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お父さんは、大ヒットメーカー①

作品を、家族が絶対見てくれないある会社員の物語を書こうと思います。
最後まで、書けないかも知れないのですが、
なるべく、がんばります。読んでくださると、うれしいです。
女装は、あまり出てこないと思います。
===============================  

「お父さんは、大ヒットメーカー」

そろそろ5時だ。
退社時間ぴったりに帰るのが、大野武史の信条だった。
「では、皆さん、お先に失礼します。」
と武史は、ブリーフ・ケースを持って立った。
「あら、私達、まだ帰れないのに?」
と中年女性の伊藤早苗が、笑いながら言った。
「ええ、私は、窓際族の特権で早く帰ります。」
「あら、窓口係りで、窓際係りじゃないわよ。」
周りのみんなが、笑った。

武史は、市役所の社会福祉課にいる。
そして、机が、カウンターの窓口に一番近いところにいるので、
窓口に出ることが多い。そこで、みんなに「窓口係り」と呼ばれている。
42歳。
本来なら、係長くらいになっていても、おかしくはないが、
武史には、まったく上昇志向がない。

武史は、役所玄関へ歩いていた。
そのとき、課長の平田が、武史を呼び止めた。
「大野君。頼む、今日だけ残業してくれ。」と平田。
「え?家には、きっちり7時に帰るのが、信条ですけど。」
「市の小ホールにピアノが来るんだ。
 それに、立ち会って欲しい。君は、ピアノが少しは出来るんだろう?」
「立ち合いに、ピアノが出来るかなんて、関係ないですよ。」
武史は言ったが、結局、行かされた。
「こんな雑用ばかり来るんだからなあ。」
と、武史はぽつりと言った。
「でも、ピアノなら、まあいいか。」
とも言った。

役所を出たとき、家に電話した。
妻の淑子が出た。
「あのさ、ピアノの納入に立ち会えって言うの。
 調律まで付き合うと、7時に帰れない。ぼくの食事残しておいて。」
「まあ、珍しい。残業なんて初めてね。」と淑子。
「そうだね。ぼくも、少しは、役に立ってるみたいだよ。」
「そう。よかったわ。」と淑子は笑った。

武史は、続いて、電話をした。
「あ、久美ちゃん?今日仕事来てる?」
「作曲だけのと、作詞作曲が1つ。」
「わかった。少し遅れるけど、行くから。」

武史は、そう言って、役所を出て、市民会館に歩いて行った。
市民会館の小ホールは、よくピアノの発表会に使われる。
武史が行くと、グランド・ピアノの組み立てが終わっていて、
人の好さそうな50歳くらいの人が、調律をしていた。
ピアノは、スタンレイの演奏会用のものだ。
「うほー、すごいや。」と武史は、思った。

「どうも、ご苦労様です。私、役所の大野と言います。
 あいにく名刺を切らしていて、すみません。」
「かまいませんよ。後藤と言います。」
「このピアノだと2時間かかりそうですね。」
「私、早いのが自慢でね、40分で終わりますよ。」
「それは、すごい。」
武史が、見ていると、本当に40分で終わった。
「後藤さんは、達人ですね。ちょっと弾いてみてもいいですか。
 スタンレイなんて、久しぶりです。」
「ああ、どうぞ。」と、後藤は言った。

武史は、ピアノ椅子に座った。
初め「ねこふんじゃった」を引いていた。
調律師の後藤は、ほほ笑ましく、後ろで見ていた。
だが、武史は、「ねこふんじゃった」をテーマに、
どんどんアレンジを加えて行く。
後藤は、感心して聞いていた。
その内、
「ショパン風に弾いてみますね。」
と武史は言って、ショパン風猫ふんじゃったになった。
すでに、曲は難曲のレベルになっている。

後藤の心は、驚きに変わっていた。
武史は、全く鍵盤を見ていない。
後藤は、音楽のわかる人間だった。
自分も、若いときピアノ・コンクールに出て、入賞したことがある。
「リストを弾いてみてください。」
後藤は、思わず言った。
「じゃあ、ハンガリアン・ラプソディーに移ります。」
武史は、最難曲とも言える、曲に移った。
市の職員にしては、驚くべき魅力的な演奏だった。
後藤は、武史の演奏に魅了された。
武史は、10分ほどの難曲を、とうとう、鍵盤を一度も見ないで弾いた。

後藤は拍手をしながら、
「驚きました。どうして演奏家にならないんですか。」と聞いた。
お世辞の嫌いな後藤の本心だった。
「演奏家なんて、とてもとても。
 今は、アルバイトでポップスの作曲をしています。
 公務員が内職やっちゃいけないんですけどね。内緒です。」
武史は、後藤に少し笑って見せた。
「そうですか。」と、後藤。
「それがね、悲しいんですよ。家族は、私の作った曲を聞いてくれません。」
「どうしてです。」
「なんか、恥かしいみたいです。それに、感想を言うのが嫌なのだそうです。
 どこも、そんなものですかね。」
「いいえ。私なら家族の作った曲を、聞きたいです。」
「それが、普通ですよね。」
「そうですとも!」後藤は、語気を強めて言った。
「お名前を、もう一度。」と後藤は、武史を捕まえるように聞いた。
「大野武史です。」
武史は、にっこり笑って言った。

(つづく)


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ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
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