お父さんは、大ヒットメーカー④「カムアウト」最終回・前編

最終回を書いていくうち、とても長くなってしまいました。
そこで、最終回・前編と後編に分けたく思います。
読んでくださると、うれしいです。
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お父さんは、大ヒットメーカー④「カムアウト」最終回・前編


ミーナの10周年記念のシングル「ウエルカム25」は、
すでに、リリースされていた。
ファン待望のシングルであり、売れ行きは、3日で、30万枚を超えた。

ミーナ10周年記念ライブ1ヶ月前の9月である。
東京の会場は、東京武道館に決まっている。
ドームやアリーナは、大き過ぎるとミーナは、主張し、
後ろの席でも、顔が分かる東京武道館になった。
こうなると、ファンのすべてが見られるわけではなく、
チケットは、抽選になる。

「ね、映美、晶子がミーナのライブチケット、当たったって。」
映美のところに、仲の好い恵子が言いに来た。
「わあ、いいな。あたしなんか家族中で、申し込んだけど、全滅。」
「競争率高過ぎ。ドームだったら、見られるのにね。」恵子が言った。
「でも、ドームじゃ、顔みられないよ。
 後ろのスクリーンじゃ、テレビ見てるのと変わらないし。」と映美。
「もう、チャンスないの。」
「ないと思うよ。」

映美は、その日しょんぼりして帰って来た。
当たった友達がいるというのが、うらやましかった。
沙希も同じような、ものだった。

夕食になり、しょんぼりしている二人を見て、武史は言った。
「何?二人は、ミーナのチケットが取れなくて、がっかりしてるわけ。」
武史は言った。
「そう。抽選に当たった子が、うらやましかった。」と映美。
「あたしのクラスにも、当たった子いた。」と沙希。
「4人で、行こうよ。」と武史が言った。
「え、どういうこと?」と二人は言った。
「ぼくが、チケット4枚ゲットしたよ。」
「うそー!」と二人は目を丸くした。

武史にチケットを見せられて、
映美と沙希は、興奮した。
「わ、裏に、『ご招待』ってある。
 お父さん、これ、どうしたの?」
「いつも言ってるじゃない。音楽関係の友達がいるって。」
「それで、これもらったの?まてまて、
 わあ、これ、前から10番目の真ん中の席よ。
 めちゃいい席。わあ、お父さん、やった!」
「お父さんの、今までの最大の殊勲よ。」
二人はそう言って飛び上がった。
「淑子も行くでしょ。」と武史。
「あたり前よ。ミーナは、一番好きだもの。」と淑子。

武史は、帰宅する前、マンションに寄って、
美奈と久美にも招待券を渡した。
家族とは、少し離れた席だ。
二人は、大喜びした。

一昨日、サン・ミュージックの社長の杉崎から電話があった。
そろそろ、覆面ライターを止めて、カムアウトしたらどうかという話で、
そのためのシナリオを聞き、招待券6枚を郵送してもらった。
武史も、そろそろ潮時かなと思っていたところだった。

カムアウトしたからには、役所を辞める覚悟だった。
公務員に内職は許されない。
少しの収入なら目をつぶってくれるかも知れないが、
武史の印税収入は、額が多すぎる。

10月10日。
ミーナの記念ライブツアー最終日である。
6時入場、7時開演。

映美、沙希、淑子は、朝からそわそわしていた。
何を着て行こうかということである。
「なんでも、いいんじゃないの。」と武史。
「そうは、いかないよ。都心に行くんだから。」と映美。

3人が着る物を考えているとき、
武史は、役所に行くときのように、黒い背広にネクタイを締めた。
「お父さん、ライブに背広着て行くことないよ。しかも、黒い背広。
 みんなで、飛んだり弾けるんだから。」と沙希がいう。
「そうよ、あなた。もっとラフな洋服がいいわよ。」と淑子も言う。
「いいの。ぼくは、これが一番落ち着くの。」
武史は譲らなかった。

武道館の九段下に、5時半に着いた。
席が決まっているので、ギリギリでいいのにと思ったら、
たっぷり早く行って、気持ちを盛り上げるのが大事だという。
そうして、武道館に行ってみたら、
会場の20分前だというのに、多くの人々が来ている。

