実話:新宿編「ママのサプライズ」

お正月で、まだまだ新作が書けず、旧作の再投稿で失礼します。
これは、自叙伝時代の「新宿編」から、私の好きな小品です。
ちょっと私の自慢話的なところも出てきますが、お許しくださいませ。
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実話:新宿編「ママのサプライズ」


例の包丁事件から、3日後のよく晴れた日だった。
ママと私でカウンターの準備をしているとき、
「ごめんなさい。」といって緑のママが入って来た。
緑ママは、包丁の客のいたお店「緑」のママだ。

着流しで、髪は短髪、顔には化粧をしている。
身長は170cmを越す大柄な人だ。
体格もがっちりしている。

緑ママは手に何かを持っていた。
「ママ、ごめんなさい。
 その節は、ほんとにお世話になっちゃって、
 だのに、ちゃんとしたご挨拶にも来なくて、礼儀知らずと思われたでしょう?」

緑ママは、その仕草といい、「オネエタイプ」の人だ。

緑ママは、大きめのタッパウエアーに入ったものをママに見せながら、
「実は、お礼にこれ作ってたのよ。」
とタッパのふたをとって見せた。
「なんですかこれ?」って典子ママ。
私もそばに寄った。

「これ、大したものじゃないんだけど、うちのお店のヒット商品なの。
 ちょっと食べて見て?」と緑ママ。
ママと二人で食べて見た。
「わあ、ちょっと塩辛いけどおいしい。」と二人で言った。
「これ、『柔らかスルメ』ってうちじゃ呼んでるの。固いスルメだと噛み切れない方がいるじゃない。
 で、あたしが開発したのよ。評判いいの。これ塩辛いじゃない。だから、お酒がバカバカ売れて、売 り上げ倍増よ。これママにお礼として、進呈するわ。丸秘商品だけど、ここにレシピを書いといたの。
どうか、受取ってちょうだい。」と緑ママは言う。

「まあ、お店のこんな大事なもの、レシピ付きでいただけるの?」とママ。
「ナナちゃんに、あれだけのことしてもらったんだもの、このくらい当然よ。」と緑ママ。
「じゃあ、ありがたくちょうだいします。ママの発明をここで使ってもいいの?」とママ。
「そう思って持って来たんじゃない。ご自由よ。」と緑ママ。



緑ママは、言った。
「あたしね。あの時のナナちゃんがしてくれたことに、ほんと頭が下がってるの。
 あたし自衛隊上がりじゃない。たいていの武道やって来た。ナナちゃんは合気道だって見たの。」
「あ、はい。そうです。」と私は、答えた。

「あたしが感謝して感激してるのは、ここからよ。ママ、聞いて?」と緑ママは言い。
「合気道なら、相手を投げ飛ばすか、関節とって地面にねじ伏せかなのよ。
 ナナちゃんには、その方がよっぽど簡単だったはず。
 でもね。それやったら、あの巨漢のAさんだもの、プライド丸つぶれじゃない。
 可愛い女の子に、地面にねじ伏せられてる様考えてみて?耐えられないじゃない。
 だから、ナナちゃんは、Aさんを立たせたまま固めたの。もうそれは合気道じゃない。
 ナナちゃんが死にもの狂いでやってくれたことなの。
 そうしてくれたからこそ、
 私やBさんが話しができて、誤解を解くことができたわけじゃない。
 もし、Aさんのプライドが先に傷ついていたら、解決はなかったわ。
 ナナちゃんは、そこまで考えていてくれたのよ。
 もうほんと、あたし、ナナちゃんに女惚れしちゃったわ。ほんとに惚れ惚れ。
 もう、すっかりファンよ。」

「ナナ、そこまで、考えていたの?」ママに聞かれた。

「緑ママもママも、考えすぎですよ。夢中で何したのかも覚えてません。」と私。

「ほら、こうして謙虚じゃない。益々惚れちゃう。」緑ママは言った。

「あら、あたしったら、大事な準備の時間を。ごめんなさい。長話しちゃって。
 じゃあね。ナナちゃん、ありがと。」
緑ママは、私に投げキッスを1つくれて、去って行った。

