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傷心の一成(1973 ロサンゼルス編 ③)

一成は旅行ビザで来ている、短期(三ヶ月)滞在者だった。
私と会ったのは、来て2週間のとき。
その間に車も買って持っていた。



その日の夜、つまみ物と缶ビールを買って、
一成の部屋で話した。
私は少年服で、床にあぐらをかいていた。
サングラスは、胸の谷間に差していた。

「わしゃのう、どえらい人間になりたいんじゃ。
 その為には、白人女の一人や二人抱かんといかん。
 アメリカに来た目的は、それじゃ。」

一成は私から見て、ハンサムとは言い難かった。
どちらかというと、お笑い系。
私は、
「ふーん。じゃあ、手伝うよ。」と言った。
「わしゃのう、愛媛じゃ『ナンパの一成』、言われとったんよ。
 もう、何人引っ掛けたか数しれん。」
「すごい。コツは何?」
「自然体じゃの。自然体で近づく。
 ここに変なすけべ心出したら、いっぺんで女は逃げよる。
 あくまで自然体で話しかけ、自然体で、肩に手をまわす。
 そんで、自然体でGo-じゃ。どうじゃ。ジュン分かるか。」
「そういえば、一成がぼくに初めて話しかけてきたときも自然体だったよ。
 だから、ぼくは、ぜんぜん警戒しなかった。
 一成の実力信じるよ。」
「ジュンもレズの女、自然体で引っ掛けてみい。
 そのくらいの根性のうてどうする?」
「だめだよ。ぼくには、恋人がいるって。」
「可愛いんか?」
「そりゃもう。」
私はバッグの財布の中から、ウォンの写真を見せた。

「おお、こりゃ、えらいべっぴんじゃの。
 こんな子がおるんじゃったら浮気はできんの。
 あ、首から肩にかけて、火傷があるがね。」
「うん。ベトナムの子だから、戦争で火傷した。」
「そりゃ、不憫じゃのう。」
「それだけじゃない。男にいたずらされた。
 それから、男はだめになった。」
「それで、レズなんか。」
「うん。」
私はウォンのことを思って不意に涙が出た。
一成はしばらく黙っていた。
「ジュンが、せいぜいやさしゅうしたり。」
「うん。」
私は写真を受取った。



次の日、一成がいよいよ白人の女の子をナンパするということで、
近くの州立大学まで、車で行った。
私は同じ少年服。帽子だけキャップにした。

大学の門から建物の道は、ジャリが敷かれ、
そばには高いポプラ並木が続いていた。

私は、背の高い一成の腕を抱き、
まるで恋人か妹のように歩いた。
「ぼくのようないい女と歩く気分はどう?」
といたずらっぽく聞いた。
「悪ないのう。これで、ジュンが女の服着とったら、最高や。」
「今、男同士に見えてるかな。」
「いや、オヤジと子供に見えよるやろ。」
あはは、と私は笑った。

正面の建物の回りは、きれいな芝生だった。
日が燦燦と降りそそいでいた。
私たちはその一画に座って、白人の女の子を待った。
そのうち、テキストを胸に抱いた白人の女の子が来た。
「一成、チャンス。ナンパの一成の意地、見せたれ!」
と愛媛弁を真似て言った。
一成は、うつむいていた。
「ジュン、ちょ、ちょっと待ったらんかい。
 自然体にまだようなりよらん。まだ、だめじゃ。」
と一成は言った。

今度は、2人の白人の女の子が来た。
二人とも、ブロンドの髪が綺麗だ。
「一成、チャンス!」
「よっしゃ。」と言って一成は立ち上がった。
そして、二人にせまり、何か話している。
「おお、すごい。」と思っていたら、
一成は、頭をさげて、サンキュウなどと言っている。