「この時間が大切なのよ。みんなで盛り上がるぞって気になるでしょ。」
と映美が言った。
4人で、買って来たパンを食べ、飲み物を飲んだ。
そうしている人が、大勢いる。

やがて、6時、開演になった。
4人で列に並ぼうとしたが、映美が見つけた。
「ね、あたし達、招待券でしょ。あそこに『招待者入り口』ってある。
 あそこから、入れるのよ。」
「わあ、カッコイイ!」と沙希が言った。
みんなで、チケットを持って、「ご招待」の印を見せると、
すんなり通してくれた。

前から10番目とは、ものすごくいい席だ。
みんなで、興奮しながら、時間を待った。
二人がいうように、この待つ時間が、気持ちを盛り上げてくれる。

サン・ミュージック社長の杉崎は、客席を覗いて、
武史一家が来ていることを確認した。

7時には、会場は満席、ライブは、その15分後に始まった。
ミーナが高い台の上に現れて、ライトが当たると、
「キャー!」「ミーナ!」というすごい声が上がった。
それから、観客は立ちっぱなしである。
ミーナの踊りは最高にカッコイイ。
音楽に合わせて、踊りながら歌う。
それも、これも、作曲は、すべてRYOTAである。
武史は、我ながら、自分に感心してしまった。

ミーナは、3回衣装を替え、途中バラードのときにだけ、
観客に座ってくれるように言った。

全14曲。ラストの曲が終わり、ミーナは手を振りながらバンドの人達と袖に消えた。
天井のライトは消えたまま。
会場は、大きなアンコールの拍手が続いている。
ミーナはなかなか出てこない。
その内、ステージ中央に、演奏会用のピアノが運ばれ、設置された。
それだけで、拍手は盛り上がる。

やがて、舞台が明るくなり、
目にも鮮やかな真紅のロングドレスをきたミーナが登場した。
再び拍手が盛り上がり、大勢が立ち上がろうとしている。

「皆様、アンコールありがとうございます。
 どうぞ、お座りください。」とミーナが言った。
全員が座り、会場はシーンとなった。

ミーナは話し始めた。
「今日はあたしの10周年ライブで、あたしは、25歳になりました。
 それを記念したシングル『ウエルカム25』を、まだ歌ってないじゃないか、
 そう思ってらっしゃる方が、大勢いらっしゃると思います。
 そうなんです。アンコールを期待して、取っておいたんです。
 (会場、少し笑い。)
 今日、あたしは、一つの願いを胸に抱いています。
 あたしの15歳のデビューから、10年間、
 あたしの全曲を作ってくださったRYOTAさんなのですが、
 決して、表にお出にならない方で、実は、このあたしでさえ、
 お会いしたことがないんです。
 (ほんとー!と会場の声。)
 しかし、今日、この会場にRYOTAさんが、いらっしゃるようなのです。
 (うおおおおお・・と声がする。)
 そして、あたしの願いは、RYOTAさんの伴奏で『ウエルカム25』を、
 歌いたいということなのです。

 会場にいらっしゃるRYOTAさん。もしよろしければ、
 この舞台に上がってくださり、伴奏をしていただけないでしょうか。
 あたしの切なる願いです。お会いしたいのです。
 お願いします。」
そう言って、ミーナは、拍手をした。
それが、観客全員の拍手になった。
会場のサーチライトが、客席を巡るように照らす。
拍手が、いつまでも続き、どんどん大きくなる。

武史は、いろいろなことを決意し、立ち上がった。
「お父さん、トイレ?今はダメよ。」と淑子が言った。
「だめだめ。」
映美と沙希も言った。
「あ、いいの、いいの。」と武史は言って、通路に出て、
舞台の方へ向かった。
家族3人は、「え?え?何?何?」と武史を見つめた。

はっきりと、ステージへ歩いて行く人物を見つけて、
全部のサーチライトが、武史を照らした。
「わああああああああああ。」と会場5000人の声が沸いた。

(最終回・後編につづく)


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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