「ナナ、ほんと?そこまで、考えてたの?」とママから、もう一度聞かれた。
私はお皿を拭きながら、
「なんとなくだけど、叫んでたママのお店のお客さんだと思ったから、投げちゃいけないと思ってました。」と言った。

「ナナったら…。」ママは、あきれたような、うれしそうな顔をした。

「でも、ナナの一番のお手柄は、これね。」とママはたタッパウエアーを持ち上げて、笑って言った。
「また、売り上げ倍増ですね。」と私も笑った。

*    *    *

その日、私には、ある一つの大仕事があった。
そのために、時計の針が12時を回るのを待っていた。

9時からの3時間がどれだけ長く思われたことだろうか。

緑ママ発案の、柔らかスルメは、大好評だった。
おつまみに出すと、
「お、これはいけるね。」とほとんどのお客様が言い、
水割りをたくさん飲んでくれた。

その度に、ママと私は顔を見合わせ、Good!のサインを出し合った。

11時を過ぎた頃から、常連のお客様が一人、二人、三人とやって来てくれて、
7つの席は満配になった。
みなさん、柔らかスルメがおいしいと言って、
どんどん飲んでくださった。

椅子が空いたことがなかった。

ママが、小声で、
「今日はどうしたのかしら。」と私に言った。
「スルメのおかげですよ。」と私は笑って言った。

12時まで、あと10分というとき、
ママが、
「ナナ、もう上がって。」と私に言った。
「あ、今日はもう少しいます。
 だって、こんなにお客様いらっしゃるし。」と私は言った。
「助かるわ。ありがとう。」とママが言った。

席が満杯なのに、またお客様が来た。
「まあ、Kさん。この通り、満席になってるんですよ。」とママがすまなそうに言った。
「あ、かまわないよ。俺、立って飲むから。」とKさんは言った。
それから、つぎつぎに常連さんが入ってきて、みなさん一同に、
「立って飲むからかまわないよ。」とおっしゃる。

ママが、驚いた顔をしている。
「ナナ、今日はどこかでお祭りでもあるのかしら?」
「多分そうですね。」と私は言った。

時計の針が12時を差そうというとき、
店の中は、15人以上のお客様がいた。

針が、12時を差した。

私は、隠していたクラッカーをパパーンと鳴らした。
すると、お客様が一声に、
「ハッピーバースデイ、典子ママ!」と叫んだ。
「え?まあ…。」と典子ママは、胸に手を当て、驚きの声を上げた。
「みまさん、じゃあ、そのために?」
「そうですよ。はい、プレゼント。」とHさん。

みなさんそれぞれプレゼントを渡していた。
私は、こっそり買ってあった、バースデーケーキを持って行った。

「オー!」と歓声が上がった。

ロウソクを立てて、「ハッピーバースデイ」の歌をみんなで歌った。

ママが、ロウソクを吹き消す。
ママは、幸せそうだった。

「一体、だれの仕業?」とママが言った。
常連のKさんが、
「ナナちゃんだよ。1週間くらい前から小さいカードに、『ママの誕生日の○月○日の12時に来られたら来てください』ってのを帰り際に渡されてね、みんなそれで来たんだよ。」と言った。

「それで、みまさまが。まあ、うれしい。あたしこんなの初めて…。
 自分の誕生日なんて、もう何年も忘れていたのに…。」
ママは、口に手を当てて涙ぐんでいた。
そして、私を見て、
「ナナ、ありがとう…。」
と私を抱きしめてくれた。

「じゃあ、今日は、立食パーティーになりますが、
 飲み物、食べ物すべて、只にいたします。」
とママが言った。

みなさんが、「おー、やったぜ!」と叫ぶ。

「ママ、今日はナナがカウンターをがんばります。
 ママは、あちらでどんどん飲んでください。」と私は言った。

「お言葉に甘えるわ。ナナ、ありがとう。」とママ。


ママの楽しそうな話し声、お客さん同士の賑やかな笑い声…。

ママの言葉を思い出した。
「どこかでお祭りでもあるのかしら?」

『ママ、お祭りは、ここですよ。』

私はうふっと笑って、腕まくりをした。


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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