もどってきた一成に聞いた。
「何話したの?」
「あかん。道聞いただけじゃった。
 わしゃ、大事な事を忘れとった。」
「何を?」
「わしゃ、英語しゃべれん。
 これじゃ、ナンパはできん。」
あははは…と私は笑った。
一成が落ち込んでいた。
「ごめん、笑ったりして。」
「いや、かまわん。わしがアホじゃった。」
「じゃあ、なぐさめに、今日の夕食おごるよ。
 ぼくは、女の格好していく。」
「ほんとか。そりゃ楽しみじゃ。」
一成は簡単に立ち直った。



夜。私はブルーのワンピース。
銀のリング。フルメイク。
白のバッグと靴。ちょっと香水。
エレベーターに乗って、1階へ降りた。
ロビーの人たちが一斉に私を見た気がした。
「一成。OKよ。」と言った。
「うおー、やっぱりべっぴんじゃのう。
 わしゃ、ジュンがおったら、他の女もういらん。」
と一成が言った。
「だれ?あの子?」と声がした。
「ほら、トンボサングラスの子だよ。」
「あらまあ。」
そんな声がしていて、少しうれしかった。

ホテルを出ようとすると、建治さん美沙さん夫妻に出会った。
美沙さんはとても元気そうだった。

「美沙さん。すっかりお元気になったようですね。」と言った。
美沙さんは、初めぽかんと私を見ていたが、やがて、
「あ、お粥を作ってくださった…。まあ、お綺麗だわ。ちがう人かと思った。」と言った。
建治さんも、「ほんと、ステキです。」と言ってくれた。
私はお礼を言って、「じゃあ。」と言って二人を後にした。

私は、一成の腕につかまって、
「一成。今夜はずっと女言葉を使うわね。」と言った。
「うれしいけど、わし、たまらんようになったら、どないしょ。」と一成。
「自然体、自然体。」と私は言った。

傷心の一成だから、今夜は、キスくらいOKかなと思った。
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1. 一成さん緊張

私もスペインで学生ばかり宿泊する安宿で何人かの日本人の男の子と知り合って、おつまみとお酒を持って部屋で酒盛りをしたものでした。やはり、若いのでなんらかの接触はありました。懐かしいです。

そこである種の、日本人としての連帯感を感じてお互いに慰めあったものです。ついこの前のことだと思っていたのに、もう大昔のことになりつつあるのが驚愕です。

一成さんのように朴訥で豪放磊落な人はラックさんの心のなかに一生残るのでしょうね。

「わしゃ英語しゃべれん」というところで笑ってしまいました。いざ、白人女性をナンパするときになって、ジュンさんにのつきそわれて緊張してしまったのでしょうね。でも、本当は心のなかではジュンさんと、、と密かに願っていたのではないでしょうか、、、。

さて、、どうなるのかな、、、、これから、、、。

キス→そして、、、どうなるんだろう、、。

楽しみ~!

2. Re:一成さん緊張

>ルスさん

コメント、うれしいです。
スペインでも、そんな安宿が、やっぱりあったのですか。日本人同士で、部屋で酒盛りをするって、私もよくやりました。(このシリーズにも出てきます。)

当地では、日本人同士というだけで、すぐ連帯感が生まれました。スペインでは、ルスさんのような女性がいるということは、珍しいことだったのではありませんか。

一成に出合ったことは、ほんとに幸運でした。おもしろいし、けっこう純情で、愛すべき人物でした。私は女で通していて、でも身体は男と言う厳しい状況にありましたので、だれかと浮気するにも、ままならない状態で、苦しい思いをします。ウォンやアシフのような、全て知っているという存在がいなかったんです。

この先は、ネタバレになりますので、伏せて置くことにします。

一成さんのイメージ

ラックさん こんばんわ

一成さんのことを初めてブログで読んだとき、
芸能人のある方が頭に思い浮かびました。

・・・・・思い浮かんだのですが、
その時は名前が出てきませんでした。

最近になって、ある方の女装ブログを見ていたら、
その芸能人の方の画像が載っていて、一成さんの
記事を思い出しました。

そうそう、私の中では、一成さんて、武井壮さんの
イメージなんです。(武井さんのことはよく知りませんが、
そんなイメージなんです。)
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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