で4人を使って、実演して見せた。

「ほう、小物入れを上に投げ、4人がそれを見たときに、
 右の彼の棒を引き、脇の下に肘鉄をねえ。」
と雪之丸。
「はい。左右の二人は、剣道に不慣れで、棒を固く握っていましたので、
 棒を引けば、体もついてくると判断したようです。」
彩芽は、どこか得意気に言った。

雪之丸と桔梗は、顔を見合わせた。
「そんな技、教えたことありませんね。」と桔梗。
「はい。」と雪之丸。
「あの、とっさにそうしようと思ったようですよ。」と彩芽。
雪之丸は、桔梗とまた顔を見合わせた。

「それだけじゃないんです。」と彩芽は、編み笠の武士のことも、
身振り手振り豊かに話した。

「え!居合より早く、お侍の右肩に移動したの?」雪之丸は、驚いて聞いた。
「はい。刀が鞘から出たときは、もう移動していました。
そして、やってくる腕を、腕固めにし、相手に参ったをさせました。」と彩芽。
雪之丸と桔梗にとって、大正解の交わし方であったが、
道場の誰にも、教えたことがない。
とっさにそうしたならば、それは、大変な才能である。

「そのお侍は、編み笠をとり、地面に手をついて、無礼を詫び、
 千葉道場の千葉重三郎だと名乗りました。
 そして、雪之丸様と桔梗様によろしくお伝えくださいと、
 言いました。」と彩芽。
「千葉重三郎だったの!」
と桔梗と雪之丸は、同時に叫んだ。
その時、雪之丸と桔梗は、その娘が、女装した京之介だったことを確信した。

一番体格のいい権三が、そのうち、彩芽を見て言った。
「あんた、あのときの女の人と一緒だった人だ。」
みんなも気が付いた。
「あの人は、どこにいるんだ。誰なんだ。
俺たち、一言謝って礼を言いたい。」と皆はそう言った。
「今日は、いないみたい。」と彩芽は、苦しい返事をした。

『彩芽は、結構おしゃべりだなあ。』と京之介は、襖の陰に隠れてあきれていた。

5人のゴロツキは、その日、稽古を受けた。
年少の女の子にポンポン投げられ、武道のすごさを思い知った。
道場では、お昼に必ず大きなお結びが出る。
桔梗と年長の女子で作る。
彩芽も手伝った。
これが、子を持つ貧しい家庭の大きな助けとなっている。
そして、3時には、おやつが出る。

5人のゴロツキは、それが大いに気に入ったと見えて、
これからも、毎日来ると言って帰って行った。



京之介は、朝、家を出るとき、
今日の夜、自分が妻として迎えたい人があいさつに来ると、
父宗之介に言った。
「いつの間に、そんな人を見つけたのだね。」
と、父宗之介は、いつのも優しい声で言った。
「まだ、長いお付き合いではないのですが、
 私は、その人以外は、考えられません。」
「そう。」と父。
「少し、仔細のある人です。」
「わかった。今夜、家族全員集めておこう。」
父はそう言った。
京之介は、父はつくづく人格者だと思った。

稽古が終わり、京之介は彩芽の茶屋にいっしょにいき、
婆様も呼んで二人に話した。
「今日父に、私が妻にしたい人が来ると言いました。
 父は、夜の9時に、家族をみんな呼んで待っていると言いました。
 彩芽さんと私が夫婦になることを、認めてもらおうと思っています。
 来てくださいますか。」
婆様と彩芽は、感激して涙を見せた。

「昨日の京之介の言葉は、本心からだったんだ。
 私、うれしい。」と彩芽。
「私は、もっと先のことかと思っていました。
 京之介さんの実がわかり、うれしおます。」
婆様は言った。

だが、うれしさの後、現実の問題が思われた。
彩芽が言った。
「家は陰間茶屋で、胸を張って言える商売じゃない。
 それに、あたしの体は、女子じゃない。
 京之介は、江戸有数の大棚の御曹司。
 私の方は、あまりにも条件が悪い。
 京之介さんの妻になるなんて、図々し過ぎないかしら。」
彩芽は、不安の目を向けた。

婆様も言った。
「先のことや思うて、現実をあまり考えませんでしたが、
 いざとなると、彩芽の言う通りだと思います。
 京之介さんと彩芽では、あまりにもつり合いがとれません。
 京之介さんのご家族は、反対するに違いありません。」

「妻が男と知って、認めてくれる家など、この世にあるはずがないと。」と彩芽。

京之介は、彩芽や婆様の気持ちが、十分に分かった。
しばらく考え、口を開いた。
「婆様と彩芽のお気持ち、よくわかります。
 しかし、反対されることを百も承知で、
 試しに私の家族に会ってくださいませんか。
 希望はなくもないんです。
 父は武家であっても、小さいときから町の貧しい子と遊び育ちました。
 今の呉服問屋でも、客であれば、どんな貧しい人でも頭を下げます。
 母も同じです。
 そして、そんな父母のもとで、5人の子は育ちました。
 私の家族は、世の中で、何が大切かを知っています。
 ま、上の兄さんは、ちょっと堅物なんですけどね。」
そう言って、京之介は、長男の幸之助の固い顔を思い浮かべた。

「あたし、京之介と夫婦になりたいから、行く。」
彩芽が言った。
「そやな。ダメ元やさかい、行ってみよか。
 京之介さんのご家族や。ええ人ばっかりに違いない。」
婆様がそう言った。
京之介は、にっこりと二人を見た。


(「油川家に結婚の許しを求めにいく」につづく)


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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